あさひのブログ -34ページ目
リクシルギャラリーの「ニッポン貝人列伝」展を見てきました。

日本の10人の貝研究家・収集家を各々のコレクションの一部と共に紹介する展示。
貝類というのは考えてみればなかなかマニアックな…水族館へ行ってもあんまり貝類の展示ってないし。

貝は巻貝と二枚貝がその殆どを占めるらしいですが、あのカタツムリも貝らしくて、コレクションの中にはカタツムリの殻も含まれてます。(殻だけで中身はいないのでご安心を。)
色の綺麗なもの、形の美しいものは高価で売買されたそうで。嘘みたいにきっちり精密な幾何学的模様は今でも人を惹きつけるだろうことは目に明らか。ところが、展示されているコレクションの中にはこれ本当に自然のものなのかと目を疑いたくなるような、ヘタクソが書いたような、幾何学性が全くないテキトーすぎる模様の貝もあって。大自然の不思議さ…。
私達が普段目にすることのない奇妙な形の貝もあります。巻貝にトゲトゲが生えているのはまだ絵や写真で見ることはあっても、まさか二枚貝にこんな角が沢山生えてるやつは初めて見た…確かにこれはバケモノ貝と命名してもおかしくない。
人の頭くらいの大きさの巻貝もあればわざわざ拡大鏡が設置されてるような米粒くらいの貝もあります。集める人は何でも集めるなぁと思った次第…。


ニッポン貝人列伝-時代をつくった貝コレクション-
12/8(金)-2/20(火) LIXILギャラリー大阪
入場無料。

LIXILギャラリー大阪
グランフロント大阪 南館タワーA12階。
オフィスタワーのワンルームです。行き方ちょっとややこしいのでホームページを見て行ってください。



長いものに巻かれろ
「イノセントワールド」「隋唐演義」でも印象的な役をやってたワン・バオチァン(王宝強)の初監督作品。

「大閙天竺」(2017年 監督/王宝強 主演/王宝強、白客)
100分

※日本語版はありません。

タイトルは「天竺(インドの旧名)で大騒ぎ」。
天竺と言えば「西遊記」なわけで、西遊記パロディのアクションコメディ。

――財閥・唐グループのビル建設予定地に頑なに立ち退きを拒む一人の青年がいた。彼は無数の猿と暮らし自らも猿のように自由自在に動き回るカンフーの達人・武空。唐グループの李副社長は力づくで彼を追い出そうと大勢で押しかけるがあっけなく撃退されてしまった。
その直後、唐社長が亡くなった。彼はグループの財産を託すことを記した遺書をインドに保管していた。社長は臨終の間際に息子の唐森に、インドへ遺書を取りに行くように言い残す。しかも例の猿の青年を護衛に連れて行けと…。
武空は傷害と器物破損の罪で投獄されていたが唐森は出してやるのでインドへ一緒に来いと言う。武空ははじめ拒むが、このまま投獄され続けていれば家にいる猿達が保健所に収容されてしまうぞと脅されやむなく承諾する。唐森は唐グループの御曹司、くれぐれも怪我させることないようしっかり護衛するようにと言いつけられ、武空は唐森と共に飛行機で一路インドへ…。――

[ここからネタバレ-------
インドでは唐グループの担当者・朱天鵬が空港まで出迎えてくれたが、金銀ド派手な格好をした兄弟が唐森を狙ってると勘違いした武空は彼らを殴り倒し騒ぎになる。ところが実は金銀兄弟は本当に唐森の命を狙っていて、武空、唐森、朱天鵬は急いで車で逃げ出す。

唐グループのホテルに着くと唐森は武空にもう用無しだといって帰らせる。ホテルでは大勢の美女と、令嬢・呉静が待っていて、呉静は唐森に結婚を迫る。そういえば以前酔っぱらって彼女を口説いたのだった…酒の上での話で冗談だったと弁解するが呉静は逃がさないと追い詰める。そこへ武空が戻って来た。帰り賃がないのだ。唐森は武空に助けを求めるが武空は金を貰うとさっさと帰ろうとする、が、美女らが武空に襲い掛かる。実は彼女らは武空達を暗殺するよう密命を受けていたのだ。
武空は暗殺者らと戦い唐森を連れて逃げる。その後も金銀兄弟に見つかり追いかけられ、地元の激辛大食い大会に飛び入り参加して優勝するもトラブルになり追いかけられ、はぐれていた朱天鵬に呉静とも再会して四人は遺書を取りに行く旅を続ける。

