27日、協栄ジムに12人目の世界チャンピオンが誕生した。WBC世界Sフライ級王者スリヤン・ソールンビサイ(タイ)に、日本期待の佐藤洋太(協栄)選手が世界初挑戦。満員の後楽園ホールは、期待と不安が交錯しあう独特のムードに包まれていた。
4月5日に世界王座獲得50周年記念パーティーを控える、元2階級制覇王者、そして日本人選手としてただ一人ボクシングの殿堂入りを果たしているファイティング原田氏。
協栄ジムOB。不滅の13回連続記録を持ち、現在は売れっ子タレントとして活躍する具志堅用高氏も、厳しい視線をリングに投げつける。
「大竹君、今日はいける!」
そして、いよいよ選手が入場がコールされる。
まず青コーナー側から挑戦者の佐藤選手が登場。
赤コーナーからは王者スリヤンが入場。
タイ国国歌うを聞き終えると、気合の雄たけびを上げた。
静かに日本国国歌”君が代”を聞く挑戦者。
夢に見た世界挑戦の日がついにやってきた。
両選手を紹介する富樫リングアナも、いつにまして気合が入っている。
リングサイドTV放送席には、佐藤選手が協栄ジム入りを決めたきっかけとなった元WBA世界Sバンタム級王者佐藤 修 氏と、この日のためにダイエットした元WBA世界フライ級王者坂田健史氏が陣取る。
さあ、試合開始ゴングが鳴った。
チャンピオンは低い姿勢から左を突き上げる。
初回は挑戦者が長いジャブとフットワークで距離を支配。幸先よい立ち上がり。
しかし、ファースト・ラウンドからジャッジの見方は割れている。
新井トレーナーが必死のアドバイスを送る。
2回も佐藤選手のジャブが良い。
スリヤンは懇親の力をこめた左フックを振り回すが、これは空振りが目立った。
第3ラウンドも挑戦者のジャブは冴えた。
大阪から観戦にやってきた名城信男選手擁する六島ジム・枝川会長。
この試合が決まるとすぐに、佐藤選手の勝利を予想していた。
そして、出てくるスリヤンの出鼻へ佐藤選手の右が火を噴いた。
チャンピオン、ダウン。
すぐに立ち上がった王者はエイトカウントを聞いた。
ダメージはないか?
「いや、効いてますよ」
再開後、再びカウンターの右で王者は崩れ落ちた。
スリヤン2度目のダウン。
しかし立ち上がる。そして、この回終了ゴングが鳴った。
第4ラウンド。まだダメージを感じさせたスリヤンだが、挑戦者は無理追いをせず自分の距離をキープ。
しかし、王者も反撃の姿勢を見せる。
4回終了時のスコアは、38-36、40-34、40-34と2者が佐藤選手のフルマーク。
「今日のジャッジはアウトボクシングにポイントをくれるから、足使って距離キープで」(大竹マネジャー)
第5ラウンド。回復の早いスリヤンはポイント挽回に出る。
挑戦者も左ボディで王者のスタミナを奪う作戦。
だが、この回はジャッジ全員がスリヤンのラウンド。
「さすがに盛り返してきましたね」
挑戦者圧倒的リードの中、試合は中盤戦へさしかかった。 = 続 く =
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