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サラリーマン社長のムービートラベル

一カ月早いよねー、この映画は。主演はマッチョアクターの代表ドゥエインジョンソンと「キャプテンアメリカ」のクリスエバンス。ドゥエインジョンソンは何とサンタクロースのボディガード、クリスエヴァンスはサンタクロース救出に力を貸すはめになる小悪党。マーヴェルファンにはなかなか興味深い顔合わせ。ファンタジーなんやけどドゥエインジョンソンが出てんねんやから、まあ半分はいわゆる「ぶっ壊し映画」。クリスマスイブの前日、サンタクロースが誘拐?された。イブが始まる前日までに彼を助け出さねばならない。作品名「レッドワン」とはそれ、あの人、「赤いあいつ」聖(セント)ニクラウス=サンタクロースと言うわけ。馬鹿馬鹿しい、いや実に楽しい...受け取り方は人それぞれではございますが神様、魔女、妖精...皆、童心に帰って楽しみましょう。

クリスマスイブの前日、世界中の子供たちにプレゼントを配って回る、あの人セントニクラウスことサンタクローズは明日の準備に余念がなかった。コードネーム〝レッドワン〟である。年に一夜限りのハードワークのためにトレーニングも欠かさない、世界中のイベントにも〝偽サンタ〟として出演し、世界の空を駆け回るトナカイが引っ張るのはハイテクソリで自分の「自宅」、北極の地下に広がるハイテク都市、北極ドームに帰ってきた。彼に影のように寄り添い身辺を鉄壁の警備体制で守る、警備長官のカラムドリフトはサンタクロースこと〝ニック〟にとって欠かすことの出来ない守護神であり親友である。だが、明日に備えてカラムが帰ろうとしたその隙を狙い、何者かがドームのフェンスを破り侵入。ニックを誘拐したのである。ドームは大騒ぎになった。

神話世界の保護を目的とした国際機関MORAの長官ゾーイの捜査により、世界には隠されていた北極ドームの位置を探し当てたのが〝ウルフ〟と呼ばれる「裏の仕事屋」ジャックオマリーだと突き止めた。彼を確保したゾーイは北極へ連行したがジャックは依頼主のことについては何も知らなかった。だがゾーイは彼の追跡者(トラッカー)としての腕を買い、カラムの相棒としてニックの捜索に当たらせることにした。カラムはいやいやながらもジャックと組んでまず闇の組織の仲介者を締め上げる。その結果〝サンタ拉致〟の首謀者が〝クリスマスの魔女〟グリラだと言うことを突き止める。

グリラはかつてニックと対立し闇の世界に堕ち魔王となったクランプスの持つ「ガラスの檻」に「悪い子リスト」に載った子供たちを片っ端から封じ込めようとしていた。そのためにはニックのパワーが必要だったのだ。カラムとジャックはクランプスに会うためドイツにある「闇の世界」に踏み込んでいく...。

 

60過ぎたオッサンが「サンタクロース」だの「悪い子リスト」だのと文字にするのは少々照れくさい。けど今から約半世紀以上前には自分もクリスマスイブには胸ときめかしていたもんです。一つ覚えているのは当時大好きだった「怪獣」がずらりと載っている「怪獣大図鑑」がクリスマスツリーに着けていたオカンのストッキングの中に入っていたのを朝、見つけたとき。思いっきり興奮したのを覚えています。嬉しかったなぁ。そんな昔の気持ちを考えれば自分は「悪い子リスト」に入っていなかったんでしょうね(笑)。まあサンタクロースは親父とお袋だったわけですが二人とも今はいません。それから半世紀以上たって今度はサンタクロースになる番なのにいまだにプレゼントをあげる対象がいないのは「悪い子リスト」の仲間入りやね😢

本作のW主演の一人クリスエバンス演じるジャックオマリーが子供の頃「悪い子リスト」に載っていたことが描かれてます。イブの夜に集まった友達を親たちがプレゼントを隠しているところに連れて行って「ほらねサンタなんかいない」ってばらしてしまう超こまっしゃくれたクソガキだったのが描かれていたわけですが、おったおったこんな奴。あの時代からソリはジェットターボ付の超ハイテクに...。時の流れを感じます。