久しぶりに電波が届くところへ来た武空は朱天鵬からスマホを借りて自宅に設置しているカメラで猿たちの様子を見る。ところが、唐森を護衛すれば自宅は壊さないという約束だったのにそこに写っているのは瓦礫の山だった…。武空は唐森が約束を破ったと怒って立ち去って行った。実は彼には生き別れの弟がいて、頑なに立ち退かないのは、家がなくなってしまえば弟が帰ってこられないからだった。
唐森、朱天鵬、呉静の三人になったところへ、新たな刺客が立ちはだかる。それは金銀兄弟のボス九霊元聖で、唐森が唐グループの後継となるのを阻止するため李副社長が差し向けたのだ。唐森らは一撃で倒されるが、そこへ武空が現れる。九霊元聖と激闘を繰り広げるが海へと突き落とされる。海の中で如来の姿を見た武空はそこで如意棒を手に入れ、九霊元聖を叩きのめした。

やっと遺書があるという寺院にたどり着いた唐森と武空。待っていた僧は唐森の叔父だと名乗る。そして唐森と武空が実は兄弟だという真実を告げる。二人がまだ幼い頃、一家でインドへ遊びに来ていた際に武空が市場ではぐれてしまい行方不明となっていたのだ。父は唐森を連れ中国へ戻ったが叔父は武空を探すためにインドに残ったのだ。臨終の間際に武空が生きていることを知った父は事の次第を説明させるために唐森に武空を連れていくよう言ったのだろう、と。

唐グループを継いだ唐森は武空のために彼の猿達が安心して暮らせる岩山を買った。すると孫悟空が現れて武空の手を引いて空高く飛んで行った。(終)
-----ここまで]

物語はまあ大定番な展開で、巧みに西遊記をパロって現代劇に仕立て上げてて面白かった。主人公の武空(ウーコン)が孫悟空(スン・ウーコン)、唐森(タン・ソン)が唐僧(タンソン)…中国では三蔵法師の事をこう呼ぶ。朱天鵬は猪八戒(朱と猪はどちらもチューと発音)、呉静(ウー・チン)はたぶん沙悟浄(シャー・ウージン)。
唐森の暗殺を企むウェーイな格好の二人組はどう見ても金角銀角だしインドの激辛大会の主催者は牛魔王をイメージしてるんだろう。
でも古くさくならずに、カラフルでポップで若者にすんなり受け入れられそうなエンターテイメント性に溢れてて、そして金のかかったアクションシーン、ロケ、CG、ゲスト。初監督作品がこれって凄いな…ジャッキー・チェンみたいに"本格アクションを魅せるコメディ"を作る新世代になるんじゃなかろうか。

しかしこれは主役格の二人…武空役ワン・バオチァンと、唐森役バイ・コー(白客)の手慣れたコメディアンっぷりが最強!良いコンビ!
スニーカーを履いたカンフーマン、ワン・バオチァンはなんといってもアクションがめーっちゃくちゃカッコイイし、童顔で表情豊かなとこがおばちゃん的には可愛くて可愛くて仕方ない。バイ・コーはB級コメディ「万々没想到」で主人公の王大錘を演ってた人で、本作では主にツッコミだけど隙あらば画面の端でボケてたりして芸人魂を感じさせて好印象。ワン・バオチァンは監督だし元々武術やってる人だから体を張るアクションはお手のものだろうけど、バイ・コーもけーっこう体張ってて、芸人魂だわ…。

パロディ作品なので物語としては「西遊記」を知らないとキビシイものがあるけど、アクションコメディなので話は二の次。流行のインド文化を採り入れたアクションものと考えれば日本に輸入されてもおかしくないかなーなんて。


YOUKU
広告さえ見れば無料。簡体字&英語字幕。
「20歳よ、もう一度」(2015年 原題「重返20歳/Miss Granny」 監督/レスト・チェン 主演/ヤン・ズーシャン)
132分
20歳よ、もう一度 (字幕版)/作者不明

