遅ればせながら
あけましておめでとうございます
年末年始の特別感が苦手で普通の日常にやれやれと思っています。
こんなへなちょこブログに足をお運びいただきありがとうございます。
だんだんトキメキも減り気味
何とか元気でブログを更新できることを今年の目標にしたいと思っています
去年12月に読んだ本のアップが今年初のブログアップです(__)
64)川村元気著『百花』
アルツハイマー型認知症を患った母百合子とその息子泉。
百合子の記憶が混沌とあやふやに苛まれる今と、ピアノ講師として泉を育てていた若かりし頃の物語が交互に綴られて物語が進んでいく。
百合子をホームに入れ、家の整理をしていた時泉は日記帳を見つける。それは母が奔走し泉が捨てられた1年間の記録だった。
“息子を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく息子”(新聞広告)の一文そのままの物語だった。
泉とその配偶者香織がこの物語を優しいものにしていたと感じた。
65)米澤穂信著『いまさら翼といわれても』
<古典部>シリーズ第6弾
最新作は高校2年の1学期から夏休み初日までの出来事からなる短編集6編。
箱の中の欠落:生徒会会長選挙の終わった夜、折木奉太郎に福部里志から電話があり、その選挙で不正があり1年生が疑われているという。彼を助けるため里志は奉太郎に推理を依頼する。投票箱の数から見事に解決。
鏡には写らない:伊原摩耶花が買物先で中学時代の友達と出会い、卒業制作で奉太郎のした行為を思い出す。そのことを確かめるうち奉太郎したことの意味を知り、奉太郎を見直すことになる摩耶花。
連峰ははれているか:ヘリの飛ぶ音を聞いた奉太郎は中学時代の教師小木が「ヘリが好き」と言ったことを思い出す。そこからその時期の事件を図書館で調べるうち小木の言った言葉の真実を知る。
わたしたちの伝説の一冊:神高漫画研究会所属の伊原摩耶花。摩耶花は漫画を描き雑誌に投稿し努力賞にも選ばれた。漫研では漫画描く派と漫画読む派が対立していて摩耶花は落ち着かない。対立が続くある日摩耶花が描いていた漫画原稿が無くなってしまうという事態が起こる。そんな摩耶花に先輩の誘いが・・・。
漫研を退部することにした摩耶花。
長い休日:奉太郎がめずらしく調子いいと感じる朝。トントンと片づけ物が終わり、散歩で荒楠神社に行く。そこで千反田えると出会い掃除を手伝う。そのことから“やらなくてもいいことは、やらない。やらなければいけないことなら手短に”の奉太郎の信条に至った小学5年生の出来事を思い出す。その奉太郎悲しさをえるのひとことが取り除く。
いまさら翼といわれても:高校2年夏休み初日、えるは市の主催する合唱祭でソロパートを任され練習していた。いよいよ合唱祭の日、えるが会場に現れない!奉太郎は推理を駆使しえるを捜す。蔵に居たえるの悲痛な言葉を聞く奉太郎。「いまさら翼といわれても、」の後に続く
える言葉に泣かずにいられなかった。
奉太郎の信念・里志の正義・えるの矜持・摩耶花の夢を奉太郎の推理を通して知ることができ、古典部の面々が益々好きになった。
次回作も期待したい!
66)中山祐次郎著『泣くな研修医』
鹿児島のさつま揚げ屋の次男雨野隆治は、東京下町の総合病院に勤める外科の医師歴1年目の研修医。
一生懸命だが知識が乏しく診断にも自信がない。しかし患者に対する誠実さだけは本物。担当患者には付きっきりで何日もの当直も厭わない。
情けない隆司が大変な救急医療に携わりながら少しずつ成長していく姿に「もっと要領よくできないの」と叱咤激励したくなりながらも隆司に味方しながら読み終えた。
優しい嘘のことや隆司が医師を目指した理由に涙を誘われた。
67)森博嗣著『すべてがFになる』
いつ頃だったか話題になって読みたいと思い図書館で借りたら、上下2段になっていて、文庫になったら読もうと思い、その後すっかり忘れていたら、図書館の返却本棚にあったので借りて読みました。
やっぱり旬が過ぎた作品と言う感じが否めなかった。
N大助教授・犀川創平と犀川の恩師の娘西之園萌絵が謎解きをするシリーズ第1作。
孤島を買取、そこに最新のハイテク(この言葉自体もう古い)研究所を建てて交流はすべてPCでと隔離された生活する天才科学者真賀田四季。その彼女が殺された!
その孤島に学生らとキャンプに来ていた犀川と萌絵が密室の謎解きに挑む!
最後まで読めたけれど、面白いワクワク感を感じることができなかった。話題作は話題になっているときに読むべしかな。
残っていく作品、すぐ消える作品の違いを見た気がた。
森博嗣氏はその後多くの作品を出しているので力はあると思います。
68)佐藤巖太郎著『将軍の子』
会津藩主 保科正之の数奇な半生を連作短編集で仕立てたもの。
2代将軍徳川秀忠の子でありながら、非嫡出子のため父親との対面も無く、秀忠の正室お江が嫉妬深い性質であったため、生まれた直後に養子に出され、大人になるまで自分の父が秀忠とは知らずに生きていた。
将軍の子:生まれてすぐに武田信玄の娘見性院の養子となる幸松丸(保科正之の幼名)
跡取り二人:信濃国高遠城の保科正光の養子となる幸松丸。しかしそこには左源太という先に養子となっていた若者がいた。
扇の要:信濃様と呼ばれる幸松丸が秀忠の子であることを知る。養父保科正光の死後、幸松丸は元服し保科正之と名乗る。
権現様の鶴:現将軍家光と正之が面会。正之を家康の遣わした法具と感じてしまう家光。
千里の果て:家光は正之を取り立て、正之の意見を聞くようになっていく。肥後守となる正之。
夢幻の扉:兄はキリシタンだと訴えた弟を調べるよう正之に仰せつかった町奉行。調べるうちに意外なことを知る。正之の為政者としての資質を描く。
明日に咲く花:家光が死去。起こる明暦の大火。正之の行った的を得た政策。家光の死後、知恵伊豆と呼ばれた松平信綱の想い。
保科正之のエピソードを短編に仕上げ、他者を思う心、虚飾のない考え、礼、人々から受けた恩義を政に活かす気概が良く描かれていた。
久々の歴史小説。正之を良く書いているがそのことが素直に信じられとても面白く読めた。
2019年は68冊読みました
2020年も面白く感動できる本と出合えますように