けどアクション有りでも、こんなファンタジーコメディをゴツイ俳優、ドゥエインジョンソンが制作にも名を連ねているのが驚き。似合わんのになんかはまってしまうこの不思議な間隔。そういやぁ、シュワルツェネッガーもスタローンも一時コメディにはまってた時期がありましたね。作品の出来不出来はともかくゴツイ無器用な男が慣れないコメディで右往左往するのは観ていて思わず笑ってしまいます。〝サンタクロース〟を演じたのはJ.Kシモンズ。この人好きなんやわ。「セッション」で一切の妥協を許さない鬼のような音楽家を演じ、見事アカデミー助演男優賞を受賞。いかつくて苦み走って、酸いも甘いも味わったような渋~い役者さんです。いわゆる名バイブレイヤー、ハリウッドでもこんな役者さん少なくなりました。葉巻をくゆらせながらバーベルをリフティングするサンタクロースなんて会うわぁ、この人。けどなぁ、なんで11月公開やねん?一カ月早いでしょ。配給会社はもっと考えたら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェノムとは宇宙からやって来たスライム状の生命体シンビオートが人間に寄生したモンスターのこと。要するにエイリアン。シンビオートは邪悪な性格をもち人間を捕食します。コミック出身。もともとスパイダーマンのヴィランとして世に出たらしいんやけど映画では主役になってしまいました。そんな極悪エイリアンなんですが一体のサンフランシスコの新聞記者エディブロックに寄生します。この男、決して聖人君子のような人物ではない。加えて新聞記者特有の性格でルーズ、不規則な生活。だけどそれなりのモラルや正義感は持っています。で、なぜかこのエイリアンと人間に不思議な信頼感が芽生えます。

ウマが合うんやね。エディはこの冷酷無比のシンビオートに地球上の常識、道徳、正義を教え込みます。そこでダークヒーロー、ヴェノムの誕生。ここまでが一作目、ところが二作目はなんかほとんど頭に入ってません。要するに観てるときは夢中になるけど後には何にも残らない映画のジャンル。映画ファンの間では〝ジェリーブラッカイマー〟が作ったような作品といいます。そして今回第三作目、題名「ヴェノム:ラストダンス」が示すように「ヴェノム」最後の作品となるのか?

古代より遥か彼方の宇宙のとある星で全宇宙の闇の世界を支配していた邪神ヌル。彼はシンビオートの創造主でありながらシンビオートたちに裏切られ、幽閉されていた。彼が自由になるためには幽閉を解くシンビオートたちが持つ〝鍵〟コーデックスが必要となる。ヌルは自らの僕となるモンスター、ゼノファージたちを宇宙に放つ。

一方、刑事殺害の濡れ衣を着せられメキシコに逃亡していたヴェノムとエディはエディのホームタウン、サンフランシスコを避けニューヨークへ行くことにした。だが道中、宇宙より飛来してきた一体のゼノファージに出くわす。二人が逃げ込んだところはネバタ州の荒野。逃げ込んだのもつかの間、今度はアメリカ軍のストリックランド将軍率いる特殊部隊に急襲される。逃げ回る彼らを救ってくれたのは、エイリアンを探してキャンピングカーでアメリカを移動すると言う不思議な家族マーチィン一家に助けられる。彼らはなんとかラスベガスにたどり着いたのだが。エディの所在地をアメリカ軍がキャッチ。ストリックランド率いる特殊部隊がエディを確保。同時にシンビオートとなったヴェノムも捕らえられる。二人が連行されたのは〝エリア51〟の地下秘密基地にある研究所。そこには地球上で捕獲されたシンビオートたちが展示されていた。

そしてその夜、無数のゼノファージたちが基地を攻撃してきた。ヴェノムとエディはゼノファージたちを迎え撃つ。

 

「ラストダンス」と銘打ってはいるがなかなかどうしてラストをみればこりゃ必然的に続編は作られるなと...。しかし自らが犠牲になりエディを守る姿なかなか切なくなります。トムハーディもこのシリーズが自分の代表作としたいと思ってたんとちゃうやろか?アメリカではどうだか知らんけど日本ではこのシリーズがハーディの代表作と言えるほど認知されなかったんちゃうかなぁ。自分は結構面白いんやけどね。多分、一月ぐらいすりゃ忘れると思うけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし年いったと思います。日本映画を観ると名前を知っている役者さんより知らん役者さんの方が多い。若い役者さんは殆んど知りません。先日、西田敏行さんが亡くなりました(合掌)。松方弘樹さん、緒形拳さん、千葉真一さん...いろんな映画やドラマで主演を張っていた方々が次々に亡くなられています。ああ、もうそう言う時代、世代なんやなぁと思ってしまいます。大病を患って運よく生き延びた自分ですがエンターテイメントの世界に目を向けた時、かつて今の自分の年代をお迎えになった皆々様はこんな寂しさ、空虚感を感じたことはあるんでしょうか?