Amazon.co.jp

原案は2014年に大ヒットした韓国映画「수상한 그녀(怪しい彼女)」で、この元作品は日本をはじめ、いろんな国でリメイクされてるみたい。

――チェン・モンチュン(沈夢君)はまだ若い頃に夫を亡くし女手一つで息子を育て上げてきた。その息子シャン・グオビン(項国斌)は立派に大学教授となり、息子の嫁のヤン・チン(楊琴)、双子の孫のチェンジン(前進)、シンラン(欣然)と5人で暮らしていた。
夢君は元使用人のリー・ダーハイ(李大海)と恋人のようにして遊びに出かけ、老人らが集う麻雀サロンで麻雀を打ち、友人らに息子の自慢をする。お節介な彼女は楊琴の家事や子供の世話にも逐一口を挟み、そのため楊琴は神経衰弱になりある日倒れて病院に担ぎ込まれてしまった。
国斌は妻の負担を減らすために母を養老院に預けようと提案するが、おばあちゃん子の前進は反対する。その口論を聞いてしまった夢君はちょっと出掛けて来るといって家を出る。あてもなく街を歩いているとある写真館が目に留まった。「若々しく撮ります」その不思議な雰囲気に惹かれた夢君は写真館で記念の一枚を撮ってもらった。
写真館を出ると前進から電話が。バンドの練習後でお腹が空いたという彼にご馳走してあげると約束した夢君は急いでバスに乗る。が、窓に写った自分の顔をみて驚愕する。そこには20歳くらいの若々しい自分が写っていた!!――

[ここからネタバレ-------
夢君はびっくりして来た道を戻るが写真館があった所は"大人の玩具"屋になっている。店員も写真館なんてここにはないと言う。とにかくこの姿では帰れない、途方に暮れた夢君はその日野宿した。
翌朝目覚めてみても姿は若返ったままだった。だが考えてみれば足腰も若い頃のように元気に動く。気持ちを切り替えた夢君は髪を切り若々しい服を買っておしゃれして李の家へ。昔旅館をやっていた彼の家へ宿泊に来たと強引に転がり込んだ。名を聞かれた夢君はモン・リンチュン(孟麗君)と名乗る。
李にくっついてなじみの麻雀サロンへ来た麗君は李にモーションをかけるライバルのチェン・ユィメイ(陳玉梅)と争い、カラオケで歌を競う。若く美しくそして歌の上手い麗君に皆拍手を送り麗君は勝ったとにんまり。それをたまたま孫の項前進と、音楽プロデューサーのタン・ズミン(譚子明)が見ていた。自分のバンド「ザ・フォワーズ」のボーカルに逃げられたところだった前進は彼女をスカウトしようとするが、孫の姿を見て動揺した麗君は逃げ出した。

前進は麗君と一緒にいた李大海なら彼女の居場所を知ってるかもと彼の家を訪れると果たして麗君がいた。前進は麗君に歌ってくれと頼み込む。試しにフォワーズの曲を聞かせてもらったが麗君にとってはロックはうるさいだけで理解できない。こういう曲だったら歌ってもいい、と麗君が歌ってみせたポップな曲…その曲でフォワーズは一気に注目を集める存在となった。
バンドオーディションに出たザ・フォワーズ。その審査員はあの譚子明だった。孟麗君の才能に一目惚れしていた譚プロデューサーは是非にとフォワーズをライブハウスのイベントに出させる。
その頃、李大海は行方不明になっている沈夢君の靴や衣服、身分証を麗君の荷物の中から発見する。麗君が夢君をどこかへ連れ去ったのではと疑った李はゴルフクラブを持って彼女を待ち構えるが、歳で体は上手く動かずあっさり返り討ちに。麗君が好きな女の若い頃を思い出せないの?と昔の写真と自分を見比べさせる。まさか本当に…?李は唖然とする。

項国斌は自分たちが母を追い出そうとしたから母は家出してしまったのだと後悔していた。麗君の秘密を知った李は国斌を呼び、沈夢君は旅行出かけたが心配ないと言っていたと伝える。そして自分が沈夢君と結婚すればそちらの家事情も丸く収まって万々歳だろうと提案する。それを聞いた麗君は仰天し、また李の実娘も猛反対して大騒ぎに。
直後に出たフォワーズのライブのリハーサルは散々だった。譚プロデューサーも頭を抱える。がっかりする前進に麗君は本番では曲目を変えバラードで勝負しようと言う。昔の恋人を想うその歌は観客を魅了し、前進や譚プロデューサー、ライブを見に来た李も目を潤ませる。

打ち上げで喧嘩に巻き込まれた麗君は足を怪我した。帰宅し李が彼女の足の手当てをしていると、李の娘は若い女狐が父を篭絡し財産を狙っているのだと逆上し麗君は追い出されてしまった。途方にくれたその時、譚プロデューサーから電話が。麗君は思い切って彼の家に泊まらせてくれるよう頼む。

李は大学の項国斌の元へ押しかけ、孟麗君が実は沈夢君の若返った姿なのだと訴えるが、国斌は李がボケてしまったのだろうとしか考えない。
フォワーズは新曲を譚プロデューサーに聴かせるがプロデューサーはどれも同じような曲でダメだと指摘する。作曲担当の前進は怒って出て行ってしまった。麗君はバンドメンバーから、前進が麗君の事を好きで、でも彼女が譚プロデューサーの家に泊まった事を知って傷心しているのだと聞かされた。

