メディアが詐欺の応援をしている | 偕楽園血圧日記

メディアが詐欺の応援をしている

 台風一号が来るという観測だったのだが、朝起きてみたら温帯低気圧に変わっていた。
 そのおかげかあまり暑い空気が入らず、気温が低いので助かる。


 先日医者に行ったら、マイナンバーカード読み取り機の前で「暗証番号3回間違えるとロックがかかってしまうんですよ」と受け付けの人から説明を受けている人がいた。
「タイプミスしちゃった人出たかな?」と思っていたら、「ああ、手続き終わってますね」。
 操作が終わると画面には「カードを取り出してお待ちください」の表示が出るのだが、それが目に入らなかったらしい。
 う~ん。そのレベルで渋滞を起こしてしまう人もいるのか。難儀なことだな。

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「マイナ救急」実証事業23日から開始 消防庁 - 全国67の消防本部が参加

 総務省消防庁は17日、救急隊がマイナ保険証を活用して救急活動を行う実証事業を全国67の消防本部(660隊)で23日から順次開始すると発表した。カードを専用端末で読み取ることでオンライン資格確認等システムの情報を閲覧し、適切な搬送先の選定や搬送時間の短縮ができるかなどを検証する。【渕本稔】
 現行では、オンライン資格確認等システムの情報を閲覧する権限が消防機関にないため、実証事業の開始前に協力医療機関と契約を取り交わし、同システムの情報を閲覧する権限を救急隊員に付与する。
 救急搬送時には、患者の同意を得た上で(意識不明など同意を得ることが困難な場合は同意不要)、マイナ保険証を専用端末で読み取り、同システムで管理されている患者の薬剤情報や診療情報などを閲覧。搬送先の選定に役立てる。実証事業では、適切かつ迅速な救急活動を遂行できるかを検証する。
 消防庁の担当者は、「患者にとっては既往歴や薬の服用状況などを説明する負担が軽減するほか、医療機関では救急隊員から患者の正確な情報を得ることで、より適切な救急対応が可能となるので>はないか」と話している。

 消防庁では、2022年度に同様の実証実験を6つの消防本部で実施しており、マイナ保険証を活用した救急活動が可能であることを確認している。今回の実証事業では、全国の67消防本部に規模を拡大するとともに、マイナ保険証を活用した救急活動の効果的な事例を積極的に収集し、搬送時間や患者受け入れ交渉の回数についての定量的なデータの分析も行う予定だという。
 23日からは平塚市消防本部(神奈川県)、姫路市消防局(兵庫県)、都城市消防局(宮崎県)の3つが事業を開始する。続いて仙台市消防局、前橋市消防局、東京消防庁、鈴鹿市消防本部(三重県)、彦根市消防本部(滋賀県)が6月11日から、奈良県広域消防組合消防本部が7月上旬から事業を開始する予定。残りの58消防本部についても準備が整い次第、順次開始する。
 実証事業は各消防本部で2カ月間行い、年内には参加する全ての消防本部で完了させる予定だという。
 医療介護CBニュース 5/17(金) 19:25

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(2024/02/07の記事、アクセスはデジタルで)で取り上げた「緊急搬送時にマイナカードで医療情報にアクセスする」システムの実証実験が、先週から始まっている。

 同エントリーでも書いた電子カルテなどの問題解決は、進んでいるのかなぁ。
 医療介護CBニュースによると「2022年度に同様の実証実験を6つの消防本部で実施しており、マイナ保険証を活用した救急活動が可能であることを確認している」とあるから、支障が出てはいないようだが。

 で、こういう実験が行われて成果を上げている一方で、

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 マイナンバー情報、連携「不十分」 手続き4割で照会なし デジ庁に改善求める・検査院

 地方自治体が国民のマイナンバー情報を国などに照会することで、行政手続きを簡素化する事業について会計検査院が調べたところ、対象となる手続きの約4割で照会実績がなかったことが15日、分かった。
 検査院はマイナンバー情報に関する連携が不十分だと指摘し、照会システムを管理するデジタル庁に改善を主導するよう求めた。
 検査対象となったのは、国民が行政手続きを申請する際に必要な住民票や課税証明書の写しといった添付書類の提出を、マイナンバー情報を活用することで省略する事業。国は2022年度までの9年間で、マイナンバー情報の提供システムの整備運用費として計約749億円を投じ、地方自治体にも計約1400億円を交付している。
 検査院が、宮城や兵庫、福岡など11県とその全市町村を含む計451の自治体を対象に、22年度の手続きを調べたところ、1258件のうち485件(38.5%)で全く情報照会がされていなかった。
 一方、一部の自治体は積極的に情報照会をしており、照会件数自体は全国で3000万を超え過去最高だった。 
 時事通信 5/15(水) 17:10


