管理の本質と人事管理の本質について | 人事制度に「人材育成の仕組み」と「業績向上の仕組み」を組み込む法

人事制度に「人材育成の仕組み」と「業績向上の仕組み」を組み込む法

人事制度の策定と運用を実務面からプロデュース

             ※本テーマへのご感想やお問い合わせは、

                  jinji@sntkei.com

               までご連絡下さい。お待ちします・・・

 

“人事管理”とは一体どのようなものなのでしょうか。

 

一言で言うと人事管理とは、人(社員)に関する様々な事柄を会社

の成長発展に向けて管理することです。

 

それでは、“管理”とは一体何なのでしょうか。

 

健康管理、安全管理、資産管理、業績管理、品質管理・・・などな

ど、管理といった言葉には制御や監視といったイメージがあります

が、その本質は全く違います。

 

管理とは、

 

先々で発生するであろう様々な障害やトラブルを

事前に取り除く活動

 

です。

 

経営者あるいは管理者として、日々発生する諸問題を適切なアド

バイスやサポートで解決することはとても重要です。

 

しかし、それ以上に重要なことは、

 

あるべき姿と現状のギャップを的確に捉えて、

そのギャップが解消しない場合の先々の影響をイメージし、

先手先手で手を打つ

 

ことなのです。これこそが、管理の本質なのです。

 

これは、戦略的で高度な業務であろうが、担当レベルで実施して

いる業務であろうが、全く同じです。

 

例えば・・・

 

営業マンが受注に失敗しますと上司は叱責や指導を行いますが、

これは今後の受注をより確実なものにするために行うものです。

 

何故、失注したのか? 例えば、相手のニーズは正しく把握したの

か、提案は相手のニースに合致していたのか、相手の質問や懸念

にきちんと対応し納得頂いたのか、関連部門やキーパーソンへの

根回しは十分だったのか・・・などなどをきちんと確認し、問題点を

整理し、今後の営業活動の改善に取り組む必要があります。

 

すなわち、これらは全て、今後の営業活動における障害やトラブル

を事前に無くすための活動なのです。

 

ただ単に、感情的に問い詰めたり、精神論に終始しても、あまり効

果的ではありません。

普段行っている部下への叱責・指導・アドバイスも、

「事前の障害除去活動」と捉えるか捉えないかで、その効果は雲

泥の差となって現れます。

 

また例えば・・・

 

「当社の社員の仕事ぶりに特に問題はない。ルーチン業務はそつ

なくこなすが、それ以上のことはやらない。自らが考えて主体的に

業務を作り出すといったことは苦手である。しかし、今のところ、こ

れらが会社の売上・利益に影響することはほとんどなく、業績も順

調である。」・・・

 

順調な業績は未来永劫続くことはあり得ません。

先々のリスクを常に考えて、業務・制度や仕組み・人材・風土など

の改善改革を行うことが重要です。

 

ですから、管理の本質的な価値とは、

 

「事前の障害除去活動」

 

にこそあるのです。

 

管理の本質をこのように捉えますと、人事管理の本質は、

 

「会社の成長発展を阻害する人(社員)に関する様々な障害やトラブルを事前に除去する活動」

 

と言えます。

 

これらを踏まえて、人事管理の役割を整理しますと、次の4項目に集約されます。

 

===========================

 

●会社経営において必要とされる人材を効率よく確保すること。

 

●人材の能力が最大限に発揮されるように人材を適切に配置する

  こと。

 

●必要な教育・訓練を施すことによって、効果的に人材の能力向

  上を図ること。

 

●適切な処遇によって、人材の活性化を図ること。

 

===========================

 

すなわち、人事管理の役割は人材を採用し、配置し、そして教育を

して、魅力的な(≒モチベーションにつながる)処遇を行うことにあ

ります。

 

そして、これらの役割を正しく機能させることにより、人材育成・業

績向上・企業体質強化、好ましい企業風土の醸成などといった、

付加価値の継続的な獲得の基盤を作ることにあります。

 

この4項目を会社の戦略的意味合いと連動させて「人事管理業

務」を整理することが大切なのではないでしょうか。