前回の続きは旭川から、1泊してさらに北海道の支線を乗り歩きます。
【第4日目 4/2(Mon)】
旭川10:24~(函館本線 普通 滝川行き)~11:24滝川
滝川11:40~(函館本線 普通 岩見沢行き)~12:22岩見沢
■稲作地帯の雪景色
かつて、北海道は日本有数の炭鉱として有名でした。
そのため内陸の産炭地から太平洋側の苫小牧港へ石炭を運ぶために、
岩見沢~苫小牧に今の室蘭本線の前身となる北海道炭鉱鉄道が開業。
大量の石炭を輸送する運炭列車に対応して重軌条化された複線を持ち、
一時期はエネルギー源を輸送するとして重要視された主要幹線でした。
さらに苫小牧では港の周辺に工場が発達し資材を運ぶ軽便鉄道も開業、
北海道炭鉱鉄道とその目的地である苫小牧はとても賑わっていました。
しかし石炭産業が衰退した現在では、普通列車しか走っていません。
札幌を通らず、接続していた夕張鉄道も廃止されたことで乗客が減少、
そのため今は室蘭本線の末端にあるローカル線となってしまいました。
苫小牧でも資材輸送は自動車にシフトし、軽便鉄道は廃止されました。
昔は炭鉱路線として栄えていたのに対し現在はローカル旅情ある路線、
今回はそんな室蘭本線の末端部と苫小牧の軽便鉄道を見てきました。
・・・翌朝、前日は夜遅くまで起きていたのに8時に目が覚めました。
カーテンを開けてみると10階の部屋からは眼下に旭川の街が見えます。
街中に雪が積もる光景を見ると、道央まで来た実感が湧いてきますね。
さらに東横イン宮下通りは線路の隣にあるのでそこから線路を俯瞰でき、
道央のターミナル駅にひっきりなしに来る列車を眺めることができます。
今回は旭川10時24分の列車に乗ればいいのでゆっくりしていました。
さて、身支度を済ませて1階に降ります。もちろん目的は無料朝食!
やっぱり東横インに泊まったならば無料朝食を食べるべきですよね。
おにぎりから一品おかずや味噌汁、和朝食にはもってこいの品揃い。
味もなかなかなので東横インに泊まった時にはとても重宝します。
朝食をゆっくり食べて自分の部屋に戻り荷物をまとめておきます。
そしてテレビを見たりゆっくりして10時前にはホテルをチェックアウトして、
列車の入線より少し早めにホームに着けるよう駅に向かうことにしました。
改札を入る前に、駅の売店でこの日の昼食の駅弁を調達しておきます。
駅の発車案内によればこれから乗る列車は5番線から発車するとのこと。
というわけで、ここまでに引き続き北海道&東日本パスで改札を入って、
10:24発の始発の普通列車滝川行きが発車する5番線へと向かいます。
前日は、札幌で撮影し特急トマムサホロスキーエクスプレスで新得へ、
そして根室本線と富良野線に乗って春の雪景色の車窓を見てきました。
北海道2日目となるこの日は室蘭本線岩見沢~苫小牧の末端部に乗り、
春にまだ残る北海道の雄大な雪景色を見ながら苫小牧へ向かいます。
さて、今回は本州に戻る手段として「フェリー」を使うことにしました。
そのフェリーの発着場所は苫小牧市街地から東にずれた苫小牧東港。
苫小牧東港へは日高本線の浜厚真駅から歩いて行く必要があります。
というわけで第4日目はフェリー発着港の苫小牧・浜厚真を目指して、
室蘭本線の末端部と苫小牧の鉄道の"今と昔"を見ることにしました。
キハ40系 1824編成
さて、室蘭本線の始発駅である岩見沢を目指して函館本線に乗って、
まずはこれから乗る普通列車の終点は滝川へと向かうことにします。
ホームで待っているとやがて新旭川方面からキハ40系2両編成が入線。
近代的な構造の駅舎とキハ40系とはおかしな組み合わせですね(笑)
ドアが開き進行方向右側の座席へ、今回は北側の車窓を見ていきます。
キハ40系1824編成の側面。しっかり滝川行きのサボが入っていました。
列車は発車のおよそ10分前に入線してくるのでゆっくり撮影できます。
とりあえず正面とサボだけ撮って後は座席で発車を待つことにしました。
そして列車は定刻通り発車、一路函館本線を滝川まで上っていきます。
ここからは冬の稲作地帯に広がる雪景色の車窓を見ます!
列車は旭川を発車し1駅隣にある近文までは旭川市街地を走るものの、
近文を発車すると石狩川に沿っていきなり山間部に突入していきます。
複雑に蛇行した石狩川と山の地形に合わせトンネルが断続的に続き、
車窓に雪が積もり枯れ木だけが立っている冬の山が見えてきました。
しかし、列車は伊納を発車した後の長いトンネルを抜けると・・・
一面のきれいな雪景色!遠くの山まで真っ白な景色が続いていました。
列車は旭川盆地を抜け日本有数の稲作地帯である石狩平野に突入し、
そのため車窓には広大な田の上に雪が積もった車窓が見えてきます。
雪晴れのこの日は、特に真っ白に見える雪がとても壮大な車窓ですね。
ここから市街地まで列車は冬の稲作地帯を進んでいきます。
しかし滝川方面に向かうに連れてだんだん雲が厚くなってきました。
車窓に広がる景色は変わりませんが、雲で暗くてイマイチな感じです・・・
この時期の北海道は天気が不安定なので晴れるかどうかは運次第。
運良く晴れれば雪晴れの稲作地帯の壮大な車窓を見ることができます。
そんな車窓を見ていると、列車は終点滝川の1駅手前の江部乙に到着。
どうやら後続の特急列車の通過待避のため長時間停車をするようです。
特急も止まりなおかつ待避設備のある隣の滝川で接続すればいいのに、
後1駅のところで長時間停車とはなかなかまったりした普通列車ですね。
とりあえず通過待避を見るためにホームで待ってみることにしました。
するとまもなく、キハ40系の真横をキハ261系が高速で通過。
時間からして稚内07:10発の特急スーパー宗谷2号札幌行きのようです。
最北から遠路はるばる5時間もかけて稚内と札幌を結ぶスーパー宗谷、
一度キハ261系の振り子を体感しつつ全区間で乗ってみたいものです。
列車が通過し信号が開くとすぐ発車なので、車内に戻ることにしました。
江部乙を発車して3・4分、列車は終点の滝川に到着します。
遂に雪が降ってきました。そんな中、列車は終点の滝川に到着です。
ふと反対側のホームを見ると、711系の復活塗装車が停車していました。
奥のホームに入っているということはおそらく特急待避のためでしょう。
列車は乗客を降ろし駅の留置線に回送されると、駅は閑散としました。
そこに雪が降っていていかにも「北の冬の旅路」の雰囲気がありますね。
そんな駅のホームで次の列車の岩見沢行きを待ちます。
789系 HE-1003編成
