74冊目。

連鎖破綻 ダブルギアリング 香住究 ダイヤモンド社

2002年秋から2003年春までを舞台に、破綻寸前の生命保険会社が延命措置に懸命に取組んでいく過程と、それを取り巻く外資系金融の戦慄を覚えるしたたかさ、巨額不良債権処理に喘ぐ大手銀行、官僚たちの姿が生々しく描かれる。

真山仁が今の名前で作品を発表する前の、香住究名でのデヴュー作(元大手生命保険課長と元大手新聞記者の共同ペンネーム、とクレジットされている)。

遠いところで行われていた感のある、(たった)5,6年前のバブルの後始末に取組む金融機関の生態。当時、大手都銀の不良債権処理についての情報は連日様々なメディアを賑わせていたが、生命保険会社の情報はそれほどまでには多くなかったように記憶している。
歴史に刻まれることはないけれど、信念と誇りとプライドのためだけに壮絶な戦いを挑んだ「サラリーマン」たち。数千億円単位の現実離れした不良債権処理の過程をめぐって、このようなドラマがいくつもあったのかも、と思うと感慨深い。
「小説」としてのプロットも、素晴らしい。正直、泣ける。