「そうですねェ。オリンピック出てますからねェ」
現在、石橋ジムで選手指導にあたっている 東 悟 氏が、選手を引率し、協栄ジムに出稽古へやって来た。
「いいヤツだよ、東って」
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東 悟 (ひがし さとる)。高校時代を金子ジムで過ごした男は、日大進学後、アマ時代全日本選手権5連覇。ロサンゼルス、ソウルとオリンピック連続出場。同級生平仲明信選手を頼りに、沖縄(現・琉球)ジムからプロ入りした時は既に29歳。
89年11月、デビュー戦こそ判定勝ちにとどまったものの以後6連続KO勝ち。アマ時代から群を抜いていたそのパンチ力は、プロの世界でも十分通用した。7戦全勝6KOの記録を引っさげ、7-3で東有利の声の中、古城賢一朗(ヨネクラ)選手との日本Sフェザー級王座決定戦に挑むも判定負け。
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古城vs東
東選手のプロキャリアはここで途絶える。だが、間もなく34歳の誕生日を迎えようとしていた97年4月、カムバック。日本ランカー塚本安宣(西遠)選手を判定に破った勝利で日本ライト級6位にランクインする。
そして、彼はこの4年ぶりの勝利で、なかなか挑戦者が見つからない日本王者リック吉村(石川)選手へ挑戦のチャンスを掴む。
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技巧派vsファイター。吉村選手は上手い。距離を測り時折振るう猛烈な挑戦者の左右フックは、10ラウンドを通じ空を切り続けた。4年間のブランク後の一つの勝利で、吉村選手に挑まねばならなかったのは不運。いや、ボクサーとしての貴重な時間をプロ入り問題で消費されていた彼にとっては、やって来たチャンスを見送るわけにはいかないだろう。
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リック吉村vs東
「これが俺の力。諦めがついた。これが精一杯。引退です」
東選手はまたもリングから離れた。今度こそは、本当に引退だ。
だが、彼はまたもやリングに帰ってくる。99年7月、20ヶ月ぶりの再起戦は、日本Sライト級1位前田宏行(角海老宝石)選手との10回戦。勝てば一気にランク上位進出がかなえられる。東選手は、”古豪”といわれる立場に立たされていた。
タフなパンチャー同士の対戦。2回のピンチを逃れた元オリンピアンは、以後自慢の強打を振るい、元王者を大いに脅かす。
★東洋太平洋Lフライ級暫定王座決定戦・7月16日(木)後楽園ホール
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前田vs東
「左は普通の人の右ストレート。右は並みの選手なら倒れてる」
「恐るべし精神力。怖さを感じた」
試合は2回に前田選手のパンチでカットした左目上の傷が続行不能の診断を下され7回でストップ。元王者の7回TKO勝ち。「もう回りに迷惑をかけられない」とし、またもや引退宣言の東選手。間もなく36歳になろうとしていた。
沖縄ジム仲井真重次会長は元協栄ジム選手。協栄ジム時代は、私もミットを持ってもらった事がある。大竹マネジャーとも旧知の間柄だ。
「東のマッチメーク、俺がやって来たんだよなァ」
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遅れてやってきたオリンピアンは、リスクよりもハイリターンを狙うマッチメークを希望した。引退したはずの東選手だったが、定年37歳まで後1ヶ月と迫った00年6月19日、協栄ジムのウェルター級ランカー中野吉郎選手との、本当のラストマッチが組まれる。
試合開始早々から東選手自慢のパンチが火を噴く。キャリア最重量の66.5キロ。パワー十分の右ストレートが襲うと、たまらずダウンの中野選手。最後は立ったまま失神したかのような戦慄のKO劇。初回僅か102秒。8年振りのTKO勝利は、あまりに見事。強いという印象。
★東洋太平洋Lフライ級暫定王座決定戦・7月16日(木)後楽園ホール
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中野vs東
「あれで引退ですか?」
「仕方ないよルールだから。もったいないなァ」
翌日発表された日本ランキング。ウェルター級5位に東選手の名があった。しかし、これが最後だ。彼は、もうリングで戦う事は許されない。右ストレートの感触を拳に残し、無念の引退。
一方、あっけなく初回KO負けを喫した中野選手には休養指令。だが、思わぬチャンスが転がり込む。チャンピオン加山利治(ワタナベ)選手からお呼びがかかったのだ。8位に落ちていたランキングは東選手の引退で、一つ繰り上がり7位。
「思い出ですよ(渡辺)会長。オリンピック精神!」(~~)
正直、難しいと見ていた。前戦のOPBF王座決定戦ではよもやの敗北を喫していたがこれが初黒星。日本タイトル5度防衛の安定王者は、有名女優とも浮名を流すカッコいいチャンピオン。右ストレートは強い。
「勝ったよ、中野!」
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中野吉郎選手
驚いた。大番狂わせだ。初回KO負け後の日本タイトル奪取。ラッキーパンチではない。10回フルに戦っての明白な判定勝ち。大竹マネジャーの声も底抜けに明るい。
「東君、どう思いますかねェ」
「かわいそうだな、東」
猛烈ファイター東氏の、今後の活躍を願うばかりです。
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