 河野デジ相 地方自治体のマイナ照会手続きの4割がゼロで「何が支障か調査行う」

 地方自治体がマイナンバー情報を国などに照会する仕組みについて、対象となる手続きの約4割で照会実績が一度もなかったことが会計検査院の調査で判明した問題で、河野太郎デジタル相は17日の閣議後記者会見で、「具体的に何が照会の支障となっているのかなどについて調査を行う」ことを明らかにした。
 河野氏は「一部の事務手続きでは情報照会が低調となっているものがある」としつつ、情報照会をすでに利用している自治体では「国民の利便性の向上、あるいは行政運営の効率化につながったという回答が9割を占めている」と説明した。
 仕組みが活用されない理由を明確にするため、自治体や関係省庁に対し調査を行い、その上で「効果が高いと見込まれる手続きから支障を解消していく」と述べた。

 マイナンバーを使って行政手続きに必要な個人情報を行政機関の間でやりとりできる仕組みは「情報提供ネットワークシステム(NWS)」と呼ばれ、自治体がこれを利用すれば、住民が窓口で住民票の写しなどの必要書類を提出する必要がなくなり、利便性が向上する。
 一方、会計検査院が11県とその全市町村を対象に、令和4年度の手続きを調べたところ、対象の1258件中、約4割に当たる485件で全く情報照会がされていなかった。自治体がNWSを使わない理由は「業務フローの作成が未了」「書類を提出してもらった方が効率的」などが多かったという。
 産経新聞 5/17(金) 12:13

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 自治体の方は。なにをやっているのだ?

 まあこれはメディアの書き方がよくないだけで、ここで話されていることは産経の記事にある「マイナンバーを使って行政手続きに必要な個人情報を行政機関の間でやりとりできる仕組みは『情報提供ネットワークシステム(NWS)』と呼ばれ、自治体がこれを利用すれば、住民が窓口で住民票の写しなどの必要書類を提出する必要がなくなり、利便性が向上する。」というもので、そういう仕組みはマイナンバーシステム以前から「住基ネット」を使われてやられているから、いつもの「お役所仕事」でそちらをまだ使い続けているという話ではないのかとも思えるのだが。

 というか、本来の「マイナンバーとマイナカードとマイナポータル」の使い方ができていれば、その手の情報照会などは登録者本人が行うもので、自治体はいちいち申請された書類の内容など精査しなくともよくなるはずなのだが。
 まだまだ役所仕事の改革には結びついていないなぁ、「デジタル化」。
 せっかく「本人が自分で情報にアクセスできる」システムを作っているのに、(2023/03/01の記事、窓口業務を簡単にするためのものなのに(ため息))で引用した記事にあるようなことで「書かない窓口」とかやっている自治体もあるし(ため息)。


 そして自治体側がこれならば、メディアは相変わらず。

 テレビは、

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 鈴木おさむ氏「そりゃ、起きるわ」 偽造マイナカードによるスマホ乗っ取り被害「カード作るの嫌だったんですよ」

 3月末で放送作家業を引退した鈴木おさむ氏が9日、フジテレビ系「めざまし8」に出演。偽造マイナバーカードによる“スマホ乗っ取り”事件について私見を述べた。
 番組では、偽造マイナンバーカードを使ってスマートフォンの機種変更された被害について取り上げた。大阪・八尾市の松田憲幸市議がVTRで出演し、無断でチャージされた電子マネーで17万円以上使用されたほか、ショッピングローンで225万円の高級時計「ロレックス」が購入されていたことなどの被害を告白した。

