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総合クラブはなぜ伸び悩むのか―米国市場に学ぶ再生のヒント

 

 

2025年8月19日(火)

 

 

お盆休みが終わり、8月も後半に入りました。

 

 

こんにちは。

ウェルネスビズの田村真二です。

 

 

総合クラブを経営する企業では、

 

 

「この先、総合クラブってどうなっていくんだろう?」

 

 

そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

 

 

実際、私も経営に携わる方々から「将来がちょっと不安だ」という声をよく耳にします。

 

 

国内のフィットネス市場そのものは拡大しているのに、多くの総合クラブは思ったほど勢いが出ていません。

 

 

その一方で、24時間ジムや専門スタジオを運営する上場各社はぐんぐん成長しています。なぜこの差が生まれているのか。そして、再生のヒントはどこにあるのか。

 

 

答えのカギを握っているのが、実は「米国市場」です。

 

 

 

 国内フィットネス市場の「明暗」

 

 

右差し 2026年3月期第1四半期決算結果

 

 

・総合クラブ中心企業:売上は微増、利益は減益または小幅増益にとどまる

 

・24時間ジム&専門スタジオ:好調を維持、市場の成長を牽引

 

 

市場全体は拡大しているのに、総合クラブはその果実を十分に得られていない状況です。

 

 

 

 総合クラブが抱える「総合スーパー化」の問題

 

 

この流れは、小売業界における総合スーパーや百貨店の長期的な衰退に似ています。

 

 

右差し 総合スーパーや百貨店と同じ構造的な問題

 

 

・「何でもそろう」ことが、かつては強み

 

・総合スーパーや百貨店は、いまは専門性・利便性に特化した業態に押される

 ⇒食品スーパー、ドラッグストア、コンビニ、ECなど

 

 

フィットネスでも、消費者は「短時間で目的達成できるジム」や「専門性の高いスタジオやパーソナルトレーニング」を選ぶようになり、結果として総合クラブの存在感は薄れつつあります。

 

 

 

 再生のカギは「総合のアップデート」

 

 

では、総合クラブはどう再生していけばいいのでしょうか?

 

 

ヒントは“総合=寄せ集め”から、“総合=付加価値の束”“総合=専門の集積”へ発想を転換することです。そして、「総合」というあり方を、時代に合わせてアップデートし、利用者から見てもっと魅力的な場所に進化させることです。

 

 

とはいえ、「じゃあ具体的にどうすれば?」と迷う方も多いと思います。そこで私がおすすめしたいのが、自社の問題点を数字と状態でしっかり把握・分析し、そのうえで幹部自らがストア・コンパリゾン(店舗比較調査)に取り組むことです。

 

 

比べる相手は、身近な総合クラブや国内大手ではありません。目を向けるべきは、世界一競争が激しいアメリカ市場で最前線を走る総合クラブです。

 

 

  • 自社の問題点を数字と状態で把握
  • 原因分析と課題の設定
  • 幹部自身が「ストア・コンパリゾン」(店舗比較調査)を実施
  • 調査対象は国内ではなく、米国市場の総合クラブ

 

 

 

 日本に影響を与えた「米国発」ブランド

 

 

実は、日本で今や当たり前になっているフィットネス業態の多くは、もともとアメリカ生まれなんです。アメリカでヒットしたモデルが、数年から十数年後に日本へ渡り、うまく日本人向けにアレンジされて定着してきました。たとえば・・・

 

 

  • エニタイムフィットネス(24時間ジム)
  • カーブス(女性専用30分フィットネス)
  • オレンジセオリーフィットネス(HIIT系スタジオ)
  • ゴールドジム(世界最大級の本格派ジム)
  • パーソナルトレーニング

 

 

このあたりはもう説明不要なくらい有名ですよね。どれも日本で一大ブームをつくり、日本のフィットネスの常識を変えてきました。

 

 

実は、こうした流れはもっと前からあったんです。1980年代から90年代にかけて、日本で総合クラブが一気に広がった背景には、アメリカで大ヒットしたエアロビクスがあります。あの時代、レオタード姿で音楽に合わせて体を動かすエアロビクスは、まさにフィットネスの象徴で、日本のクラブもこぞってスタジオプログラムを拡充しました。

 

 

 

 

つまり、日本のフィットネス文化の“源流”をたどると、その多くはアメリカに行きつくんです。アメリカで生まれたトレンドやブランドが海を越えて入ってきて、日本市場に新しい風を吹き込む。その繰り返しの中で、いま私たちが知っているフィットネスの形ができあがってきた、というわけです。

 

 

そして今後も、アメリカで流行っている新業態や新サービスが日本にやってくる可能性が高い。だからこそ、米国市場の動きをチェックすることは、未来を先取りする意味でとても大事なんです。

 

 

 

 米国の総合クラブ6社―成功のヒント

 

 

参考までに、世界でもっとも競争が激しい米国市場で、成果を上げている総合クラブが次の6社です。

 

 

右差し Equinox(エクイノックス)

ラグジュアリー路線。洗練された空間と高品質サービスで「ライフスタイル」を売る。

 

右差し Life Time(ライフタイム)

