4、囚われし過去と、解き放つ未来・・・4
バスの窓からはこれから始まる放浪への不安と期待と秋の夜露で輝いて見えた。
6
空港から郊外へ進むにつれ、空を覆っていた雲は次第に厚くなっていき、ポツリポツリと雨がバスの窓を濡らしていた。
ケインは窓の外をぼんやりと眺めている。
「…やな天気だ…さすがに傘まではもってない・・・。」
そうだな、確かに、
僕「ああ、仕方ない、さい先悪いが、早速寝床を探そう」
もうすでに所持金は半分、カプセルホテルにしても体力のある初日から利用するのは気が引けてしまう。
バスは国道235号に乗り、苫小牧から海岸線を通り日高に行き先を向けていた。
乗り合い客も入れ替わりが無くなり、僕はバスの利用客を暇つぶしに観察していた。
ふと窓の外を見ると閑散とした夜の町がそこにあった。まだ、生活の明かりが残る海辺の町を通り過ぎる前にと、どちらからともなく僕らは席を立ちバスを降りた。
そこのバス停で降りたのは僕ら二人だけだった。
走り去るバスの窓から、手を振る子供の姿が見えた。
少しだけ肩の力が抜けた。
雨は本降りにまではならなそうだ。
ただ風が少し強くなってきている。
ひんやりと湿った風は、これから始まる放浪の向かい風となって襟元に入り込んでくる。
右手にズタ袋をにぎり、左手に酒瓶をもち、時々それを口に含む。
二人は走り去るテールランプを眺めながら東へ進んだ。
どのくらい歩いたのだろう、夜なので距離感がよくわからない、大体1時間ぐらい歩き続けたと思う。
目の前に沙流川という河川名が書かれた標識が見えた。
僕らは、海と川がぶつかる少し広くなった河川敷まで降りて、まだ乾いている木を探してあるいた。
僕「今日の寝床はここだ・・・とりあえず雨はしのげる」
ケインは少し疲れた表情で「・・・雨はな(笑)」と言い放って僕らは顔を見合わせて意味も無く笑った。
決して途方に暮れるわけでもなく、刻一刻と気温と体温が下がってくるのが、指先の震えでわかったので、とりあえず片っ端から木を集めた。
集めた木に火を放ち、沙流川の橋の下で火の粉が飛び交うのを眺めている。
火は温かい。
日が沈んだ今、その何処からか流れ着いたであろう流木の火は気持ちと体を充分に温めてくれた。
なんとなく流木が好きになった。
少し濡れてしまった地図を丁寧に広げてる。
そして赤い火に照らされる中、今の現在地、沙流川に印をつけた。
つづく
6
空港から郊外へ進むにつれ、空を覆っていた雲は次第に厚くなっていき、ポツリポツリと雨がバスの窓を濡らしていた。
ケインは窓の外をぼんやりと眺めている。
「…やな天気だ…さすがに傘まではもってない・・・。」
そうだな、確かに、
僕「ああ、仕方ない、さい先悪いが、早速寝床を探そう」
もうすでに所持金は半分、カプセルホテルにしても体力のある初日から利用するのは気が引けてしまう。
バスは国道235号に乗り、苫小牧から海岸線を通り日高に行き先を向けていた。
乗り合い客も入れ替わりが無くなり、僕はバスの利用客を暇つぶしに観察していた。
ふと窓の外を見ると閑散とした夜の町がそこにあった。まだ、生活の明かりが残る海辺の町を通り過ぎる前にと、どちらからともなく僕らは席を立ちバスを降りた。
そこのバス停で降りたのは僕ら二人だけだった。
走り去るバスの窓から、手を振る子供の姿が見えた。
少しだけ肩の力が抜けた。
雨は本降りにまではならなそうだ。
ただ風が少し強くなってきている。
ひんやりと湿った風は、これから始まる放浪の向かい風となって襟元に入り込んでくる。
右手にズタ袋をにぎり、左手に酒瓶をもち、時々それを口に含む。
二人は走り去るテールランプを眺めながら東へ進んだ。
どのくらい歩いたのだろう、夜なので距離感がよくわからない、大体1時間ぐらい歩き続けたと思う。
目の前に沙流川という河川名が書かれた標識が見えた。
僕らは、海と川がぶつかる少し広くなった河川敷まで降りて、まだ乾いている木を探してあるいた。