次の列車を待っていると、灰色の車体に3色帯をあしらった789系が入線。
函館本線を1日に何本も往来しているL特急の「スーパーカムイ」です。
そのことから、北海道の特急列車といえばまずこれが一番有名でしょう。
特急は乗客の乗降が済むと、711系に道を譲られて発車していきました。
雪の降るホームには再び閑散とした雰囲気が漂います。
711系 S-10*編成
特急列車が発車するとまもなく、711系の普通列車が入線してきました。
かつては711系は急行列車として函館本線を何往復もしていましたが、
急行列車が廃止された現在はこのように普通列車として走っています。
車内の設備はほとんどそのままなので昭和チックな雰囲気の車内です。
さて今度は進行方向左側:線路の南側の車窓を見ることにしました。
ここからは普通列車を乗り継ぎ室蘭本線の始発駅は岩見沢に目指し、
711系の岩見沢行きに乗って深雪の函館本線の車窓を見ていきます。
列車は16分の乗り換え時間で滝川を発車していきました。
滝川を発車しても北側には雪が積もった田が広がる車窓が見えますが、
一方南側には遠くに道央の山々が連なっている車窓が見えてきました。
木がこんな埋もれているということはかなり雪が積もっているのでしょう。
まだ春が訪れぬ北海道の冬の厳しさがひしひしと伝わってくるようです。
列車はそんなひたすら車窓を見つつ函館本線を上っていきます。
さて、そろそろ昼の時間なので車内で駅弁を食すとしましょう。
今回は旭川駅の「北海バラちらし」弁当、その名の通りちらし寿司です。
1100円と少し高めですが、魚介類がふんだんにちりばめられています。
サンマ・尼海老・枝豆・とびっこ・帆立・玉子焼き・いくら・つぶ貝・あなご・
紅鮭・しいたけ・干瓢と、なんと駅弁で12種類の具がのっているのです。
ちらし寿司弁当はよくありますが、こんな具が豊富なのは珍しいですね。
実はこの駅弁は元々百貨店などでの駅弁展のために作られた駅弁で、
さらに2011年10月に旭川で販売を開始したばかりのかなり新しい駅弁。
百貨店で並べられるほどの新作駅弁なのでなかなか期待できそうです。
それでは開けてみます。容器は木目調の発泡スチロールのものでした。
その容器を横から見てみると、なんだかかなり底が低~い感じがします。
実際に食べてみると・・・案の定、容器の底が低くて米が少なかったです。
底上げをしてまでも、いかにも詰まっているように見せたいのでしょうが、
さらに魚介類の味付けがしょっぱくてなかなか食べる手が進みません。
普通はここまで塩味が強いともっと米を増やすべきだと思うのですが・・・
しかし、のっている具の豊富さは駅弁の中でも結構多い方だと思います。
米をそれくらいにするならばもう少し塩味を弱くしてもいいのではないか、
なかなか問題点が多く見られ、これからの変化が気になる駅弁でした。
駅弁を食べつつ深雪の積もる函館本線の車窓を眺めていきます。
列車からはひたすら同じ車窓が見えましたが逆にその広さに驚きです。
流石は道内有数の米どころと言ったところか、そんな車窓も壮大でした。
そして列車は順調に進んでいくと、やがて終点の岩見沢に到着しました。
ホームに降りると、まずソリを引っ張る馬のオブジェが迎えてくれます。
さて、岩見沢からは室蘭本線に乗って苫小牧を目指します。
炭鉱が衰退してすっかり閑散とした室蘭本線の岩見沢~苫小牧ですが、
路線背景や沿線にはかつての賑わいが感じられるものが多々あります。
この区間は道内の主要幹線として何本も運炭列車が走っていました。
さらにとある蒸気機関車で全国の鉄道ファンから注目を集めていました。
そんな以前は賑わいを見せていた室蘭本線とその目的地だった苫小牧、
ここからは沿線に残っているかつての室蘭本線の歴史を見ていきます!
続きは次回、室蘭本線の末端部は岩見沢~苫小牧に乗車します。
北海バラちらし弁当食べながらお茶を1本分消費したのは秘密です(笑)
前回の続きは新得から、冬の富良野線で旭川を目指します。
【第3日目 4/1(Sun)】
新得14:20~(根室本線 普通 新得行き)~15:46富良野
富良野16:55~(富良野線 普通 旭川行き)~18:16旭川
<<東横イン宮下通り 1泊>>
■冬のラベンダー畑
石勝線の特急トマムサホロスキーエクスプレスを新得まで乗ったあとは、
この日の目的地は旭川を目指して雪景色の残る路線を乗っていきます。
さて、新得からは根室本線・富良野線で旭川へと向かうことにしました。
初夏の富良野線はラベンダー畑が織り成す紫色の絨毯の車窓が見え、
さらにノロッコ列車や富良野に向かう臨時列車が多く設定されています。
それに対して冬は、それほど人気がなくさらに臨時列車の設定も皆無。
富良野線の冬は車内も沿線もそんな閑散としたものなのでしょうか・・・。
北海道のど真ん中を走る冬の富良野線ではどんな車窓が見えるのか、
ここからはそんな冬の根室本線・富良野線の車窓を見ることにしました。
富良野線に乗るためまずは新得から根室本線で富良野へ移動します。
しかし次の列車は14:24発。さっきの列車の到着から1時間はあります。
というわけで、一旦改札を出て駅の待合室で時間を潰すことにしました。
駅にはとりわけ何もなく、有人の駅窓口・売店・立ち食い蕎麦屋があり、
また駅の周辺には町役場を持つまあまあ大きな街が広がっています。
根室本線と石勝線の分岐点として特急が止まっているだけのようです。
そして来る列車を眺め待つこと1時間、改札開始の放送が流れたので、
再びホームに入り浦幌から来る普通列車の到着を待つことにしました。
キハ40系 1756編成
まもなくやってきたのはキハ40系。1両編成のワンマン列車です。
車内はそこそこの乗車率、空いていた左側の座席に座ることにしました。
新得から乗った人のほとんどはトマムサホロスキーエクスプレスからで、
どうやら釧路方面に向かうよりも富良野方面に向かう方が多いようです。
(まあ新得止まりのその列車はそういうための列車だと思いますが^^;)
そして列車はここで新たに数人を乗せると富良野に向けて発車しました。
ここからは再び狩勝峠を越えて根室本線で一路富良野を目指します。
新得を発車すると狩勝峠越えのため線路が大きく蛇行しつつ進みます。
街の西側にはその急な峠の山の斜面を生かしたスキー場が見えました。
さらに列車は狩勝峠を越えながら進んでいくと・・・
狩勝峠の広大な原野!一面に雪が積もっていてきれいですね。
夏は一面緑・冬は一面真っ白となかなか壮大な車窓を見せてくれます!
