胃癌・手術後の便秘:胃癌治療後の便秘の予防と治し方


「便秘の解消法:女性の便秘解消対策、便秘・慢性便秘の予防と治し方」 胃癌は、胃炎や胃潰瘍と同様に、食欲の低下が起こり、食べ物や水分を摂取しなくなるために便秘が引き起こされます。胃癌の根治療法は、癌の病巣を手術で切除する外科療法となりますが、胃の一部または全部の摘出は、腸の蠕動運動を抑制することがありますので、これによっても便秘が引き起こされます。さらに、胃癌の手術後においては、抗癌剤を用いた手術後の補助化学療法が行われるのが一般的ですが、抗癌剤によっても便秘が引き起こされます。ここでは、胃癌・手術後の便秘についてお話します。


胃にできる悪性腫瘍のうち、胃の内腔表面を覆う粘膜から生じる悪性腫瘍のことを一般に胃癌とよばれています。胃癌には、このような粘膜から生じる上皮性悪性腫瘍と粘膜以外の胃の組織から生じる非上皮性悪性腫瘍もありますが、胃癌のほとんどは、粘膜から生じる上皮性悪性腫瘍となっています。胃の粘膜は、胃液などの分泌腺で構成されているので、胃癌のほとんどは腺癌ともいわれています。上皮性悪性腫瘍には、その他、腺扁平上皮癌、扁平上皮癌、カルチノイド腫瘍などが含まれます。胃癌には少ないのですが、非上皮性悪性腫瘍には、悪性リンパ腫や平滑筋肉腫などが含まれます。


胃癌のほとんどを占める腺癌は、乳頭腺癌や管状腺癌などの分化型腺癌、低分化型腺癌、印環細胞癌、粘液癌などの未分化型腺癌の4つに分類されます。胃癌の分化型腺癌は、癌細胞の形状や並び方が胃の粘膜構造を維持している癌で、比較的予後はよいとされています。一方、未分化型腺癌は、癌細胞がばらばらに配置され、粘膜構造が少なくなっている癌で、小さな病巣の癌でも、リンパ節、肝臓、腹膜などに転移しやすい進行性の癌です。未分化型腺癌のうち、わずかな粘膜構造の変化しか起こさず、その一方で、胃壁の全体に癌の侵潤を認め、胃壁全体が硬くなる胃癌がスキルス胃癌です。胃が硬くなるため硬癌ともよばれています。スキルス胃癌は、胃癌の10%程度を占め、特に30代から40代の若い女性に多くみられる胃癌です。


胃癌は、病状の進行とともに、胃壁深く浸透していき、次第にリンパ節、肝臓、腹膜などに転移していきます。これを進行胃癌といいます。そこからさらに、癌組織は、肺、骨、脳などの全身の臓器に広がり、生命に危険が及ぶことがあります。しかし、早期発見で胃癌は完治することができます。早期発見のための定期的検査がとても重要となります。


胃癌は、日本、中国、韓国などのアジア地域や南米に罹患者が多く、その一方で、北アメリカやイギリス、ドイツ、フランス、北欧などのヨーロッパでは少なく、世界の地域によって胃癌の発症分布が異なっています。平成20年の患者調査(厚生労働省)によりますと、日本における胃癌の総患者数は21万3,000人で、男性14万1,000人、女性7万2,000人となっていて、男性および女性ともに65歳以上の高齢者が全体の72%を占めています。胃癌による死亡者は、平成20年の1年間で、48,000人、男性32,000人、女性16,000人となっています。男性の胃癌による死亡者数は、1965年をピークに以後減少しましたが、1995年以降は横這い状態となっています。一方、女性の胃癌による死亡者数は、1970年をピークに以後減少しましたが、1990年以降の減少率は低く、最近では減少気味か横這い状態となっています。胃癌は減っているとよくいわれるのですが、最近はほとんど減少していないのが実態となっています。日本国内における胃癌は、東北地方から北陸地方までの日本海沿岸部で多くみられています。一方、九州や沖縄などでは胃癌は少ないという、胃癌の分布に地域特異性がみられています。


