15冊目。

異色官僚 佐橋滋著 現代教養文庫

城山三郎の名著「官僚たちの夏」の主人公・風越信吾のモデルにもなった元通産次官・佐橋滋氏の回想録。

日本IBMができるときの本国IBMとの見事なまでの喧嘩っぷりや、計量法改正時の目的達成のための強引さ、「官僚たちの夏」でも描かれた特振法騒動の時の決して曲がることのない信念。
「志」という言葉の意味を体現する仕事の数々が生々しく描かれている。

以下は、次官退官時のスピーチの抜粋。
「君たちはエリートである。僕の考えではエリート、つまり選ばれた人というのは、自分のことよりも他人のことを、自分のことより全体のことを考える人ということである。諸君は僕の言うエリート精神に徹して、生々変転する経済問題に対処し職務に励んでもらいたい」

天皇と呼ばれ恐れられる一方、若い職員と仕事中に将棋をさすような人間味にも溢れている。

リーダーシップ論の素晴らしい教科書。

この本が、絶版になってたらダメでしょ。 




佐橋 滋
異色官僚
14冊目。

iPodをつくった男 大谷和利著 アスキー新書

アップル社とその創始者のひとり、スティーブ・ジョブズの歴史がコンパクトに纏められた良書。

カリスマ、傲慢、不遜、自信家、完璧主義などなど...
スティーブ・ジョブズほど、評されるときに極端な形容詞を使われる経営者は他にいないのかもしれない。
「消費者は具体的な形にして見せてもらうまで、自分でも何が欲しいのかわからないものだ」
なんていう発言は傲慢そのものだが、iPodが発売されるまであのプロダクトを具体的にイメージできていた人がいるとも思えない。
一方で、“Think different.”のキャンペーン時のCM編集に徹夜で付き合い、完成した時は号泣した。
といったエピソードを読むと、どこまでも憎めなかったりもする。

85年の追放から96年に暫定CEOとして復帰するまでの10年で、彼が如何に大人になったかというのを考えると、彼にとってもアップルにとっても必要な10年間の別居生活だったのかも、と再認識。
あ、いや、それほど大人にはなってもいないか。


iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス (アスキー新書 048) (アスキー新書 48)/大谷 和利

¥760
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13冊目。

自分のカラを破る力が湧く言葉 小笹芳央/小笹公也著 経済界

LMI社長の兄とオンテックスCEO弟のすごい兄弟。
僕は幸運にもお二人ともお会いしたことがある。
そのときの印象は、“出てるオーラがそっくり”。

本書を読んで、やっぱり「血」てすごい、と実感。やっぱり似てる、この二人。

小笹(兄)氏の「まずルールを守る。力をつけたらルールを作る側にまわる」という言葉に、うちの会社も早くそっち側に行かないとな、と強く強く思った週末でした。


自分のカラを破る力が湧く言葉/小笹 芳央

¥1,500
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12冊目。

その数学が戦略を決める イアン・エアーズ著 文藝春秋

タイトルのかっこよさと黒と銀と黄色のシックな装丁、そして「文系にもわかる知的大興奮の書!」という帯キャッチに惹かれてジャケ買い。
面白い。すごく面白い。

「絶対計算」と言われる大量データの統計分析によるマーケティング手法のお話。
医療も裁判も政治も教育も経済も実は世の中のいろんなことの意思決定に、膨大な量のデータに基づく解析結果が使われている。そして特定の(プロフェッショナルと呼ばれる)人間の経験や知識や勘による判断よりもよっぽど精度が高い。
という、普通に生活してる限りは知り得ることはないけれど、知ってしまうとスゴイ世界。

コンビニのPOSのお化け版、或いはグーグルのアドワーズ的なモノが世界を(既に)動かしている。

これを発展させれば(ニューラルネットワーク的な応用)、映画のストーリーを分析してその興行収益を予測することもできる、らしい。
「いや、このシーンには32歳男性弁護士が登場して主人公の発言を否定した方が、200万ドル興行収益があがりますよ」といった感じ。

とはいえ、人間にも「仮説立案」という重要な仕事が残されている。


この本の素晴らしいところは、本理論の単純讃歌的内容ではなく、その使い方の倫理観や危険性についてもきちんと問題提起をしているところ。


数学はやはりどこかロマンティック。熱病に取り憑かれたように小説を読み始め、高一で既に数学からドロップアウトした時の自分を戒めたい気分。


その数学が戦略を決める/イアン・エアーズ

¥1,800
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11冊目。

小説 ザ・外資 高杉良著 光文社文庫

長銀→新生銀行になる過程でのゴールドマンサックスとリップルウッドの暗躍がモデル。「外資系金融=悪モノ」なシンプルな軸に則って書かれている。

どこまで事実なのかはさておき、当時、日本を売ろうとしていた日本人が少なからずいたであろうことに、哀しくなる微妙な読後感。
本書に登場する手段を選ばず欲求に正直な外資系企業人の方が、好き嫌いはさておき、理解できる気がする。

それにしても、この手の本を読むときのスタンスにはいつも困る。
小説という形態ではあるけれど「文学」として読むことはない。ので、プアな恋愛プロットがストーリーに織り込まれてたりすると辛い。



小説 ザ・外資 (光文社文庫)/高杉 良

¥800
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