このページは高校生の古典の学習を意図して作ったものです。

 

古典文法公式23:「もの」のつく接続助詞

 

 

A・基本知識:覚えるべきポイント

 

1:「もの」のつく接続助詞とは「ものの・ものを・ものから・ものゆゑ」のような助詞であり、これらは基本的に中古では逆接と覚えておく。「ものの・ものを」は現代の感覚からも分かりやすいが、「ものから・ものゆゑ」に逆接の使われ方があるのに注意が必要である。

 

2:ただ、「ものから・ものゆゑ」には「~ので」と訳す順接の用法が中世にかけて加わって来るので注意したい。「ものゆゑ」は打消しを含む「ぬ・ざらむ・なき」につき「こと行かぬものゆゑ」「おぼされざらむものゆゑ」などと用いられることが多い。

 

3:「ものを」が文末に使われる場合は、詠嘆を表す。例えば「梓弓引けど引かねど昔より心は君に寄りにしものを」などのような用法である。ただ、「ものを」を逆接で「~のに」と解釈できれば、そこに詠嘆が加わるかどうかは自然と判断される。また「を」を逆接の接続助詞としても解釈自体を損ねないだろう。

 

 

B・基本問題:用法を選択・口語訳を確認

 

:白玉か何ぞと人の問ひしとき露と答へて消なましものを
:いつはりと思ふものから今さらに誰がまことをか我は頼まむ
:事ゆかぬものゆゑ、大納言をそしり合ひたり
選択肢
ア=逆接・イ=順接・ウ=詠嘆

 

解答
:詠嘆
・あれは白玉ですか、何ですかとあの女が言ったとき「露です」と答えて消えて死んでしまえばよかったのになあ
:逆接
・偽りだと思うけれども、今さら誰の真心を頼りにできようか(あなたを頼みにするほかないのです)
:順接:ので
・納得がいかないので、大納言を非難し合った。

 

 

C・入試問題

 

■解釈として最も適当なものを選べ。
こはいかなる処ぞとあたりを見回せば、ここは大なる寺の門前なり。いぶかしと思ふものから、門の中に入りて見れば、こは大きなる古刹にして、・・
選択肢
1:奥行きが深いと思いながら
2:恐ろしさを感じはするものの
3:どういうことかとまどいながらも
4:とてもこころをひかれることがあるので
5:理屈に合わないと思うけれども

 

解答=3