キャッシュ・イズ・キング(現金は王様)は本当か?
12月7日(火)
こんにちは。田村真二です。
世の中には、会社が倒産するのは赤字が原因だと考えている人がいます。
会社を経営している人でさえ、そう考えている人も少なくありません。
しかし、それは違います。
会社が倒産するのは、銀行への返済や取引先への支払いができなくなり、資産を売却しても現金(キャッシュ)が足りなくなってしまったときです。
言い換えると、どれだけ赤字が続いている会社でも、返済や支払いがきちんとできる会社は存続することができます。
実際、あのアマゾンでさえ創業以来ずっと赤字が続いていた時がありました。
しかし、その状態を「倒産」とは言いません。
会社経営を続けるための現金があれさえすれば、会社は倒産しないのです。
逆に、会社は黒字経営でも現金がなくなれば簡単に倒産します。
実際、2008年に起きたリーマン・ショックでは、現金が尽きた上場企業を始め多くの企業が倒産に追い込まれました。
なぜそうしたことが起きるのかというと、商品仕入れ代金などの支払いと、販売した商品の代金の回収タイミングにずれがあり、支払手形の決済等ができなかったからです。
このからくりがわかると、じつは事業がどんどん成長している企業のほうが自転車操業になりやすく、倒産のリスクが高まることがわかります。
したがって、中小企業の社長は何よりも優先して自社の手持ち現金を把握し、1円でも多く増やすことが重要です。
ところで、リーマン・ショックよりも世界経済に影響を与えたコロナ禍ですが、意外にも日本では倒産した企業は多くありません。むしろコロナ前よりも少ないくらいです。
これは政府や自治体・金融機関などが、さまざまな形で給付金や補助金・助成金などの支給、無利子無担保での貸し出し金などにより、企業に現金を配ったからです。
現実問題、社長にどれだけ社員や顧客を大切にする気持ちがあっても、会社に現金がなければ幸せにすることはできません。
繰り返しますが、会社経営において「現金」は不可欠です。
社長はいざというときに困らないだけの現金を持つ必要があり、その現金を管理するための財務諸表(B/SやP/Lなど)の数字を理解する必要があります。
ところが、学校教育のせいかどうかわかりませんが、数字に苦手意識を持つ社長は多くいます。そのため、自社の決算書の数字すら詳しく見ない社長も少なくありません。
これは本当に危険であるととに、もったいないことです。
会社経営に関する数字は、現金をより多く生み出すための行動に不可欠だからです。
社長が必要な数字というのは、税理士や会計士なみの知識を必要とするものではなく、「決断」と「行動」のためのツールにすぎません。
企業によって多少の違いはあると思いますが、最低限ここを見るだけでいいという数字を理解して行動につなげれば、誰でも会社の経営体質を強化することができます。
コロナ禍が終息したとしても、遅かれ早かれまた別の危機が襲ってくるでしょう。
「キャッシュ・イズ・キング(現金は王様)」とはよく言ったもので、現在の危機を乗り越え、将来の危機に備えるためにも、中小企業の社長は常に現金残高に目を向け、その数字を1円でも多く増やすことに努めましょう。
ただし、万が一のときにも耐えうるだけの現金は残しておいたうえで、将来に向けての必要な投資(増客・設備・教育投資など)は怠ってはならないことを、どうぞお忘れなく。
それでは次号をお楽しみに!