高く険しくもなだらかな狩勝峠では断続的にそんな車窓が見えました。
列車はそんな狩勝峠を越えるべく、くねくねと蛇行しつつ進んでいきます。
因みに手前に見えるのは防風壁。峠ゆえに強風を防ぐためのものです。
特急列車もこの区間を通るので速達化の妨げになる風を防いでいます。
そして列車はその先の信号所で石勝線と分岐し北へ進んで少し走ると、
狩勝峠を抜けて最初の西側の麓に位置する駅は落合に到着しました。
かつて峠の急勾配に対応するため機関庫が設置されていた駅ですが、
現在では新線の開通によってその機能を失いすっかり寂しい雰囲気に。
(かつて根室本線は違うルートで、現在のルートは急勾配対策のもの)
駅周辺には小さな街が形成されていますが閑散とした様子が漂います。
列車は落合を発車するとだんだんと車窓がひらけてきます。
狩勝峠を越え落合を過ぎると最初のうちは森に挟まれながら走るものの、
だんだんと山が遠ざかり線路の周辺に平地が見られるようになりました。
沿線には民家がぽつぽつ見えこの周辺にはその畑が広がっています。
夏ならば稲穂や農作物の緑が見えますが冬は当然見えるわけもなく、
きれいに雪が田や畑の上にずっしりと乗っかっている車窓が見えます。
そして列車は、川がつくるV字谷のそんな車窓を見ながら進んでいくと、
初夏のラベンダー畑で有名なリゾート地である富良野に到着しました。
富良野駅は根室本線と富良野線の2路線が乗り入れる有人駅。
駅名である富良野とはアイヌ語の「フラ・ヌイ(臭いがする所)」が語源で、
その臭いは街の東側にある十勝岳の噴気や温泉の硫黄の臭いのこと。
それから分かる通り、また街の北側にはラベンダー畑が広がることから、
富良野は初夏の有名観光地として夏に多くの観光客がここを訪れます。
さらに、冬には街の西側にあるスキー場を訪れる観光客で賑わいます。
列車は、富良野は途中駅で終点は根室本線の起点である滝川ですが、
ここからは富良野線に乗るので富良野で乗ってきた列車から降ります。
駅の東側は住宅街を挟んで畑が広がるのに対し西側が街の中心部で、
有名観光地の玄関として駅前に大きなロータリーや建物がありました。
富良野は有名な夏の観光地であるラベンダー畑への玄関口と同時に、
駅西側に聳える山を利用したスキー場などのリゾート地でもあります。
なるほど駅の西側が中心部として賑わっている理由が分かりますね。
列車から降りると目の前になにやら記念碑が置かれていました。
実は、富良野は地理的に北海道のちょうど真ん中に位置している街で、
そのため『へその街』と呼ばれこれも富良野観光の1つとして有名です。
さらに、昔ワールドカップが開催されたことがある「富良野スキー場」や、
ドラマ「北の国から」のロケ地としてより一層全国に名を轟かせました。
さて、ここからは冬の富良野線に乗って旭川を目指します。
しかし次の富良野線の列車まで1時間あるのでまた待合室にいることに。
乗り換え時間が1時間もあるなんて、なかなかまったりとした旅です。
駅には、有人の窓口・売店・待合室・立ち食い蕎麦屋が設置されていて、
また駅前には観光地への玄関口となるロータリーと中心街が見えます。
さらに旅客の駅だけではなく駅の西口北側にはJR貨物の駅が併設され、
収穫時期には富良野で作られたジャガイモなどの農作物を輸送します。
駅舎も大きくいかにも富良野市の中心街にある駅の風格がありますね。
ちゃっかり駅の「ふらの駅」の文字がラベンダー色になってます(笑)
駅の周辺には雪が路肩に避けられ、整備されている様子が分かります。
駅舎や設備も日本有数の観光地の玄関らしく清潔に保たれていました。
そんな駅舎で待合室のテレビを見て次の列車まで時間を潰します。
キハ150系
そして発車の15分前、富良野線の列車が改札開始との放送。
富良野線の長旅に備え早めに乗る列車に向かって座席を確保します。
ホームは5番線。富良野線塗装のキハ150系が2両編成で停車中でした。
今回は列車の進行方向左側:線路の西側の座席に座ることにしました。
キハ150系は線路の西側が4人がけ・東側が2人がけのボックスシート。
また座席モケットも富良野線らしく紫色と緑色の2色が使われています。
それにしても、前面の車体に付いている雪と氷柱がすごいですね・・・
道央を走る富良野線の極寒な気候がじりじりと感じられてきました。
側面幕。側面幕はJR北海道の一般的なデザインを周到しています。
基本的に富良野線は旭川と富良野を往復する列車がほとんどなので、
方向幕はなるべく回す手間が省けるように「旭川-富良野」の表示です。
また、行き先の横には「マイタウン列車 ラベンダー」と書いてあります。
実は富良野線は旭川のベッドタウンからの通勤・通学需要も担っていて、
ベッドタウンの中を走るためマイタウン列車の愛称が付けられています。
ラベンダーは、もちろん富良野線沿線の有名な観光ですね。
富良野の駅看板と富良野線の専用塗装の車体を一緒に。
夏の富良野線と言えば沿線には一面ラベンダー畑が広がっていますが、
冬の富良野線と言ってもイマイチピンとくる車窓のイメージがありません。
冬はスキー産業が中心で富良野線には人がおらず閑散とした感じです。
ここからはそんな冬の富良野線に乗りその車窓や様子を見ていきます。
というわけで、そろそろ発車時刻なので戻って発車を待つことにしました。
富良野を発車し貨物駅を過ぎるとまもなく根室本線と分岐します。
根室本線は滝川方面へ西に向かい川に沿って線路が延びていますが、
富良野線はそのまままっすぐ旭川を目指し北に向かい進んでいきます。
すっかり単線になり川を渡ると富良野盆地の平地が広がっていました。
