この記事は、昨年、NHKで放送していた「笑わない数学」と言うとても面白いシリーズ物の番組の内容に基づいています。専門的な所は、素人にも何とか理解できるように平易な形に直して教えてくれています。それでも、頭がこんがらがり疲労してしまうので、解説するパンサー尾形君(サッカーは上手だが、当然、数学はずぶの素人)は、番組の最後は床にへたってしまいます。

 

 今回は「素数」についての番組からお話ししましょう。134587と言う数は素数ですが、それまでの素数の出方(2, 3, 5, 7, 11, 13, 17.....)はまるっきりバラバラで規則性は見つかりません。その先も素数は不規則に無限に出現して行きます。ところが、18世紀の天才数学者オイラーが無限に続く素数を使った[22/(22-1)]×[32/(32-1)]×[52/(52-1)]×[72/(72-1)]×[112/(112-1)]×[132/(132-1)]×[172/(172-1)] ……と言う数式を計算したところ、答えがπ/6になることを発見したのです。出鱈目に出現して来る素数がこの宇宙で最も美しい形である円を表すπとつながっていると言う訳なのです。
 その後、
19世紀の大天才数学者のガウスが少年時代に「或る素数をそれに対応する対数で割って得られる値がその素数の「素数階段」の高さと一致する。」ことを見出しています。この大発見は、素数が自然対数の底e(ネイピア数)と繋がりがあることを示しています。
 さらに、天才数学者リーマンが
[2x/(2x-1)×[3x/(3x-1)]×[5x/(5x-1)]×[7x/(7x-1)]×[11x/(11x-1)]×[13x/(13x-1)]×[17x/(17x-1)] ……と言うゼータ関数を考え、その関数の大きさを立体的に表してみたところ、計算できる範囲内ではゼータ関数が0(ゼロ)になる点(ゼロ点)が一直線に並んでいることを発見し、全てのゼロ点は一直線上に並んでいる筈だと言うリーマン予想を立てたのですが、此の難問は未だに証明されていません。

 もしそうであるのなら、素数には理想的かつ完璧な調和が存在することになります。面白いことに、このゼロ点の間隔を表す数式の一部が、金などの重原子のエネルギー準位を表す数式の一部と同じであることが明らかにされています。と言うことで、素数にしても、πにしてもeにしても、みんなこの宇宙と密な関係を持ったものであるという訳ですね。 

 こんなことから考えると、宇宙が出来る前の「絶対無」(仏教でいう「空」)の世界には、数とその法則だけが存在していたのかも知れません。そして、宇宙の始まりの特異点が出現する直前に、数の法則から導き出された物理法則が生まれたのかも知れません。そしてその数の法則と言うものは、誰が作ったのでしょうか。神なのでしょうかね。