こんにちは,SSSRCでハイブリッドロケット開発の電装系を担当しています,修士1年の九十九です.

年末ということで,今年1年の電装系の活動について簡単にまとめたいと思います🚀

少しでもハイブリッドロケットに興味を持ってくださる方が増えれば幸いです!

 

1年の総括

今年は大阪公立大学初となるハイブリッドロケット1号機「東雲」が発射成功するという素晴らしい1年となりました!

SSSRC内でハイブリッドロケットを開発するCOLOURSプロジェクトが発足してから長い年月が経ちましたが,先輩方が築きあげてくださった技術を伝承し,無事打ち上げることができました.

ロケットの電装部についても色々試行錯誤しましたので,以下にまとめていきたいと思います!

(そもそもハイブリッドロケットとはなんぞやという方はコチラのブログをご覧ください.)

 

1号機「東雲」

 

そもそも電装系って何してるの?

まずは,電装系とは何か!について軽く触れておきます.

簡単に言えば,ロケット内部で電気的に動いているものになります.(と私は思っております(笑))

上の画像の東雲の画像はちょーかっこいいんですが,実は内部にも色々詰め込まれています!

そのうちの一つが電装部で,↓のようなものが入ってます!

 

電装部概観

 

配線が色々ゴチャゴチャしてるのが分かりますよね(笑)(反省してます)

見てわかる通り,電池からマイコン等に電源を供給して機器を制御しています.

ロケットの状態を計測したり,サーボモータを動作させてパラシュートを放出したりします.

 

じゃあそもそも,なんでこんな電装部を積んでいるか!なんですけども,

それは,ロケットに課されたミッションを遂行するためなんですよね.

ロケットってエンジンがあって,ちゃんと安定して飛行する構造設計になっていれば,きれいに飛びますよね.

でもきれいに飛ぶだけじゃ未完成で,飛んだ先で課されたミッションを達成することで初めて完成されます.

そのためには,常にロケットの状態を監視し,適切なタイミングで適切な機器を動作させる制御が必要になります!

それを実現するのが電装部なのです!

色々語ってしまいましたが(笑),つまり電装部はロケットが使命を果たせるかどうかのカギを握る面白い部分なのです!

 

他団体の電装系もググったら色々でてくるので,「ハイブリッドロケット 電装系」で検索です!!

 

東雲の電装系ミッション

では,東雲に課されていたミッションと結果について簡単にまとめます,

ミッションは主に3つあります,

1つ目:ロケットを減速落下させるためにパラシュートを適切なタイミングで放出する.

   結果:地上付近でパラシュートを放出.

2つ目:ロケットの状態を計測する.

   結果:断片的なデータの収集(飛翔中のデータかは不明).

3つ目:地上とロケットでリアルタイム通信を行う.

   結果:燃焼中までの通信に成功.

 

東雲は1号機ということもあり,ロケットがもつべき基本的な性能をミッションとしています.

今回のブログでは,パラシュートの放出について詳しく以下でアプローチ方法と結果を見ていきます!!

 

パラシュートを適切なタイミングで放出

これは非常に重要なミッションになります.

ロケットはデータの回収や再利用のために減速落下させなければいけません.

そのために電装部では,頂点到達付近でパラシュートを外に放出しないといけません.

実際に放出する機構は↓の動画をご覧ください!

 

 

このミッションでは,頂点到達のタイミングをロケット自身が把握することが肝となります.

なんとしても,パラシュートを開かせたかった我々は3つの方法で頂点到達を判断しました.

1.気圧センサ(BME280)を用いて高度の減少を計測する.

2.地上から目視で落下を確認し,ロケットの通信機(IM920sl)に頂点検知コマンドを送信する.

3.シミュレーション結果から頂点到達時刻を事前に把握し,その時刻をある程度超える時間経過で判断する.(燃焼中にパラシュートが放出されないように頂点到達時刻より長めに放出する時刻を決めている)

です.センサのフィルタやパラシュート放出時刻の決め方などもいろいろ工夫しておりますが,ここでは割愛させていただきます.

 

では,結果を見ていきましょう!

 

 

うーーーん,全部は上手くはいかなかったけど,ギリギリでパラシュートが放出できました!

正直とても悔しかったです(笑)

ただ,少しでも減速できたのかロケットの下段は再利用に成功しました!

この結果の我々の考察では,3の時間による頂点検知が作動したと考えています.

ロケットが発射されてからパラシュート放出までの時間が事前に設定していたものと全く一緒でした.

時間での頂点検知は,燃焼中にパラシュートを開いてはいけないことから開くまでの時間を長めに持たせていたので,遅く開いてしまったのはそういった事情があります.

では,1と2はどうでしょうか?

1の気圧センサを使う方法はおそらく作動しませんでいた,原因は2つ考えられていて,

1つ目は,振動によってセンサが外れた

2つ目は,頂点付近で機体が揺れて上手く高度減少が検知できなかった

です.

2の通信機を使う方法は,地上局(発射台付近)からはロケットを上手く目視することができず,コマンドを送信できませんでした.

こんな感じで,正直開発した身としては不完全燃焼なので次号機では改善してパラシュートを頂点付近で放出したいです!

ただ,地上付近であってもパラシュートを放出できたことは一歩前進したと感じております!!

 

まとめ

ここまでブログを読んでくださりありがとうございました.

最後に東雲を開発してのまとめをしたいと思います.

実際に打ち上げてみて,100パーセント満足する結果とは今回なりませんでしたが,現地に行って打ち上げができたこと,そして我々が開発した電装部を検証することができたことは大きな成果だと感じています.

この経験を糧に,次号機では必ず頂点付近でパラシュートを放出したいと後輩が主導となって頑張っておりますので,応援よろしくお願いいたします!

 

そしてもしハイブリッドロケットに興味を持ってくださった方は,SSSRCのロケットプロジェクトCOLOURSに参加お願いします!!!!

打ち上げ直前の緊張感をともに味わいましょう!