今回の新作「十一人の賊軍」を観てつくづく思いました。メガホンを撮った白石和彌監督って日本映画の中じゃあ「映画」の面白さが分かっているええ監督やなぁ、と思うのは「孤狼の血」2作品を観てもようわかります。(ちょっとどぎついんやけどね)。けど出演者の半数以上は自分は知りません。もうこの頃数年、テレビドラマなんて観んようになったからね。面白さがないうえ、斬新さもないもん。この作品で知ってる若手って山田孝之くんくらいかな。彼だってもう中堅ですよ。まあ、千原せいじやナダルは知っとるよ。地元やもん。

今回その腕のいい白石監督が手掛けた作品「十一人の賊軍」は幕末が舞台。旧幕府軍が壊滅寸前に最後の抵抗を見せた戊辰戦争に於いて、最後まで忠義を尽くそうとする東北から越後にかけてのいわゆる奥羽越列藩同盟。その中の小藩であった新発田藩の生き残りをかけた家老の苦渋の駆け引きと、それによって命を玩ばれる結果となった罪人たちのあまりにも悲惨な戦いを描きます。まぁーこの監督さんですから血飛沫は飛ぶわ、無数の首は転がるわ、数々の人体破壊はありますが決して誰もハッピーエンドにならない虚無感の美学。それを土台に、文明開化の世がくると言うのは何とも切ないですわ。

幕末、戊辰戦争。会津藩松平容保を要とする旧幕府軍は新政府軍=官軍に徹底抗戦の意を表した。長岡藩を中心に陸奥、出羽、越後の諸藩からなるいわゆる奥羽越列藩同盟は官軍を迎え撃つが長岡城を官軍に奪われもはや旧幕府軍は風前の灯火であった。そんな中、小藩の新発田藩は生き残りをかけて瀬戸際に立たされていた。家老溝口内匠は列藩同盟の米沢藩より出陣の催促に追い立てられていたがのらりくらりとはぐらかしどっちつかずの態度をとり続けていた。だが、業を煮やした米沢藩の軍は出陣の際に新発田に立ち寄り恫喝を繰り返すのだった。藩主溝口直正はまだ年も若く、おまけに「勝ち馬にのればよい」と容易く考えているような暗愚である。だが、旧幕府軍の壊滅は日を観るより明らかである。家老溝口は苦渋の決断の末、官軍に対し徹底抗戦をとなえる剣術道場の若手家臣、鷲尾兵士郎と娘の許婚、入江数馬らを中心とした少数の部隊を結成、その下に10人の罪人たちを付け決死隊として領内の外れにある砦の警護に当たらせた。彼等には同盟軍の旗を持たせ新発田領内にいる米沢藩の軍が出ていくまでの時間稼ぎをさせる。それが決死隊の任務だった。ことが成った暁には罪人たちを無罪放免にすると口約束した。だが溝口は米沢の軍が出て行った後に官軍を招き入れ新政府軍に恭順の意を示すと言うのが思惑であった。小藩生き残りのための苦渋の決断である。新発田湊にある同盟軍の武器弾薬庫が狙いの官軍は領内に迫る。迎え撃つ決死隊は数人の若い藩士と処刑寸前の罪人たち。その罪人たちの面々は...妻を新発田の侍に手籠めにされ怒り狂って相手を惨殺した駕籠政を始め、いかさま博打の常習犯や、檀家の娘を手籠めにする破戒僧、火付け、密航者、辻斬り、強盗など一筋縄ではいかない連中ばかりである。官軍が迫りくる中、この寄せ集め軍団はどう戦うのか?

 

武士の時代が終わろうとした時代。武士であろうとした若き藩士と生き延びるためいやいや戦に加わった罪人たち。主君のため命を懸ける武士がいる一方、姑息、冷酷、猿知恵と身内からも相手からも罵られるが藩を守り切ろうと奔走する家臣もまた武士。武士の一分を通そうとして命を散らせる若き藩士を中野大河が演じています。一方真逆の藩士、家老溝口は藩を領民を守るため酷いことするんやねぇ。嘘に嘘を並べ立て、裏切り、騙し、ありとあらゆる方法を使って必死に生き残る方法を探す。一見これは「武士の風上にも置けん」奴やねんけど、どうしても観ている側としては彼の心情を察してしまうわけです。これを阿部サダヲがやってるんやねぇ。うまいわぁ、この人は。先日の「ラストマイル」でも言ったんやけどねぇ。うまいんよ。冷酷、冷徹なんやけど観客は100%憎み切れへん。なんか切ないんやねぇ。当然の如く、彼にも悲惨な運命が訪れます。そんな小藩の家老を演じた阿部サダオが今回もよかったわぁ。そしてもう一方の山田孝之演じる罪人は踏みつけられ続けて、逃げ回っていた自分に嫌気がさし、踏みつける奴に一泡吹かせようと、この時代のすべての不条理、矛盾を抱えて散っていく。歴史と言うのは酷いものです。しかしそんな不条理や矛盾を抱えて散っていた者たちが近代国家の礎になったからこそ今の日本はあるんやと思います。うん!日本人にしか作れない日本の映画。関心感心。