あさひのブログ -25ページ目
「双城計中計」(2012年 監督/潘安子 主演/任賢斎)
98分


――1924年上海。賭博場で挙動不審だと捕えられたチェンは、オーナーでヤクザのリンの前に引っぱり出された。チェンは指を落とされそうになり慌てて良い儲け話があると言う。日本軍が北西部を治める王将軍を収賄するため列車で黄金を運ぶらしい、上海の二人の達人を仲間に引き込めば必ずやその黄金を奪えるはずだ。その二人とは…"千の顔を持つ男"と呼ばれる変装の達人、通称「鬼顔(※お化け顔、百面相のようなニュアンス)」、そして自らは動くことなく得物を手に入れる老獪な詐欺師、通称「石佛(石像のブッダ)」だ。さらに街で遭遇した女スリで開錠の達人「餃子」も加わり、一味は北西部の風口鎮(※鎮は集落の事)へと向かう――

よくできた物語!物語の展開はベタっちゃベタだけど、さりげなく敷かれてた伏線を最後にどばーっと回収した時の爽快感!!(^∇^)
これはあまりにネタばらししたくない、ぜひ最後まで見て楽しんでほしいと思うのであらすじは割愛。

「快手槍手快槍手」が続編ってわけではなく石佛と金三娘というキャラだけ引き継いでるので、先に見てると確かにああーって楽しめると思う。これもやっぱり「ルパン三世」的なお話だけど、でも「快手槍手~」とおおまかなプロットが同じなの!本作の方がタイトルのように二つの村を使って敵を罠にはめるというシーンを中心に据えてる分スケールは小さく感じるけど、結局は中国人詐欺師がヤクザと組んで敵である日本軍を出し抜くという物語。アクションはテレビドラマくらいのスケールで、コメディ色入ってるのでまぁ不自然はない程度に。男性陣はこれといってモデルばりな人はおらず女性陣はひと昔前の清楚系美人だけどそういう見た目を楽しむ作品でもなく、やっぱり注目すべきは物語かも。まーベタなんだけど、ね。

でも「快手槍手~」に比べると主人公のキャラがいまいち…演じるリッチー・レン(任賢斎)がおっさん臭いのが…。しかも彼コメディのお芝居が全然似合わなくてねぇ、コメディとしてはあまりに中途半端で残念なことになっていた。
でも石佛を演じるテンガー(騰格尔)がやっぱり、イイ味出してんだぁ。脇役みたいな顔しといてとってもオイシイ。
このよくできた脚本を書いたグォ・シュアン(郭爽)は序盤のコメディキャラであるフェイタン探偵を演じているそうで。中国映画界は監督や脚本家などスタッフが自ら出演することが多い気が。


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「快手槍手快槍手」(2016年 監督/潘安子 主演/林更新、張静初)
115分

※日本語版はありません。

快手は何でも素早くこなす人、腕利き。槍手は射撃手。直訳だと「(泥棒の)腕利きと射撃手と名射撃手」だけど、
クァイショウ、チァンショウ、クァイチァンショウ
kuai shou qiang shou kuai qiang shou
と語呂の良さを重視したもの。

――1940年満州。中国一の詐欺師を自称するジュアンは今日も賭博でイカサマして大稼ぎ。しかし弟分に裏切られ賭博相手のチャン科長に捕まった。実はチャン科長はジュアンが巷で噂になっている詐欺師だと知りわざと近づいてきたのだ。チャン科長はジュアンに独房に入れられたくなければある任務をこなせと突きつける。最近とある遺跡から戦国時代のものと思われる貴重な玉璽が発見された。まさに中国の国宝だ。しかしこれを日本軍が狙っている。国宝を日本軍の魔の手から守れ!
ジュアンは女スナイパーのルオユンと共に玉璽を追う――

とまあ後は玉璽を奪ったり奪い返されたり、北方の砂漠地域を舞台にドンパチやったり列車や飛行機のアクションありで、最終的に日本軍の伝説の戦士・鬼武者と戦うというのがざっくりした内容。

とても面白かった。カジュアルなアクションコメディでカップルでも友達同士でも気軽に見てほしいと思う良エンタメ作品。
基本はコメディなので、アクション自体はせいぜいTVレベルでそんなにスゴくはないけどそのチャチっぽさも笑いのひとつとして楽しめるし、若干のお色気やバイオレンスもありつつ、主人公の小気味良い活躍がスカッとする、まぁ言ってみれば「ルパン三世」的な物語かな。残念ながら日本には上陸しないと思うけど、もったいないと思うくらいこれは充分楽しめる作品。もったいないなぁ。

