姿勢系の一年の活動について 

 

皆様メリークリスマスクリスマスツリー衛星プロジェクト姿勢系一同です。
今回は、姿勢系メンバーが1年でどのような活動を行ってきたかを、担当ごとに報告していきますダッシュ
 

 

  磁気センサ

磁気センサに関しては較正の一年でした.

安いセンサは安いだけの理由があるわけで,感度方向の3軸が垂直に交わってくれていないです.どれだけずれているかを計測結果から推測していくわけです.詳しくは今年の春ごろにブログに書いているのでそちらをどうぞ.

今年を振り返ると,夏の暑い日にセンサの向きを変えながら何度も測定を行ったのを思い出します.磁場が安定した広い場所で測定しなければならないのでI-wingの前の広場で行いましたが,もちろん建物の影もありません.汗を流しながら怪しい機械の周りをうろうろしていた僕は完全に不審者だっただろうと思います.I-wingの皆様,怖がらせてしまって本当に申し訳ないです.

ただもっと怖いことに,当然軸のずれはセンサの個体ごとに異なります.これから使うセンサごとに同じ較正をしていかなくてはいけない......

 

  太陽センサ

みなさまごきげんよう。

12月の朝、太陽がなかなか顔を出してくれず起床に苦労している担当者が、太陽センサの進捗について報告したいと思います。

 

春頃は太陽センサの素子として、4分割型フォトダイオードを選定していましたが開発がうまくいかず、その後にこの素子を用いた方式では太陽センサへの要求を満たさないことが判明してしまいました…泣く泣く4分割型フォトダイオードの方式を諦め、現在はPSD素子を用いた粗太陽センサの開発をしています。

 

ここでPSD素子についてすごくざっくり説明すると、光が当たる位置によって発生する電流量が変わる素子です。PSD素子には電流が出てくる4つの端子があり、それぞれの端子から出力される電流値を用いていろいろ計算することで、太陽センサに対して太陽光がどういった角度で入射したかを割り出すことができます。

PSD素子方式は様々なCubeSatで使用されており、弊団体でもOPUSAT(CosMoz)で搭載しました。使用しているPSD素子は、浜松ホトニクス社製のS5990-01です。

 

S5990-01とその基板

 

昔使っていた技術を再利用するなら開発楽勝なんじゃね...?と思われるかもしれませんが、PSD型粗太陽センサの開発記録についてはほとんど残っておらず、ほぼ0からのスタートでした。

そして開発を続けて8月ごろ、実際にレーザーを用いて下の画像のように試験することとなりました。(配線汚いのは許して...配線ぐちゃぐちゃすぎて電磁ノイズの影響が...とか🤐)

 

太陽センサ試験の様子

 

試験の結果、入射角の変化に対して線形な角度変化の出力を計測をすることができました!まだ結果に誤差が乗っていますが、その点は今後太陽センサの回路や実験装置の改良を行うことで、改善を行っていく予定です。次はちゃんとEMC考えなきゃ...

 

他にも現行の太陽センサには様々な問題があるので、今後はそれらの問題も解決していきます。次回の太陽センサ開発報告もお楽しみにしていただけますと幸いです!

最後まで太陽センサの開発報告を読んでいただき、ありがとうございました!

 

  IMU

次は,IMUについて説明していきたいと思います.下書きを保存し忘れましたが,提出期限までに気付いて,怒られなかったので良かったです!まず,IMUとはについて説明したいと思います.

 

IMUとは,慣性計測ユニットと呼ばれ,物体の運動上体を検出し,計測するためのセンサーデバイスです.IMUは,角速度センサー(ジャイロセンサー)と加速度センサーを組み合わせて,3次元の慣性運動(直進運動と回転運動)を高精度に検出します.主にロボット工学や自動運転技術,ドローン制御など,運動体の挙動を把握・制御するために使用されます. ばいちゃっとじーぴーてぃー

 

今年やったこととしては,静止状態における角速度のデータを収集し,アラン分散を作成することでIMUのスペックを確かめました.アラン分散については以下のように説明されます.

