最近のことだが、このブログで各種の免疫サプリメントなるもの実力のほどについて紹介したことがある。いろいろな免疫サプリメントについて、その販売元が様々な理屈や事例らしきものを並べたてて、「〇〇は免疫に良い。抜群の免疫強化力に期待。」などとブログで謳っている。
蓋し、中には、結構真面目な実験や調査を重ねていて、「うーん。これはかなり信憑性があるな。」と頷けるものがある。例えば、昔から良く知られていると或る企業の乳酸菌製剤などは、その製造元自身が本格的な研究所を構えていて、我が国のみならず世界のプロバイオティクスの学問分野を牽引している。そして、その会社の研究所の研究員は、国際的な有名ジャーナルに1年に数報以上の原著論文を掲載しているし、その会社では1年に1冊プロバイオティクスの総説集を立派な書籍として刊行しており、掲載されている総説は、世界的に有名な研究者の書いた英語の論文である。
アメリカの公式な文献検索サイトであるPubMedで調べてみると、乳酸菌と免疫と言うテーマでの文献は数千報以上ヒットしてくる。乳酸菌による免疫制御と言う現象は、かなり深く幅広に研究されていて、科学的に観ても、まあ正しいものだろうと評価できる。
いろいろな乳酸菌株やそれを使って作られるヨーグルトについては、「成人病の予防に効く。」とか、「肥満を抑える。」とか、「肝臓に良い」。とか標ぼうされているものが見受けられるが、それらの知見は、「乳酸菌がプロバイオテイクスとして働き、整腸作用を示し、さらに免疫力を高めたり、過剰な免疫反応を制御したりする。」と言うかなり確固とした評価の水準にまでは至ってはいない主張であるようにも思われる。
この頃は、腸内フローラ(細菌叢)の話で盛り上がっており、一部の研究者がうつ病も腸内フローラが大事だと唱えたりしている、何でもかんでも、腸内フローラに結び付けるのは、どうも賛成しがたい。以前、O157による出血性大腸炎やそれに起因する尿毒症症候群が が問題になったことがあったが、どこかの二流の研究者が、日本茶のカテキンがO157に効くと言いだしていたが、そう言うものに飛びついたら、正統な科学からは横道に逸れてしまうから真似してはいけないと、筆者の恩師から口酸っぱく言われたものだ。
ところで、身体によい腸内フローラを作るためのサプリの効用を謳って、一儲けを企んでいる企業も多いが、大手のS社のセ〇サ〇入りの〇HA入りのサプリも本当に効くものなのか確信が持てない。サプリもある程度は効くものがあるようだが、著効なんてものは夢の夢に過ぎない。却って、サプリをずっと飲み続けることは、医者から特別な薬を処方されている人は、避けた方が良い。薬の成分の相互作用で、医師からもらっている薬が効かなくなったり、逆に効きすぎたりして、健康被害も報告されている。何れにしても、そう言う人は必ずかかり付けの医師に相談することだ。
この辺の状況を、綿密な文献調査の手法で調べ上げ検証して、現時点で、ある程度確固とした結論を導いていくことは可能であろう。そういう訳で、これからあまたの「免疫サプリメント」なるものについて、その効用が医学生物学的な視点で観て、確かに信頼に足るものなのかを文献調査をベースにして、調べていきたいと思う。
なお、いろいろな免疫サプリの効用に関して、製造元がブログや広告に載せている実験成績は、そのほとんどが学会発表レベルのものであり、科学者の目からすると、その信憑性はかなり低いものと言わざるを得ない。そもそも学会発表と言うものは、口頭やポスターで行われるものであり、基本的にはそれが科学的に妥当な成績であり考察であり結論であることについての検証は為されていないし、正式な記録としては世に残されることはないのである。
或る研究や実験成績の科学的な信憑性・妥当性・有用性および新しい知見としてのインパクトは、研究当事者以外の第三者によって純科学的な視点で検証されなければならない。或る科学雑誌に論文を投稿をした場合には、その雑誌のエディター(編者)が指名した数名のレフリー・レビューアー(査読者)によって批判的な見地で熟読され(査読)、その掲載の可否についての判定結果を、著者へのコメントを付した形でレフリーからエディターに伝え、エディターがその投稿論文をAcceptするか、Reviseとするか、Rejectとするかを判断し、多くの場合は、Revise判定となり、著者は必要な追加実験やコントロール実験を行い、エディターやレフリーの疑問点や指示に従って論文を書き直し、再度投稿することになる。
そういう訳で、ある研究が論文として発表されるまでには、その研究成果が学会発表までに要した労力と同じだけのコントロール実験を行わないといけないのである。要するに、論文発表と学会発表とではその重みに雲泥の差があるという訳である。こういう事情については、筆者はと或る有名な外国の医学ジャーナルのEditor(投稿論文を掲載するか、しないかを決定する権限をもっている。論文掲載を司る裁判官みたいな役職)を10年以上も務めていたので、筆者はかなり詳しいことは言っておきたい。