僕「今日の寝床はここだ・・・とりあえず雨はしのげる」
ケインは少し疲れた表情で「・・・雨はな(笑)」と言い放って僕らは顔を見合わせて意味も無く笑った。
決して途方に暮れるわけでもなく、刻一刻と気温と体温が下がってくるのが、指先の震えでわかったので、とりあえず片っ端から木を集めた。
集めた木に火を放ち、沙流川の橋の下で火の粉が飛び交うのを眺めている。
火は温かい。
日が沈んだ今、その何処からか流れ着いたであろう流木の火は気持ちと体を充分に温めてくれた。
なんとなく流木が好きになった。
少し濡れてしまった地図を丁寧に広げてる。
そして赤い火に照らされる中、今の現在地、沙流川に印をつけた。
つづく
3、囚われし過去と、解き放つ未来・・・3
ヒマワリが揺れていた。
夏草が青々としげり街の無機質を緑が中和し、更に調和を計る。
北海道の夏は短い。
同じ日本でありながら季節を楽しむには夏が短すぎる。
でもその短さがなんとも愛しい。
地球の丸さと軸のズレが四季を織り成す。
5
千歳空港に降り立った僕らは既に北海道の空気に満たされているバッグを見付ける。
二人とも顔を見合わせホッと一安心。
ケイン「…とりあえずバッグは無事で何よりだ。」
僕は離着の時間をよく確かめて無かった自分達に中場呆れて頷いてた。
僕「途中、乱気流が酷かったな…まだ耳鳴りがする。」
この日は発達した低気圧が日本海に停滞していた。二人とも二時間足らずのフライトに少し疲れていた。
僕らはゆっくりと空港のゲートを抜けて一足早い秋の夜風を浴びて地図を広げた。
ケイン「さすがに夜は冷えるな、予想以上だ…。」その言葉を聞き、僕はバッグから取り出したシャツの袖に手を通して襟を立てた。
懐中電灯の白熱光が地図を照らす。
僕は秋風に目を細め、
「…さぁ目指すは、どこだ?最北端か?」
ケイン「最終的な目的地はな…、まぁ遠回りしてみるのは旅の醍醐味だ。」
僕は現在地の千歳空港から地図を指でなぞり道央に位置する襟裳岬を指差した。
「始めの目的地は襟裳岬…どうだ?」
ケインは納得したように深く頷いた。
それから僕らはポケットに忍ばせたジャックダニエルを離陸した飛行機に向けて掲げた。
僕らはブーツと首筋にジャックダニエルを染み込ませたあと、 静かに一口喉へ通した。
とりあえず始まりの儀式を済ませ一息つく。
そして道央まで続く国道へバスを乗り継ぎ移動を始めた。
バスの窓からはこれから始まる放浪への不安と期待と秋の夜露で輝いて見えた。
つづく
夏草が青々としげり街の無機質を緑が中和し、更に調和を計る。
北海道の夏は短い。
同じ日本でありながら季節を楽しむには夏が短すぎる。
でもその短さがなんとも愛しい。
地球の丸さと軸のズレが四季を織り成す。
5
千歳空港に降り立った僕らは既に北海道の空気に満たされているバッグを見付ける。
二人とも顔を見合わせホッと一安心。
ケイン「…とりあえずバッグは無事で何よりだ。」
僕は離着の時間をよく確かめて無かった自分達に中場呆れて頷いてた。
僕「途中、乱気流が酷かったな…まだ耳鳴りがする。」
この日は発達した低気圧が日本海に停滞していた。二人とも二時間足らずのフライトに少し疲れていた。
僕らはゆっくりと空港のゲートを抜けて一足早い秋の夜風を浴びて地図を広げた。
ケイン「さすがに夜は冷えるな、予想以上だ…。」その言葉を聞き、僕はバッグから取り出したシャツの袖に手を通して襟を立てた。
懐中電灯の白熱光が地図を照らす。
僕は秋風に目を細め、
「…さぁ目指すは、どこだ?最北端か?」
ケイン「最終的な目的地はな…、まぁ遠回りしてみるのは旅の醍醐味だ。」
僕は現在地の千歳空港から地図を指でなぞり道央に位置する襟裳岬を指差した。
「始めの目的地は襟裳岬…どうだ?」
ケインは納得したように深く頷いた。
それから僕らはポケットに忍ばせたジャックダニエルを離陸した飛行機に向けて掲げた。
僕らはブーツと首筋にジャックダニエルを染み込ませたあと、 静かに一口喉へ通した。
