このページは高校生の古典の学習を意図して作ったものです。
古典文法公式22:接続助詞:ながら
A・基本知識:覚えるべきポイント
1:接続助詞「ながら」には、動作の並行・逆接・~のまま・全部という意を表す用法がある。
2:動作の並行は「AしながらBする」のように現代でも使われているので問題はない。
3:古典ではそれ以外に★逆接の用法がある。例えば「身はいやしながら母なむ宮なりける」は「身分はひくいけれども、母は内親王であった」と解釈する。現代でも「狭いながらも楽しいわが家」などのように「ながらも」という語を思い浮かべれば理解しやすい。
4:また、「ながら」が名詞や副詞につく場合、★「~のままで」★「~全部」の意を表し、「旅の御姿ながらおはしたり」なら「旅のお姿のままいらっしゃった」。「さながら捨つべきなり」なら「そっくりそのまま・全部捨てるべきである」、「六つながら賜びにけり」であれば「六つ全部お与えになった」という意味になる。大事な二つの用法と思う。出てくる頻度は少ない。ここに挙げられた例文を覚えてしまおう。
B・基本問題:用法・口語訳を確認
ア:すべてをりにつけつつ、一とせながらをかし。
イ:なほ昔よかりし時の心ながら、世の常のことも知らず
ウ:「やがて」と申しながら、直垂のなくてとかくせしほどに
エ:からうじて(僧を)まちつけて、喜びながら加持せさするに、
解答
ア:全部
・すべて季節に応じて一年すべてに趣がある。
イ:~のまま
・やはり昔のよかった時代の気持ちのままで、世間のことも知らない。
ウ:逆接
・「すぐに」と申したのに、直垂がなかったので、そうこうしているうちに
エ:並行
・やっとのことで僧を待ち迎えて喜びながら加持をさせると
C・入試問題
■「ながら」に注意して口語訳しなさい。
国の守、眼賢しくして、この主は不実のもの、この男は(1)正直のものと見ながら、なほ不審なりければ、かの妻を召して、別の所にして事の仔細を尋ぬるに、夫が申状にすこしもたがはず。国の守いはく、「・・これは六つあれば別の人のにこそ」とて、(2)六つながら夫妻にたびけり。
解答
(1)正直なものと見えるが
(2)六つ全部を夫妻にお与えになった