先日、テレビのあるバラエティー番組で、結婚を公表した小泉進次郎さんの育児休暇の話題が挙がりました。

   その中でMC(司会者)が「入閣が噂されている小泉進次郎は育休どころではない」と発言。それに対してある外人タレントさんが、赤ん坊を抱いて会議場に入る外国の男性国会議員を紹介しました。するとMCが「ここは日本だよ!」と釘を刺しました。その後、その外人タレントさんはMCに配慮するように、「そうでした、ここは日本でしたね〜!」とお茶を濁しました。その後、共演していた弁護士さんが割って入り、男性育児休暇の意義について指摘しました。

    私はこの様子を見て、「未だに『日本には男性育児休暇の文化は無い』という考えがあるのだろうか?」と思いました。


   さて、男性の育児休暇については、これまでこのブログでも何度もご紹介してきました。父親が育児に関わらないことでどんなリスクが高まるのでしょうか?改めて振り返ってみたいと思います。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


   先ずは、父親の協力が得られない母親の「ワンオペ育児」の実態について。以下の記事で紹介しています。

あまりにも過酷な「ワンオペ育児ママ」〜次世代には同じ苦しみをさせないように、一刻も早く…!〜


   そんな生活を送る母親が、 ①泣き叫ぶ子供をあやす気力が失われたり、②精神的に不安定な育児をしたりする(上記の記事を読むと、少なくない確率で起こり得ると予想される事態)と、子どもが成人後、愛着障害を患う大人になるリスクが高まります。そもそも、子どもにとって母親は「愛着の選択性」を保証する特別な存在なのです。

 具体的には、上記の①と②、それぞれ次のような大人になるリスクがあるそうです。

①⇨回避型愛着スタイル

②⇨不安型愛着スタイル


    なお、このタイプの大人は、周囲との人間関係で苦しむリスクが高まります。職場はもちろんのこと、結婚後も、パートナーとの価値観の違いに苦しみ、離婚に陥る可能性も高くなります。

なぜ離婚する夫婦が多いのか? 〜そのカギは愛着スタイルの違いが握っていた〜 ①

なぜ離婚する夫婦が多いのか? 〜そのカギは愛着スタイルの違いが握っていた〜 ②


   また、ワンオペ育児によってもたらされる「イライラする」感情は、身内に対してより大きくなり、爆発する傾向があることが報告されています。母親が一人で閉じこもり、育児を抱えこむことでストレスがたまり、そのはけ口が“叩く”という虐待の形で子どもに向かってしまう危険性が高いのです。詳しくは以下の記事をご参照ください。

「虐待するかも」と不安な親御さんに伝えたいこと


   更に、場合によっては、これらの愛着障害のために、「退職」や「人間関係」でつまずき、引きこもりになることもあります。詳しくは以下の記事をご参照ください。

中高年の引きこもり61万人 〜引きこもりになった理由で最も多かったのは“退職”〜 ①

中高年の引きこもり61万人 〜引きこもりになった理由で最も多かったのは“退職”〜 ②


   なお、20178月、生後約2カ月の次男に揺さぶる暴行を加えて死亡させた母親は、このワンオペ育児の犠牲者でした(以下の記事をご参照ください)。

突発的に乳児揺さぶり死 有罪の母〜夫とけんか、親と疎遠、家事・育児を背負い誰にも相談できず…

   このように、最悪の場合、子どもの命そのものが失われる恐れさえあるのです。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「日本にはまだ男性育児休暇の文化は根付いていない」

そういうことを軽々に口にして、男性育児休暇に距離を置こうとすることは好ましくないことだと私は思います。ぜひ国会の場であっても、いえ、国会という場であるからこそ、国民の手本となるように堂々と育児休暇をとってほしいと思います。