 

アラン分散とは、一定時間ごとに平均化したデータの隣り合う平均との差に注目し、観測時間の長さに応じた信号の安定性を評価する指標である。ドリフトを含むセンサ出力でも、ノイズ特性を時間スケール別に把握できる。 ばいじぇみに

 

実際に,サンプリングレート 1920 Hz の条件でデータを収集し,アラン分散を作成しました.図1に示します.軸の単位は企業秘密ということで,あえて消してます.今回用いているIMUは,SpresenseマルチIMU Add-onボード です.

 

図1 アラン分散(サンプリングレート:1920 hz)

 

得られたアラン分散において,バイアス安定性の値は公称値よりも大きくなっています.(オーダーが違う) そこでデータを確認してみると,かなりの欠損が多いことが確認されました.多分パソコンとの通信速度がデータの取得レートとあっていなかったことが原因だと考えられます.また,データを採取した環境ですが,人が出入りできる環境であったり,振動が多くあったので,本当に正確であるかと言われると正しいとは分かりません.そこで通信速度に合わせて,サンプリングレートを15hzとしたうえで,アラン分散図を作成しました.図2に示します.

 

図2アラン分散(サンプリングレート:15 hz)

 

図2から得られたアラン分散からのバイアス安定性の値は公称値に近いものとなりました.傾きも直線になっていてきれいですね.スプレっセンスマルチmulti IMU add on board が素晴らしいことが証明されました.実際の衛星で使用するためには,外部温度に対する特性の変化やサンプリングレート・ダイナミックレンジに対する変化を調べる必要があります.来年は熱真空試験装置を用いて,実際に温度変化に対する特性を確認したいですね.

 

  姿勢解析

ココからは今年配属となった一番の若造こと佃和寿がお送りしていこうと思います!!

☆☆その前に自己紹介☆☆

  • 人生のバイブルは作品はあことバンビ(作者のサイトを覗いてみよう!)と犬夜叉,メダリスト!!
  • 最近ドはまりしたのはうる星やつら!!気づいたら全巻ポチってた.
  • 広島から来ました.サンフレファンです.
  • 豆知識:実はオタフクは広島のメーカー.(なお大阪でのシェア率は4割だそう,,,広島が掌握する日も近い)

 

閑話休題.

 

姿勢系ではMathWorks社のMATLAB/Simulinkを使ってシミュレーションを作っています.

 

今回は主に発電量と軌道寿命(衛星が運用できない一定の高度を下回るまでにどれだけかかるか?)のためのシミュレーションなので,姿勢挙動の変化はなるべく正確に反映させていますが,制御則はとかは入れていません!(何分期限が厳しかったので,,,)

 

外力としては以下のものを考慮しています.

  • 空気抵抗
  • 太陽輻射圧
  • 重力傾斜(外乱トルクのみ)
姿勢挙動を正確に見たいのなら真っ先に残留磁気トルクを入れろよ!(CubeSat)という指摘を受けそうですが,知識が足りず,,,この冬休みに導入しようかな.
 
結果は見せられないのでお遊びで出したグラフだけ公開します.このグラフは高度変化を表していますが,最初これを見た時はプログラムに誤りでもあるのかと焦りました.高度は徐々に下がっていくだろうに,どうして振動しているのでしょうか?(答えは簡単です.身近な大人に聞いてみましょう)
 
※ヒント:離心率は0.001くらい?に設定していたはずです.すぐには分からなかった僕が馬鹿なだけかもしれませんが,意外と盲点です.
 
