私は将来的に、愛着関連の講演活動をしたいと考えています(機会は全く未定😓)。今はそのための情報収集中。
 そこで現在、その講演(予定テーマ「愛着理論に基づく父母両性の働きを具現化する家庭教育の在り方〜いじめ、ひきこもり、虐待、少子化、他 様々な社会問題の改善のために〜」)のためのプレゼンパワーポイント資料を作成中です。 

愛着の2つの場面
 今回はその中から1枚、これまで紹介してきた考えを整理したあるスライドを紹介します。

 私は子ども達を愛着の視点で見ると、ある2つの場面に大別されると考えています。
始めに、
エネルギーが不足しているために、子どもに萎縮、内向、抵抗等の状態が見られ停滞している場面
次に、
②エネルギーが十分であり、人間関係を保つ、物事に挑戦する・学ぶ、辛さに耐える等の「探索行動」を起こす場面
です。

 上記表中の用語の意味については下記から参照ください。

コロナ騒動の今、子ども達は何処にいる?
 さて、今回のコロナ騒動について、子ども達が受ける精神的な被害について、教育評論家の尾木尾木直樹氏が、ある記事で以下のように述べています。

大人が抱える不安は、子ども達にも伝わります。小学校低学年くらいの子ども達には、赤ちゃん返りをしたり、おねしょ、爪噛み、チック症状等が出る可能性があります。中学生くらいであっても、普段は一人で寝ているのに、親と一緒に寝たがる子も出ているようです。

(今は)大人も大変な時ではありますが、こうした子どもたちの出すサインを見逃さないでくださいね。親が怒ったりせず悩みやイライラを受け止めてあげれば子供達も安心するし拠り所を見つけることができて『何とか頑張ろう』と思えるようになります。大人は不安でも子どもの前ではなるべく大きく構えて前向きな態度や言動をとりたいものです」


 この中の、子どもが「何とか頑張ろう」と思うようになるまでが「場面①」であり、今の子ども達はこの状況にいます。その後に頑張って前向きに行動することが「場面②」にあたります。

 また、“頑張って前向きに行動すること”(“退屈でも我慢すること”も含む)が上記の「自立的」な「探索行動」であり、「悩みやイライラを受け止めてあげる」ことや「子どもの前ではなるべく大きく構えて前向きな態度や言動をとる」ことが「安心感」を与える「安全基地」の作用にあたります。

 更に、「悩みやイライラを受け止めてあげる」ことは、「母性」の働きである「安心7支援」の「子どもに声をかけられた時には子どもを見る」や「子どもから話しかけてきた時には子どもの話をうなずきながら聞く」であり、「子どもの前ではなるべく大きく構えて前向きな態度や言動をとる」ことは、同支援の「子どもを見る時には子どもに微笑む」や「子どもに指示や注意をする時には子どもに(感情的にならず)穏やかな口調で話しかける」にあたると思います。


それぞれの場面での支援

 先の「赤ちゃん返り、おねしょ、爪噛み、チック症状等」の子ども達も、安心感が不足し探索行動に踏み出せず立ち止まっている「場面①」にいます。他にも、登校拒否や引きこもりもこれに当たると考えられます。この段階の子ども達に「止めなさい!」「いつまで何してるの!」等と叱ってはいけません。前に踏み出すだけの“安心エネルギー”が溜まっていないのですから、「安心7支援」のような母性の働きで安心感を与えてあげる必要があります。

 エネルギーが溜まれば、子どもは自分から進んで探索行動に踏み出し「場面②」に進むはずです。そうなれば、そこで特に必要になるのは、子どもの探索行動を見守り自立を願う「見守り4支援」のような父性の働きです。


大切な父母両性のバランス

 ところが、「場面」が変わっても母親がベッタリ子どもにくっついていると「いい子症候群」や「アダルトチルドレン」のような親に依存する人間(「「毒親」に翻弄される大人達 〜“今”と“未来”を改善するために〜」参照)になる危険が生まれます。その際は、子どもと親との距離を保つ父性の働きが必要です。逆に「場面②」であっても、暴言や暴力等のような偏った父性が働く場合には、それを抑える母性が必要になります(「神奈川金属バット殺人事件〜どの家庭にも潜む危険要因〜②」の「○強すぎた父性と弱すぎた母性」参照)

 返す返すも、大切なのは父母両性のバランスなのです。