井岡一翔vs世界10位・4戦目世界挑戦!? | BOXING MASTER first 2006-2023

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輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

日本ミニマム級8位井岡一翔(井岡)選手が、3戦目で背回覧カーと対戦。12月29日大阪府立体育館で世界タイトル挑戦経験もあるWBC世界L フライ級10位国重 隆 (大阪帝拳)選手に挑む。高校6冠王者は今年4月プロデビュー。7月の2戦目にはベテラン日本ランカーを下し、ランキング入りを果たしている。2戦2KO勝ち。


井岡、3戦目で世界10位と対戦(読売新聞)


一方の国重選手は、昨年6月メキシコでエドガル・ソーサの持つWBC世界Lフライ級王座に挑戦 するも8回TKO負け。嘉陽宗嗣(白井・具志堅S)選手の持つ日本タイトル挑戦は、2連続負傷引き分けで載冠ならず。今月12日、嘉陽選手を破り新日本王者となった宮崎 亮 選手は井岡ジム所属。


新王者はチャンピオン・カーニバルで最強後楽園優勝者・滝澤 卓 (タキザワ)選手の挑戦を受ける。黙っていては日本王座挑戦のチャンスが回ってくるまでに時間を要する国重選手。来年は34歳になる。話題の新鋭の挑戦を受ける背景には、日本タイトル挑戦への想いがあるのだろう。


サウスポー国重選手は、20勝(2KO)3敗2分。攻撃力はさほどないが、相手のボクシングを殺し、自分のペースに持ち込むのがうまい混戦得意型。粘っこくて、スタミナもあるやりにくい選手である。この試合は10回戦。井岡選手はそのスタミナ、耐久力が試される。


98年5月、アマ全日本選手権準Vの実績を持つ石原英康(松田)選手は、デビュー6回戦でいきなり日本フライ級王者スズキ・カバト(新日本大阪)選手と対戦。辛くも判定で勝利し、世界ランキングにも名を連ねた。勢いをかって3戦目で、時の王者セレス小林(国際)選手に挑戦するも、7回逆転のTKO負け。勝負を分けたのは、体と心のスタミナ。後の世界タイトル戦も惜しい試合を落とし、ついに世界には届かなかった。


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1974年9月、ローマへ飛んだ日本Sライト級王者ライオン古山(笹崎)選手は、王者ブルーノ・アルカリ(伊)の突然の引退により空位となったWBC世界Sライト級王座をぺリコ・フェルナンデス(伊)と争った。欧州スタイルのディフェンスもポイントになるという採点スタイルで、手数、パワーで圧倒していた古山選手は判定負け。「これではあんまりです。古山君がかわいそうだ」と、解説の小林 弘 氏は泣いた。


試合内容が考慮され古山選手のランキングは2位から動かない。少し待てばチャンスは訪れる。そんな矢先に舞い込んだのがタイ遠征の話。口利きは比国の実力者ロッペ・サリエル・プロモーター。


「フルヤマが勝てば、世界挑戦の機会を作る。もし、負けた場合でもセンサクが世界王者になれば、フルヤマを挑戦者に選ぼう」


「損はないと思って」。古山選手陣営は、バンコクへ乗り込むことを決めた。対戦相手センサク・ムアンスリンは、元ムエタイ王者から国際式デビュー2戦目。「負けるわけがない」と、考えるのも当然だ。


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センサク・ムアンスリン。 

 

ムエタイスターの国際式での成功を疑わないサリエル氏は、そのデビュー戦から大きな勝負に出た。33戦無敗のジミー・ヒアー(米)を大番狂わせで破り、一躍世界ライト級2位にランクされていたルディ・バロ(比)をバンコクへ連れてくることに成功する。74年11月。期待に応えるようにセンサクは、バロをわずか56秒でキャンバスへ沈め緒戦を飾った。


「ムエタイ王者といっても、たかが2戦目」


75年2月。試合は、ほぼ互角で進んでいた。古山選手はタフでパンチもある。しかし、手数が少ないのが玉に傷である。そして迎えた7回。センサクが連打をまとめる。と、試合は突然ストップ。世界2位古山選手は、唐突にストップ負けを宣告される。


”世界2位古山TKO負け。世界挑戦白紙に!”。


デビューから連続して世界2位を破ったセンサクは、75年7月15日3戦目でフェルナンデスを8回TKOに降し世界の王座に就いた。国際式デビューから僅か8ヶ月の快挙である。


一方の古山選手は、4月再度世界への足がかりをつかむべく豪州へ遠征する。強豪ヘクター・トムソンと対戦するも、判定負け。海外リングで痛い連敗。8月にはバトルホーク風間(石丸→奈良池田)選手とこの年2度目の引き分け。世界への夢は完全に立たれと思われた。


しかし、ここで「センサクが世界王者になったらフルヤマの挑戦を受けよう」と言ったサリエル氏との約束が活きてくる。しかも、試合地は東京。3度目にして地元で世界挑戦。センサクとの初戦は負けたと思っていない古山選手は、仲の良いガッツ石松選手の激励を受け張り切った。センサクは初防衛戦である。


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センサクvs古山Ⅱ。


76年1月東京。遠回りをした挑戦者は勇躍世界戦リングへ登場したが、すっかり自身をつけた世界王者の前になすすべもなく敗れる。終盤戦は立っているのが不思議なくらいな展開。毎ラウンドうがいの水を飲む王者の腹は、ダブダブに膨れ上がっていた。


どちらが勝ってもタイトルはサリエル氏の手中である。実に見事なマッチメイクぶり。アジア諸国をまたにかけ活躍したサリエル氏は、先見の妙があった。日本にはなかなか出ないスタイルである。


井岡会長。宮崎選手の日本王座挑戦権獲得は、東京で嘉陽選手の同僚斉藤伸之助と戦って勝ち得た。敵地東京で敗れればランキングは奪われる。だが、勝てば王座挑戦のチャンスが舞い込む。万が一敗れても一翔選手もいる。具志堅会長は時に大胆だが、なかなか用心深い。よくまとまったと思います。


一翔vs国重戦といい、プロモーター井岡会長の今後に注目。一翔選手4戦目の世界挑戦はなるのか。かなりしょっぱい国重選手。注目の一戦です。


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