弓道への想い・・・ | 相場残日録(元相場師天の日記)

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プロの相場師「天」の引退後のブログ、残日録として記していきます。

 

 

 

 

 

弓道が少し世の人に

知られるようになりました。

朝ドラの律君の憧れの人、弓道やってましたね。

 フリーアナウンサーの新井恵理那さん 

炎の体育会TVで見事な弓道の技を披露。

 

大和ハウスグループCM 京都・弓の道編

https://www.daiwahouse.com/ad/cm/kyoto.html

弓道経験者にはうれしいCMです。

 

私は、高校・大学と体育会弓道部でした。

ただし、私がやっていたのは

道を究める武道としての弓道ではなく

勝利(もっと正確に言えば団体戦勝利)を追求する

競技としての弓道だったと思います。

まあ、学生弓道は

そのほとんどがそんなものだと思いますが・・・

 

大学で主将を務めた私には

社会人になってから、入社した銀行の弓道部から

猛烈な勧誘がありました(当然ですよね)

しかし、断りました・・・・

その時には弓を見るのも嫌になっていたからです。

 

伝統ある体育会の部活の主将のプレッシャーは

半端ではなく

しかし、私は古い体育会的な価値観からは程遠い人間でもあり

ご参考

【雑感】消えない体育会的旧世界の価値観

https://ameblo.jp/soubashi63/entry-12376999241.html?frm=theme

そのストレスは今思いだしても吐き気が・・・・

加えて、個人成績より団体戦の成績を重視する

日本的な価値観の中では

競技としての弓道は本当に残酷なほど厳しい競技です。

 

弓道は通常一回に一人4本矢を射ます。

団体戦は、3人、5人、6人、8人と

大会によりいろいろありますが

5人だと 4本X5人=合計20本、その的中数で結果が決まります。

出場する選手は、練習の時の的中率から

「期待値」があらかじめ設定されています。

それは、選手も、試合に出ない応援者も監督も

みんなが共通の認識として持っています。

 

例えば、ある大学が

一番重要な大きな大会の予選通過ラインに

3本足りず敗退したとします。

ある選手が、予選4本X二回の合計8本中

期待値が6本~7本の的中だったのに,8射3中だったとしたら

その選手が期待値に3本~4本足りなかったから、

その試合は彼のせいで負けたことは誰の目にも明白に分かります。

それは、試合を見ていなかったOBが

あとから試合結果を聞いても分かります。

 

弓道は、結果が的中数という数字でしか出ない

団体戦における個人の責任の所在がクリアに分かる

きわめて残酷な競技です。

 

実は、この「ある選手」は私です。

 

大学2年だった私は、次期主将がほぼ確実

練習でも絶好調 エース的存在でした。

迎えた10月の九州学生弓道選手権大会は

わが大学にとって、最も重要かつ現役幹部の最後の大試合

その大試合の1立目でなんと信じられないことに

絶好調であったはずの私は、4本全部外しました・・・・

試合前は、予選通過して ベスト8校による決勝リーグで

華々しい活躍をする自分の姿を思い描いていたというのに・・・・

 

当然、2立目は外されると思っていたところ

主将から、

「次も行くぞ、お前は、次の主将だ、この試練を自分で越えろ」

と言われました。

正直、パニック状態だったので「どうしよう」

という気持ちのほうが強かったと思います。

2立目の一本目を外した時にはパニックはピーク・・・・

あとは覚えていません。

結果は 後の三本は当てましたが・・・

 

私のせいで、この大事な試合に「予選落ち」の敗退。

その時の主将は、

前の代まで3年続いた黄金時代の後に主将になり

大きな試合でご自身も団体でも結果が出せず

連戦連敗・・・・

そうした中の最後の試合でした。

その主将が、不調だったのに、執念で8本中6本を中てて

最後の意地を見せておられただけに

なおさら、申し訳なく、悔しく・・・・

いまだに、その試合は 私のトラウマとして心の傷です。

 

そんな残酷な団体競技

ほかに思いつくのは 体操の団体戦

ロンドンオリンピック、体操個人総合で

金メダルを取った内村航平選手が、

自身の失敗演技で団体の金メダルを逃したため、

最後までちっともうれしそうではなかったのが印象的

体操も 個人別得点の合計がそのまま団体戦の結果ですからね。

 

大学三年の主将としての最後の試合

件の試合から1年後の九州学生弓道選手権大会

私は、個人的には絶不調

しかし、

周りのみんなに助けられ、

「優秀射技校」獲得という快挙。

優秀射技校とは

的中のみで決まる優勝校とは別枠で

決勝トーナメントに残った8校から1校だけ選ばれる

的中だけではなく「弓道」としての技、射形の美しさ、体の配り等

総合的に優れた1校に与えられる特別賞です。

的中だけで決まる優勝校とは別に「優秀射技校」を表彰する。

ここには、学生弓道とはいえ、

本当の弓道の片鱗が少しありますね。

 

私の試合後の気持ちは、歓喜とともに

やっとこのプレッシャーから解放されるほっとした感じ。

 

私は それから 弓道とは縁が切れました。

 

先日、私がご迷惑をおかけした先代の主将に

OB会でお会いした時の事

「俺、横浜の山下公園の近くの弓道場で35年ぶりに

弓道始めたよ、学生の競技弓道ではなく

本当の弓道がこんなに楽しいものとは思っていなかった

お前も、福井から横浜に帰ってきたら一緒にやろうよ。」

とのお誘いを受けました。

 

この先代主将も、引退後は弓道と縁を切られていました。

我が大学弓道部で主将を務めた方で、社会人になっても

弓道を続けている方はほとんどいません・・・

みんな弓道嫌いになった(笑)

 

道を究める本当の弓道に

少し、心が動いている自分です・・・・・

 

ちょっと長くなってしまいましたが

最後に、

そんな私と違い、息子は、母校のOB(元主将)かつ顧問として

東京の名門高校の弓道部を率いています。

私学の教師で転勤のない31歳の彼は

これから何年その弓道部を率いるのでしょうね(笑)。

ご参考

【コーヒーブレイク】インターハイ予選の季節

https://ameblo.jp/soubashi63/entry-12375655364.html?frm=theme

 

以上