<MATLABのココが凄い!>
  • 何といっても行列計算がベースなのがいいですね,,,要素ごとに計算するのではなく,行列とベクトルを2つの文字同士の乗算で計算できる.
  • 関数が豊富です.ある程度複雑な大気モデルまで関数(ツールボックス)化されているのはもはやバグだろ...
  • 結果の出力が簡単.plot()くらいで大枠はできる.あとはキャプションつけるだけ
  • 作ったプログラムをC言語に自動変換できる!!!環境モデルと力学モデル,制御モデルを別々の関数として作っておけば,シミュレーション→実装が誤りなくすぐにできる!
ただ,MATLABで書くとプログラムの把握がしんどいですね.数か月ぶりに見るとどこに何があるのやら...(数か月前の自分にドキュメンテーションさせたい)
書きやすさも大事ですが,自分だけで開発するわけではない以上,制御を入れるタイミングでSimulinkに移行することになるでしょう.SimulinkはBlockSetが強く,これを組み合わせるだけで簡単にシミュレーションを作ることができます(はずです)!!次はこの子達を活用していきたいですね.
この子↑はサンプルモデルです.衛星の制御部分を変えつつ他を微調整すればすぐにできるのでは?と数か月前から考えています.←その数か月の間,僕はいったい何をしていたのでしょうか.
 
当団体ではMathWorks様にライセンスの提供をいただいております.この場をお借りして深く感謝申し上げます。開発に非常に役立っており,大変助かっております!

  磁気トルカ

最近諸事情で開発が止まっていた磁気トルカですが,先週から再び動き始めました.現在は磁気トルカ巻き機の設計をしています.部品の選定や設計はほとんど固まったので,現在はCADモデルを作って設計に問題がないかを確かめています!組んでみると意外と見落としがありますね.1月には完成するのではないか?という見立てです.楽しみにしておいてください.

 

以下は作りかけのCADモデルです.まだアセンブリすら終わってないので,モザイクをかけています.

 

磁気モーメント粗測定器も磁気トルカ完成後に作る予定です.ヘルムホルツコイルは作りましたので(藤井君に作ってもらいました.僕と違って手先が器用な人です),あとはモーメント測定器とジグを用意する必要がありますね.

 

 

メーカーフェア東京では様々な人にお会いして,特に青学の方にアドバイスを色々ともらいました!その節はありがとうございます!!!

  GNSS

後回しにしたことで一番大変だったのはGNSSでした.何よりも知識がないのが障壁で,グランドプレーンや右旋円偏波の意味をググるところから始めたので相当にきつかったですね.現状はこんな感じにしていますが,本当に正しいのか...70*70 mmのグランドプレーンはスペースの関係上取るのが厳しいので小さめにしていますが,果たしてこれでうまくいくのか不安です.有識者の方にCubeSatにおけるGNSSアンテナの実装方法について教えていただきたいです.ご連絡お待ちしております.

 


ということで,私が担当する箇所は以上になります.今年を振り返ってみれば,やり切ったとは言えないシーズンでした.何も思い出せない数か月もありつつ,最近は身辺の整理もしましてペースをつかんできたなという印象です(大阪に来てから2年目にして,ですが,,,).ここからは更に加速していくしかありません.また,今年度は吉田先生を始めとして様々な先生がたや研究室,団体の方に助けていただいた一年でもありました.いただいた助言や知見はどれも大変貴重なもので,助かっております.来年もよろしくお願いいたします!!

通信系のお話

皆様こんにちは。通信系2回の笹井です。本記事では、今年1年の通信系活動記録について、
紹介したいと思います。

送信機について

西無線のTXE145MFMCW-302Aを使用しています。これは衛星に搭載される送信機としては一般的なものです。しかし、パケット通信をするには自分で、通信プロトコルに準拠したビット列を作って無線機にそれを入力する必要があります。ちなみに、アマチュア無線において、よく使われるプロトコルはAX.25です。これはLinux カーネルに標準で実装されているデータリンク層プロトコルの1つとして聞いたことがある人が多いと思います。図1に、デコード試験の様子を張り付けておきます。パケット通信なので、図1のように受信した信号をパソコンのソフトが文字列に変換してくれています。

 
図1 デコードの様子1

受信機について

西無線のRXE430M-301Aを使用しています。これも衛星に搭載される受信機としては一般的なものです。
この無線機は、電波の受信から、復調までを行い外付けのモデムで復調した信号をビット列に直し、衛星側のコンピュータでデコード作業を行います。図2がその結果です。こちらもプロトコルは同じAX.25です。
 

図2 デコードの様子2

アンテナ

通信系では、アンテナについて学習するためにAltairのFekoを用いて図3のようにシミュレーションをまわしています。シミュレーションによってアンテナ周りの電磁界が視覚的に見えて、教科書で見るよりもわかりやすいです。
 

図3 アンテナのシミュレーション

地上局について

この前の雷でコントローラーが壊れてしまい、修理に出したものが戻ってきました(図4)。またPCも新しくするので環境が劇的によくなることに期待しましょう。
 
図4 帰ってきたコントローラー
 

最後に

通信系ではこの一年間、様々な進捗を生むことができました。
今後のSSSRCの活動にご期待ください。
 

 

【ハイブリッドロケット(HR)3号機】構造編 

 

厳冬の候.

