人事制度の狙いは「人材育成・組織活性化・業績向上」、そして人材育成とは「つなげていく」もの | 人事制度に「人材育成の仕組み」と「業績向上の仕組み」を組み込む法

人事制度に「人材育成の仕組み」と「業績向上の仕組み」を組み込む法

人事制度の策定と運用を実務面からプロデュース

人事制度とは一体何なのでしょうか?

単純に規則や規程といった観点から見ると「社員の仕事ぶりを評価し賃金などの処遇に反映させる制度」です。
言ってみれば、社員の仕事ぶりに応じて、その見返りとして賃金を支給するための制度です(もちろん賃金だけではありませんが)。

しかし、本質は違います。

あくまでも「人材育成・組織活性化・業績向上」が人事制度の本質です。
人材育成だけでも、組織(職場)の活性化だけでも、業績向上だけでもありません。

また、よく「人事制度=人材育成」と言いますが、人材育成のその先、すなわち「業績向上」までをも求めるものこそが人事制度なのです。

また、人材育成とは一体何なのでしょうか。

これは全体を通じたテーマなのですが、人材育成は「つなげていくもの」なのです。

もちろん、スキルアップやモチベーションアップなどは人材育成そのもので、社員にとっても会社にとってもとても大切ですが、もっと根本としての意味で言うならば「つなげていくもの」なのです。

人を育てることで、会社(自分)の「思い」を脈々とつなげていくものなのです。
それが未来に向かって継続することで、「習慣となり、伝統となり、風土となり、社員と会社の成長をサポート」するのです。

このような観点で人材育成を捉えると、スキルアップ策もモチベーションアップ策も従来とは全く違ったものになるのではないでしょうか。


ところで、最近多くの会社で人事評価制度の見直しが進んでいます。何故でしょうか。

これは、日々刻々と変化する経営環境の中で、常に業績を維持し更に伸ばすためには、やはり「人材が基本」だからです。

会社として乗り越えなければならない苦境は幾度となく発生します。

この時期だからこそ、全社員が一丸となって苦境を乗りきる風土と体制、そして「人材」を育てることが必要です。

そしてこれらの実現には、人事制度の正しい策定と正しい運用が必ず必要になります。

しかし、組織の活性化や人材育成が実現できたとしても、皆さんはそれだけで満足でしょうか。

そんなはずはありません。
この時期ですから、そこに売上や利益などの実際の数値成果を必ず求めるはずです。
多くの会社の実態を見ますと、人事制度の運用で実際に数値成果を出すのは大変なようです。

でも、ご提案したいのは、まさにここなのです。
人事制度に限らずどのような制度でも狙いは売上や利益です。
しかも継続的に安定した売上・利益の維持・拡大です。

そして、これらの売上・利益を伸ばすための必要な要件として、組織の活性化や人材育成があるのです。

ですから、これらのいわゆる体質改善の取り組みを軽んじるわけではありません。とても重要な取り組みです。

しかし、体質改善の結果として、そこに何らかの数値上の成果を創出しないと、い企業価値は決して高まっていきませんし存続もできません。

人事制度の趣旨は、体質改善を行った結果として売上・利益の向上を実現するというものではありません。
また、体質改善を無視して売上・利益のみを追求するというものでもありません。

人事制度と業績向上の二つの経営課題をあえてひとつのテーマとし、「人材育成と売上・利益の向上を同時並行的に追求・実現」することにあるのです。

ですから、人事制度は、会社の成長・発展に向けた「業績向上システムの中の重要な基幹的制度」です。

そして更に、社員の成長に向けた「自己実現手段」でもあるのです。

「二兎を追うものは一兎も得ず」ということわざがありますが、ビジネスの世界においては、必ずしも的を射ておりません。
企業環境の劇的な改善が望めない昨今の状況下では、二兎、三兎と複数の新たな価値を追求できる仕組みやノウハウが必ず必要です。


ところで、人事制度は、社員規模が十数名の会社でも必要な制度なのでしょうか?
社員規模が50名程度ならば皆さんも直感的に必要だと思われるでしょうが、果たして十数名の会社やわずか数名の会社でも必要な制度なのでしょ
うか?。

結論は「必ず必要」です。
制度を作ること自体が目的ならば「必要ない」のでしょうが、真の目的は制度作りではありません。

ですから、極論すれば社員が一人でもいれば、その社員の育成と共に社員の行動が業績に直結するような仕組みや仕掛けが必要なのです。

実は、以前このようなことを社員数十数名のある企業の社長にお話したことがありました。

 

そうすると社長から、

 「話は理屈として良く分かります。でも、うちの社員を見てくださ 

 い。言ったことはやるけど言わなければ何もできないし、自分の 

 能力を高めたいといった気持ちもほとんど感じられない。仕事が

 終わると遊びのことしか頭にない。友達とは上手く付き合ってい

 るみたいだが、仕事となるとお客様にきちんと話も出来ない。こ

 んな状況で、人材育成といっても、とてもじゃないがやってられな

 い・・・」

とのこと。

これは、社員のあまりにもだらしない仕事振りを目の当たりにして、つい出てしまった社長のグチなのですが、全て社員に責任があるわけではありません。
社長にも多いに反省し改善して頂かないといけない部分があるのです。

繰り返しになりますが、人事制度の本来の目的は「人材育成・組織活性化・業績向上」です。

しかしこれらを心の底から理解し実践されている企業は、悲しいことにあまり多くありません。

どんなに優秀な人材がいても、どんなに組織が活性化しても、現実としてそれが売上・利益のアップや顧客・販路の開拓などに直結しないと、あまり意味がありません。

人事制度は、あくまでも「制度」です。
例えば、どんなに素晴らしい評価基準書を作成したとしてもそれだけでは絵に描いた餅です。
この評価基準から、自社の経営課題や人材課題を解決する「仕組み」や、売上・利益などの業績数値に直結する「仕組み」を作り出すことが必要です。

これは私の持論ですが、制度と仕組みは違います。
仕組みとは「ノウハウ」そのものです。
人材育成の「仕組み」、そして売上・利益アップの「仕組み」は、それを実現するノウハウそのものなのです・・・・・