次の駅である学田手前からしばらく線路は直線で北に走っていきます。
しばらく走ると車内放送。富良野線はワンマン運転なので自動放送です。
外国からの観光客にも対応しているのか英語放送も流れていました。
そして列車は富良野の次の停車駅である学田に到着。
駅前の道路は周りに雪が積もっているだけなので奥の山も見えました。
富良野盆地は多少起伏がありなかなか広大な車窓を見せてくれます。
因みに、上の写真は列車が学田駅に停車している最中の写真です。
「ホームがないから降りられないじゃないか!」と思うかもしれませんが、
実は富良野線の小さな駅ではホーム長が1両分しか対応していません。
そのため、乗務員がいる先頭1両がホームに入り、後ろははみ出します。
今回乗っている列車は2両編成で、その後ろの車両に乗っているので、
こんな踏切の上という中途半端な位置に停車しているというわけです。
学田から列車は広大な道央の盆地をほぼ直線に走っていきます。
夏になるとここにラベンダーの紫色の絨毯が広がる車窓が見えますが、
一方で冬にはその畑の上に雪が積もって一面の銀世界が広がります。
しかし、ひたすらそれだけで冬の富良野線はとても閑散としていました。
車内も観光客と思しき人よりも地元の人ばかりでそんなに人は多くなく、
冬の富良野線は観光より地域輸送の役割が大きいのかもしれません。
でもそういう夏とは違った閑散とした雰囲気もまったりしていいですね。
そんな旅情の中を列車はひたすらまっすぐ進んでいきます。
ひたすら直線に列車は進むこと20分、列車は上富良野に到着しました。
上富良野は2面2線の相対式ホームで富良野から5駅の有人の地上駅。
交換設備があるためここで列車の行き違いが頻繁に行われています。
この列車も旭川からの普通列車と行き違いのためしばらく停車します。
まもなく旭川方面から同じラベンダー色のキハ150系2両編成が到着。
やがて信号が変わるとまた列車は北に向かって再び走り始めました。
ここまでは盆地を走ってきましたがここからは車窓が一変します。
上富良野を発車すると、列車はくねくねと蛇行しながら山間部に突入。
十勝岳と芦別岳の山々つくる盆地の北にある深山峠を越えていきます。
車窓にはさっきまでの平地に変わり起伏の激しい山間部が見えました。
木や電柱の柱がこんなに短く見えていて積雪の多さが見て取れます。
もちろん民家は駅の周辺ぐらいにしかなくて、もの寂しい雰囲気です・・・
そんな道央の盆地を分ける小さな峠を列車はどんどん越えていきます。
そして列車は15分かけて峠を越えると北側の麓は美瑛に到着しました。
美瑛駅も2面2線の相対式ホームの地上駅で折り返し設備を有します。
ここからは旭川のベッドタウンを結ぶ通勤路線として機能しているため、
旭川~美瑛を走る列車も設定され通勤・通学客が多く利用しています。
この列車はここでは列車行き違いをせずそのまま発車していきました。
ここからは沿線に広がるベッドタウンを見つつ旭川を目指します。
車窓は峠を越えてまた一変し再び盆地を走っていきます。
しかし富良野盆地と違うところは、沿線に多くの民家が見えるということ。
旭川に近づいていくに連れて車窓から見える民家の数が増えてきます。
ここから列車は旭川のベッドタウンを走るマイタウン列車として走ります。
さらに、列車の運行本数が増えて列車の行き違いの回数も増えました。
美瑛から2駅の千代ヶ岡でいきなり美瑛行きの列車と行き違いします。
この列車は旭川に行く列車なのでこの時間は依然閑散な車内ですが、
旭川からの美瑛行きの2両編成の列車にはまあまあ乗客がいました。
いかに道央を代表する最大都市である旭川が大きいか分かりますね。
さらに千代ヶ岡から2駅の西神楽でも列車の行き違いのためしばし停車。
旭川まであとちょっとだと言うのに全くまったりした普通列車ですね(笑)
今度は富良野行きの列車と行き違いをすると、西神楽を発車しました。
さてここから列車は住宅街が広がる旭川市街地を進んでいきます。
西神楽を発車するとこの先には待避設備がある駅は終点までないので、
この後は順々に駅に停まって乗客を乗せつつ終点の旭川に向かうだけ。
旭川南部に広がるベッドタウンをマイホーム列車が走り抜けていきます。
そして高架線になりつつ忠別川を渡れば、そこは終点の旭川です。
というわけで列車は富良野線の終点である旭川に到着しました!
去年の夏に開業したばかりの明るく近代的な旭川新駅舎に迎えらます。
その駅に多種多様な車両が往来し、いかにも中心都市の駅の雰囲気。
今回はそんな道央の中心都市である旭川で1泊することにしました。
翌日からもまだまだ北海道を乗り潰すので今日はここに宿をおきます。
駅近かつ安いビジネスホテルである東横イン宮下通りが今宵の宿です。
さてホテルに向かう前にちょうどいい時間なので夕食にしましょう。
旭川に来たならば、やはりここは旭川ラーメンを食べるべきですよね?
もちろん今回も駅から近いところで旭川ラーメンを食すことにしました。
■熱い道央の冬
旭川駅から徒歩5・6分、駅前通りから外れたところにその店はあります。
「らーめんや天金」、旭川ラーメンの店の中でも駅周辺で人気の店です。
駅前通りからちょっと入ったところですが赤い看板と暖簾が目立ちます。
実は旭川でもかなり歴史のある店で暖簾も昔から受け継いできたもの。
昔からこの地に定着していて現在までも多くの人から好まれています。
店内に入ると威勢のいい店員が迎え入れて席まで誘導してくれました。
今回はチャーシュー麺を。店はほぼ満席でしたがすぐに出てきました。
まずはスープをば・・・やはりあっさりしつつ香ばしい味が美味い!
