アカデミー賞ノミネートもされたアイルランド、ルクセンブルク、ベルギー、フランス、デンマーク合作長編アニメーション。
「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」(2014年 原題「SONG of the SEA」 監督/トム・ムーア)
93分

※現在ロードショー中
アイルランド伝承の土地神(精霊、妖精)をモチーフにした物語。
――幼いベンは母ブロナーが話してくれる精霊たちの物語が大好きだった。臨月を迎えたブロナーがある夜突然姿を消す。灯台守の父は母の代わりに生まれたばかりの赤ん坊を連れて帰ってきた。父はこの子はシアーシャと言い、妹としてよく面倒をみるようにとベンに言う。
6年後。愛犬のクーだけが友達のベンは口のきけない妹シアーシャの気ままなふるまいのためにいつも叱られるため妹を疎ましく思っていた。シアーシャの6歳の誕生日を祝うため街から祖母がやってくる。祖母は孫を心配して街でくらすようにとしきりに勧めるのだった。
その夜、シアーシャは灯台の地下へできらきら光る白いコートを見つける。コートを身にまとい光に導かれ海へと入っていった・・・。夜中にふと目が覚めた祖母が海岸に打ち上げられているシアーシャの姿を発見し無事保護されたが、今後こんな危険な事があってはいけないとベンとシアーシャは祖母に引き取られ街で暮らすことになった。
妹のせいで父だけでなく愛犬とも引き離されたベンは自力で家である灯台へ帰ろうとする。ここへ連れてこられる時に書いておいた自作の地図を頼りに祖母宅をこっそり抜け出しハロウィンで賑わう街中へ出掛けて行った――
[ここからネタバレ------
その兄の姿をじっと見ていたシアーシャは自分も祖母宅を抜け出しついていく。追い払ってもついてくる妹をベンは愛犬クーの代わりにリードにつないで連れて行く。ところが妹が唐突に何者かに攫われて行った。リードでつながっているためひっぱられるようにして飛び込んだマンホールの奥では、奇妙な三人組がシアーシャを取り囲んで「セルキーを見つけた」とさわぎ歌い踊っている。セルキーとは母がよく話してくれたおとぎ話に出て来る海の精霊。その歌声は全ての呪いを解き放つ力があるという。よく見ると周囲には人の姿にも見える石像が並んでいる。奇妙な三人組は精霊のディーナシー。魔女マカによって石に変えられた仲間たちをセルキーの歌で助けようとしているようだ。島のように大きな巨人マクリルを石に変えたというマカの物語もまた母がよく話してくれたものだった。
ディーナシーらはシアーシャに歌わせようとするのだがシアーシャは声が出せない。そこへ突然フクロウが襲い掛かって来た。フクロウはマカの手下。シアーシャを狙っている!ディーナシーのおかげでなんとかシアーシャを守り切るがディーナシーらはフクロウの魔法で石になってしまった。
石になってしまった精霊たちを助けるためには魔法のコートが必要だと知ったベンは妹を連れて再び灯台を目指す。だが道中でシアーシャは突然井戸に飛び込み姿を消してしまった。後を追ったベンはその先で髪の長い精霊シャナキーに出会う。この世の全てを記憶するシャナキーから、セルキーであるシアーシャが声が出せないのは魔法のコートがないからで、コートを着れば喋れるようにも歌えるようにもなると教えられる。そしてシアーシャが魔女マカの手に落ち、今晩中にコートを手に入れて歌わなければ石になってしまうと知らされ、マカの居城へと急ぐ。
城へやってきたベンを、魔女は優しく迎える。感情を奪い瓶詰めにするマカは魔法でベンから感情を奪おうとするが、愛犬クーが助けてくれた。シアーシャを見つけたベンは弱っている妹を励まし母の形見の貝殻笛を吹かせる。その音が響くとマカの瓶が次々と砕け、マカは自ら封じていた感情を取り戻し改心した。
マカの魔法で灯台まで飛んで行ったベン達。真っ青な顔の娘の姿を見て父はすぐさま医者に診せなければと雨の中ボートを出す。父が魔法のコートを海に捨ててしまったと知ったベンは海へと飛び込んだ。アザラシたちに導かれ海底に沈んでいる箱から魔法のコートを手に入れたベン。シアーシャにコートを着せると彼女は弱々しくも歌を歌う。不思議な光が海を空を駆け巡り、石にされた精霊らは元の姿を取り戻していく・・・あの島のような伝説の巨人マクリルも蘇り、母である魔女マカと手を取り水平線の彼方へ消えて行った。
そしてコートを纏い輝くシアーシャの背後にもう一人、やはり白く輝くコートを着たセルキー、母ブロナーの姿が。そして精霊が元の世界へ戻るには今をおいて他はないとシアーシャの手を取る。ベンは妹を連れて行かないでと懇願し、シアーシャ自身もこの世界にとどまりたいと答える。ブロナーはシアーシャからコートを脱がせ、そしてゆっくりと消えて行った・・・。
そうして精霊の力を失ったシアーシャは完全な人間となり、父と兄と祖母とで仲良く暮らしていくのだった。(終)-----ここまで]
なんてなんて美しい作品…!
予想以上にきれいな映画だった。まるで動く絵本!やさしい色使い、幾何学的で民族色あふれる曲線模様。丸々としてかわいらしいキャラクターが人形劇のように平面だけど奥行きをもって重なり動く。そしてなんといってもこの懐かしさと繊細さをもってほぼ全編にわたって流れる北欧音楽。ディズニーの「ファンタジア」のような、美しい音楽と映像がピッタリと当てはまった幻想世界。
アドベンチャーとしてのストーリーはしっかりしてるし所々のコミカルなシーンもわかりやすくて一応子供でも楽しめるようにはなってるんだけど、これはやっぱり大人向けかな。大人が感動するような美しさを描くシーンがけっこう長いので子供はそういうとこは退屈してしまうかも。
最後スタッフロールで製作過程の絵がいくつか出て来るけど、そこで初めてこれがCG映画だと知った!あの淡い水彩画のような絵がCGだとは!!
でも反面、あの美しく描かれる曲線や光の動きはなるほどコンピュータだからあんな規則性を持ってるわけだ、と若干ガッカリ。
しかし本当に美しい画面。キャラクターもかわいいけどそれ以上に背景や効果に目が行く作品。動く絵画。動く紙芝居。心洗われる芸術作品です。
映画『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』公式サイト
あらすじがほぼ最後まで書いてあるので先に読まないことをおすすめします。
『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』オリジナルサウンドトラック

日本版サントラにはEGO-WRAPPIN'の中納さんが歌うテーマ曲が入ってます。

![人魚姫 [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/512vmxn8u1L._SL160_.jpg)