とりあえず始まりの儀式を済ませ一息つく。
そして道央まで続く国道へバスを乗り継ぎ移動を始めた。
バスの窓からはこれから始まる放浪への不安と期待と秋の夜露で輝いて見えた。
つづく
2、囚われ過去と、解き放つ未来・・・2
僕はまだ旅を終わりにしてはいけないと思う。
4
2006年、夏
夢から覚めた僕は夜勤の支度をしている。寝癖だらけの頭をなでつかして半分寝惚け眼でシャツのボタンを留めている。
鏡に写る姿は疲れている。
僕の朝食は夕方の四時。
とりあえず腹が減っているので適当に食べ物を口に入れる。
その後、後悔するほど胃がもたれる。
外には夏の太陽がまだ高いところにとどまって地上を見下ろしている。
そしてセミが騒いでいる。
日に焼けた小学生がプールのバッグを振り回し楽しそうに走っている。
不規則な生活は、いろんな所で支障をきたしていた。
好きなコーヒーを飲む回数が減った。
変わりに昼でも夜でも関係なく酒を飲むようになった。
疲れているのは病み上がりの体のせいだけではない。
最近あまり夢をみれなかった俺。昨日の夢にザックリナイフでやられた胸の傷跡を指でなぞっている。
蒸し返す暑さに傷が膿んでしまわないように気を使いながらシャツの襟を直す。
いくつかの人生の分岐点を通過して俺は今、ここに立っている。
ケイン、そっちはどうだ?
近年の異常気象は様々な所で影響を及ぼしている。
記録的な降雨量、土砂災害、富士山の早い雪解け、クラゲの大発生。
地球の病もかなり末期まで進行してまさにここ数年が峠なんだろうなと感じてしまう。
ビルの間は陽炎が揺らめき立ち、揺れた空気の中を汗だくの人達が行き交う。
ビルの中の人達はクーラーの効きすぎたオフィスでカーディガンを羽尾っている。
奇妙な光景。
そして僕もまたこの人生という奇妙で不可思議な物語の主人公である。
目的が定まらない放浪は放浪ではない。単なる浮浪。
僕はここらで小休止をいれてまた旅に出ることに決めた。
そう、フリダシに戻って一から始める事に決めたんだ。
この日はバイクに跨り出社した。
ようやく傾きかけた太陽に向かってヒマワリが揺れていた。
つづく
4
2006年、夏
夢から覚めた僕は夜勤の支度をしている。寝癖だらけの頭をなでつかして半分寝惚け眼でシャツのボタンを留めている。
鏡に写る姿は疲れている。
僕の朝食は夕方の四時。
とりあえず腹が減っているので適当に食べ物を口に入れる。
その後、後悔するほど胃がもたれる。
外には夏の太陽がまだ高いところにとどまって地上を見下ろしている。
そしてセミが騒いでいる。
日に焼けた小学生がプールのバッグを振り回し楽しそうに走っている。
不規則な生活は、いろんな所で支障をきたしていた。
好きなコーヒーを飲む回数が減った。
変わりに昼でも夜でも関係なく酒を飲むようになった。
疲れているのは病み上がりの体のせいだけではない。
最近あまり夢をみれなかった俺。昨日の夢にザックリナイフでやられた胸の傷跡を指でなぞっている。
蒸し返す暑さに傷が膿んでしまわないように気を使いながらシャツの襟を直す。
いくつかの人生の分岐点を通過して俺は今、ここに立っている。
ケイン、そっちはどうだ?
近年の異常気象は様々な所で影響を及ぼしている。
記録的な降雨量、土砂災害、富士山の早い雪解け、クラゲの大発生。
地球の病もかなり末期まで進行してまさにここ数年が峠なんだろうなと感じてしまう。
ビルの間は陽炎が揺らめき立ち、揺れた空気の中を汗だくの人達が行き交う。
ビルの中の人達はクーラーの効きすぎたオフィスでカーディガンを羽尾っている。
奇妙な光景。
そして僕もまたこの人生という奇妙で不可思議な物語の主人公である。
目的が定まらない放浪は放浪ではない。単なる浮浪。
僕はここらで小休止をいれてまた旅に出ることに決めた。
そう、フリダシに戻って一から始める事に決めたんだ。
この日はバイクに跨り出社した。
ようやく傾きかけた太陽に向かってヒマワリが揺れていた。
つづく