「西遊記2-妖怪の逆襲-」でやさぐれた孫悟空を演ってたケニー・リン(林更新)が主人公のジュアンを。細身でスラッとしててけっこうイケメンでキャラ的にもお調子者だけどカッコイイ。このキャラで続編を作ってほしいくらい。
ヒロインのチャン・チンチュ(張静初)は「唐山大地震」で準主役の方登を演じてた女の子。どことなく昔の綾瀬はるかっぽく見える美女。激しいアクションやお色気シーンにも果敢に挑戦。(色っぽい…。)
最もオイシいキャラである石佛を演じているのはモンゴル人歌手のテンガー(騰格尔)。歌手!?って驚いてしまうくらいベテラン俳優っぽいお芝居。この石佛と金三娘が本当にいい味を出してるんだけどこの二人は同監督の2012年の映画「双城計中計」のキャラクターらしい。なのである意味続編なのかも。


Pangzi


「九河入海」(2012年 監督/林峰 主演/趙立新)
全42話

※日本語版はありません。

清朝末期から太平洋戦争にかけての激動の時代を駆け抜けた海(ハイ)一家の物語。タイトルの「九河入海」は、九つの河が合流して大きな海へと流れる…商社を営む海家がより一層栄えるようにとの願いで額にして飾られた言葉。

――1900年天津。大手商社を営む海家当主・通称"海髯公"には双子の息子がいた。兄の海子軒は生真面目で弟の海子佩は自由奔放。海髯公は二人を分け隔てなく育てたが、子佩の妻の李氏が妊娠した。子軒の妻の唐氏は先に後継(孫)が生まれた方に家督を継がせるに違いないと危機を感じ、自分も妊娠していると言い出す。いよいよ臨月が近くなると唐氏は病院へ駆け込み、大金をはたいて男児を入手し自分の子だと言い張った。子軒は間もなく真相を知るが大喜びの父には今更明かすことなどできなかった。
一方、子佩の子は一歩遅れて誕生するが、女児だった。女では後継に成り得ない…子佩は敗北を悟りなげやりになる――

昼のメロドラマテイストで始まるけど、こんな(昼メロ的に)おいしい設定にしておいてなかなか家族間の秘密が取り沙汰されず、主に海家の商戦を描いていて退屈…。10話まで見たけど未だに子供の正体もばれず義母との禁断の恋も進展なく…すっ飛ばして20話あたりを見るとやっと子供が大きくなって子軒の息子と子佩の娘のいとこ愛の話になるかと思ったらやっぱり商戦がメインで…ええいまどろっこしい!
というわけで単純なドロドロ愛憎劇を期待して観たら大変しんどい作品でした。結局10話でギブアップ。(´□`。)
個人的には舞台が清朝だったのがキツかった。清朝ものはニガテ…。

ただ子軒と子佩の二役を演じるチャオ・リーシン(趙立新)のお芝居は充分堪能できる作品となってます。意外と二人ともが同じ画面に映ることが多くてどうやってるのかとついつい撮影方法に気を取られてしまって内容が頭に入ってこない…。基本的には片方の顔がはっきり写らないような立ち位置にさせて代役を使ってて、どうしても両方の表情が必要な時だけ合成でやってるみたいだけど、カット割りが本当によく工夫されてる。そして同じ顔で似たような服装なのに写った瞬間に兄なのか弟なのかがわかるチャオ・リーシンのお芝居、本当に器用!彼のファンにはおすすめ。あのルビー・リン(林心如)もチョイ役で出てて、こんなのにも出るんだ、と意外。


LeTV
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山田洋二監督の「家族はつらいよ」の中国版リメイク作品。

「麻煩家族」(2017年 監督/黄磊 主演/李立群)
104分


麻煩は大変な、面倒な、厄介な、の意味。

――文錦輝は仕事も引退し毎日友人とバドミントンしたり酒を飲みに行ったり麻雀を打ったり気ままに暮らしている。家は長男の嫁の丁雁が家事を切り盛りし小学生の孫二人がいる。
ある日またいつものように気持ちよく酔っぱらって帰って来ると部屋に綺麗な花が活けてある。妻の潘素に訊くと、彼女が通っている小説創作サークルで誕生日祝いに貰ったのだと皮肉交じりに言われた。妻の誕生日をすっかり忘れてた文錦輝は明日なんでも好きなものをやろうと言い繕うと、潘素は一枚の紙を取り出した。それは離婚届け。ここにサインしたものが欲しいと…。――

