蘭のブログ -14ページ目

ONCE ダブリンの街角で

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2007年 アイルランド
監督:ジョン・カーニー

映画の中で「男」が歌う細く切なげなメロディーがいつまでも耳に残ります。

気がつきませんでしたが、この映画は主人公たちの名前がでてきていなかったんですね。
主人公の男女は「男」と「女」です。街角でギターの弾き語りをして小銭を稼いでいる「男」、
そこへ通り掛かった「女」が色々話し掛けます。彼女はチェコからの移民で、やはり音楽が好きで
近くの楽器店で時々ピアノを弾かせてもらっています。意気投合した二人。
男はギターとピアノでのセッションをしないかと誘います。
同じく道端で歌っているグループに声をかけ、スタジオで5人で演奏を始める場面にはドキドキし
てしまいました。始め全く乗り気でなかったミキサー担当が、演奏を聞くうちに段々引き込まれてい
きます。

若い女は子供がいて別居しているとはいえ夫がいるし、男も昔別れた女が忘れられません。
二人の間に恋が芽生えるわけでもなく、レコーディングをする以外特別な事がおこるわけではないの
ですが、音楽を作り上げていく喜びが溢れていて、見終わった後何となく満足感にひたれる映画でした。

バンク・ジョブ

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まず、これが実話を元に作られているのだということにびっくりです。
1971年、ロンドンで銀行の地下貸金庫が襲われ、現金数百万ポンドと宝石が強奪されるという
事件が起こります。事件は数日間トップニュースとして扱われますが、突然報道が打ち切られます。
それはイギリス政府のD通告(国防機密報道禁止令)によるものだった、という事件があったそうで、
この機密事項が英国王室のスキャンダルだった、という仮説をもとに映画が作られています。

テリー(ジェソン・ステイサム)が昔馴染みのガールフレンド、マルティーヌ(サフロン・バロウズ)に突然持ち掛け
られた銀行強盗。オーシャンズイレブンのごとく役割に見合った昔馴染み達が次々集められていきま
す。王室のスキャンダルを揉み消すため政府秘密機関が関与しているだけあり、計画はどんどん上手
く進んでいきます。しかし無線傍受から足がつき…。

最初から手に汗握る展開で、心臓バクバクしっぱなしの110分でした。
話しがどんどん展開していってしまうので、予め話しの内容は少し頭に入れていったほうがいいかも。
たくさん出てくる人物がわからなくなってしまいます。
銀行強盗は取り立ててトリックがあるわけではなく、そこは特にポイントにはなっていないのですが、
その後の政府秘密機関とそのなかにいる恥部を握られた高官たち、悪徳警官、裏金を渡していた風俗店
経営者、麻薬密売人たちが三ツ巴四ツ巴になって自分達を守るために奔走する姿が滑稽でもあり、その
手段を選ばぬやり方が恐ろしくもあり見応えがあります。
麻薬密売人の元に送り込まれたスパイの話しはいらなかったかも。悲劇なのにあまり意味がなかったです。
マルティーヌが麻薬の密輸で捕まるシチュエーションもあまりにも適当な感じでした。
と、もうちょっと足したり引いたりしたほうがいいのではと思う所はあるものの、娯楽映画ならでは
の見所満載の一品でした。

永遠のこどもたち

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オープニング、紙をペリペリと剥がしていく子供たちの小さな手が出てきます。
これがこれからこの映画で起きることをよく表しています。
サスベンスにホラーの要素がちりばめられ、鳥肌が立ちっぱなしでした。
でも大音響で驚かしたり、おどろおどろしい場面を多用したりというのではなく、とにかく謎が多く、
それを解き明かしていく過程が怖い、という感じです。
サスペンスですがこの映画の全面に溢れているのはラウラの母としての強い愛情です。

ラウラ(ベレン・ルエダ)は医師の夫と養子の息子シモンとともに海辺の館で障害児の施設を始めるため
に引っ越してきます。その古い館は30年前は孤児院で、かつてラウラも孤児として生活していた場所
でした。引越しも済み、施設の公開パーティーの日、シモンが忽然と姿を消してしまいます。
もともと空想癖が強くこの館に越してきてからは更に空想の友達と遊ぶようになっていたシモンは、
ラウラに友達の部屋を見せたいから一緒に来てくれと頼みます。しかし接客に忙しいラウラは後でね
と突き放してしまいます。その後シモンは行方不明になってしまい、彼の行方を捜すうちにこの孤児院
に秘められた恐ろしい事実がわかってきます。

自分がシモンに付き合ってあげなかったばかりに彼はどこかへ消えてしまった…ラウラの悲しみと後悔、
そして必死に我が子を捜す姿が胸を打ちます。
サスベンスなので多くを語れないのですが、あの時シモンの言うことを聞いてやっていたらこんなこと
にはならなかったのにと悔やまれてなりません。
ラウラは夜寝る前にシモンにピーター・パンの絵本を読み聞かせます。シモンの「僕も大人になるのかな」という暗示的な言葉。そして館に潜む「永遠のこどもたち」はピーター・パンの物語のように、何時までも子供のままの姿でいるのですが、そうなるには悲しい理由があるのです。

物語が進むにつれて説き明かされていく孤児院の謎。
最後まで海辺の館で起きる出来事に引き込まれてしまいます。

上の写真は最後の方の場面で、まるで小さな弟たちにお話を聞かせている幸せなウェンディーのよう
なのですが…。