 この日、コメンテーターとして番組に初出演した鈴木氏は「僕、マイナンバーカード作るの嫌だったんですよ」と切り出すと、「ただ、生活しててないといろんなところで不便になってきていて、そういう風にしてるじゃないですか」と必要にかられて渋々、マイナカードを作ったことを明かした。
 それだけに「あんな
個人情報が全部詰まってるものを作りたくないなと思ったんですけど、作らないとしょうがなくなって作ったら…。そこのセキュリティーが万全だからこんなに勧めてんじゃないの?というところでこういうことが起きるじゃないですか」と怒りをにじませた。
 最初にマイナカードを手にしたときから違和感を感じていたといい、「まず
僕、受け取りにいったときに。(カードに個人情報が)全部、書いてあると思ったんですよ」と話すと、MCの谷原章介も「しかも見えるように書いてあるじゃないですか?」と同調した。
 鈴木氏は「見えるように書いてあって、何のためのICチップなのって。普通に(クレジット)カードみたいに表に出てなくていいじゃないですか。そんなことも考えなかったのかなって思って。そりゃ、起きるわって思ったんですよね。こっからどうやって、こんなこともっと出てくるじゃないですか。どうやって防いでいくのかって思いますけど」と不信感を募らせていた。
 すると、西岡孝洋アナウンサーが気まずそうにしながら、「この流れの中でプレゼンしにくいんですけども…。『マイナンバーカードの安全性』というところ…」とボードに書かれた「マイナンバーカードの安全性」を指さすと、スタジオは笑いに包まれていた。
 デイリースポーツ 5/9(木) 10:56

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「個人情報がー」とデマを流し、トラッシュメディアは

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 偽造マイナカードで国民の「預金」があっという間に盗まれる…政府が自ら進めた「オレオレ詐欺の高度化」

簡単にスマホも乗っ取られる
 
偽造マイナンバーカード(以下・マイナカード)がからむ詐欺が続出しています。大阪府八尾市の市会議員・松田憲幸氏は、偽造マイナカードで自分のスマホを乗っ取られ、225万円のロレックスの時計を不正購入されました。
 事件が発覚したのは、4月30日のこと。仕事で外出中に、突然携帯電話が使えなくなり、おかしいと思って八尾市内のソフトバンクショップに行って聞くと、「この電話は、名古屋市内の店舗で機種変更されています」と言われました。携帯電話が、他人に乗っ取られていたのです。
(中略)
 驚いて、すぐさま携帯電話を停止。それに紐づいていたクレジットカードの利用も即刻停止しました。ですが犯人は、ショッピングサイトのIDやパスワードを悪用し、クレジットカードが不要のローンを組んで、なんと225万円もの高級時計ロレックスを買い、すでに受け取った後でした。
 東京でも、同じような被害が出ています。4月、東京都議会の風間ゆたか議員が、松田市議と同じ名古屋市内のソフトバンクショップで、偽造マイナンバーカードで機種変更され、10万円とPayPayで1000円のチャージ、2390円のタクシー代を盗まれました。風間議員は、名古屋市内のソフトバンクショップには一度も行ったことがありません。
 なぜ、これほどまでに簡単に携帯電話を機種変更ができ、チェックされずに本人になりすまして巨額の買い物ができたのでしょうか。

目視のみでの確認が危険
 
スマホ・携帯電話に詳しいジャーナリストの石川温氏はこういいます。
携帯ショップでは、通常、店頭でICカードを機械でチェックして本人確認をするようになっています。ただ、今回、ソフトバンクのお店が『目視のみ』で本人確認をしていたため、悪用されたようです。運転免許証などはきちんとコピーして保管できるのですが、マイナンバーカードの場合は、裏面は認められた者以外がコピーすることを法律で禁止しているので、目視で済ませていたのでしょう」
(中略)
 偽造されたマイナカードでネット銀行の口座を開設され、詐欺師に約1400万円を騙し取られたケースもありました。
 被害者は北海道に住む70歳の女性で、今年1月に、総務省の職員や警察官を名乗る詐欺師から「あなたの口座の個人情報が流出したようなので調査しています」という電話を受け、指示されるままにスマホのビデオ通話でマイナカードを見せました。
 詐欺師は、この画像をネットなどに取り込んだと思われ、これをもとに偽のマイナカードをつったと推測されています。その偽マイナカードで女性になりすまし、被害者女性の名義で銀行口座を開設。いっぽうで言葉巧みに女性を騙し、この口座に1400万円を振り込ませたのです。

オレオレ詐欺の高度化を助長
 
ここまではオレオレ詐欺などでよくある手口ですが、問題は、なぜわざわざマイナカードを偽造したか、ということ。
 
通常、金融機関は、高齢者のオレオレ詐欺被害などを警戒し、多額の振り込みがあるとチェックし、警告を発したり、振り込む前に阻止したりするところが多くなっています。でも、振込先が本人名義の口座なら、自分の口座から自分の口座にお金を移すということなので、金融機関には単なる資金移動にしか見えないわけです。
 そうなると、金融機関が不正な振込と認識するのは難しく、詐欺という疑いすら抱かないのでしょう。つまり、「オレオレ詐欺の高度化」にマイナカードが使われたということです

