自分で不便にしたいなら、どうぞ | 偕楽園血圧日記

自分で不便にしたいなら、どうぞ

 ほんの三日前まで暑さで死んでいたというのに、今朝は肌寒いぐらいの気温になった。
 令和ちゃん……(ため息)


 さて、

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 希望せず保険証登録、計38件に マイナカード交付で、既に解除

 厚生労働省は22日、マイナンバーカード交付などの際に、本人が希望していないのに健康保険証の機能を登録された事例が新たに27件あり、これまで見つかっていた11件と合わせて38件になったと発表した。既に登録を解除した。
 政府のカード普及策「マイナポイント」を巡り、住民の手続きを支援するための自治体窓口などで、本人の意思確認が不十分だったことが原因という。ポイントは、カード新規取得のほか、カードに保険証機能を持たせた「マイナ保険証」の利用申し込みも付与の対象。
 今回誤登録があった27件は、札幌市や東京都三鷹市、大阪府枚方市など19都道府県の27市町で、それぞれ1件ずつあった。
 共同通信 9/22(金) 16:44

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 まだこんなことで騒いでいるメディアがあるのだなぁ。いいかげんにマイナンバーシステムの勉強ぐらいすればいいのに。

 六月から七月末ごろには拙ブログでも何度かマイナンバーカードに関するエントリーを上げたが、いいかげん「ブーム」は去ったと思っていた。
 
 あの頃は、

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 荻原氏は続ける。
「マイナ保険証を継続的に利用するには、5年に一度、原則として役所で更新手続きをしなければなりません。これを忘れてしまうと、保険料を支払っていたとしても一時的に無保険者と同じ扱いになってしまうのです。
 つまり、この状態で病院に治療を受けに行くと、保険が効かず患者の10割負担となってしまう。大きな病気や大けがをしたときに、莫大な医療費を支払えないという人が出てきます」
 たとえばうっ血性の心不全で倒れた場合、治療を受けると2000万円以上の医療費がかかる場合がある。健康保険に加入していれば負担額を3割以下に抑えられるし、高額療養費制度を使えば一定以上の金額は支払わなくともよい。これが「日本の医療制度は世界最高レベル」と言われるゆえんだ。
 ところが、マイナ保険証の更新を忘れて無保険状態になっていると、一時的にこの数千万円もの治療費を請求されかねないのだ。大半の人の生活は一瞬で破綻する。
「更新忘れなどしない」と思うかもしれないが、従来の健康保険証と比較すればそのリスクの高さに気づくはずだ。

「週刊現代」2023年5月27日号より
 現代ビジネス 5/25(木) 7:04配信「『マイナ保険証』のせいで、医療費が『全額自腹』になりかねない怖すぎる理由」より

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「保団連」という共産党幹部を講演に招くような医師団体が「無保険になった!」と騒いだことに便乗した週刊現代が、荻原博子という人間を出してデマ拡散キャンペーンを大々的に繰り広げていた。
 同氏はやがて新潮やプレジデントといった雑誌でも同じような「マイナ保険証で医療制度が崩壊する!」とノストラダムスもはだしで逃げ足すような脅し文句を並べるようになったが、上のようなことを言っている時点で「マイナ保険証」のシステムがまるで理解できていない。

 何度も書いているように、マイナンバーカードというのは本人確認証でしかないのだ。
 マイナンバーカードに保険証を統合しても、保険証番号が無くなるわけではない。カードはその保険証を持参しているのが券面記名の本人であるという証明をするだけ。
 だからたとえマイナンバーカードが使えなくても「無保険」になるわけではない。

 まったく。こんなデマに騙されて、何か月か前には「カード返納」に走る人が出てきて、マスメディアが、

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 山形でマイナカード自主返納相次ぐ…吉村知事「メリットや利便性の周知が大事」

 トラブルが相次いでいるマイナンバーカードについて、山形県の吉村知事は14日の定例記者会見で、4月1日から7月11日までに、県内19市町村で計59枚の自主返納があったと明らかにした。
 吉村知事は、マイナンバー制度について「行政サービスの機能向上や国民の利便性を高める上で重要な基盤となるものだ」と意義を強調。自主返納が相次ぐ現状について、「県民にとってのメ>リットや利便性など、良さをもっと周知していくことが大事だ。それが普及や不安の払拭(ふっしょく)につながる」と述べた。
 マイナカードの県内の保有枚数は77万2321枚で、人口に対する保有枚数率は73・1%(6月末時点)。
 読売新聞オンライン 7/18(火) 7:57

