白井義男・終戦記念日・ボクサーも戦場へ行った！

太平洋戦争のあおりを受けボクシング、いや拳闘試合が休止されることになり、最後の興行が行なわれたのは昭和１９年（１９４４年）３月２８日。

”国防献金試合”と銘打たれた興行は、日比谷公会堂で行なわれている。

奇しくもこの日、日本人最初の世界チャンピオンとなる白井義男選手も試合に出場、１回ＫＯ勝ちを記録している。

大日本帝国最後の拳闘試合。

白井選手はまだ２１才、６戦全勝５ＫＯ。ＫＯは全て１ラウンドとうハードヒッター振りだった。

白井選手の手記によると、前途が開かれる思いを寂しく飲み込み、身の不運を嘆いたとある。

ＫＯ＝打倒、ストレート＝直打、フック＝カギ打ち、アッパー＝突き上げ。グロッキー＝混迷状態、ゴング＝時鐘。

業界も国策に協力して来たが、限界であった。

白井選手にも召集令状が来た。拳闘休止から僅か２ヶ月余りの５月１５日の事である。

玉砕する事になる硫黄島への転進が決まっていた白井選手であったが、幸運にも解除になり一命をとりつなぐ事が出来た。後、特攻機の整備兵として終戦を迎える事になる。

日本軍が奇襲攻撃を仕掛けた地、ハワイでもそれは同じで、日系人は母国への忠誠心を示す為、戦闘の激しいヨーロッパ戦線へ狩り出された。

先月ハワイでお会いした、日系人の間で絶大なる人気を誇った名ボクサー、ＴＵＮＥＳＨＩ　ＭＡＲＵＯ選手もヨーロッパで戦線に狩り出された一人であったと聞いた。

「坂田のおじいちゃんも、曾おじいちゃんも、戦争で活躍したらしいですよ」

「ホッ～、それは凄いな」

「やっぱり靖国神社は大事にしないと」

先頃、ボクシングと一緒に島園プールサイドで話題になった靖国神社。明治維新以後、日本の国を守るために、斃れた人達を祀ることになった神社である。

靖国神社ホームページ

今日、小泉前首相は昨年に続き靖国神社を参拝。石原慎太郎氏も参拝し、現役大臣でも参拝した方がいらっしゃる。

高市少子化担当相が靖国神社参拝

「私は１人の日本人として国会議員として、現在は閣僚だが、折に触れてたった１つの大切な命を国家のためにささげられた方々に感謝の思いをささげたいし、その御霊が安らかであるようお祈りしたいと思っている」

戦後来日した世界フライ級王者ダド・マリノ選手も米軍の病院を慰問して歩いた。

日米を問わず、たくさんのボクサーが戦争に狩り出された。

幸運にも白井選手は昭和２０年９月３０日、焼け野原の東京へ帰ってくる事が出来た。

「俺にはボクシングがある」

白井選手はこの一念で厳しい時代を生きたが、世界チャンピオンになれるとは、これっぽっちも思ってなんかいない。想像もつかない時代だった。

焼け野原の東京でいち早くジムを復活させたのは、国民拳の中村正美会長。新橋の青空道場である。

写真は後列右から中村会長、イトウ先生、中西清明選手と続く。

中村会長のご子息が、現在白井・具志堅Ｓジムで指導されている中村　隆　先生であります。

その中村先生が、トレーナーとしてもっとも影響を受けたのがエディ・タウンゼント氏。そして、協栄ジム・大竹マネジャーがお手本としているのが、スタンレー・イトウ先生。

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タウンゼント氏とイトウ先生は、戦争前からのおつきあい、ハワイの人である。当時青春真っ盛りの二人にとっても、この戦争は大きな影響を与えている。

日米、ひどい歴史はあったけれど、ボクシングを通じ心は一つ。

黙祷。

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