 実はマイナカードには、悪用されかねないいくつもの落とし穴が存在します。下の図は、国が「マイナンバーカードの安全性」について解説しているものです。
 これを見ると、「顔写真入りのため、対面での悪用は困難」とあり、「なりすましはできない」とはっきり書かれています。でも、今回は簡単に本人になりすまされてしまいました。しかも、カードの本人の顔写真を犯人のものに貼り替えるという、きわめてシンプルな方法です。
 もちろん、マイナカードには、ICチップがついているので、これを読み取れば、顔写真だけを貼り替えたとしても、偽カードだということは確認できるでしょう。
 しかし、マイナカード専用のカードリーダーは、役所や病院などには置かれているところが多いのですが、不特定多数の店舗や事務所にはあまり置かれていないし、専用カードリーダーのように、設置に補助金も出ません。
 このため、多くの場所では、出されたカードが本物であるという前提の上に立って、カードの顔と本人の顔を見比べて、一致していれば本人であることを確認するしかないのです。
(中略)
カードは持ち歩くな
 ちなみに、ICチップ部分には、「大切な個人情報は入っていない」とありますが、ICチップそのものに情報は入っていなくても、このICチップは個人情報に入るための鍵のようなもので、
暗証番号があればこの鍵を開けて「マイナポータル」に入ることができ、山のようにある個人情報に辿り着くことは可能です。詐欺師から見たら、個人情報の宝の山を手に入れたようなものと言っても過言ではありません。
 デジタル庁では、これを「持ち歩いて使ってください」と宣伝しています。しかし、私はよほどのことがない限り、マイナカードは持ち歩かない方がいいと思っています。
 なぜなら、うっかりカードを出して、背後からこっそり携帯電話で盗撮されたら、顔写真を張り替えるだけで、本人に成りすませる偽造カードが、簡単につくれてしまうからです。
 そうなると、マイナカードには住所が載っているので、前述の1400万円を盗られた女性のように、家にオレオレ詐欺がやってこないとも限りません。
 荻原 博子(経済ジャーナリスト)
 現代ビジネス 5/19(日) 7:48

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(2023/09/24の記事、自分で不便にしたいなら、どうぞ)で書いた「デマライター」を使って「ちょっと考えれば詭弁と分かるが脅されると思考停止してしまう」人を狙った記事を垂れ流す。

 テレビで「あんな個人情報が全部詰まってるもの」といっている鈴木氏は、カードに記録されている「個人情報」は(2022/12/26の記事、「どういうものか」も知らずに騒いでいるのか(ため息))で引用した総務省のサイトにあるようにカード表面に記載されているものしかないということを知らないのだろうか? 彼の「個人情報」というのは名前・住所。生年月日ぐらいしかない薄っぺらなものなのだろうか?
 それとも、知っていながら台本通りにデマを口にしているのか。

 現代ビジネスの荻原氏も以前はそういう「個人情報がー」を書いていたのに、「さすがにもう騙される人は減った」と感じているのか、「ICチップ確認をしない本人確認」に話をすり替えているようだが、そのレベルの「確認」ならばマイナカードでなくとも運転免許証でもされていること。

 わざわざ、

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 偽造マイナカードの見分け方 事業者向けに文書配布へ デジタル相

 河野太郎デジタル担当相は10日の閣議後記者会見で、偽造マイナンバーカードを見分ける手法などを盛り込んだ文書を民間事業者向けに速やかに出す意向を示した。偽造カードを使ったとみられる手口で、地方議員の携帯電話が乗っ取られて買い物をされるなどの被害が起きていることを受けた措置。
 河野氏は「カードの右上の(キャラクターの)マイナちゃんがパールインキで印刷されているので、券面を印刷しただけの偽造カードは本来見分けることができる。チェックポイントをもう一度き>っちり説明する文書を発出する」と述べた。
(後略)
 毎日新聞 5/10(金) 13:05

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 こんな面倒くさい印刷がされているカードよりも、以前からやられている分その方が「楽」だろう。

