来訪者の6割が高齢者の老舗温泉地で、どのようにして多くの若者を呼び込むことに成功したか
2025年1月21日(火)
こんにちは。
ウェルネスビズの田村真二です。
1月も下旬になり、温泉で心も体も温まりたい季節になりました。
一般に、温泉地を訪れるお客の中心は「中高齢者」のイメージがあると思います。
実際、「にっぽんの温泉100選」(観光経済新聞社主催)で22年連続1位を誇る「草津温泉」は、2012年当時、来訪者数の6割が65歳以上でした。
しかし現在では、来訪者の約半数が20~30代となり、年齢層が大きく逆転しているのをご存知でしょうか?
「えっ、あの草津温泉が?」
「最近若い人が増えたとは聞いたけど、そんなに多いの?」
と思った方もいるかもしれません。
では、なぜ草津温泉にこれほど多くの若者が訪れるようになったのでしょうか?
その理由には、若者をターゲットにしたい全ての企業にとってヒントになるポイントが隠されています。今回は、雑誌『プレジデント』(2025.1.31号)掲載記事をもとに、その秘策をご紹介します。
「未来の再来訪者数に非常に危機感を覚えました。息子や娘に旅館を継がせていいものか・・・」
と、当時の心境を語るのは、老舗旅館「奈良屋」や大型ホテル「草津ナウリゾートホテル」など、草津温泉で6つの宿を経営する小林恵生社長。
草津の将来を案じていた小林社長は、ある傾向に気づきます。
「20代、30代のお客様から『チェックイン時の遅延』や『夕食キャンセル』の要望が多かったんです。忙しい若い方でも遅い時間から宿泊を楽しめる形を考え、思いついたのが『イチアサ(一朝)』でした」。
2012年、小林社長はイチアサの宿「湯畑草庵」をオープン。これは1泊朝食付きという温泉旅館には珍しいスタイル。当初は異例でしたが、次第に支持を集め、2014年には草津温泉の他の宿にも広がりました。
イチアサにより、夜の湯畑周辺を散策する客が増加。それまでは旅館の夕食時間帯に入る18時で閉まっていた飲食店やお土産物店が営業時間を延長し、新しい飲食店も続々登場しました。
小林社長はさらに、湯畑近くの「熱乃湯」で毎晩20時から45分間の「草津温泉らくご」を始めたところ、夜間の賑わいを生み、湯畑のライトアップも実現しました。
現在、草津の夜は活気を取り戻し、昼夜を問わずスマホで湯畑を映す若者で溢れています。私が以前テレビで観たその光景は、一瞬、大学のキャンパスかと見間違うほどでした。
草津温泉を救った「イチアサ」を思い付き、実践し、草津温泉全体の発展に貢献した小林社長の取り組みは、温泉旅館だけではなく、
「顧客の悩みや問題、ニーズや欲求の中にこそ、ビジネスチャンスあり」
と考える全ての企業や個人事業主にとってヒントになるはずです。
新規客の獲得に困っている?
それでしたら、まずは小林社長のように、ターゲット顧客の悩みや問題、ニーズや欲求を把握することから始めてみてください。
そのうえで、これまでの取り組みや成功体験にとらわれず、顧客の課題を解決する商品やサービスを開発し、市場に投入して反応を確認してみてください。
それでは次号をお楽しみに!