胃癌の発症原因については未だに不明な点が多いのですが、胃癌の発生過程で、ヘリコバクター・ピロリ菌による慢性萎縮性胃炎が関与していることが指摘されています。ピノリ菌感染者の胃癌発症リスクは非感染者に比べて5倍と高く、また、ピロリ菌感染者で慢性萎縮性胃炎の胃癌発症リスクは10倍に高まるとされています。また、塩分や塩分を多く含む食品の摂取は、胃癌発症リスクが高まるとされています。漬物、魚の干物、みそ、醤油、塩辛、いくら、練りウニなどの日本の伝統的食生活は、胃癌のリスクが高くなるので、その食べ過ぎには注意が必要です。日本国内の東北地方や日本海沿岸部で胃癌が多くみられるのも、塩分の濃い食事との関連性が指摘されています。


早期の胃癌治療では、内視鏡を用いて胃癌の患部を切除する方法が用いられています。体への負担も軽い治療法で、根治が期待できます。しかし、癌の進行によっては、胃の一部あるいは全部を摘出する外科手術が行われます。癌の患部が全て外科手術によって取り除くことができれば、根治が期待できますが、一般的には、手術後において目に見えない微細な癌細胞を標的として、再発予防の観点から抗癌剤を用いた術後補助化学療法が行われます。手術による癌細胞の転移を予防するため、補助化学療法は、手術後のみならず手術前や手術中においても行われる場合があります。


手術後の補助化学療法には、通常、ティーエスワン(TS-1カプセル)という抗癌剤が用いられ、手術後1年間服用することになります。抗癌剤には、フルオロウラシル、イリノテカン、シスブラチン、タキセル、およびテガフール・キメラシル・オテラシルの3剤が配合されたティーエスワンなどがあり、適宜、それらの抗癌剤を組み合わせて使用することになりますが、胃癌の手術後には、主にティーエスワンが用いられます。


しかし、胃癌の治療でこれらの抗癌剤が投与されますと、便秘をはじめ食欲不振、吐き気、嘔吐、脱毛などの副作用が現れます。胃癌は、その病気自体で便秘を引き起こしますが、手術による胃の摘出後においても、便秘が引き起こされます。胃の摘出手術後の後遺症としてほとんどの方が経験するのがダンピング症候群です。胃を摘出した結果、食べた物が十分に消化されないまま、小腸に急速落下(ダンピング)してしまうため、便秘、下痢、腹痛、めまい、倦怠感、発汗などの症状が現れます。胃の切除による便秘と下痢についてですが、下痢よりも便秘の解消が重要となります。胃切除後、便秘が続きますと腸閉塞が起こりやすくなりますので、便秘は解消しなければなりません。ダンピング症候群の対処法としては、食事の回数を増やし、1回に摂る食事の量を減らして、少量ずつ何回にも分けてゆっくり食べることが大切です。また、口の中で食べ物がペースト状になるまでよく噛むことが大切です。


胃癌手術、胃の摘出手術及びお薬を用いた胃癌治療は、消化器機能の低下により便秘が生じます。胃の摘出手術では、特に便秘が生じやすくなります。このような胃癌や胃癌の治療に伴う便秘には、水に溶けるイヌリンなどの水溶性食物繊維が有効です。イヌリン食物繊維は、他の水溶性食物繊維とは異なり、水に溶けても粘度が上がらず(ドロっとしない)、さらっとした水溶液の状態となりますので、ダンピング症候群が現れる時においても、小腸に負担がかかりません。胃の部分的な摘出手術後におきましても、胃に負担を掛けることもなく、胃を刺激することもありません。また、大腸においては、健康に有益なビフィズス菌や乳酸菌を増やし、それによって、便秘も解消されやすくなります。最近では、スティムフローラのように、不純物を全く含まない極めて高純度なイヌリン食物繊維もサプリメントとして市販されています。


胃癌は、多の癌と同様に、早期発見・早期治療が第一です。少なくとも、1年に1回は、定期的に胃の検診をすすんで受けるようにいたしましょう。今は、内視鏡も鼻から挿入することができるようになり、以前の口から挿入する胃カメラのような検診による苦痛が和らいでいます。


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