[ここからネタバレ-----
茫然として翌朝を迎えた文錦輝だが、そこへ既に嫁に行った娘の文静がパジャマ姿でやってきて夫と離婚すると騒ぎ立てる。彼女はしょっちゅう夫の馮万力と喧嘩しては離婚すると騒いでいるのだ。間もなく馮万力もパジャマ姿で妻を迎えにやってきたが文静は怒って二階から降りてこない。
馮万力は文錦輝を連れ出して必死に自分に落ち度がないことを説明する。しかし喧嘩の内容があまりにしょうもないために文錦輝はもう離婚してしまえと言う。おれだって離婚を突きつけられてんだ、と。馮万力は唖然とする。

馮万力から話を聞いた文静は真っ青に。しかしなぜ母は突然父と離婚したいなどと言い出したのだろうか…。すると馮万力が言う、先ほど義父と話するために入ったカフェ&バーのママさんがグラマー美女で、お義父さんは彼女と親しげだった、理由は浮気じゃないか?と。
馮万力は探偵事務所を訪れ陳律師(律師とは法律家のことのようだ)に浮気調査を依頼する。陳律師が言われた通りのカフェ&バーへ行くと、確かにママさんはグラマー美女で、ターゲットの文錦輝は実は陳律師の同級生だった。顔を見られてばれてしまい結局二人で飲み明かす。
家に戻って来た文錦輝はなんとなく気まずい。だが潘素はいつも通りだ。離婚なんて冗談だったんだろ?と訊くと、しかし潘素は本気だと言うのだった…。

長男の文遠は仕事で忙しく週末にしか家に戻ってこれない。やっと日曜日が来て息子たちとサッカーしようといそいそと出掛けようとするのを丁雁が止める。今日皆で集まって義父母の離婚について話し合うはずでしょ、と。文遠はしぶしぶ息子達にすまないと謝り彼らだけで遊ぶようにと送り出した。だが息子達は彼らは彼らで毎日曜ごとに"パパの遊びに付き合わされる"ことにうんざりしており、自分達だけで遊べると喜んで出掛けて行った。

何も知らされていない次男の文聡は、フィアンセの林叢を両親に紹介するため自宅へ連れてきた。すると兄も帰ってきてるし姉夫婦まで来ている。家族会議で両親の離婚問題を話し合うと言われて二人はとても気まずい。
子供たちはなぜ離婚なんてことになったのかと父に尋ねるが、父はこっちが訊きたいと言う。潘素はだんまりだ。これじゃ納得できないし絶対反対だと子供たちが騒ぎ、潘素はやっと口を開く。もうお父さんが嫌になったの、と。一緒に暮らしている上でのほんのちょっとした嫌なことの積み重ねがもう我慢できなくなったのだと。
息子たちはそんなことくらいで、という意見もあれば、確かにわからないでもないという意見も。しかしやはり離婚はすべきでないと反対する。潘素は家を出て、友達が紹介してくれた部屋を借りて暮らすと言う。文錦輝は朝から晩まで休みなく働いて家族を養ってきて、やっと引退しのんびり暮らせると思ったら離婚しろと言う、男は家族を養う奴隷じゃないかと皮肉交じりに言う。そして文静の尻に敷かれている馮万力にお前がまさにそうだと言ったために、馮万力は逆上し離婚を突きつけられるのはあなたが浮気してるからだと陳律師から送ってもらった写真を突きつけた。それはカフェ&バーのママの手を文錦輝が握っている写真で、それを見た文錦輝は倒れてしまい救急車で運ばれる事態に。末子の文聡が付き添って救急車に乗り、残った子供たちは父が死んだら葬儀をどのように行うかを話し合うのだった…。

一時は墓地の相談までし始めていた文遠らだが、幸いにして文錦輝は命を取り留めた。
文聡は結婚を機に家を出ることに。父に、母ともう一度よく話し合った方がいいと勧めるが、文錦輝は潘素とはお互いに考えていることがわかるだけに今更話し合っても何も変わらないと言う。林叢はたとえ考えがわかっていてもそれを実際に口に出す事はまた違うと説得するが文錦輝は首を振る。

