このフェザー級タイトルマッチ開催が日本で認められたのは、ひとえにファイティング原田(笹崎)選手の三階級制覇挑戦という偉業達成へのエールである。これまで3階級制覇を成し遂げたボクサーは、世界に3人しかいなかった。
ダウン奪っても5-4。少しばかりの優勢も5-4。ジャッジペーパーは書き直しだらけ、コミッションもない豪シドニー。たった一人の採点者ウィリー・ペップは、王者ジョニー・ファメション(豪)の手を上げた。3度のダウンを奪った原田選手は判定負け。これが、昭和44年(69年)7月28日。
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勝者ファメションを称える原田選手
【世紀の大誤審!J・ファメションVSF・原田Ⅰ】
宛、JBC。発、WBAブレナンWBA選手権委員長。昭和44年7月。「海老原博幸(協栄)は1位アラクラン・トーレス(メキシコ)と、西城正三(協栄)は1位ジョニー・ファメション(豪)と規定通り防衛戦を行う事」
トーレス、ファメションはWBC公認のチャンピオンである。WBCの存在を鼻であざ笑うかのように強気なWBAの姿勢。今は昔ですね。(~~)
「原田選手が勝ったらWBA王者西城選手と対戦する」という、このタイトルマッチを認めるための付帯条件が、原田選手側から文書でJBCへ入れられた。
実際、原田vs西城の王者同士の対決はまず不可能。WBC公認世界王者。これは、世論が認めてくれるだろう。とにかく原田選手に勝ってもらわねば。
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69年1月、ホセ・レグラ(スペイン)から王座を奪ったファメションは、英国のプロモーター、マイク・バレット氏に興行権を握られていた。理不尽な判定に対し、WBCモンタノ会長から再戦勧告も出た。
原田戦後、ファメション側はパレット氏と新たな契約を結ぶ。タイトル戦1、ノンタイトル戦2の合計3試合で10万ドル(3600万円)。マッチメーク権もパレット氏が握った。そして、パレット氏の選んだタイトル戦交渉先は日本。
日本でファメションと再戦。再戦は出来ても、また外国だろうと考えていた原田陣営には渡りに船。専属契約を結ぶフジテレビにも依存は無い。パレット氏の要求を呑んだ。
原田選手が勝ったならば、バレット氏は数試合その興行権利を持つ。日本側の買い取り価格は、推定で2万5千ドル(900万円)。英国の辣腕プロモーターも原田選手の勝ちに賭けた。それは、フジテレビも同様である。
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鬼の指導。原田選手を鍛える笹崎会長。
「一歩も後に引けない土壇場の挑戦」(笹崎会長)となった原田選手。3階級制覇の舞台は整った。大いに期待された3階級制覇。しかし、勝負は魔物である。原田選手はまさかのKO負けを喫してしまう。最高の舞台がラストファイトになろうとは、好事魔多し。
「あの試合どうしちゃったんですかねェ」
「・・・なめたんやろ」
原田選手を尊敬する某会長は短く答えてくれた。
日本人選手初のWBC王者になり損ねた原田選手であるが、WBC世界戦国内開催への道は開いた。Sフェザー級沼田義明(極東)選手が、WBC王者をd奪取したのは、原田選手敗退から僅か3ヶ月後の事である。
WBAには沼田選手が王座を明け渡した小林 弘 (中村)選手が、チャンピオンとして君臨していた。しかし、二人が王座統一戦のリングに上がる事はなかった。
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