さらに特徴的なことに、天金のスープは魚介を入れず豚骨だけを使用。
なるほど通りで厨房の方から漂ってくる豚骨臭がすごいわけです(汗)
でも心なしかちょっとその香ばしさが逆にしょっぱかった感じがしました。
麺は昔から地元の製麺所のものを使っていて、中細の軽く縮れた麺。
スープの味とちょうどよく合っていて、これまたなかなか美味いです。
さらにトッピングのチャーシューは柔らかく、メンマもコリコリとしたもの。
全体的には、香ばしい豚骨スープと麺がよく合ってなかなかでした。
流石歴史的な有名店、旭川ラーメンをしっかり受け継いでいますね。
たらふくラーメンを食べた後はホテルに向かいます。
駅から2分という近いところに今回泊まる東横イン宮下通りがあります。
フロントでチェックインを済まし鍵を受け取って10Fのツインルームへ。
そして今宵の部屋のドアを開けると、やはり東横インらしい部屋でした。
配置・設備はどこの東横インのツインルームも同じで見慣れた感じ。
とりわけ新しく何もすることがなく、翌日の準備や支度を終えた後は、
早速部屋にみんなを呼んで夜遅くまで宴会をしていることにしました。
そして結局寝たのが深夜3時頃という暴挙をなしとげたのでした^^;
・・・
冬の富良野線は終始とても閑散とした雰囲気が感じられる路線でした。
夏に比べ観光客や旅人は大きく減り、もの寂しさがせざるを得ません。
しかし、冬の富良野線では一面深雪の車窓を見ることができます。
夏には緑が被い茂りラベンダーも見える広大な風景が広がりますが、
冬には一面の雪景色が向こうの山まで続く広大な風景が広がります。
冬の富良野線は夏の富良野線と違った広大さを持っているわけです。
夏ばかり取り上げられ確かに冬は見所があまりない富良野線ですが、
逆にそんな車窓や雰囲気を味わってみるのもいいかもしれませんね。
続きは次回、旭川から北海道をまだまだ乗り歩いていきます。
名前に「本線」と付きながらすっかりその雰囲気がないあの路線です。
前回の続きは札幌から、北海道でもリゾート列車に乗りまったりします。
【第3日目 4/1(Sun)】
札幌11:05
~(特急 トマムサホロスキーエクスプレス 新得行き)~13:23新得
■リゾート列車でまったり旅3
北海道にも、ジョイフルトレインと呼ばれる専用の観光列車があります。
特に、ニセコExp.・クリスタルExp.・ノースレインボーEXP.が有名で、
季節を通じて道内での様々な路線や方面の臨時列車として走ります。
中でもスキーの時期に走る特急「トマムサホロスキーエクスプレス」は、
札幌から石勝線を通り新得へノースレインボーEXP.が使用されます。
その名の通り北海道有数のリゾート地トマムに向かう観光特急列車で、
冬から春にかけてのスキーシーズンは多くのレジャー客で賑わいます。
札幌近郊でDD51貨物や旭山動物園号を撮影し札幌に戻ってきた後は、
急遽乗ることに決めた次の列車の切符を取り発車まで待っていました。
予定していた留萌本線は土砂流入による不通でご破算になりましたが、
時刻表を見ていると「特急トマムサホロスキーエクスプレス」号を発見。
北海道のジョイフルトレインに乗り石勝線の車窓を見られるいい機会、
今回は代替案としてそれに乗り大回りで旭川を目指すことにしました。
となると、新得からは根室本線・富良野線を経由することになります。
石勝線・富良野線は乗ったことがなく、冬の根室本線も見てみたいし、
やっぱり何と言ってもジョイフルトレインの旅というのも気になるところ。
というわけで今回はそんなノースレインボーEXP.の季節列車に乗って、
冬の雄大な石勝線の車窓を見つつ終点の新得に向かうことにしました!
キハ183系-5200番代 ノースレインボーエクスプレス
列車の入線時刻は10:53。それに合わせ発車するホームに向かいます。
この行程は代替案として急遽決めたものだったので今回は自由席です。
自由席はちょうど車両中間の3号車。既に乗車口に2人並んでいました。
しかしホームのどこの乗車口にもたったそれだけしか見えませんでした。
とりあえず自由席座席を確保すべく自由席の乗車口に並んで待ちます。
そして入線時刻、これから乗るトマムサホロスキーエクスプレスが入線。
真っ白な車体にはそれぞれの車両が虹のようにカラフルな塗装がされ、
いかにも北海道を走る車両らしいデザインというものが感じられますね。
キハ183系5200番代はジョイフルトレインというリゾート列車の一種で、
車両にノースレインボーエクスプレスという愛称が付けられています。
JR北海道のリゾート列車の中では一番新しい1992年製の新造車両。
しかし機能的にはキハ183系と共通設計のためキハ183系に属します。
列車は5両編成で、1・2・4・5号車は展望を重視したハイデッカー仕様。
3号車には1階:ラウンジ・2階:自由席をもつ2階建て車両を連結します。
また塗装はラベンダー・ブルー・ライトグリーン・オレンジ・ピンクの5色。
まさしくレインボーのデザインは、内外装とも同一系統で配色されます。
ジョイフルトレインと言えば、旧型車両を改造することが一般的ですが、
この車両は従来のリゾート列車を置き換えるために登場した新型車両。
そんなリゾート列車の末っ子がこのノースレインボーエクスプレスです。
入線してまもなくするとドアが開き車内に入れるようになります。
今回は自由席なので3号車2階席へ。進行方向右側の座席をとります。
まずは荷物をおいて車内散策をば。北のリゾート列車のは如何に・・・?
1~5号車 普通車指定席・普通車自由席
座席やシートピッチはJR北海道の一般的な特急車両と同じものですが、
1・2・4・5号車はハイデッカー車のため展望しやすいようになっています。
ハイデッカー車でも地上から3mとおよそ2階に相当する迫力がある高さ。
さらに窓が天井まで伸びて大きかったりと、展望が重視された設計です。
3号車はダブルデッカー車のためにもとより展望がしやすい設計ですが、
天井が低いのでどうしても窓が小さくなってしまうのがやむをえません。
天井や窓が高く開放的な指定席より圧迫感があり閉塞的な雰囲気です。
1~5号車の車内設備は全て同じで、各座席にオーディオ操作盤を完備。
座席にあるチューブ型の専用ヘッドホンで各チャンネルを視聴できます。
また天井にモニターが設置され、観光案内や前面展望が放送されます。
座席のグレードや設備こそは指定席座席と自由席座席で同じなものの、
やはり自由席車両は天井が低くなっていて閉塞感が強い感じがします。
(現に座席に出入りする時天井に何度も頭をぶつけていたほどです^^;)
それにしても、内装からは普通の特急列車の平凡な雰囲気がしますね。
展望が優れている点以外からはリゾート列車の風格が感じられません。
1~5号車 普通車自由席・普通車指定席
横から見てみると、やはり展望を重視した窓の大きさがよく分かります。
テーブルは前の座席と肘沖に格納されたものの2つで、十分な広さです。
またチューブ式ヘッドホンとJR北海道の車内誌は座席のモケットに収納。
もちろん、自宅では使えませんが記念としてどちらも持ち帰り自由です。
その他の座席や車内の設備は一般的な特急列車の設備に準じたもの。
一般的な特急車両にリゾート列車の最低限の設備を付けた感じです。
リゾート列車と言えども内装は一般的な特急車両とだいたい同じ雰囲気。
閉塞感を感じるのも、その無機質なプラスチックのせいかもしれません。
3号車 フリーラウンジ
ダブルデッカー車の3号車2階には自由席座席が設定されていますが、
1階部分には乗客が誰でも使うことが出来るフリーラウンジがあります。
長いソファーとテーブル3つ・反対側には棒椅子と窓際に簡易テーブル、
また前面展望のモニターや長時間乗車する子供のために玩具も完備。
全体的に木目調の雰囲気で統一され、落ち着いた高級感が漂います。
客室とは違いカーペット敷きに木目調で高級感が感じられるラウンジは、
いかにもリゾート特急列車のフリースペースといった雰囲気があります。
しかしながら誰でも使える気軽さもあり、フリーラウンジらしい空間です。
(そしてJR北海道さん、ちゃっかり机の上にオレカの宣伝を忘れないのが憎い!^^;)
3号車 フリーラウンジ(ビュッフェ)
また現在ではカーテンで隠されて見えませんが小さなキッチンも完備。
立派なシンク・冷蔵庫・コーヒーサーバー・電子レンジなどが設置され、
軽食類などを提供できるプチビュッフェとして機能することができます。
しかしシンクや全体的に綺麗でさほど使い込まれた感がないことから、
今までここのキッチンはビュッフェとして機能したことがないのでしょう。
現在では乗務員などの荷物置き場として使われているようです。
カーテンを開けてみると、そこには立派な設備のキッチンがありました。
せっかくこんな設備があるなら使えばいいのに・・・と思ってしまいます。
しかし車内を見て回ると、乗客は1車両に1・2組程しかいませんでした。
なるほどこの程度では利益も見込めず使われるはずもないでしょうね。
乗車率の低さが故に営業できないとは、いやはや残念なものです・・・
1・5号車 普通車指定席(最前列)
また車両の前面を見て分かるとおり、先頭の窓は大きくなっているため、
先頭1or5号車の最前列の座席からは前面展望を臨むことができます。
石勝線の沿線に広がる原野の雄大な景色を間近に見られる座席です。
運転席も少し低く設置されているので障害物がなく前面展望できます。
写真右の四角い箱、おそらくあれが前面展望を撮影するカメラでしょう。
先頭車はもちろんのこと各座席でしっかり展望が確保されていますね。
札幌の発車までの停車時間は12分、そろそろ自分の席に戻ります。
自分の席で発車するのを待ちます。いよいよ石勝線の旅が始まります!
