子宮がんと便秘:子宮摘出後に生じる便秘の予防と治し方
「便秘の解消法:女性の便秘解消対策、便秘・慢性便秘の予防と治し方」 女性にとって、子宮がんは重大な病気です。でも、果敢に子宮がんと闘っている多くの女性もおられ、勇気づけられます。子宮がんは、早期発見、早期治療が基本原則です。最近は、子宮頸がんに対するワクチンが開発され、子宮頸がんの予防に有力な手段が追加されました。しかし、子宮体がんに対しては、未だに有効な診断法もなく予防法もございません。子宮がんの治療法には、さまざまな種類の治療法がありますが、その中でも、子宮の摘出手術が基本となっています。子宮がんで子宮を摘出した後も、元気でお暮らしの女性も多いのですが、子宮を摘出しますと、ひどい排便障害を起こし、便秘になる場合があります。ここでは、子宮がんと便秘:子宮摘出後に生じる便秘の予防と治し方についてお話します。
子宮がんは、大きく2種類に分かれます。子宮頸部(子宮の入り口付近の部位)にできる子宮頸がんと子宮内膜(子宮の奥の部位)にできる子宮体がんです。それぞれの子宮がんは、発症の原因が異なります。また、一般に行われている子宮がんの検診は、子宮頸がんの検査であって、子宮体がんの検査はほとんど行われていませんので、子宮がん検診を受ける際には注意が必要です。
子宮頸がんは、女性特有のがんの中では、乳がんに次いで多いがんです。しかし、子宮頸がんは、20~30代の若い女性が発症する全てのがんの中では最も多いがんで、罹患率第1位となっています。子宮頸がんは、若い女性を中心に、2000年頃をさかいに、急激に増加しています。毎年、約16,000人もの女性が子宮頸がんと診断され、1日に約10名の女性が、子宮頸がんによって死亡しています。一方、赤ちゃんが育つ子宮体部にできる子宮体がんは、閉経前後の50代から60代の女性に多くみられるがんで、若い女性に多い子宮頸がんとは対照的です。年間約8,600人もの女性が子宮体がんと診断され、1日に約4名の女性が子宮体がんで死亡しています。
子宮頸がんは、性行為の経験のある女性なら、誰でもかかる可能性のある病気です。子宮頸がんは、扁平上皮がんと腺がんの2種類に分類されますが、子宮頸がんのほとんどが扁平上皮がんです。この扁平上皮がんは、ヒトパピローマウィルス(HPV、ヒト乳頭腫ウィルス)の感染によって発症することが明らかとなっています。パピローマウィルスは、男性のペニス部位に住み着いており、また多くの男性がそのウィルスを持っているとされています。すなわち、子宮頸がんは、性行為によってウィルスが感染し発症した性行為感染症となります。ヒトパピローマウィルスには100種類以上のタイプがありますが、子宮頸がんを発症させるウィルスはそのうちの15種類、中でもHPV16型と18型とよばれる2種類のパピローマウィルスが、主な子宮頸がんの原因となっています。
子宮頸がんの初期においては、ほとんど症状がないので、自分で気付くことはできません。子宮頸がんが進行しますと、性交時の出血、茶褐色や黒褐色などのおりものの異常、月経以外の不正出血、下腹部や腰の痛みなどの症状が現れてきますが、このような症状が現れた時点においては、子宮頸がんはかなり進行した状態となっています。しかし、現在では、子宮頸がんの発症原因が特定されたことで、ヒトパピローマウィルスに対するワクチンが開発されました。日本でも、2009年12月から、このワクチンを接種することができるようになりました。3回の接種で、ほぼ子宮頸がんの発症を抑えることができます。みなさんも、すすんでワクチン接種をしたらいかがでしょうか。
子宮頸がんの主原因がヒトパピローマウィルスの感染であるのとは異なり、子宮体がんの発症は、女性ホルモンのエストロゲンの影響によって引き起こされます。既に記事「乳がんと便秘」で述べましたように、子宮体がんは乳がんと同じ発症のメカニズムとなります。そのため、子宮体がんは、閉経前後の40代後半から50代、その後の60代の女性に多発します。主な症状は、不正出血となります。ただし、子宮頸がんと同様に、がんの初期において、自覚症状はほとんどないので注意が必要です。また、子宮頸がんのワクチンは、子宮体がんには全く無効となりますので、この点に関しても注意が必要です。