 週刊現代が書いているような詐欺は、マイナンバーカードでなくともされていた。
 以前は「写真のない」保険証でもされていたから、docomoなどが「紙の保険証は本人確認手段としない」とするようになったわけで。
 大げさに取り上げられている「携帯乗っ取り」で「運転免許証などはきちんとコピーして保管できるのですが、マイナンバーカードの場合は、裏面は認められた者以外がコピーすることを法律で禁止しているので、目視で済ませていた」というのは単にショップがきちんとチェックしなかったという話でしかない。
、携帯電話販売店なのだから、目の前でマイナポータルを確認させればすむ話なのにそれをしなかったということが問題で、「実はマイナカードには、悪用されかねないいくつもの落とし穴が存在します」というのはそういうミスの方を「当たり前」としてカードの方に問題ありとするすり替えである。

 馬鹿馬鹿しい。なにが「うっかりカードを出して、背後からこっそり携帯電話で盗撮されたら、顔写真を張り替えるだけで、本人に成りすませる偽造カードが、簡単につくれてしまうからです」だ。確認している時にそんな不審な動きをする人間がいて、店の人間に気づかれないと思っているのだろうか?
「オレオレ詐欺の高度化」という意味不明の話をし、それで「偽造マイナカードで国民の『預金』があっという間に盗まれる」だと。
「運転免許偽造」より「マイナンバーカード偽造」の方を「高度化」と表現するあたり、彼らもマイナカードの方が個人証明レベルが「高度だと自覚している」ということをばらしているのだから世話はない。


 デマ妄想もたいがいにしろ!(怒)


 本日の衣。

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 聖徳太子がまとった日本最古のけさ再現 「令和の糞掃衣」披露 神戸・須磨寺、専門家の協力得て


(写真、神戸新聞NEXTより。再現された糞掃衣をまとう須磨寺の小池陽人寺務長=神戸市須磨区須磨寺町4)

 聖徳太子がまとったとされる日本最古のけさを再現した衣のお披露目式が25日、神戸市須磨区須磨寺町4の須磨寺であった。「糞掃衣(ふんぞうえ)」と呼ばれるけさで、専門家の協力を得て実物に忠実な復元を目指し、のべ約千人の参拝者が祈りを込めて縫い合わせた。同寺の本堂で営まれた法要で完成を祝った。(長沢伸一)
 糞掃衣は本来は捨てられるような布の端切れを洗い、重ね合わせて縫う。聖徳太子がまとったとされる衣は麻製で、横2メートル66センチ、縦1メートル43センチ。東京国立博物館に所蔵さているが、欠損している箇所も多い。
 復元は般若寺(山口県)の住職だった福嶋弘昭さんが計画していたが、昨年1月に急逝。親交があった須磨寺の小池陽人寺務長(37)が、恩返しにと引き継いだ。
 昨年7月から「令和の糞掃衣プロジェクト」がスタート。奈良国立博物館の主任研究員と大阪のアパレル・繊維メーカーが監修し、布には須磨寺のサクラ、高野山のスギやヒノキの倒木や剪定(せんてい)の際に出た端材から作った「樹木布」を採用した。けさを頭からまとった僧侶の姿(3カ所)も最古のけさと同じ場所に再現した。
 参拝者に縫い合わせへの参加を呼びかけ、約千人が子どもの健康などの願いを込めて針を通した。
 お披露目式にはバイオリンや琴の奉納演奏もあり、約200人が参列。厳かな雰囲気の中、小池さんが糞掃衣を身にまとった。法要後には、小池さんの呼びかけで多くの参拝者が衣に触れた。
 衣は須磨寺で保管し、音楽法要祭や法話会などの際に着用するという。小池さんは「糞掃衣を通してたくさんのご縁が生まれた。思いを受け止めながら祈り続けていきたい」と心を込めた。
 神戸新聞NEXT 2024/05/29 10:30

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 聖徳太子は出家していないはずだが、袈裟など纏ったのかなぁ。
 そういう「制度」が確立したのは空海以降の平安期で、奈良時代はまだそのあたりは「おおざっぱ」だったのだろうか。

本来は捨てられるような布の端切れを洗い、重ね合わせて縫う」というあたりはずいぶん質素で、後世「絹の袈裟を着ることができるのは我が宗派のみ!」といって宗派間で悶着が起きた時代とはずいぶん違う。
 今は「わび・さび」といわれているような寺でも、昔は結構きらびやかで、ただ時代が経って色あせているだけというのもあるし。
 どこから「派手派手路線」は始まったのかなぁ。