「フィットネス+リゾート」。スパやカフェを備え、家族ぐるみで囲い込む。

 

右差し Bay Club(ベイクラブ)

地域コミュニティ型。スポーツだけでなく社交場としての機能も。

 

右差し Gainesville Health & Fitness(ゲインズビル)

地域密着の王道。大手でなくても徹底的な顧客サービスで支持獲得。

 

右差し Chuze Fitness(チューズフィットネス)

低価格ながら豊富な設備とフレンドリーなサービス。コスパ重視層を取り込む。

 

右差し EōS Fitness(イオスフィットネス)

大型ジムなのに低価格。Z世代を中心に急成長。

 

 

 

 日本の総合クラブはどう取り入れるべきか

 

 

じゃあ実際、日本の総合クラブはこうしたアメリカの総合クラブをどう活かせばいいのか。ここが一番大事なポイントですよね。

 

 

まず考えてほしいのは、「総合=なんでもある」ではなく、「総合=価値ある組み合わせ」にアップデートすることです。

 

 

ジム・スタジオ・プールが並んでいるだけだと、いまの時代どうしても「寄せ集め感」が出てしまいます。けれど、そこにブティック系の要素やリカバリー系の要素をうまくミックスすれば、「総合」ならではの強みに変わります。たとえば・・・

 

 

右差し スタジオにHIITやピラティスの専門性を取り入れる

右差し プールと組み合わせて、低負荷トレーニングやリハビリプログラムを打ち出す

右差し サウナやストレッチ専用エリアを活用して「運動+回復」の拠点にする

右差し アプリやウェアラブルと連動させ、トレーニングの「見える化」で顧客を巻き込む

 

 

こうした仕掛けを取り入れると、総合クラブは「なんとなく広い施設」から「一度入れば全部そうろう拠点」へと進化できます。

 

 

もう一つ大事なのは、会員とのコミュニティづくりです。ブティック系スタジオが人気なのは、ただ運動するだけじゃなく「スタッフや仲間とつながれる」体験を提供しているからです。

 

 

総合クラブこそ、多世代が一緒に利用できる場所ですから、イベントや小さなコミュニティを積極的に仕掛けることで、強力なリピーターづくりが可能になります。

 

 

 

 実際にどうやってストア・コンパリゾンをやるのか?

 


「アメリカの事例が大事なのはわかった。でも実際にどう調べればいいの?」と感じる方も多いと思います。ここで役立つのが、ストア・コンパリゾン(店舗比較調査)です。やり方はシンプルです。

 

 

1.自社の課題を明確にする

 

 

2.現地視察に行く

 

理想は実際にアメリカに行き、自分の目で観ることです。ニューヨークやロサンゼルスには最先端の総合クラブや専門特化型ジム・スタジオなどがひしめいていますので、一度に複数の事例を比較できます。

 

 

高い渡航費用や宿泊費用を費やしてアメリカ企業を学びに行くのは、日本ではできない勉強をするためです。そして、「出発前の準備の量が、収穫の量に正比例」します。そこで必要になるのが、ストア・コンパリゾンの基本原則と手法(スキル)をマスターすることです。内容につきましては、別の機会でお伝えしたいと思います。

 

 

3.データを事例を集める

 

もし現地視察が難しい場合には、ネットや『フィットネスビジネス』などの業界誌、SNS、YouTubeを使って情報収集をしましょう。今は公式サイトや会員レビューからもかなりの情報を得ることができます。

 

 

まずは上記各クラブの公式サイト(米国の総合クラブ6社)を覗いてみてください。デザイン、コピー、写真の使い方、サービス説明、リード(見込み客)獲得方法など、日本の総合クラブが進化するためのヒントが必ず見つかるはずです。

 

 

4.「なぜ人気なのか?」を分析する

 

ただ見て終わりではなく、「立地は?」「施設構成は?」「サービスの売りは?」「客層は?」「スタッフの関り方は?」「料金は?」「集客方法は?」「会員維持方法は?」「組織は?」「教育システムや人事制度は?」「給料体系は?」「資金調達方法は?」など多岐にわたる項目を整理していくことが大切です。

 

 

5.自社にどう落とし込むか考える

 

そのまま真似するのではなく、自社の立地やターゲットに合わせてアレンジします。たとえば、アメリカで人気のリカバリー専用エリアを、日本の総合クラブでは「ロッカー・シャワー・お風呂・プール」などの水回りエリアとうまく組み合わせる、といった具合です。

 

 

 

 なぜ幹部自らやるべきか?

 

 

ここでポイントなのは、幹部自らが体験して学ぶことです。担当者任せでは、本質的な気づきや「これはウチにも取り入れたい」という実感が薄くなってしまいます。幹部自身が観て、感じて、数字や現状と照らし合わせることで、初めて「戦略としての再生プラン」が描けるようになります。

 

 

 

 まとめ

 

 

  • 総合クラブが伸び悩むのは「総合スーパー化」現象が進んでいるから。
  • 再生のカギは「総合=付加価値の束」「総合=専門の集積」への発想転換。
  • ヒントは米国市場にある。まずはストア・コンパリゾンから!

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

次号もお楽しみに!