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「77万2321枚」のうちの「59枚」を大々的に取り上げて記事にしていたが、「カードはただの本人証明」ということを知っていて、「マイナンバーシステムの運用は別」だと理解できていれば、こんな行為になんの意味もない、それどころか自分で自分のデータチェックができないので不便になるだけだとわかるはずなのだが。
「政府に反抗してやった」で有頂天になるような人間が煽られているのだろうなぁ。


 上の読売の記事でもそうだし、NHKニュースなどでもとにかく「トラブル続き」という枕詞がつけられて報道されたのでそう刷り込まれている人も多いだろうが、たとえば「保険証の紐づけ」で起きている、

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 協会けんぽ、40万人分のマイナひも付け作業遅れ…氏名や住所が一致せず

 中小企業の従業員らが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)で、約4000万人の加入者のうち、資格情報とマイナンバーのひも付け作業が完了していない人が、今年3月末時点で約40万人いることが分かった。協会けんぽによると、住民基本台帳の情報照会で氏名や住所などが一致せず、マイナンバーを特定できないことが主な原因という。
 ひも付け作業がされていない人が、マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」を取得しても、医療機関の窓口で利用できないおそれがある。
 厚生労働省は「同様の事例は他でも発生している可能性がある」として、改善策を検討している。
 読売新聞オンライン 8/16(水) 18:09

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 この問題、きちんと読めば問題を起こしているのは協会けんぽの方で、管理組合が加入者の住所氏名をきちんと把握していないというとんでもない状態になっていたということをマイナンバーシステムが「炙り出してくれた」のだということが分かるだろう。

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 公金口座、家族名義13万件 別人への誤登録748件 マイナひも付け・河野デジタル相

 マイナンバーとひも付けて国や自治体からの給付金の振込先とする「公金受取口座」で、本人以外の口座を登録する問題が相次いだことを受け、河野太郎デジタル相は7日、臨時記者会見を開き、総点検結果を公表した。
 それによると、家族名義とみられる口座を登録するケースが約13万件確認された。誤って別人の口座を公金受取口座として登録した可能性が高いものは748件に上った。
 河野氏によると、約13万件の中には同居家族に加え、同居人、別居している家族の口座を登録したと思われるケースもあった。デジタル庁はマイナンバーカードの個人向けサイト「マイナポータル」を通じて本人の口座に登録し直すよう通知する。
(後略)
 時事通信 6/7(水) 16:32

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 この事例でも、誤登録の数からどう考えても役所の窓口でのミスではなく、本人が意識的に自分名義以外の口座をマイナポータルで登録したのだと推察できるはず。つまり「トラブルを起こしているのは本人」ということ。

 この口座登録ではNHKニュースでも鬼の首を捕ったかのように「戸籍などは漢字で書かれていて読み方は明記されておらず、一方銀行などの講座はカタカナのものになっているので照合ができない」といっていたが、だから番号で本人確認をしようというのがマイナンバーシステムではないか。
 そしてその一番初めのデータ登録は、どうしても人間が手入力をすることになる。
 したり顔で「電子化など機械で読み取って」という者も当時ヤフコメに山と出たが、そういう人間はデータに有力の作業というものをしたことがないのだろう。
 私が昔勤めていた職場で一か月分の入力データがクラッシュしてしまったことがあり、バックアップもなかったので一週間かけて伝票から再入力をしたことがあった。どれだけ他の業務に支障が出たことか。
 どこかの記事のコメントでこの保険協会の仕事を「三日で六千件入力とは、なんとデスマーチ」と書いているものもあったが、きっと社保庁職員のような身分の人間なのだろうなと思う。
 そんな程度の入力数でいいのならば、片手間のアルバイトでやってやるけどな(苦笑)。


 それはともかく、マイナンバーというのはすでに全国民に振られていて、システム上で本人の名前と同等に扱われている。
 一方、保健組合などは自分たちの個別の番号を持っていて、それを使っている。
 その番号が本人のものであることを区分するためにマイナンバーを使う。税務署や銀行口座も同じ。
 口座を登録したからといって口座番号がマイナンバーになどなったりしていないだろう? そういうことである。