小説創作サークルから帰って来た潘素が部屋に戻ると文錦輝は古い映画を見ている。そして「すまなかった。おれは今まで『ありがとう』の一言もかけたことがなかったな。」と言った。「今までおれの妻でいてくれてありがとう。」そう言ってサインした離婚届を差し出した。潘素は離婚届を受け取ると、その場でびりびりと破り捨てた。

雪降る北京の夜。夫婦、恋人、親子、それぞれが"家族の温もり"で暖をとるのだった。(終)
----ここまで]

よい物語でした。一言でいえば「ベタ」。
離婚問題をきっかけにそれぞれの夫婦が互いの気持ちを見直していくというハートフルコメディ。意地悪な言い方するとお涙頂戴的な。(^▽^;)
元映画の方は観てないけど、まーぁこれはおそらくリメイクといってもめちゃくちゃ素直にまんま中国語にしただけの脚本ではないかと予想できるほど、日本的。それもひと昔前の、ちびまる子ちゃんくらいの時代の家族の。
逆に「家族はつらいよ」の方が2016年公開って、時代にそぐわなさすぎる内容だと思う。今どき三世代同居、専業主婦、両親引退隠居生活、嫁姑含め親族がめちゃくちゃ仲良いって設定、日本じゃありえんくね?そういう点は今の中国にはピッタリくると思う。

映画というよりは舞台向けなコンパクトな物語。ボケは一切ないけど細かに笑いを取りに行ってる見事な脚本。笑いであり皮肉でもあるところがミソ。両親の離婚問題によって自分たち夫婦の関係をも見直していくという息子たちの物語もそつがない。
しかし、妻の潘素が離婚したいと思う気持ちは果たして理解されるのかという点が疑問。朝のうがいの音がうるさいとか人前でおならするとか脱いだ靴下が裏返しだとかそういう細かいデリカシーの無さを気にするのは日本的で、中国の女性もそういう所気にするのか?と。
あと、「家族はつらいよ」のレビューを見る限りはラストシーンの演出が異なる模様。[ここからネタバレ含む-----
「家族はつらいよ」では最後主人公は「本当は別れたくないけどそういう弱音は吐けない昭和の男のプライド」によって離婚届を差し出しているようだけど、本作では「愛するからこそ妻の希望を叶えさせてやろう」という結論から離婚届を差し出している。「家族はつらいよ」では妻は「やはりあなたについて行きます」と答えているようだけど、本作では特に言葉はない。----ここまで]
やはり日本では妻は夫に従うべしという慣習があり、中国では夫婦は平等なんだよな。

主人公の文錦輝を演じるのは「洪武大案」で朱元璋を演じてた台湾のベテラン俳優リー・リーチュン(李立群)。見た目に頑固そうな彼にこのキャラは実にハマリ役w
長男の文遠を演じるのが監督のホァン・レイ(黄磊)。でもあまり前面には出てこず、それよりは娘の夫の馮万力役ワン・シュン(王迅)がキャラが濃くて面白かったな。
中盤でえらい流暢に日本語をしゃべる女性が出て来るんだけど、彼女は女優さんではなくこの映画のメーキャップ担当の山崎恵子さんで、エキストラ出演みたい。

ラストシーンで文錦輝が観ている映画が「幸福の黄色いハンカチ」で山田洋二監督へのリスペクトが窺える演出。「家族はつらいよ」と見比べてみるのも面白いのではないでしょうか。(たぶんそっくり、ほぼ同じだと思う。)


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家族はつらいよ家族はつらいよ
2,000円
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かなり古いけどグォ・ヨウ(葛優)、チァン・ウェン(姜文)という二大名優の主演作。監督は「乱世英雄呂不韋」のチョウ・シャオウェン (周暁文)。

「異聞・始皇帝謀殺」(1996年 原題「秦頌」 監督/周暁文 主演/葛優、姜文、許晴)
130分

※日本語版である「異聞・始皇帝謀殺」はVHS(ビデオテープ)しか存在しないようです。原語版「秦頌」はYouTubeなどで見られます。

始皇帝の暗殺事件のひとつを大胆にアレンジした物語。
原題の秦頌は秦を讃える歌、国歌のようなものを指す。

――戦国時代末期。秦国王の孫である嬴政は人質の子として趙国で生まれた。ある日秦国への報復のため人質が殺されることになった。処刑人が次々と人質の首を落としていく。自分の番が近づき震える嬴政に乳兄弟の高漸離は琴を奏でて励ました。土壇場で嬴政はまだ人質として有用だということになり処刑は免れた。しかしその夜、嬴政と高漸離は報復のため眠りこける処刑人を引きずり出し生き埋めにした。事件が発覚し今度こそ二人とも死を覚悟するが、突然秦国の使者がやってきて嬴政を迎えに来た。嬴政は高漸離の手を引き一緒に車に載せるが、嬴政が眠っている間に高漸離は車から投げ捨てられた…。

