榎洋之・WBA世界フェザー級・歴史への挑戦! | BOXING MASTER first 2006-2023

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輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

いよいよ期待の 榎 洋之(角海老宝石)選手が世界に挑む。WBA世界フェザー級王者クリス・ジョン(インドネシア)との無敗対決。関係者によると大変調子が良いという榎選手。先のWBC世界フェザー級戦で、王者を窮地に追い込んだ栗生隆寛(帝拳)選手の活躍も刺激になっているだろう。

”勝負のカギは左ジャブ”

ジャブ起点に攻めたい榎=24日にWBAフェザー級タイトル戦(時事通信)

王者の10度目の防衛阻止は、WBA世界フェザー級王座歴史への挑戦ともなる。過去、日本人選手で同王座を獲得しているのは西城正三(協栄)選手のみである。


ハートの強さで、日本人海外初の世界王者となった西城選手。

昭和46年(1971年)2月28日、フランキー・クロフォード(米)に勝利し5度目の防衛に成功したのが、WBA世界フェザー級タイトルマッチにおける日本人選手最後の勝利である。

同年9月2日、アントニオ・ゴメスの手によりベネズエラに強奪されたチャンピオンベルトは、日本人選手の手に帰って来るのだろうか?

とてつもなく強いといわれたゴメスは、1度防衛したきりであっけなくエルネスト・マルセル(パナマ)に王座を明け渡す。マルセルは、WBC王者柴田国明(ヨネクラ)選手挑戦で分のある引分け。キャリア僅か15戦の根本重光(草加有沢)選手は、キャリアを積む為パナマへ乗り込みマルセルに挑戦したが、歯が立たず9回KO負け。


マルセルvs根本。

マルセルは5度王座を防衛した後、不敗のまま引退。空位になった王座はロスで歌川善介(勝又)vsルーベン・オリバレス(メキシコ)の間で争われたが、新王者に輝いたのはオリバレス。歌川選手のアウト・ボクシングは通用しなかった。

オリバレスを13回KOし、その王座を引き継いだのがアレクシス・アルゲリョ(ニカラグア)。マルセル挑戦に継ぐ二度目の世界アタックだった。昭和50年10月来日したアルゲリョは、”KO仕掛人”ロイヤル小林(国際)選手の挑戦を受けた。18戦全勝16KO勝ち。

小林選手は大いに期待されたが、5回痛烈な左ボディブローの前にキャンバスに沈む。強烈な印象を残したアルゲリョの勝利。歴史的名選手に打撃戦を挑んだ小林選手も立派な負けっぷりであった。自身の果たせなった夢を実現させる為、高橋会長は小林選手の為にスタンレー・イトウ先生をハワイから呼び寄せている。

アルゲリョの王座返上により王座に就くのは、パナマのラファエル・オルテガ。魔術師といわれたオルテガだが、狙い目十分、故郷沖縄で2度目の世界王座挑戦を迎えたフリッパー上原(協栄)選手には、大きな期待が掛かった。だが、上原選手はいい所なく完敗。故郷の暑さがアダとなった。


オルテガvs上原。

「長くは持たないな」予想通り次の防衛戦でセシリオ・ラストラ(スペイン)にあっさり敗れたオルテガ。このラストラも初防衛戦でタイトルを手離す。パナマの放った刺客はエウゼビオ・ペドロサ。13回ストップ勝ちで王座を奪ったペドロサだが、その評価は著しくなかった。

つい1年前のバンタム級王座挑戦では、アルフォンソ・サモラ(メキシコ)の強打の前にアッサリ2回KO負け。再起戦でも6回ノックアウト負け。三つの敗戦は全てKO負け。打たれ脆いとされていたペドロサ。3度目の防衛戦で迎えたのがロイヤル小林選手。

強打の小林選手は、この試合でも大いに期待された。しかし、自信を付けた王者は挑戦者を全く寄せ付けない。エディ・タウンゼント・トレーナーは13回が終了すると棄権を申し入れた。

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1年後の昭和55年1月、小林選手との挑戦者決定戦で疑惑の判定負けを喫していたスパイダー根本選手にチャンスが与えらる。しかし、18センチの身長差はいかんともしがたく、15回大差の判定で敗れ去る。ペドロサは19度もの防衛に成功する名王者となった。

平成元年3月、アントニオ・エスパラゴサ(ベネズエラ)に挑んだ杉谷 満 (協栄)選手にもチャンスはあった。3回杉谷選手のパンチで大きく腰を落としたチャンピオン。

「あれはチャンスだったよなァ~」

いまだに話題に上がる程である。エスパラゴサが韓国のラッシャー 朴 永均に敗れたのは意外な気がした。日本人選手にも大いにチャンスありと見られたが、竹田益朗(陽光アダチ)選手、浅川誠二(神戸)選手、松本好二(ヨネクラ)選手らは歯が立たず、朴は8度の防衛を記録した。スタミナ、ハート、手数の選手でしたね。


エスパラゴサvs朴。

エロイ・ロハス(ベネズエラ)、ウィルフレッド・バスケス(プエルトリコ)、フレディ・ノーウッド(米)、アントニオ・セルメニョ(ベネズエラ)、再びノーウッド、デリック・ゲイナー(米)、ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)と続いた王者達。

日本人挑戦者、勝てませんでした。03年9月、PABA王者からWBA暫定王座に就いたジョン。正規王者格上げとなった初防衛戦が、佐藤 修 (協栄)選手との試合。暫定上がりのインドネシア。見くびっていた感もある。

「瀬藤、最初から思いっきり突っかかって行けよ」

公開スパー。突進する瀬藤幹人選手とジョンのスパーは、ボコボコという表現が適当に思えた。佐藤にビッグ・チャンス。イトウ先生もハッキリと言った。ウッ~、今となってはあれは三味線。クソ~。(~~)

あれから4年。いまだ王座に居座るクリス・ジョン。待たされた挑戦者には存分に戦ってもらいたい。WBA世界フェザー級。伝統あるベルトをもぎ取ってほしい。敗れ去っていった日本人挑戦者達の想いも背負って。期待します!

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