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個人番号が外部に漏れないように、職場では利用状況を記録して厳しく管理しているにも関わらず、マイナカードの利用が促進されると、本人があっちこっちで使用し、どこで個人番号が漏れたか判らなくなる。

ゆうちょ銀行の「ゆうちょ認証アプリ」は、マイナカードや運転免許証の暗証番号まで入力させ、容貌撮影を登録させているが、この情報は『本人確認書類のICチップから読み取った情報と、撮影した容貌画像は、本人認証サービスを提供する株式会社Liquidに第三者提供』としている。

このことで、少なくとも【ゆうちょ銀行】や【株式会社Liquid】は、マイナンバーを管理するサーバーに接続できるということが判る。

最早、個人番号は漏れてしまうのであり、それに伴い個人情報も流出するということであろう。

許せない!

 産経新聞6/27(火) 19:25配信「マイナカードのコンビニ利用推進 デジ庁が協定締結」コメント欄より

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 こんなことを書いて興奮しているヤフーコメントもあるが、カードはあくまでカード記載情報で個人確認をするもので、「マイナンバーを管理するサーバーに接続」などしない。ゆうちょ銀行は本人確認をした上で自分がもっているデータを使うのである。

 上で名前を出した萩原博子氏などが盛んに「マイナンバーカードに情報集約」というデマを流しまくったおかげで、カードにカルテ情報が書き込まれると思っている人もいるし、「日本はもう韓国にかなわない」式の記事を連発していたのに韓国経済が失速してしまい立つ瀬がなくなってしまった人間なども、

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 マイナンバーカードは任意の制度であるのに、政府がそれを今、事実上強制的なものとしようとしている。これが問題の根幹だ。これはまったく正当化できないことである。
(中略)
私は取得を強制された……
 最後に、私自身の状況を述べておこう。私は、制度が発足した直後(2016年)に取得した。なぜかと言えば、私の場合はマイナンバーカードの取得を事実上、強制されているからだ。
 出版社や新聞社などに寄稿して原稿料を得たり、著書を出版した場合、印税収入を受けたりするためには、出版社や新聞社などにマイナンバーカードのコピーを提出することを求められる。こ>のため、どうしてもマイナンバーカードを取得しなければならないのだ。
 一昨年に更新時期がきた。コロナ感染下で窓口に行くのは気が進まなかったが、迷った挙句更新をした。したがって後少しは大丈夫だ。しかし、その後の更新を考えると気が重い。
執筆:野口 悠紀雄

 ビジネス+IT 7/17(月) 7:00配信「私は強制された……マイナカードで問題続出、それでも政府が強行する「おかしな現状」」より

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「任意なのに強制された!」と喚いて「政府に反抗する俺かっこいい」側の人間を煽ろうとしていたが、納税のために必要なのはマイナンバーである。だから私はマイナンバーカードを取得していない時には「通知カード」やナンバー入り住民票を使っていた。
 野口氏にカードを出せといったのはその出版社が勝手に定めたもので、通知カードなどでナンバーが分かるのならばそれでもいいのだ。今は。
 そんなこともわからない出版社の経理部があるとも思えないが、こんな文でいまだにヤフコメに出てくる「任意なのに」「任意なのに」という人間を釣ろうとしているのだから呆れてしまう。

 そんな「釣り師」に釣られた中には、


https://twitter.com/hosakanobuto/status/1705353066881667514

 自治体の首長までが名を連ねているのだからもうめちゃくちゃ。カードを普及させて自分たち役所の窓口業務の負担軽減を図るべき首長が「政府に反抗する俺」に酔っているのだから話にならない。

「医師は必要としない」?
 まあ、(2023/03/01の記事、窓口業務を簡単にするためのものなのに(ため息))で訴えを起こしたような者たちもいるが、医師は基本的に自分で医療事務はしないからね。
 だが医院の経営者でもある医師たちには、(2023/07/30の記事、素性を隠して医者に行く理由は……?)で生地を引用した「カルテの電子化とオンライン共有」に、マイナンバーカードの電子照明システムを組み合わせて、

