みなさん,こんにちは.COLOURS電装長B3の坂本匠です.

今回は,私たちが打ち上げたハイブリッドロケット2号機「翠」の「データ記録」に関する実験結果についてお話しします.

ロケットの打ち上げは,ものすごい振動や衝撃との戦いです.せっかく空高く飛んでも,その時の貴重なデータを記録したメモリが衝撃で壊れてしまったり,書き込みが間に合わなかったりしては意味がありません.

そこで今回の実験では,FRAM(エフラム)という特殊なメモリを搭載して,無事にデータを持ち帰れるかどうかの検証を行いました.

 

 

 

そもそもFRAMってなに?

 

まずは,今回の主役であるFRAMについて少し説明しますね.

上の写真の真ん中にある小さな黒い四角いものがFRAMです.足が8本もあってクモみたいですね.

通常,パソコンなどで使われるメモリ(RAM)は,電源が切れるとデータが消えてしまいます.一方で,SDカードやUSBメモリなどは電源が切れてもデータは残りますが,データの書き込み速度が少し遅かったり,書き換え回数に制限があったりします.

FRAM(強誘電体メモリ)は,この両方のいいとこ取りをしたようなメモリです.

  1. 電源が切れてもデータが消えない

  2. 書き込みスピードがものすごく速い

  3. 衝撃や放射線に強い

前回の打ち上げでは,衝撃が原因と見られるデータの欠損が起きてしまいました.そこで今回は,より衝撃に強いこのFRAMを導入してみたのです.

 

 

 

 

 

 

 

実験の結果:予想外のハプニング!

今回のロケットは,離床(打ち上げ)から着陸まで約20秒でした.

FRAMは,ロケットが発射準備完了になったタイミング(アップリンクでのステータス変更時)から時間を0としてカウントし,データを保存する仕組みにしていました.

ドキドキしながら回収したデータを解析してみると……ちょっとしたトラブルが起きていました.

データを見ると,0秒から11秒までの記録があった後,突然時間が飛んでしまっていたのです.

原因を調査したところ,どうやら「マイコンのリセット」が起きてしまったようです.

ロケットが着陸した後,他団体のロケットの打ち上げの関係で,私たちが機体を回収しに行くまでに少し時間がかかってしまいました.その間に電池が切れかけてしまい,制御用コンピュータ(マイコン)の電源が落ちてリセットがかかったと考えられます.

その結果,最初に記録していた「一番重要な飛翔中のデータ」の上に,リセット後の新しいデータが上書きされてしまったのです.これは悔しすぎる!

それでも成果はあった!

「じゃあ,失敗だったの?」と思われるかもしれませんが,そうではありません.

残っていたデータをつぶさに解析すると,非常に重要なことが分かりました.

  1. パラシュート展開後のデータは生きていた

    私たちの撮影した動画と照らし合わせると,打ち上げから約10秒後にパラシュートが開いています.今回,回収できたデータには,パラシュートが開いてから着陸するまでの約5秒間のデータが綺麗に残っていました.

  2. 気圧データの推移

    記録されていた気圧のデータを見ると,一定の割合で数値が変化した後,一定値(着陸して動かなくなった状態)になっていました.これは,パラシュートによって機体が減速し,安全に着陸できたことを裏付けています.

 
 
 

まとめと今後について

今回の実験で一番確認したかった「FRAMはロケットの激しい振動や衝撃に耐えられるのか?」という点については,自信を持って「そうである.」と言える結果が得られました.

データの一部が消えてしまったのは電源管理やプログラムの問題であり,FRAM自体の性能はバッチリでした.

この実験で,FRAMがロケットの制御用メモリとして十分に信頼できることが確認できました.今回の反省点である電源周りやプログラムの問題を改善しつつ,次回のミッションではこの強靭なメモリをフル活用していきたいと思います.

これからも引き続き応援よろしくお願いします!

 

 

 

こんにちは!COLOURS電装系長を務めている,B3の坂本匠です.

今回は,現在開発を進めているハイブリッドロケット3号機の電装部分の目標を書こうと思います.

 

そもそも電装ってなんなん?て思った方は,ぜひ過去のこの記事を読んでから見てもらえるとわかりやすいと思います.

 

 
 

3号機のミッション概要

今回のCOLOURS(3号機)プロジェクト全体の目的は,「海打ち(海上発射・海上着水)を実施するうえで必要となる要素技術を習得すること」です.

 

今回の打ち上げ実験自体は陸上(和歌山県加太)で行いますが,将来的にロケットを海に向かって打ち上げ,着水したロケットを回収することを想定し,電装系にはこれまでの機体からのレベルアップを図っています!

具体的に,電装系が達成すべきミッションは大きく分けて以下の2つです.

 

1. 海上環境下を見据えた「ロスト対策」と「水密性」

海の上にロケットが着水した場合,いち早く機体を見つけ出し,かつ海水によるショートを防ぐ必要があります.そのため,以下の技術確立を目指します.

 

  • ロスト対策(GPS): 広くて,波が大きな海でも機体を見失わないよう,GPSを用いて正確な落下位置を特定します.サクセスクライテリアとして,落下地点のGPS位置情報を半径5m以内の誤差で取得することを目標としています.
  • 水密機構と耐水性: 機体が水没しても電源ラインがショートしないこと,そして水密機構により内部に水が入らないことを目指します.水密機構に関しては構造系のメンバーの協力のもと進めています.
 
 

2. 飛行データの取得と再現性の確認

もちろん,ロケットとしての基本的な性能評価も重要です. 自作シミュレーションの精度を確認するために,以下のデータを取得し,ロケットの軌道を再現できるようなデータを持ち帰ることを目標としています!