そして11:05、列車は定刻通りに札幌を発車していきました。
気動車のディーゼル音を轟かせ駅のポイントをゆっくり渡っていきます。
しばらくすると加速して、いかにも特急列車らしい走りをみせてくれます。
列車は千歳線を進むと、札幌のビル群・住宅街から離れていきました。
しばらく列車は石勝線に向けて雪の広がる千歳線を南下していきます。
札幌から少し進むと沿線からは住宅街が消えてすっかり雪野原に。
厚い雲から見え隠れする空の下に雪の積もった休耕田が広がります。
そんな風景を、白い車体のリゾート特急列車が駆け抜けていきます。
が、今まで特急らしい走りだったのに急に列車が減速しはじめました。
おや?と思っていると・・・
ポイントを渡って島松の中線に入線し完全に駅に停車してしまいました。
もちろん島松はノースレインボーエクスプレスの停車駅ではありません。
ではなぜ島松に停車したかと言うと、これは計画通りの停車で・・・
特急列車と快速エアポートが列車の横を颯爽と通過していきました。
そうです、実は島松で後続の速達列車2本の通過待避をするのです!
それにしても特急列車ましてや快速列車に抜かれる特急列車とは・・・
本当にリゾート特急列車なのか疑ってしまうほどのまったりさです(汗)
「特急」と言っておきつつ特急列車としての威厳が点で感じられません。
しかしそのまったりさが逆にリゾート列車らしくていいかもしれませんね。
そして列車は後続列車2本を先行させると、再び発車していきました。
しかし島松を発車すると次の停車駅である南千歳まではたった5駅。
まもなく列車は最初の客扱いをする停車駅は南千歳に到着しました。
ここからいよいよ石勝線、大自然の中をリゾート列車で走っていきます。
石勝線は南千歳と新得(実際は上落合信号所)を結ぶ132.4kmの路線。
(また新夕張~夕張には16.1kmの夕張支線も石勝線に所属します。)
走っている地域の旧名である「"石"狩国」と「十"勝"国」が由来です。
札幌から釧路方面への幹線ルートで1日に何本もの特急列車が往来し、
そのために特急列車を主軸に展開された路線とダイヤになっています。
また「北海道の背骨」と呼ばれる日高山脈を貫く長大トンネルが多いこと、
豪雪地帯を走るために189個ものスノーシェルターがあることも特徴的。
大自然の中を駆け抜ける特急街道、それが石勝線です。
列車は雪の影響で遅れていた石勝線からの特急列車を待ってから、
2・3人を乗せて南千歳を発車し、いよいよ石勝線に入っていきました!
石勝線は道東とを結ぶ特急街道ながら非電化区間でさらに全線単線。
各駅・各信号所は待避設備が整っているので通過待避はできますが、
特急街道のイメージとはだいぶかけ離れた路線風情になっています。
駅のポイントを渡り千歳線を右に見ながら石勝線の線路へ分岐すると、
まもなく林が見えてその林も抜けると広大な雪野原が見えてきました。
千歳線には新千歳空港が隣接し、ある程度の賑わいが見られたのに、
すっかり都会の色は見えず早くも石勝線の雰囲気が漂ってきました。
列車はまず石勝線の平野部を東に向かって駆け抜けていきます。
さてそろそろ昼頃、札幌で駅弁を買っておいたので食すとしましょう。
今回は、札幌駅にて買った「特製幕の内 北海道旅弁当」です!
外箱を見ての通り道内の路線図と特急列車の絵が描かれています。
その名の通り、この駅弁は北海道の名産を集めた幕の内弁当です。
そういえば食べようとしたらちょうどよく車掌から乗車証を貰いました。
スキーの冬らしく雪の結晶の青い背景に、充当される車両の写真、
そして「特急トマムサホロスキーエクスプレス乗車記念証」の文字。
流石はリゾート特急列車、乗車証明書はいい記念になりそうですね^^
開けてみると、多くのおかずで色とりどり。無論、全てが道内産です。
左側にはご飯・右側には肉や魚などおかずが一品ずつ並んでいます。
牛肉の塩加減はちょうどよくご飯はすすみ、魚介類はさっぱりとした味。
駅弁のネックである冷たさもありながら食感は柔らかくなっていました。
やはり幕の内弁当は品数が多いので味に飽きてしまうのはありません。
北海道の中心であり食が各地から集まる札幌ならではの駅弁ですね!