子宮体がんは、エストロゲンによって増殖するタイプとエストロゲンに関係なく発生するタイプに分かれます。更年期障害等に対するエストロゲン製剤を用いたホルモン療法で子宮体がんが発症する場合があります。また、肥満、糖尿病、高血圧、乳がん、大腸がんなども、子宮体がんが発症するリスク要因となっています。
子宮頸がんの治療法には、がんの患部をレーザーで円錐形に切除するレーザー法、放射線療法、抗がん剤を用いた化学療法などがあります。また、子宮体がんの治療法には、放射線療法、化学療法、黄体ホルモン(プロゲステロン)を用いたホルモン療法などがあります。いずれの子宮がん治療においても、これらの治療法を組み合わせて治療を行うことになります。しかし、がんの病期(ステージ)によっても異なりますが、子宮がんの初期における主要な治療法は、子宮の全摘出による外科療法が一般的に行われます。卵管や卵巣も同時に摘出されます。これは、がんの発生が子宮の局所に限られていれば、子宮を取り除くことによって、がんの転移を防ぐことができるためです。がんが、他の組織や臓器に転移してしまいますと、治療が難しくなり、生命に危険が及ぶリスクが高まるためです。
このように、子宮がんの治療法においては、子宮の全摘出手術が一般的に行われます。ところが、子宮を摘出しますと、排便障害、すなわち、便秘が高頻度で発現します。直腸性の便秘であるといわれています。では、子宮がんの手術で便秘になりやすいのはなぜでしょうか? いろいろな原因が指摘されています。①子宮を摘出したことで腸の位置がずれて、大腸の中にS状結腸瘤や直腸瘤などのくびれができて便秘を起こす、②子宮の摘出手術によって、自律神経が損傷を受けるために、それによって便秘となる、等です。つまり、子宮の摘出による便秘の原因は、自律神経、結腸や直腸などの大腸自身の働き、直腸の位置、排便のためのいきみの基となる骨盤の筋肉など、さまざまな要因が複合的に絡み合っていると考えられています。
このように、子宮がんで子宮全摘出手術を受けた後に起きる便秘という排便障害は、患者さんにとっては、とても深刻な問題となっています。子宮がん治療後の社会復帰や生活の質の向上(QOL)にとても影響してきますので、便秘対策は非常に重要となります。なお、子宮筋腫などの子宮がん以外の病気で子宮を摘出した場合においても、子宮がんのときと同様に、ひどい便秘が引き起こされます。
直腸性の便秘では、便が硬くなって排便困難となります。ですので、まずは便を軟らかくすることが、便秘解消の第一義的な対策となります。イヌリン食物繊維は、大腸に生息するビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の特異的な栄養源となって、それらの菌の繁殖を促進させます。善玉菌は、菌体内に取り込んだイヌリン食物繊維を代謝分解し、栄養源とするのですが、その際、イヌリン食物繊維の代謝産物として、酢酸や酪酸などの有機酸が生成されます。この有機酸が大腸粘膜を保護し、大腸を健康な状態に導いています。それと同時に、これらの健康に有益な有機酸は、便を軟らかくする働きもあり、これにより、便秘が解消されます。ですので、子宮摘出後の便秘対策には、イヌリン食物繊維が最適となります。イヌリン食物繊維は、ゴボウやニンニクなどに含まれる天然の水溶性食物繊維ですので、長期間にわたって摂取しても安全で安心です。今では、スティムフローラのように、不純物を含まない極めて高純度のイヌリン食物繊維が、健康補助食品として市販されています。子宮がんや子宮筋腫で子宮を摘出した後に生じる便秘の予防と改善に、このような健康補助食品を活用することも有用です。
子宮頸がんや子宮体がんなどの子宮がんは、自覚症状がないところに、この病気の深刻さがうかがえます。症状が出てしまってからは、手遅れになる場合もあります。早期発見、早期治療が基本となります。子宮頸がんは、子宮がん検診で発見することが可能ですので、定期的に子宮がん検診を受けるように心掛けましょうね。また、子宮頸がんの予防として、ワクチンの活用も有効です。一方、子宮体がんの早期発見に関しましては、未だに確立された検診方法がございません。早期に、簡便な検診方法が確立されることを願っています。また、子宮摘出後も元気でお暮らしの女性も大勢おられます。術後の排便障害、便秘には、イヌリン食物繊維などのプレバイオティクが効果的です。
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