  • 取得データ: 加速度,角速度,地磁気,気温,気圧,GPS位置情報

  • 搭載センサ類: 加速度計,ジャイロセンサ,気圧センサ,GPS,無線機など

 
 

今回のサクセスクライテリア

これらをまとめると,今回の電装系のサクセスクライテリアは以下のようになります.

  • ミニマムサクセス: GPSによる位置情報の確認ができること,および水没によって電源がショートしないこと.

  • フルサクセス: 飛翔前から着陸までの加速度・角速度・気圧・GPSデータを取得でき,かつ落下地点を半径5m以内の誤差で特定できること.さらに水密機構により内部への浸水を防ぐこと.

  • エクストラサクセス: 地磁気や気温を含む「全データ」を取得し,指定した時間間隔で正確な位置情報を取得し続けること.

 

まとめ

今回は「海」というキーワードに向けた,電装系としての新しい挑戦になります. 330m級の打ち上げにおいて,確実にデータを持ち帰り,次のステップへつなげられるよう開発を進めていきます.

 

引き続き応援よろしくお願いします!

 

 

 

 

皆さんこんにちは!

ロケットプロジェクト所属,4年生の鳥馬です.

 

今回お話するのは,新入生教育の一環で毎年行っている気球試験のお話.気球試験に用いる放出機構をお手伝いさせていただいた話をしていこうかなと.

「ロケットプロジェクト所属と言いながらなんで放出機構を?」という話ですが,これには浅い理由がありまして…

 

 

 

放出機構って?

 

 そもそも放出機構,もとい気球試験ってなんだって話からしないといけませんね.
 
 SSSRCの新入生が受ける新入生教育は,約半年かけてCansatと呼ばれる模擬人工衛星を作ることで「ものづくり」の流れを体験するというものです.Cansatを作る際にはまずミッションを自分たちで考えて,そのミッションを達成できるようなCansatを作るわけですが,ミッションが達成できるかどうかを試験するのが今回お話しする気球試験というわけです.
 
 気球試験とは,気球を用いてCansatを50mほど上空まで運び,そこから落下させます.Cansatにはパラシュートが取り付けられており,それによってゆっくり地上に着陸した後,何らかのミッションを行います.
 つまり,Cansatを中に入れて,上空で放出するための放出機構が必要になるわけです.
 
 毎年気球試験をやってるってことは放出機構もあるんじゃねぇのかという話なんですが,今年は色々事情があって無くなってたんですよね(ロケットプロジェクトがロケットのパラシュート試験をするために放出機構を解体して使ったとか使ってないとか・・・

・・・そんなこんなで,当時のロケット責任者である僕が放出機構を作らなければいけなかったわけです.

 

放出機構の設計

 では,僕が考えた放出機構の3D CADを見ていただきましょう.

 

図1 放出機構のCAD

 

 ハイ放出機構です.今回意識してることは主に下二つ

 

  • Cansatの大きさが変わっても使いまわせること
 
  • 扉を開けるために使うサーボモーターにあまり荷重がかからないこと
 
 一つ目は,箱を二段構えにしてCansatを入れるためだけの箱を作ることで対策.内箱のサイズを変えるだけでCansatのサイズ変更に対応できます.
 
 二つ目は以下のような仕組みを作ることで解決しました.サーボモーターを上に置きたいがためにめんどくせぇ仕組みになっちゃいました.扉が開こうとする荷重を巡り巡って「支え」が受けてくれるので,サーボに負荷はかからないはず.
 
図2 放出機構の仕組み
 

 

実際に作っていくぞ!

 

 では早速作っていこうということですが,これまた色んな問題が発生するわけですね.全部書いてるとキリがないのでザっと書きましょう.

 

  • コストばかり気にして外側の筒をプラスチックのゴミ箱にした結果,ゴミ箱が完全な円筒ではないためゴミ箱を切り貼りして筒を作る作業が入る
 
  • 3Dプリンターで作る部品を作り直す羽目になったが,そのタイミングで3Dプリンターが壊れたため,失敗した部品を手作業でいじって作り直す
 
  • 3Dプリンターが壊れたため内箱が印刷できなくなり,ちょうどよいサイズの箱を探し回る羽目に
 
  • 切り貼りして筒を作ったせいで径が少し小さくなり,上の蓋が入らなくなったためプラ板,ネジ,テープを駆使して上に取り付ける
 
 行きあたーりばったり♪ ツギーハギーだらけの♪ 放出機構~♪(ミックスナッツ風)
 
 こんなザマでも4年間SSSRCで働けるんだから,「SSSRCなんか大変そう…」と思ってる君たち!大丈夫だぞ!俺もこんなんだからな!
 
 そんなこんなで放出機構が完成しました。こちらです。
図3 完成した放出機構の様子
 
 不完全なマスキングテープと上の方のテープべた張りが作っている時の僕の焦りを表現しているようです.ほんとはデザインに拘りたかったんですけど,全然時間ありませんでした(こだわってもオシャレにはならんだろとか言わない).
 

 

まとめ

 

 こんな感じのグダグダな放出機構でも,出来上がっちまえばちゃんと動作はするもんです.気球試験本番ではちゃんと放出機構の役割をしっかり果たしてくれました

 

 

 というわけで,放出機構の話でした.

 

 さて,12月20日(土)から,SSSRCの各系による1年間のまとめラッシュが投稿されます!

 ぜひお楽しみに!

 

 鳥羽爽馬からでした!