それから十数年後。秦王となった嬴政は伝統やしきたりに縛られることを嫌い、残る燕、楚、斉を倒して天下を統一した暁には皇帝と称すると宣言する。側近が先に楚国を攻めるはずではと問うが、嬴政は燕国からだと言う。燕には秦に相応しい歌「秦頌」を作れる者がいるからだ――

[ここからネタバレ------
秦王は今は燕で琴の名手として名を馳せるようになった高漸離を何度も招聘するが彼は応じなかった。秦から燕へ亡命してきた樊於期将軍は高漸離の元へ行き、荊軻と共に秦国へ赴き秦王を暗殺してほしいと持ち掛ける。しかし高漸離は燕と秦の戦に関心はなく、秦が天下統一して世界が平和になるならその方が良いと断るのだった。

燕の使者として荊軻は樊将軍の首を持参して秦王に謁見する。そして高漸離が自ら右手の指を切り秦王に献上したと言うと秦王は身を乗り出した。荊軻が箱を開け巻物を開いていくと、そこにあったのは匕首!荊軻は匕首を手に秦王を襲うが躱されてしまった。暗殺は失敗に終わった…。
秦王は即座に燕を攻め、高漸離は拉致されるようにして秦国へと連行された。手違いで虜囚と同じ烙印を額に押され、高漸離はかつて兄弟同然だった嬴政のこのひどい仕打ちに絶望する。
秦王は命令が行き届かなかったことを詫びた上で、宮廷楽師になってほしいと言う。しかし高漸離は秦王が燕国を力づくで押さえつけたことに反発し拒否する。高漸離は軟禁状態に置かれ、なおも暴れるためとうとう長い鎖で繋がれた。高漸離は断食を始める。秦王は無理矢理口をこじあけさせて食事を流し込ませた。

秦王の長女の檪楊公主は足が悪く歩けなかったが秦王に最も可愛がられている姫であった。檪楊公主は父がわざわざ燕から捕えてきた高漸離に興味を持ち自分の奴隷にする。琴の名手だと聞くが見た目にも信じられない。一日中彼の側に張り付き脅したりすかしたりして琴を弾かせようと試みた。だが高漸離はやはり水も口にせず茫然としているだけだ。もうこのまま死ぬ気だろうかと諦めつつ檪楊公主は幼い頃父がよく歌ってくれた子守唄を口ずさむ。と、高漸離が目を見開き手を伸ばす…檪楊公主は水を口に含み口移しで彼に飲ませた。
翌日から高漸離は断食を止め食事もがつがつ食べるようになった。

檪楊公主のたっての希望で高漸離は彼女に琴を教えることになった。琴の指導で二人きりになった時に高漸離は動けない檪楊公主を強姦する。これで死刑は確定だ…。
ところが檪楊公主は行為の後で奇跡的に足が動くようになった。秦王は高漸離の琴の音が娘を治したと大喜びする。だが真相を知ると激怒し高漸離を生き埋めにしようとするが、「おれはずっと死にたかったんだ」という言葉に手を止め、彼を掘り出させた。
檪楊公主は何でも言う事を聞くので高漸離を助けてほしいと父に泣きついた。

高漸離は他の囚人らと同様に土木作業に駆り出された。つらい作業を続ける中で歌を歌い始める。その歌は次第に広まり皆が口ずさむようになった。李斯は高漸離が謀反の意をもって歌を広めていると危機感を抱くが、秦王は素晴らしい歌だと言い、やはり彼に「秦頌」を作らせると宮廷楽師長に任じた。
秦王は死の恐怖に囚われていた。そのため不老不死の方法をも探らせていた。死に直面したその時、きっとその恐怖から逃れられるのが「秦頌」だ。かつて趙国で彼をその恐怖から救ったのが他でもない高漸離の歌だった、秦王は彼なら死の恐怖に打ち勝つ歌を作れると信じているのだ。