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 マイナカードが共通診察券 幡多医師会、システム開発へ


(写真、朝日新聞デジタルより。医療情報共有システム「はたまるねっと」について説明するパシフィックメディカルの佐藤忠也・地域医療連携推進室長=2023年9月21日、宿毛市役所、羽賀和紀氏撮影)

 高知県西南部の幡多医療圏6市町村の22医療機関で、マイナンバーカードを共通の「診察券」として利用するシステムを開発すると、幡多医師会(四万十市)が21日発表した。これまで使っていた診察券は不要になる。開発費1億417万円は全額を国のデジタル田園都市国家構想交付金で賄うという。
 電子カルテや投薬歴などの情報を共有する医療情報共有システム「はたまるねっと」と連携し、来年2月から実施する。

「はたまる」は幡多地区で2018年から運用しており、入退院や転院搬送時など複数の医療機関で情報を共有でき、より正確な診察や調剤ができるようになったという。現在6市町村の医療機関や薬局、介護施設など108の施設が参加している。マイナカードでの診察券の代用には「はたまる」への登録が必要。
 また、南海トラフ地震などの災害で医療機関が被災した場合でも診察などのデータがクラウドに残るため、被災後の迅速な医療再開につながると期待されている。
 奥谷陽一会長は「高齢化が進み、複数の病院に通う人が増えるなか、医療情報の共有化でより正確な診断ができるようになった。今後は何枚もの診察券を持つことでの管理の手間や紛失の恐れを減らすため、マイナカードだけで診察ができるシステムが必要と考えた」と狙いを語った。
 システムは、医療用システム開発会社「パシフィックメディカル」(宿毛市)が担当する。幡多医療圏は県立幡多けんみん病院(同)を中核病院とし、四万十、宿毛、土佐清水の各市と、大月、三原、黒潮の各町村で構成している。(羽賀和紀)
 朝日新聞デジタル 9/22(金) 10:15

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 こんなシステムを運用しようとしている者もいる。

 うん。そもそも診察券というのがなんのためにあるのかよくわからないものだから、マイナンバーカードで本人が確認できるのならばこれほど便利なことはない。


https://twitter.com/Hiromi19611/status/1686712511578460160

 こちらで紹介されているような医師と比べて、どちらが社会のためになる人物だろうね。


 本日の遺物。

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 ペリー艦隊からもらったシチュー鍋展示 停泊中に水や食料運び


(写真、毎日新聞より。シチュー鍋を持つ宮井新一さん=神奈川県横須賀市で2023年9月22日午後1時51分、橋本利昭氏撮影)

 170年前の幕末、黒船のペリーが残したとされる鉄製シチュー鍋が、開国の地・浦賀(神奈川県横須賀市)で23日から始まる観光事業「MEGURU Project(メグル プロジェクト)2023」(同市主催)で展示される。
 鍋は口の部分が34センチ~43センチの楕円(だえん)形で、深さ24センチ。取っ手が付いており、底の部分に米東部ペンシルベニア州フィラデルフィアと見られる「PHILA」の文字が刻まれている。
 提供したのは、地元の郷土史家、宮井新一さん(78)。1853年、ペリーが来航した当時、回船問屋をしていた5代前の清左衛門さんが、浦賀沖に停泊中の黒船に小舟で何度も水や食料を運んだ。
 宮井さんによると、その際、ペリー艦隊からの金銭の支払いを断り、「腐らないもの」として長期航海で使用されたシチュー鍋をもらい、宮井家で代々家宝として受け継がれている。宮井さんは「戦中の金属供出からも守り抜いた。鍋を見てペリーが来たころに思いをはせてほしい」と話す。
 プロジェクトは、国内初の本格的なレンガドック「浦賀ドック」などで23、24、30、10月1日、7、8、9日の7日間開催され、幕末ショーやジャズライブ、ガイドツアー、浦賀沖クルーズなどが行われる。入場無料。一部有料あり。【橋本利昭】
 毎日新聞 9/22(金) 18:47

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 そんなものがよく残っていたなぁ。宮井さんグッジョブだ。

 この大きさでは全乗員分を作ることはできないだろうから、士官用鍋だろうか?
 なんのシチューが作られていたのだろう?
 大航海時代と違って動力船もあったペリー艦隊ならば、干し肉しか食べられないということもないだろうし。

 鍋を再現して、それを使ったシチューを横須賀名物として売り出したら、面白いと思うぞ。