列車は追分を過ぎたあたりまでひたすら平野部を走っていきます。
空港周辺は平地のため農場・ゴルフ場の平地が多く沿線に見えました。
しかし山がどんどん高くなると、山脈が聳える山岳地帯を知らせます。
山脈を東へ突っ切るべく特急らしい走りで石勝線を駆け抜けていきます。
そして川端を通過し石狩川支流の夕張川を渡るといよいよ山岳地帯へ。
列車は極寒で水面に氷と雪が積もっている大きな川を渡っていきます。
手前に石勝線の旧線の橋脚が何個も未だ残っているのが見えました。
実はかつて石炭の輸送力を強化するため一部複線だったことがあり、
現在は単線になりましたがまだその名残が沿線に多々残っています。
昔の石炭産業が栄えていたことが今の特急街道を形成したのですね。
さて、ここからは極寒の車窓の石勝線の山岳地帯を走っていきます。
さらに平野部は直線だった線路も山岳部では夕張川に合わせて蛇行。
何度も川と並走したり渡ったりして、豪雪地帯の風景を見せてくれます。
因みに同区間を道東自動車道が並走し同じく何度も線路と交差します。
帯広まで伸びるため札幌から道東へ向かう高速バスは競争相手です。
しかし石勝線特急は最高130km/h運転と速達性に優れているのに対し、
最近はトンネル内火災や脱線事故など信頼が低下しているのが現状。
速達な鉄道か安全な高速バスか・・・今後の課題になりそうですね。
(こういう時こそリゾート列車で大きく売り込めばより多く乗客を集められそうですが・・・)
列車が山岳地帯に入ると豪雪地帯が故にスノーシェルターが増えます。
信号所や駅のポイントがある場所にあり、雪による誤作動を防止します。
石勝線には単線かつ駅が少ないので通過待避を行える信号所が多く、
そのためスノーシェルターの数もおよそ200ヶ所と道内最多を誇ります。
またポイントが多くなると制限速度が出来るので線路は高速化に対応。
列車は何ヶ所ものポイントを特に揺れも少なく高速で走っていきました。
そして列車は新夕張を通過するといよいよ日高山脈を貫いていきます。
「北海道の背骨」と呼ばれるほど標高が高く険しい山脈部に突入すると、
その山々を貫くため4~6kmのトンネルが断続的に続くようになりました。
また新夕張以東の沿線には駅周辺を除いて人が住む地域が殆どなく、
そのため新夕張~占冠駅間は34.3kmと日本最長駅間になっています。
因みに、駅の数と信号所の数を比べると信号所の方が多いのも特徴で、
さらにそれが故に新夕張~新得は特急しか走っていないのも有名な話。
沿線の閑散とした様子が列車の運行形態からもよく分かりますね。
トンネルが断続的に続く中でもひょこっと車窓が見えるところもあります。
見ると山が連なり雪が積もった冬の枯れ木の林が周囲に見えました。
列車は何本もの長大トンネルを抜けて道東を目指して走っていきます。
何本もトンネルを抜けると列車は徐行して、やがて占冠に到着しました。
南千歳を発車すると次はトマムに停まるので占冠で客扱いしませんが、
根室本線からの特急列車の通過を待避するために運転停車をします。
新夕張ですら通過するのも占冠で折角停まるのに客扱いをしないのも、
リゾート列車が故にリゾート客しか乗せない列車だからでしょうか・・・
車内はそれぞれの号車に2・3人だけで閑散とした雰囲気が漂います。
通過待避というわけでラウンジの前面展望モニターから確認してみます。
(モニターをそのまま撮っているので解像度が低く見づらいのは勘弁してください・・・)
するとまもなくキハ261系のスーパーとかち号が入線して停車しました。
ホームを見ているとキャリーバッグを持った観光客が多く見られたので、
やはり観光客や道東に向かう人のための速達路線だと分かりますね。
スーパーとかち号が入線すると、まもなく列車は占冠を発車しました。
占冠を過ぎると山岳地帯を抜けて車窓が一気に変化します。
沿線には山が連なる風景が多く見られるものの平地が再び見えました。
山脈を通過して天気も変わり雲が少なく青空でカラッとした雪晴れです。
そんな壮大できれいな雪景色の中を列車は走り抜けていきます。
そしてそんな風景を走っていくと、列車はトマムに到着しました。
この列車名の由来にもなっている道内屈指のリゾート地の最寄駅です。
石勝線は地域の特徴から沿線に人が住みつかず閑散としていましたが、
その気候・地形を生かしたスキーなどのリゾート地計画が開発の始まり。
駅に隣接して建設されたリゾート地は「アルファリゾートトマム」と呼ばれ、
1年を通じて観光を楽しめる複合リゾート地として現在も賑わっています。
(ただし、現在は運営会社が変更されて「星野リゾートトマム」に改称)
そのためこの駅はリゾート地を利用するレジャー客が主になっています。
トマムでは乗客の大半が降りそれと同じくらいの人数が乗ってきました。
ホームにはスキーグッズや旅行鞄を持ったリゾート地の利用客が溢れ、
いかにここのリゾート地のスキー場が有名で人気なのかが分かります。
そういえば、「トマム」っていうカタカナだけの駅名って珍しいですね。
日本に7駅しかない内の1駅だそうで、いかにも北海道らしさがあります。
(因みに「トマム」っていうのはアイヌ語で「湿地」という意味だそうです。)
乗車券だけで乗れる区間だから盛況なのか車内は少し賑わいました。
とは言えどリゾート地から帰るグループ客がちらほら乗っている程度、
やはり各車両には数人が乗っているだけで乗車率は低いままでした。
さて列車は一面に雪が積もった平地を見ながら山間部を走っていくと、
上落合信号所で根室本線と合流して難所である狩勝峠に突入します。
石勝線はここまで、ここからは根室本線で新得まで走っていきます。
線路は狩勝峠越えのため何度も大きく蛇行しつつ新得を目指します。
そのカーブを抜けて狩勝峠の麓に来ると、列車はまもなく新得です。
そして札幌から2時間半、列車は終点である新得に到着しました!
狩勝峠の麓に位置するこの駅は機能上では石勝線の終点である駅。
また根室本線の途中駅であり、全特急が停車し相互直通をしています。
因みに駅名の由来はアイヌ語の「シリトク→シントク」(山の突起)から。
山から突き出して一際高い峠の麓として名付けられたのでしょうかね。
キハ183系-5200番代 ノースレインボーエクスプレス
札幌からここまで乗ってきたノースレインボーエクスプレス。
リゾート列車ながら一般的な特急の姿もあるアコモが特徴的でしたね。
そうでありながらも設備はなかなかよかったのでまた乗りたいです!
この先はまだまだ道東に向けて根室本線がひたすら続いていますが、
トマムのリゾート地にレジャー客を運ぶこの列車の役割はここまで。
ここから乗客は各々の行程に合わせて根室本線に乗っていきます。
トマムサホロスキーエクスプレスは折り返し準備のためしばし休憩~
新得駅看板とともに。やはり横から見てもハイデッカーが目立ちますね。
この後は次の列車まで1時間あるので駅の待合室で待つことにしました。
・・・
結局トマムサホロスキーエクスプレス号は終始閑散とした乗車率でした。
臨時列車だからなのかそんなには知名度が高くないのかもしれません。
しかし、内装は一般的なものの車内にはリゾート列車らしい設備が多く、
石勝線の雄大な車窓を一段違った別の視点から見ることができます。
自然の壮大さや険しさ・路線の歴史を感じることができるそんな石勝線、
ジョイフルトレインに乗ってまったり・・・こんな旅も如何ですか?