秦国は斉国を制し、檪楊公主は王賁将軍に嫁ぐことになった。公主は既に高漸離を愛しており祖廟の前で二人は抱き合う。一度ならず二度までも娘に手を出すとは!秦王は高漸離を目を燻す酷刑に処した。失明した高漸離に、しかし秦王は、王賁が戦死したら檪楊公主は戻って来るので、そうしたらお前に嫁がせようと言うのだった。
数日後、高漸離の元に趙高がやってきて、結婚式の夜に王賁は殺され檪楊公主は舌を噛んで自害したと言う。公主も自分も、皆秦王の動かす駒に過ぎないのだ…高漸離は絶望する。一方で秦王には王賁が檪楊公主を殺したと伝えられた。秦王は娘の死に慟哭する。

秦王が皇帝になる即位式で、高漸離は突然琴で秦王を殴りつけた。「歴史書にこう残せ、高漸離は始皇帝の暗殺を試み殺されたと!」取り押さえられた高漸離にしかし秦王は、今後も自分に仕え「秦頌」を作った者として名を残すのだと命じる。だが高漸離は毒を飲んでいた。数十分すればもがき苦しみ息絶えるだろう。
秦王は剣を抜き彼にとどめをさした。そして即位式を続行するのだった。(終)
----ここまで]

わけわからん…。
いや物語は単純にできてるけど、テーマが何だったのか、この監督は一体何を描きたかったのかが不明瞭。史実とは異なることから歴史ものとして作ったわけではないはずだけど、恋愛もの、でもないよなぁキャスティングからして。グォ・ヨウは見た目はアレだし(ゴメン!)ヒロインは美女を選んだのかもしれないけど大根役者だし(ゴメン!)。

無理くり推測するとテーマは「歴史は所詮誰かが動かす将棋の駒」…個人の力ではどれだけ努力しても動かせない社会の大きさ、個人の無力さの悲哀。[ここからネタバレ含む----オチとして公主が死んだのが秦王のせいでもなく朝臣の謀だったから。----ここまで] でもこれがメインテーマなら李斯や趙高がもっと前に出てくるべきだ。
あるいは「分かり合えない友情」…親友だと思っていつか自分を理解してくれると期待していたが互いに信念を貫くゆえに分かり合えないという現実。でもこれがテーマだとかなり悲壮な物語。高漸離は秦王によって身体的に酷い目に遭うし、秦王は高漸離によって精神的に酷い目に遭うし、そりゃもう分かり合えるわけがない、友情なんて欠片も無えっしょって思う。英題(「The Emperor's Shadow」)や高漸離の最後の台詞を鑑みるとこの説が有力。
いやいやタイトルというなら原題が「秦頌」なんだから「人の心を動かす歌とは」…壮大で人々に希望を与える歌は実は深い悲しみの上に作られた虚構的なものだった。途中まではこのテーマだろうと思って見てたけど、最後にこれに関するオチはなかったので違うような。
高漸離の心情…怒りと苦しみだけはひしひしと伝わって来たけど、無力感だけを残して終わってしまう後味の悪いラストシーン。これで一体何を伝えたかったんだ?

昔の映画だけあってCGを使わず、ロケのリアルさは半端ない。埃っぽくもやがかっていてモノクロ映画のような薄暗さで、光と影で芸術的に表すシーンが多いけど、それが逆に、誰が映っているのかわからなくなってしまってるという…。
斬首シーンも間接的に描いているけど派手派手しくない効果音がまたゾッとさせる。いわゆるベッドシーンもキスなし露出なしで全く間接的だけど妙に生々しい…。

現代みたいに流行りのイケメン俳優に演らせたりしたらしょーもない作品になりそうだけど、やっぱり見どころはグォ・ヨウの真に迫ったお芝居で。追い詰められても主人公だからといって上策を思いつくわけでもなく下策に手を出して人として最低となじりたくなる、でもそこが人間らしいとも思わせる。彼はこういう力のない人間、スーパーマンじゃない普通の人間の心情を描き出すのがピカ一で。絶望の淵に突き落とされてからなんとか這い上って来るけど決してドラマティックに報われるわけではないという不憫な主人公は「趙氏孤児」にも通じる。
秦王を演じるチァン・ウェンはなんか、若い頃は見た目が弟さん(チァン・ウー/姜武)にそっくりね。この作品では地味であんまり個性とか感じなかったなぁ。

登場人物は少ないけどエキストラの数が凄くて迫力!人海戦術!
いつも思うけど中国映画の拷問シーンは実際体張ってそうで凄いというか怖い…。