久しぶりに李の家に行った麗君。李は麗君の顔を見て、最近好きな人ができたんだろうと言う。彼女が亡くした夫と会った時のような顔をしていると。そしてもう遊びに来ない方がいいと告げる。こんな若い子がおじいさんにしょっちゅう会いに来ていては他所からどう言われるかわからないからと…。
その夜、譚プロデューサーから食事に誘われた麗君は彼から美しい髪飾りをプレゼントされ告白された。でも私が突然おばあちゃんになったら、それでも私を好きでいてくれる?そう訊くとプロデューサーはその時は自分もおじいちゃんになっているさと笑って答える。その時李から電話が。入院していた陳玉梅が亡くなったとの報せ…。

ある日帰宅した項国斌はフォワーズの打ち上げ写真を見てふと李の言葉を思い出し、急いで古いアルバムを探し出した。孟麗君は確かに、昔の母と瓜二つだった…。

大きな野外フェスの前座を任されたフォワーズ。だが時間が迫っているのに前進が戻ってこない。自転車で買出しに出かけた前進はその帰り道にトラックにはねられ病院へ搬送されていた…それを知った麗君はしかし、この曲を皆の前で見せることが彼の夢だったと、前進の代理を立ててライブを敢行した。
ライブ終了後麗君は急いで病院へ。既に家族や李も集まっている。前進に輸血が必要だがAB型は家族の中でも祖母の沈夢君しかいない。私はここにいる…そう言いかけた麗君を李は押しとどめ連れて行く。今真実を話してしまえば、せっかく歌手として生きていく人生、そして新たな恋人と歩んでいく道を諦めることになる、と。
しかし麗君は前進を助けると彼の病室へ向かう。その彼女に国斌が声をかける。あなたがもし沈夢君という女性を知ってるなら彼女に伝えてほしい、彼女は早くに夫を亡くし女手一つで息子を育て苦労続きだった、もし人生がもう一度あるのなら、短命の夫と結婚しないよう、親不孝な子供を産まないよう、同じ苦労をすることのないよう生きてほしいと。前進は私たちが助けるから、あなたの好きなように生きてほしいと。麗君は答える、それはできない、だって私はあなたの母だから…。

ザ・フォワーズのライブがテレビで中継されている。沈夢君と項国斌、楊琴はソファに並んで前進の晴れ姿を見ては喜ぶ。沈夢君の髪にはあの美しい髪飾りがついている…。(終)
-------ここまで]

いやけっこうジーンと来た。
おばあちゃんが突然若返って、若い頃出来なかったことを思いっきり楽しんじゃうという、コメディにはいたってよくあるプロットなんだけど、この作品ではコメディ色は控え目で老いってなんだろう歳をとるってなんだろうとかけっこう生真面目にテーマを掘り下げてるような感触。
若い頃叶えられなかった恋、そして新しい恋、新しい夢…若返った主人公の目の前に無限に広がる可能性の中でどれを選択すればいいのか。そしてその選択を左右するのは今まで生きてきた人生経験で…今の一瞬一瞬ひとつひとつの選択が後悔することのない大切なものだと心に呼びかけるハートフルコメディに仕上がってる。

若返った主人公・孟麗君を演じるヤン・ズーシャン(楊子姍)が素晴らしいのよ。カワイイのに加えて、それとのギャップとなるおばあちゃんぽい所作にいい意味で笑ってしまう。背中を丸めがちでややがに股歩きになってる所なんか、よく観察してるなぁと。
そして譚プロデューサー(演/チェン・ボーリン(陳柏霖))がねぇ、イケメンすぎ。この人モデルだろうな。芝居はともかく顔が良いw も少し若い世代は項前進役のルー・ハン(鹿晗)がヒットするのでは。この人は韓国のアイドルグループのメンバーらしい。可愛い系の男の子が好きな方はぜひ。
とまぁ若干アイドル映画路線ではあるけど(一応コメディだし)、物語自体もとてもいい話なのでおすすめです。


YOUKU
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「大軍師司馬懿之軍師連盟(全42話)」第二十二集26分頃から。
魏と呉の攻撃で関羽は敗北し討ち取られた。関羽の首を受け取った曹操は彼に敬意を示し手厚く葬った。その帰りの馬車にて。

