【コラム】1998年のFRB緊急利下げを振り返る | 相場残日録(元相場師天の日記)

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プロの相場師「天」の引退後のブログ、残日録として記していきます。

金曜日に こんな記事を書きました。

予防的利下げ??

https://ameblo.jp/soubashi63/entry-12480278821.html

 

予防的な利下げといえば

どうしても1998年秋のFRBの利下げを思い出します。

ご参考

1998年プレイバック

https://ameblo.jp/soubashi63/entry-12457016368.html

 

もう20年も前のことですが・・・

少し振り返ります。

当時、年金の一任勘定運用マネージャーとして

市場のど真ん中にいましたから

いまでも記憶は鮮明です。

 

1998年7月に、S&P500は、史上最高値@1190.58つけました。

しかし、ロシア危機が起こり、

その余波で、当時世界最大のヘッジファンドであった

LTCM(ロングタームキャピタルマネジメント)が破綻します。

結果、市場は大混乱!

S&P500も急落、10月には@923.32まで暴落

高値からの下落率が22.4%におよびました。

 

ITバブル真っ盛りのその時の経済指標は

米国ISM製造業景況指数が

98年7月=49.2 10月=48.7

50を切っています。景況感としては、株が下がる前から

悪化していました。

 

景況感の悪化、信用リスクの顕在化 株価の急落

その時慌てふためいたグリーンスパンFRB議長は

緊急FOMCを開催し、

9月、10月、11月とそれぞれ▲0.25%の

合計0.75%の断続的な利下げを敢行しました。

(FFレートは5.5%⇒4.75%)

 

その効果があったのか、株価は急回復

98年12月末には

S&P500は@1244.93と史上最高値を更新

しかし、FRBが慌てふためいた割には

この間の米国の名目GDPは

98年7月~9月=+6.9%

98年10月~12月=+7.8%

 

意外や意外、米国の景気は悪くならなかったのです。

 

要するに、景気が悪く無いのに

株価急落にビビったグリーンスパン議長は緊急利下げ

その結果は、

その後のITバブルの最後の吹き上がり

S&P500は、2000年3月の ITバブルの高値

@1552.87まで吹きあがります。

10月の安値からの上昇率は68.2%でした。

 

1996年にITバブルの始まりのころ

「根拠なき熱狂」 として株価の上昇を批判していた

グリーンスパン議長は なんと

バブル崩壊の直前

「100年に1度の生産性革命」とIT革命を絶賛!

しかし、

その後待っていたのは、ITバブルの崩壊

3年連続株価は下げ続けました。

 

ちなみに 2003年高値 @1552.87

ITバブル崩壊の安値は 2002年7月の@775.68

S&P500の下落率は▲50%

株価が半分になったということです。

 

では、市場が利下げを熱望、

年内のFRBの3回の利下げをも織り込んでいる現在の経済状況は

ISM製造業景況指数 52.1 (1998年より上)

2019年1月~3月の名目GDP成長率は3.8%

(1998年より下)

株価も 回復基調、史上最高値更新の可能性も出てきています。

 

こんな状況で、トランプの圧力や

株価本位制資本主義の熱狂的な信者である

市場関係者の熱望に沿って

FRBが利下げに踏み切れば、98年と同じく

バブルの炎がさらに吹き上がるのか?

 

それとも、世界経済減速の大きな波動は避けられず

FRBの利下げがあっても 株価は下落トレンドを形成するのか?

 

個人的には、正直 判断がつかないですね・・・・

 

但し、FRBの利下げがなければ

市場の失望はかなりのものになるでしょう。

 

さて、中央銀行の超金融緩和が引き起こした

10年に及ぶ壮大なバブルの最終章?はどうなるのでしょうね・・・

 

 

以上