手之内は、
折るのではなく、縮める。
覚えていますか?
第16回セミナーの話です。
今まで、「折る」とか「割る」とかの用語が多かった正拳突きが第16回セミナーで変わった話です。
この「折る」とか「割る」は、第16回セミナー以降、「縮める」とか「締める」に変わりました。
無想会の正拳突きは、殴りません。刃物で刺すイメージです。
したがって、拳で殴らないので、それまでは、拳頭が目標に当たり辛い感じでした。
人差し指の第二関節とか、中指の第二関節とかが目標(例えばマガジンパッド)に当たる事が多い。
ですから、結構、指が痛いです。
我々弟子たちは、マガジンパットを叩きながら、手が血だらけ。
大阪のワイ先輩がもたらした、「パッド付マガジンパッド」が登場するまでは、
人差し指から破けていました。
そこで、新垣師範は、考えたようです。
自分の突きは拳頭が当たるのに、何故弟子の突きは人差し指が当たるのか?
そして、判明したのは、新垣師範は、「手之内」を縮めているのに、
弟子たちは「手之内」を割っているということでした。
「手之内」を縮めながら小指から畳むと、落とすだけで、目標に拳頭が当たる。
「手之内」を割りながら小指から畳むと、人差し指が拳頭の先につき出たまま。
そこで、第16回セミナーの「手之内の締め」で修正されました。
実際に、「割る」を「縮める」と「締める」に変えて、
手の甲の筋肉と掌の筋肉を親指側と小指側から縮める訓練を続けていると、
なんだか手の甲が平らになってきました。
それにプラスして、広背筋を利かすのは上腕までと意識します。
広背筋は前腕・掌の影響を受けないため緩みません。
前腕のトルクは、前腕のトルクとして分割します。
正拳は、「手之内の締め」で縮めます。
正拳、前腕、上腕、を分離して別々の動きとして鍛え、統合する。
細分化して総合化するのは、沖縄空手の稽古方法としては普通ですが、
突く時に繋げて腕を棒状にするのを、再分離して、身体操作を変えるのも、
第16回沖縄空手セミナーで、新垣師範から改めて伝えられた原則でした。
そして、基本的な身体操作を更におこなった、
第21回沖縄空手セミナーです。
身体内の筋肉は、動かすと同時に拮抗筋が作用します。
ですから、片方の筋肉を伸ばすと、もう片方の筋肉は縮むわけです。
沖縄空手の身体操作は、それによるスピードダウンを嫌いました。
片方の筋肉を伸ばしても、もう片方の筋肉が縮まない方法は無いか?
そこで生まれたのは、小指薬指ブロックと中指人差指ブロックを別ける方法です。
小指と薬指を順々に畳んで、人差し指と中指を更に送り出す。
指の屈筋さえも、突きを送り出すのに使用する。
ここまでは、何度も聞いた話ですよね?
人差指中指ブロックと薬指小指ブロックをしっかりと別けて、
拮抗筋としての作用を殺す。
両側とも伸筋だけを使って、スピードを殺さずに前に出す。
構えた時、相手に向かっていた、人差し指中指ブロックは、
前方に向かって進み、小指と薬指が畳まれていきます。
動かない小指薬指ブロック側の尺骨を支点に、親指側の橈骨をが被さって来ても、
人差し指中指は、そのまま前方の相手に向かって進み続けます。
人差し指中指ブロックの前腕は、当然ながら、伸筋のみで伸び続けます。
小指薬指の屈筋が作用しても、尺骨側の伸筋は、拮抗筋とならずに、
ブレーキがかからず伸び続けます。
最後まで、人差指と中指は伸びたままです。
正拳を作ってから前に出す、現代空手では、
考えられない掌の使い方ですね。
人差指と中指が相手に到達した時、
最後の最後で、相手に中ることで潰れて握り込まれます。
これが、第21回沖縄空手セミナーで行われた、
基本的身体操作の伝授です。
お読みいただき有難うございました。