皆様いかがお過ごしでしょうか.

最近はインフルに罹患している人も多いです.お気をつけて...

冬至そろそろ来ますね.12/22らしいです.わたしはいま先ほど航空宇宙工学演習の重い課題が終わり,ただいま晩酌中にてこれを書いているところです.B2の岳山です.

 

先月,白鷺祭のOPEN LABでモデルロケットを打ち上げそれについての記事を書かせていただきました!お久しぶりです!またアメブロを書かせていただくことになりました!

 

普段はロケットプロジェクトとして活動しており,ロケットの勉強をしつつ開発をしています.

今回は,作成中のハイブリッドロケット(以下,HR)の構造におけるお話をさせていただきます.

 

 

  1.今後の展望

 私たちの団体,小型宇宙機システム研究センター(SSSRC)のロケットプロジェクト名を「COLOURS PROJECT」といいますが,今まで2024年度の秋に「東雲」というHR初号機を打ち上げ,同年度「翠」という2号機を打ち上げました.共通するミッションとして「飛翔データの確保」「減速機構の展開」がありました. 

 

*飛翔データとは,加速度,角速度,地磁気,気温,気圧,GPSでのx,y,z

 

図1 東雲

 

図2 翠

 「減速機構の展開」は東雲の時はうまくいきませんでしたが,翠で成功しました.しかし,「飛翔データの確保」は両方でうまくいきませんでした.飛翔データの確保をもう一度行うという意味でこの3号機のミッションにも追加しています.さらに,COLOURSは高高度飛翔ロケットの作成も視野に入れており,将来的には海打ちをしなければなりません.ですのでせっかくデータが取れても電源ラインが海に着水してショートして大電流でデータがロスト...そもそも電装部が海水に沈んでお釈迦になる...それを防ぐために水密機構を搭載しなければなりません.水密機構の要素技術実証もミッションの中に入れております.今回のHRの3号機の構造的な構想を軽く紹介したいと思います!

 

 

  2. ロケットの構造紹介

 今回のロケットの構造の特徴はやはり何と言っても電装部を乗せたチューブです.水密を達成しないといけないので水密ボックスなどを作らないといけないですが,今回は電装を乗せたチューブそのものを水密することになりました.かなりの試行錯誤を繰り返して今の形に落ち着きました.翠同様,電装部をすぐに取り出せるようにレール式にしています.

 

図3 電装部を乗せるチューブの3Dモデル

 

 カプラ,タンクマウントのところにOリングで水が入ってくるところをすべて水密するようにします.

 さらに以前までチューブの素材はポリカーボネートでしたが,今回はGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を用います.何と言っても軽い,丈夫!比重自体はポリカーボネートより大きいですが強度や,難燃性はGFRPに軍配が上がります.有限会社スリーホープさんから購入させていただきました!これからがんがんロケット製作に本格的に取り組んでいきます!

 

図4 GFRPチューブ

 

 今現在,ロケット全体の図です.かなり格好良くできていますね!

 

図5 ロケット全体

 

 

  3. 最後に

 今回は構造班のこだわりである「水密チューブ」についてご紹介しました.新しい素材,新しい構造への挑戦は試行錯誤の連続ですが,HR3号機を無事に打ち上げ,必ずミッションを達成できるよう,メンバー一同全力で開発を進めています.寒さが厳しくなってきましたが,熱い心で冬を乗り越えていきます!今後のCOLOURS PROJECTの活動にもぜひご注目ください!  それではまた,次回の記事でお会いしましょう.

良いお年を!!