74vs08・ボクシング界・期待と不安 | BOXING MASTER first 2006-2023

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輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

1974年(昭和49年)10月。一月足らずの間に5つの世界タイトル戦興行が行われた。これは日本リング史上初の過密スケジュールである。世界でも例がない。この年2月、日本で開催された世界タイトルマッチは100試合を数えていた。

1日WBCフライ級。王者ベツリオ・ゴンザレスvs10位小熊正二(新日本木村)。東京・日大講堂。TV朝日。

3日WBCSフェザー級。王者柴田国明(ヨネクラ)vs2位ラミロ・”クレイ”・ボラノス(エクアドル)。東京・日大講堂。日本テレビ。


柴田vsボラノス戦。

8日統一Sウェルター級。王者オスカー・”ショットガン”・アルバラード(米)vsWBA8位 龍 反町(野口)。東京・日大講堂。フジテレビ。

18日WBAフライ級。王者チャチャィ・チオノイ(タイ)vs1位花形 進 (横浜協栄)。横浜・文化体育館。TV東京。

26日WBASライト級。王者アントニオ・セルバンテス(コロンビア)vs4位門田恭明。東京・日大講堂。フジテレビ。



74年10月号ボクシング・マガジン誌の編集後記では、こんな心配がなされている。

「日本の世界戦開催数はGNPよりも先に世界一になるだろう」

「テレビが世界戦放映に大金を払ってくれるからだが、関係者達は目先の利益を深追いしてはいけない」

「将来の為に今一番警戒しなければならないのは、世界タイトルの価値を下落させない事である」

「内容の乏しい世界戦が続けば、ファンもボクシングから離れていくだろう。視聴率が低下すれば、当然テレビとの蜜月時代にもピリオドを打たれる」

「我々は10年先、20年先、世界チャンピオンが副業をしなければ生活できないような時代を迎えたくない」

「タイトルの価値は永遠に守らなければならない。まずは10月の5試合が全てファンを満足させてくれる事を祈ろう」


喜びの花形選手。

10月決戦は3勝2敗。小熊選手の超番狂わせの王座奪取に始まり、柴田選手は最強の挑戦者にストップ勝ち。花形選手はデビュー11年5度目の挑戦を実らせた。反町選手は、前半好調もショットガンに粉砕された。生涯挑戦の門田選手は、セルバンテスの強さに毎回のように倒され完敗。

小熊、花形、柴田、ガッツ石松。4人の世界王者を抱える日本は、世界タイトル最多保有国となった。A、Cフライ級王座は日本が独占。

A、C両団体のタイトル統一への歩み寄りは全く期待できない状況で、「タイトル乱立のプロレスを笑えなくなった」とある。フライ級王座の統一戦実現が期待されている。

9月25日ザイールで予定されていた世界ヘビー級タイトルマッチ、”世紀の一戦”王者ジョージ・フォアマンvs挑戦者モハマッド・アリ戦は、王者の負傷により10月30日に延期された。この試合でボクシング界デビューを飾るドン・キング(ビデオ・テクニック社)は、50万ドルとも100万ドル(3億円)とも云われる損害をこうむった。


モブツ大統領に紹介されるフォアマン、アリ両選手。

この時代、お隣韓国はWBA世界バンタム級王者 洪 秀煥を筆頭に、日本を上回る東洋王者4人を擁している。だが、その後IBF世界戦の乱発、世界挑戦者ニセ者事件等ですっかりファンから見離される。現在も元気が無い韓国ボクシング界である。

ハワイでは上原康恒(協栄)選手が地元のヒーロー、ベン・ビラフロア(比)の世界王座に挑むも2回KO負け。バズソー山辺選手が活躍し、風間 清 (石丸→奈良池田)選手も戦っている。その後、スター不在、安易なマッチメークのつけが廻ってハワイには定期ファイトが無くなった。しかし、この20日に久々のプロボクシング興行が開催される。復興を願います。

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IBF日本の提唱したマネジャースタイルには見習うべき点も多い。しかし、JBCと協会はタイトル戦乱造を危惧し、IBFタイトル戦を認めず、現在に至っている。その後発足したWBOも同様だが、これは、正解だろう。30年以上も前に心配された、タイトルのプロレス化は避けられている。

WBA、WBC、WBO。揃って近年乱造が目立つ暫定王座。WBAが認定する3人のSフライ級王者の一人暫定王者ホルへ・アルセ(メキシコ)は、11月1日ラスベガスで防衛戦を行う。挑戦者はイシドロ・ガルシア(メキシコ)。

7月25日Sフライ級9位ラウル・マルチネス(米)に完敗を喫したばかり、最新のWBAランキングに名前も見当たらない。いかに人気があるアルセとはいえ、ルールに基づく王座統一戦前に、こんな挑戦者とのタイトル戦を承認するWBAは、いかに批判されても仕方ない。28日からのWBA総会では、どんな指名カードが決まるのか。注目です。

ボクシングファンの皆様、たくさんのコメントありがとうございました。今後ハッキリいえる事は、日本選手も海外で活躍していかなくてはいけないという事。海外で強者と戦える、逞しいボクサーの出現が待たれますね。

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