* * * * *

「今日なぜお前を連れてきたかわかるか。」
「お答えします、わたくしに関羽の弔いを早く進めさせるためではないかと。」
「そして東呉の使者がわしに孫権の話を伝達したからだ。孫権が言うには、司馬懿は天才であると。今回名を成したことは必ず天下にその威を揚げるであろうと。」
「わたくしはそのような、とんでもございません。」
「フッ…こういう戯れ事はわしも昔からやってきた。わしが赤壁(の戦い)で撤兵した時も、孫権に手紙を送ってやった。周公瑾はきっと名を成すだろうと言ってな。」
「大王さまさすがです。」
「あの時は周公瑾はやっと36歳になったところで、わしの一生の強敵(ライバル)であったのに、思いがけずもわしより先に逝ってしまった。天意(運命)は推し量りがたく、(命の)長短は無常だ。この幾年かで、多くの敵や友が一人また一人とわしの元から去っていく。劉備、孔明、孫権、こやつら(敵)はお前と子桓に残していく。」
馬車は荒れ地を進んでいく。
「あの頃、ここら一帯は麦苗が青々としており、わしはよくあの袁紹と連れだって遊びに出かけ、馬で巻き狩りをしたものだ。四百年の(歴史ある)名都も、このようにいっぺんで壊されてしまうものなのだな。」
目の前を通り過ぎる地元の百姓の子が歌を歌っている。
「♪じゅうごにしてぐんにおもむいてゆき、はちじゅうにしてはじめてかえるをえたり・・・」
曹操はその子の歌にしばらく耳を傾ける。
「この歌は…?」
「大王さまお答えします、(あの)子供の歌っているのは洛陽のある民歌です。わたくしは歌詞を知ってますから、大王様にお聞かせしてもよろしいでしょうか。」
「ああ。」
「"十五にして軍に従いて征き、八十にして始めて帰るを得たり、道に郷里の人に逢う、家中に阿誰有りや、遙かに看る是れ君が家なり、松柏・塚累累たり、中庭には旅穀生じ、井上には旅葵生ず、穀を舂きて持って飯を作り、葵を採りて持って羮を作る、羮飯一時に熟すれども、知らず阿誰に貽るかを、門を出でて東に向って看れば、泪落ちて我が衣を沾す"(十五歳で従軍し出征し、八十歳になってやっと帰って来た。道で逢った故郷の人に、(自分の)家には誰がいるかなと訊く。(その人は言った)あそこに見えるのが君の家だ。(行ってみると)松や柏が生い茂り墓がうず高く立ち並び、中庭には野生の雑穀が生え、井戸の上には野生の葵が生えている。その雑穀を採って(臼杵でついて)飯(※餅のような主食か)を作り、その葵を採って羹(※煮物)を作る。飯と羹は同時に出来上がったが、誰に食べさせればよいのだ。門を出て東を見ると、涙がはらはら落ちて私の衣を濡らす。)
大王さま、この民歌を歌ったのは小さい頃に家を出たとある老兵で、家に帰って食事を作ったのに誰に食べさせればいいかわからない、(なぜなら)家の者は皆死んで誰もいなくなっていたからです。」
「…この数十年、中原は戦に乱れ、百姓(の家)は十のうち九つが(人がいなくなり)空だ。わしはお前を、子桓が平和で豊かな国家を築き上げるのを補佐させるために残しておく。平和な世…わしは、この目で見ることはできぬ。お前達に残していく。しばらくは兵を休ませ民を養うのだ。百姓らは、苦しかろう。」
「大王さまの胸の内は、誰も及ぶ者はおりません(誰よりも素晴らしい)。大王さま万歳。」

* * * * *

劇中の歌は「十五従軍征」と呼ばれる作者不詳の詩。原典はこちら。

 十五従軍征 八十始得歸
 道逢郷里人 家中有阿誰
 遙望是君家 松柏塚纍纍
 兎従狗竇入 雉従梁上飛
 中庭生旅穀 井上生旅葵
 烹穀持作飯 採葵持作羮
 羮飯一時熟 不知貽阿誰
 出門東向望 涙落沾我衣

 十五にして軍に従いて征き
 八十にして始めて帰るを得たり
 道に郷里の人に逢う
 家中に阿誰(※誰か)有りや
 遙かに望む 是れ君が家なり
 松柏 塚(※墓)累累たり
 兎は狗の穴より入り
 雉は梁の上より飛ぶ
 中庭には旅穀(※野生の穀類)生じ
 井上には旅葵(※野生の葵)生ず
 穀を烹て持って飯を作り
 葵を採りて持って羮を作る
 羮飯一時に熟すれども
 知らず 阿誰に貽(おく)るかを
 門を出でて東に向って 望めば
 涙落ちて我が衣を沾(うるお)す


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