JTBほか大企業があえて中小企業になるメリットとは?
旅行最大手のJTBが「中小企業化」に。
というニュースが先日ありましたね。
JTBの2020年3月期の連結売上高は1兆2885億円と巨大。従業員数もグループ連結で約2万7000人に上ります。
どこからどう見ても常識的には、同社は大企業にしか思えません。
しかし、コロナ禍で同社の業績は大幅悪化となりました。
そこで同社は、国内店舗を統廃合し25%削減するほか、早期退職や採用抑制でグループ全体で6500人の社員を減らす計画とともに、「ある秘策」を打ち出しました。
JTBが中小企業化、狙いは節税メリットか
JTBが打ち出した秘策。それは、今月31日付で資本金を現在の23億400万円から1億円に減資し、「中小企業」になることです。
このところJTBと同様、スカイマークや毎日新聞社などの大企業が資本金をあえて1億円に抑え、税法上の中小企業になるケースが目立っています。
なぜそうするのかといえば、資本金が1億円以下の企業は税制上中小企業とみなされ、税負担が軽くなるからです。
では、具体的に中小企業になることでどのようなメリットがあるのでしょうか?
中小企業には、大企業にはない以下のような税制上の優遇措置があります。
メリットその1:所得金額800万円までの軽減税率の適用
メリットその2:年間800万円までの交際費の損金算入
メリットその3:研究開発投資減税の上乗せ措置
メリットその4:中小企業投資促進税制の特例措置
しかし今回、JTBは上記税優遇措置を受けることはできません。
覚えている人もいると思いますが、2015年に経営再建中の電機大手シャープが、1200億円以上あった資本金を1億円に減らして中小企業の恩恵を受けようとしたことで批判が巻き起こり、シャープは計画の撤退に追い込まれました。
本来は中小企業を育成する目的で設けられた税優遇措置を、大企業が利用するとは何事だ、ということで政府・与党は、大企業が資本金を1億円以下に減らして中小企業向けの政策減税の対象とすることを打ち切ることを決めたのです。
なぜ、大企業の中小企業化が近年進んでいるのか?
前述した中小企業向けの政策減税が受けられないにもかかわらず、なぜJTBは資本金を1億円に減らして中小企業化するのか?
JTBだけではありません。
国税庁の統計によると、2011年度から2018年度まで7年連続で大企業は減り続けています。なぜか?
「資本金を1億円に減らした際の税務上のメリットは依然大きい」からです。
たとえば大企業に赤字でも課税する「外形標準課税」の適用が除外されるほか、「欠損金の繰越控除」も適用できるからです。
コロナ禍で業績が急速に悪化した企業は、これら2つの恩恵は前述した4つのメリットよりもはるかに大きいでしょう。
ただJTBがコロナ禍で苦境にあるのは確かですが、旅行業界や外食業界を助けるために行われた「GO TO事業」(現在一時中止)の原資が国民の税金であることを考えると、将来シャープと同じような議論が巻き起こるかもしれません。
また、それ以上に問題なのは、観光の低迷が長引けばさらなる構造改革に踏み込まざるを得なくなる可能性もあります。
いずれにしても今後しばらくは、同社は綱渡りの経営を強いられることになると思います。
補助金を活用した中小企業の事業再構築
話は変わりますが、中堅・中小零細企業には、国や自治体によるさまざまな支援策が打ち出されています。
なかには「最大1億円」までを補助してくれるという、超太っ腹の支援策もあります。
事業再構築にはそれなりの「軍資金」が必要になることもあるかもしれません。
国や自治体などが支援するといってくれているのですから、使わない手はありません(よね?)
とはいえ、何から手をつければいいかわからないという方も少なくないと思います(実際私のところにも相談がよくきますので)。
そこで、補助金を活用して事業を再構築したいという方のために無料レポート(PDF版)を作成しました。ご興味のある方は、こちらをクリックしてください。
それでは次号をお楽しみに!
