「31,500施設時代」の衝撃、過密市場で勝ち残るジムは何が違うのか
2026年8月22日(土)
こんにちは。
サクセス発行人の田村真二です。
最近また暑さがぶり返してきましたね。
体調を崩さないよう、気をつけてお過ごしください。
それでは、本日のサクセスをお届けします。
国内フィットネス関連施設数「31,500」
初めてこのデータを目にしたとき、私は「この数字、間違っているのでは?」と思いました。
『日本のフィットネスクラブ業界のトレンド2026年版』(株式会社クラブビジネスジャパン『Fitness Business編集部』)によると、令和7(2025)年の国内のフィットネス関連施設数は、前年の「5,389施設」から「31,500施設」へ、6倍弱に急増していたからです。
実は令和7年から算定方式が変更され、6歳から79歳を対象とする民間・公共・非営利公共施設などを含む「世界基準」に準じたためです。
しかし、それだけではありません。
健康志向の高まりに加え、DXやAIの活用、運営の標準化、省人化などを武器に、小規模・小商圏・ローコストで出店できる専門業態が全国へ一気に拡大しました。
24時間ジム、低価格ジム、女性専用ジム、ピラティス、パーソナルジムなど、かつての総合型フィットネスクラブとは異なる選択肢が次々に生まれています。
一方で、経営者にとって見過ごせない問題があります。施設数が増えるということは、それだけ会員獲得競争が激しくなるということです。
事実、私の自宅周辺でもここ数年で24時間ジムが次々にオープンしました。
「こんな近距離にまた出店するのか」と驚くこともありますが、今後さらに新たな店舗がオープンしても不思議ではありません。
では、既存のクラブやジムの経営者や店舗責任者は、自店の商圏内に、半年後、新しい競合店の出店が発表されたらどう思うでしょうか。
「また競合ができるのか」
「入会者が減ってしまうのではないか」
「多くの会員が退会するのではないか」
「これ以上会員数や売上が減っては困る」
そんな不安が頭をよぎるかもしれません。
もちろん、近隣への競合出店は無視できません。
しかし、私は競合店ができること自体よりも、競合出店を理由に経営者や現場が思考停止してしまうことのほうが危険だと考えています。
事実、会員数や売上が徐々に減り続け、負債が膨らみ倒産を余儀なくされた企業も少なくありません。これほど避けたい展開はありません。
次のグラフは、フィットネスクラブの倒産件数の推移を示したものです。
競合出店で「強くなるジム」もある
一方、競合店が増えても会員数を維持し、むしろ業績を伸ばしているジムがあります。
両者を分ける決定的な違いは何でしょうか。
設備でしょうか。
プロモーションでしょうか。
立地でしょうか。
資本力でしょうか。
もちろん、それらも重要です。
しかし、それ以上に大きいのが、問題に直面したときに「正しい問い」を立てられるかどうかです。
たとえば、ある地域密着型クラブの近隣に、低価格の24時間ジムが出店したとします。
そこで、「どうすれば競合より料金を安くできるか?」と考えれば、答えは値下げに向かいます。
しかし、「低価格ジムでは満たせない、既存会員や未顧客のニーズは何か?」と問いを変えれば、まったく違う答えが出てくるでしょう。
スタッフによる運動サポートかもしれません。
仲間とのコミュニティかもしれません。
スタジオプログラムかもしれません。
パーソナルトレーニングかもしれません。
健康相談や食事指導かもしれません。
あるいは、「一人では運動が続かない」という顧客の悩みに着目すれば、入会後3カ月間の個別サポートプログラムを提供することもできます。
特に、最初の3カ月間の利用を促進する複数のプログラムを組み込むとよいでしょう。
競合が「場所とマシン」を提供するなら、自社は「運動を続けられる仕組み」を提供する。これも立派な差別化です。
経営者・店舗責任者が立てるべき「4つの問い」
競争環境が激しくなったときほど、経営者・幹部の方には次の4つの問いを投げかけてほしいと思います。
問1:市場の変化を活かす―競合の出店を自社の成長にどう活かせるか。
問2:既存会員のエンゲージメント―会員満足度を高め、より高い価値を提供するために何ができるか。
問3:新規顧客の開拓―潜在顧客を動かすために、従来とは異なるどんなアプローチが有効か。
問4:外部とのアライアンス―多様なパートナーと協業し、ビジネスを拡大するにはどうすればよいか。
これらは非常に強力な問いです。
競合の出店時に限らず、組織の習慣にできれば、ビジネスの持続的成長や組織力強化に直結します。
31,500施設時代に経営者が恐れるべきなのは、競合店が増えることではありません。
市場が大きく変わっているにもかかわらず、自社が何も変わらないことです。
競合出店のニュースを聞いたときこそ、「困った」と考えるのではなく、「この状況を、自社をもっと強くするために何ができるか?」と、ぜひ問い直してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
次号をお楽しみに!
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