続きは次回、新得からは雪景色を見つつ旭川まで向かいます!
そういえば、トマムサホロスキーエクスプレスは4/1までの運転だとか。
最終日でセーフ・・・もしこれがなかったら行程は完全に崩壊だった(汗)
前回の続き、まずは急行はまなすを降りた札幌からです。
【第3日目 4/1(Sun)】
札幌06:24~(千歳線 普通 東室蘭行き)~06:42上野幌
<千歳線撮影@上野幌(8771レ)>
上野幌07:17~(千歳線 普通 手稲行き)~07:47札幌
札幌08:05~(函館本線 普通 江別行き)~08:18森林公園
<函館本線撮影@森林公園(旭山動物園号)>
森林公園08:59~(函館本線 普通 手稲行き)~09:12札幌
■早朝の重連貨物
711系 S-117編成
急行はまなすに乗りまだまだ寒さが残る3月早朝の札幌に着いた後は、
まず札幌圏の鉄道を撮影しに次の列車に乗るべくホームを移動しました。
ホームには急行はまなすの他に元急行用の711系やキハ40が停車中。
721系や731系や新型の733系など新しい車両が往来する札幌圏ですが、
朝は車庫からの送り込みを兼ねて札幌発の711系が設定されています。
早朝の札幌は国鉄時代を彷彿とさせるとても昭和チックな雰囲気です。
さて、まずは早朝を走る"北海道らしい貨物列車"を撮影しに行きます。
臨8771レ、苫小牧から千歳線を経由して札幌貨物ターミナルまで結ぶ、
DD51の貨物機が重連で牽引して運転する臨時の石油貨物列車です。
「重連」に惹かれ今回は近場の上野幌駅で8771レを撮ることにしました。
(因みにはまなすを札幌まで乗ったので上野幌駅で撮る以外時間的に厳しいです^^;)
721系 F-3202編成
上野幌は構図の左側に架線柱が入りますがきれいな直線で撮影可能。
まずは、721系5次車のF-3202編成6両編成の普通列車が到着しました。
光が弱い朝日で側面のステンレスが微反射しいかにも早朝の感じです。
731系 G-118編成(左) と 283系(右)
駅にはホーム付きの中線がありますが、線路に雪が積もっていました。
てっきり中線は普段は使わないと思っていましたが、2番線に接近放送。
すると731系の普通が入線しその後283系の特急が通過していきました。
どうやら普通列車の優等列車通過待避の時に使われているようですね。
そして731系の普通列車が発車すると、いよいよ8771レがやってきます。
臨8771レ DD51-1184(原色)+DD51-1047(B更新色)+タキ16B
4/1の臨8771レはDD51-1184+DD51-1047の重連総括運転でした。
正直、日曜日だし荷物の両数はおろか最悪運休も予想していましたが、
黒タキが混ざったタキ16両というなかなかの長編成でやってきました。
しかもDD51-1184は原色、さらに故障していて最近運用復帰した釜!!
後ろはDD51-1047でB更新色でしたがやっぱりDD51の重連は格別です。
因みに、DD51の仕様を見分ける方法のひとつに「ライト周り」があります。
ライト周りに、白帯が入っていれば原色・灰色帯が入っていればB更新。
DF200は石北本線と根室本線の釧路以東には入線できないのに対して、
DD51は道内のどこへでも入線でき使用可能線区が多いのが利点です。
そのため、A更新やB更新の延命処置を施して現役で運転されています。
つまりその線区に対応した機関車が新造されない限りDD51は当分安泰。
これからもDD51の貨物機はじっくり狙っていきたいですね。
決まったところで次の撮影地に向かうことにしました。
次は函館本線を走る特急の中でも特に異端な「旭山動物園号」を撮影。
編成ごとに外装・内装が異なっているというなんとも派手な観光列車。
区間撮りがあまりないのでまた駅撮りで森林公園で撮ることにしました。
札幌貨物ターミナルで8771レの入換を見つつ、札幌経由で向かいます。
3005M 特急スーパーカムイ5号 789系 HL-1004編成
まずは特急スーパーカムイから。単編成はきれいな直線で収まります。
流石スーパーカムイ、乗車率そこそこに朝の函館本線を駆け抜けます。
141M 721系 F-6編成+F-*編成
711系は全5次車まであり、3両編成だったり6両編成だったりと様々です。
基本的に編成番号に0番代が振り分けられたのが主に普通列車運用で、
編成番号に3000番代が振り分けられたのが主に快速エアポート運用。
(130km/h対応改造がなされた編成は見分けるために編成番号+3000がされました。)
この普通列車は1次車が2編成連結して6両編成をつくっていました。
そして721系を撮りながら待つこと50分、目的の列車がやってきました。
8061D 特急旭山動物園号 キハ183系
前から青・赤・黄色・緑・水色と、5両と短いながらなかなか派手な塗装。
さらに車体側面にはそれぞれの色にちなんだ動物が描かれていました。
側面重視で側面を大きく入れて撮ってみるのもいいかもしれませんね。
その走りからはまだまだ衰えを感じられず、颯爽と走っていきました。
■北まで届け、未訪の春
森林公園で旭山動物園号を撮影した後は普通列車で札幌に戻ります。
札幌行きの上り列車の車内は札幌へ向かう乗客で混雑していました。
札幌に着くとちょうど改札内にヒーター付き待合スペースがあったので、
次の列車の乗車券を買うべくみどりの窓口が空く10時まで待機します。
そして10時になってから、みどりの窓口で次の列車の乗車券を購入。
再び改札内の待合スペースで次の列車の発車まで時間を潰します。
これで午前の札幌圏の鉄道を撮影するという目的は達成できましたが、
午後から函館本線の支線である留萌本線に乗ることになっていました。
しかし留萌本線が留萌~増毛で不通になり予定通りに行動できません。
そこで代替案として、「石勝線で大回りして旭川に向かう」ことにしました。
札幌から石勝線で新得に行き富良野を経由し富良野線に乗るわけです。
そういえば、石勝線の新夕張~新得は特急列車しか走っていないので、
普通乗車券・北海道&東日本パス・青春18きっぷだけでも乗車できます。
しかし今回はあえて札幌~新得の全区間特急列車に乗ることにしました。
なんでも、札幌から新得まで臨時でリゾート特急が走るというのです。
リゾート列車だし折角なので、始発駅から終着駅まで全区間にしました。
というわけで今回はそのリゾート列車に札幌から乗りまったりしながら、
雪がまだ積もる冬の石勝線・根室本線・富良野線を見ることにします!
続きは次回、再び札幌駅からそのリゾート特急列車に乗ります!
実を言うと1つ上の画像に赤い文字でしかも「臨時」とまで書いてありますが・・・^^;