90冊目。

広告コピーってこう書くんだ!読本 谷山雅計 宣伝会議

冒頭からガツンとやられた。
「明日から、あなたの毎日の生活のなかで、『なんかいいよね』という言葉を禁句にしてほしいのです」
なぜいいのか、という思考を働かすことが出来なければ、「モノの作り手」にはなれず、一生「受け手」のままだ、と。

この手の本にありがちな、それあなただけでしょ?的秘密の発想法も、谷山氏の独創的なクリエイティブ遍歴も語られることはない。「そもそも広告なんて誰も見たくない」から出発する氏の仕事理論は、まさに矜持のかたまり。
著者は、広告クリエイティブは論理7割センス3割と言い切る。感性をガソリンに、論理をエンジンに比喩する終章は、“思想として”見事。
ずっとすごいなぁ、と思ってた「日本の女性は、美しい。」が氏の作品だと知って感慨もひとしお。


広告コピーってこう書くんだ!読本/谷山 雅計

¥1,890
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89冊目。

ブランド進化論 山田敦郎 中央公論新社

「ブランド」の創造・変革から育成まで、幅広いテーマをブランディングのリーディングカンパニー22社の取材記事で展開。シャープからフランク・ミュラー、日本科学未来館まで事例は多種多様。“ブランドは生き物”ということが実感出来る。
筆者が経営するブランディングファーム(グラムコ)の顧客も含まれる為か、提灯記事っぽいコンテンツが少なくなかったのが残念。

以下引用。
「アンチテーゼは、理解されればテーゼになる。そもそも現在メガブランドになっているところも、元々は反骨だったのではないか。バイクからクルマへと参入したホンダだって、iPodで世界を席巻するアップルだって、元はといえばそうではないだろうか」

ブランド進化論/山田 敦郎

¥2,100
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88冊目。

イロハソニー 麻倉怜士監修 日経BP企画

体験・歴史・物語といった切り口で「色」にまつわる15あまりのコラムで構成される前半。
ここでは、京都の染色師が語る200色の「黒」の話が印象的。色を表現する言葉が多いのは、すなわちその国の文化の豊潤さではないか。

BRAVIAの、いかにもソニー的な開発秘話がキーマンたちのインタビューで構成された後半。
「2008年にソニーのテレビは、今、世の中で一番欲しいもの と呼ばれることを目指します」という壮大なビジョンのもとでスタートしたBRAVIAの開発~シェアトップをとるまでのストーリーが語られる。以下の開発者の対話が印象的。

「難しいかどうか考えるより、真っ先に自分たちでやろうというのが、社員の大半の中にある。『やったことないから、やろうよ』と」
「そう、苦労すると分かっていてもね。みんなそういうのが『好き』なんですよ。平たく言っちゃうと」

美しい会社の、美しい本。

イロハソニー―ブラビアイロノヒミツ/麻倉 怜士

¥1,470
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87冊目。

ベイジン 真山仁 東洋経済新報社

北京五輪の開催直前に発表された中国が舞台の原発開発をテーマにした小説。
という外見だけを見るとすごくあざとい作品に映るが、そんな批判的な視線を浴びせられるのは筆者自身、百も承知で発表したのだろう。

さすがの筆力。原子力開発の基礎知識から現状を取り巻く課題、現代中国の明と暗、そういった要素を知ることが出来る著作と評することもできるが、その前に、何はさておき面白い。
著者のいくつかの作品で見られる冗長的な部分は影を潜め、力強く紡がれる物語の完成度の高さ。一方でディティールへの徹底した拘りも健在。そして登場人物は真山作品の大きな特徴である強さと熱さを持っている。

説教臭くなく、中国という未知の大陸とまだまだ人類が完全征服していない原子力という神の火について、深く知りたくなる読後感。


ベイジン〈上〉/真山 仁

¥1,680
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ベイジン〈下〉/真山 仁

¥1,680
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86冊目。

人生生涯小僧のこころ 塩沼亮潤 致知出版社

初めて読む分野。
大峯千日回峰行を満行した阿闍梨・塩沼亮潤氏が修験を通じて得た英知を語る著。
毎年5月から9月までの間、往復48キロの登山道を歩く。それを9年間続けて1000回の往復登山を続ける大峯千日回峰行。行の途中で熊に襲われそうになることもあれば、歩きながら寝て幻覚を見ることもある。
この行には唯一にして決定的な掟がある。それはいったん行ににはいると、決して途中でやめることは出来ないということ。高熱が出ても足の骨を折っても続けなければならない。もし途中でやめる時は腰にさしている短刀で自身の腹を切るか、紐を木に結びつけて首をくくるしかない。
この厳しい行を成し遂げた氏は「四無行」という過酷な行にも挑む。9日間「断食・断水・不眠・不臥(横にならない)」を続けるという荒行をも満行する。

なぜこういった厳しい行に挑むのか。勿論、本書を読んでもその理由を本当に理解することは出来ない。
氏は、「行を終えたら行を捨てよ」と言う。


人生生涯小僧のこころ―大峯千日回峰行者が超人的修行の末につかんだ世界/塩沼 亮潤

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