蘭のブログ -26ページ目

プラダを着た悪魔

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2006年 アメリカ
監督:デヴィッド・フランケル

原題もこのままなのですね。直訳だったとはびっくり。


アン・ハサウェイの様々な着こなしを見ているだけでも充分楽しめます。
アンディーが急にイメージチェンジして綺麗になっていくのが楽しい映画でした。
道を歩きながら衣装やヘアスタイルがどんどん変わっていくところ…やっぱり見とれてしまいました。
それのしてもあの取っ替え引っ替えの衣装代はアンディーの自前かしら、と変な心配をしてしまいま
ったりして。

メリル・ストリープのオレ様上司ミランダ…静かな迫力があって流石です。
決して声を荒げる事なく、言いたいことをビシッと決めて。
アンディーはミランダに振り回されっぱなしですが、この仕事をこなすことが出来たら確かにどこでも
通用しますね。

でも、ジャーナリストを目指していたからといって、あんなにあっさりと仕事を辞めてしまったのでは、それこそ故意ではないにしろ蹴落としてきた先輩アシスタントに申し訳けないのではないかしら。
対人関係で様々な苦労をしてきた先輩社会人としては納得できないところです。

それと何かすっきりしないなと思ったのは、恋人ネイトの誕生パーティーに仕事で間に合わなかった時
のネイトの態度。仕事なのだから仕方ないじゃないですか、と思うのは日本人だから?
以前のアンディーは約束を守って、ファッションなどには価値を置かなかったのに変わってしまった、
みたいなことを昔の仲間たちは言い募りますが、ステップアップの時には仕方がないことなのではない
のかしら。アメリカ人との価値観の相違でしょうか。最後まで違和感が残りました。
私的にはアンディーはあそこで辞めてしまうべきではなかったと思うのですが…。

内容はともかく、ファッションとメリル・ストリープの演技に拍手の一作でした。





西の魔女が死んだ

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原作は、中学入試国語でも出題頻度の高い梨木香歩の同名小説です。
サチ・パーカーさんのおばあちゃんがとても素敵です。
原作に負けない素晴らしい映画をまた一作見ることができとても満足です。


中学2年になったまいは学校での人間関係に疲れ登校できなくなってしまいます。
そんな「扱い難い子」であるまいを心配して母親は田舎に住む自分のイギリス人の母、まいの祖母
と暫く一緒に暮らす事を提案します。
祖母と暮らすうちにまいは祖母が魔女の家系であると聞かされます。
魔女の修行をしたいというまいに祖母は一番大切なのは「意志の力」だと教えます。
「意志の力」…それは自分で決める力、決めたことをやり遂げる力。
「私の一番苦手なことだ」と気付いたまいは一日のスケジュールを決めることから始め、段々気持ち
の中にも変化がでてきます。


テレビのない家で時がゆっくりと過ぎていきます。
手元だけ照らした電灯の下でゆったりと繕いものをするおばあちゃん。
まるでその部屋で一緒にテーブルについているかのように感じられ、見ているだけで寛いだ気分に
なってきます。

二人で一緒に寝ながら話す「死んだらどうなるの?」とまいが問い掛けるシーンがこの映画での見せ場
になっていると思いました。
「死は魂が体から離れること。魂は体を持つことで成長する。体を持てば色々なことを感じられる。」
お婆ちゃんは答えます。
「おばあちゃんが死んだらまいに魂が体から離れましたよという証拠を教えてあげます。」
この約束をおばあちゃんはちゃんと覚えていてくれるのです。魔女だから…。

「おばあちゃん大好き」「I know」のやりとりに、夜中に一緒にクッキーを食べるシーンに、
まいが転校を決めた時におばあちゃんが荷物に二人で一緒に煮たジャムをそっと詰めるシーンに、
本を読んだ時こんなに切なかったかしらと思うほど涙が出てしまいました。

おばあちゃんの家は古い木造で、イギリス風のキッチンは本で読んでイメージしていた通りに再現され
ていました。とても素敵です。

山梨県清里に建てられた撮影使われたこの「おばあちゃんの家」が9日から来年1月まで公開されます。中が見学できるのは7月中旬から。是非訪れてみたいと思っています。

見終わった後ミルクをたっぷり入れた濃いめの紅茶が飲みたくなりました。

21日公開




イル・ポスティーノ

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1994年 イタリア/フランス
監督:マイケル・ラドフォード

実在した詩人パブロ・ネルーダが登場し1950年代のイタリア、ナポリの小さな島を舞台に、そこで
生きる一人の素朴な青年の成長を描いています。

とても良いというので見たのですが、のんびりぼんやりとした始まり方に最初正直戸惑い、退屈そう
で見るのを止めてしまおうかと思いました。

それが見続けているうちに、柔らかい優しげな音楽と共にイタリアの片田舎の世界にどんどん引き込
まれていってしまうのです。とても不思議な感じがします。
そしてそれが次の日唐突に思い出した音楽と一緒に、またじんわりと心に染みてくるのです。
こんなに余韻を残す映画は久しぶりでした。


イタリアの漁村に住むマリオ(マッシモ・トロイージ)は漁師の仕事を嫌い何もせずぶらぶら過ごしていました。そこに祖国チリを追われてきた有名な詩人で共産主義者のパブロ(フィリップ・ノワレ)が暫く滞在すること
になります。
そこでマリオはパブロだけに郵便を配達する専属の郵便配達人の仕事につきます。
マリオは段々詩に興味を持つようになり、パブロと親しくなっていきます。
居酒屋の綺麗な娘ベアトリーチェを好きになったマリオは、自分の気持ちをパブロの作った詩に載せて
伝えます。


マッシモ・トロイージはイタリアの有名な喜劇俳優だそうですが、地味な風貌地味な演技で冴えない
田舎男を見事に演じています。椅子に座ってパブロの話しを聞く時に内股になっていて、気の弱い青年
を上手く表しているなと思ったのですが、あの内股は成る程さすが喜劇役者、です。

逮捕の危険が解かれパブロはチリに帰国してしまいますが、その後、マリオは島の美しいものを録音
してパブロに送ろうと思い付きます。
海岸に砕ける波の音、岩にぶつかる風の音、もうすぐ生まれる自分の子供パブリートがお腹を蹴る音…
つまらない町だと思っていたのに、美しいものがこんなにもたくさんあることにマリオは気付いて
いきます。
その録音を集め島の美しさに気付いていく過程の描写が秀逸。

7年たち再びイタリアを訪れたパブロはそこで悲しい報せを聞く事になるのですが、それでも町は7年
前と同じに美しく穏やかなのです。


M・トロイージは病をおして撮影に挑み、これを撮り終わった直後に亡くなったのだそうです。
その実情を差し引いても、これは素晴らしい映画だと思いました。
後からじわじわくる映画はそうはないと思いますから。

地味ですが、ぜひ見ていただきたい1作です。