「運命の子」(2010年 原題「趙氏孤児/Sacrifice」 監督/チェン・カイコー 主演/グォ・ヨウ)
117分
運命の子 [DVD]/角川書店

¥5,076
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史記に記載されているエピソードを題材にした物語、らしい。
――春秋時代の晋国。宰相の趙盾は息子の趙朔将軍に君主の姉・荘姫を娶らせ朝廷の実権を握る。自分が手にするはずだった栄光を横取りされた屠岸賈将軍は、君主を謀殺しその罪を趙盾になすりつけ、趙一族を根絶やしにしようとする。臨月に至っていた荘姫は夫の死のショックとともに出産し、居合わせた医者の程嬰に我が子を託して逃がそうとする。だがそこへ屠岸賈の部下の韓厥(カン・ケツ)が駆け付け、赤子を引き渡せと要求する――
[ここからネタバレ---------
荘姫は出産する前に死んだことにして子供は見逃してくれと自ら胸を刺して息絶えた。韓ケツは良心には背けず赤子を抱えた程嬰を見逃してやる。
荘姫は既に自害していたとの報告を受けた屠岸賈は現場へ行くが、荘姫は腹に詰め物をしてるだけだった。屠岸賈は怒り韓ケツの顔を切り付け罷免し、そしてすぐさま城内すべての赤子を集めるよう指示を出す。
程嬰は趙朔と荘姫の子…今や趙氏の唯一の生き残りを自宅へ連れて帰る。実は程嬰の妻も出産したばかり。赤子を妻に預け程嬰は急いで荘姫の信頼する貴族・公孫杵臼に助けを求めに行く。
程嬰が公孫氏を連れて戻って来ると、趙氏の赤子の姿がない。妻に事情を訊くと、趙氏の赤子を抱いてあやしている時に兵士がやって来て、赤子を連れ去って行ったというのだ。程嬰は青ざめる。城中の赤子を集め戸籍と照合し、残った子がつまり趙氏の子だ。今ここに残っている我が子が趙氏の子だと思われてしまう…。公孫氏は程嬰の妻子を自らの屋敷に匿い、程嬰は趙氏の子を取り戻すために赤子達が連れ去られた宮殿へと向かう。
子を連れ去られ泣き叫ぶ父母らの前で、屠岸賈は夜更けまでに趙氏の子をさらった悪人が自首しなければ赤子を皆殺しにすると宣言する。
集めた赤子とその母親を照合していくと、一人の赤子だけ母親が来ていないことが判明。我が子が連れ去られて黙っている母親がいようものか。その赤子は程嬰の子だと判る。屠岸賈は程嬰を呼びつけ真相を問いただす。たった一人の赤子を救うために100人の赤子を殺すのかと突きつけられた程嬰はついにこの赤子が趙氏の子で、自分の子は公孫氏に託したと話してしまう。
屠岸賈は彼が逃がした子こそが趙氏の子であると確信しすぐさま公孫氏の屋敷へ。公孫氏は殺され隠れていた程嬰の妻に子を差し出せと要求する。程嬰はこれは本当に自分の子だと言って屠岸賈に差し出すが、屠岸賈は赤子を床に投げつけ殺し程嬰の妻をも刺殺した・・・。
妻子を失った程嬰に残されたのは他人の赤子…本当の趙氏の子だ。茫然として時を過ごす程嬰だが、やがて赤子を一人で育て始め、人々は妻を殺された彼に同情する。
程嬰の元に、あの韓ケツがやってくる。程嬰はその顔の傷の手当をしてやる。韓ケツは屠岸賈を恨み、復讐をとげたいと程嬰に持ち掛ける。その彼に対して程嬰は、この趙氏の子を育て上げ、この子の手によって屠岸賈を殺し奴に地獄の苦しみを味わわせてやるつもりだと告白する。
程嬰は屠岸賈の屋敷を訪れ臣下になりたいと申し出る。そして勃と名付けた我が子(趙氏の子)に屠岸賈を父と呼ばせる(※父親と同様の敬意を払わせた)。屠岸賈は程勃を我が子のように可愛がり自ら武芸を仕込んだ。
やがて程勃は程嬰が常に自分を束縛することに反発し、より一層屠岸賈に懐くようになる。韓ケツはそろそろ程勃に真実を話し復讐を遂げる時期ではないかと持ち掛けるが、程嬰はまだ程勃に屠岸賈を殺す力は身についていないと制止する。
ある時屋敷を出たいとだだをこねる程勃を力づくで抑える程嬰を見て屠岸賈が仲裁に入るが、頭に血が上っていた程嬰は屠岸賈に剣を向けてしまう。その行動に屠岸賈は真意を問いただす。程嬰は、ただ妻を殺された恨みがあるという事だけを屠岸賈に告げる。程勃は父と慕う屠岸賈が自分の母親を殺したと知り衝撃を受けるが、本当の息子のように可愛がってくれた屠岸賈を憎いと思うこともできなかった…。
さらに時が経ち、15歳になった程勃は初めて戦へ出ることになった。甲冑を着込んだその晴れ姿に、屠岸賈は趙朔将軍の面影を見る・・・まさか、あの時殺したのは本当に程嬰の子で、この子こそが趙氏の子だったのか!
老いた程嬰の元に韓ケツがやってきて、もう待っている場合ではないと説得する。そしてついに程嬰は程勃に真実を告げる。だが程勃は父や韓ケツが屠岸賈憎さに嘘を言っているのだと反発し出て行った。15年かけた陰謀はついに実を結ばなかった…。
戦場で程勃は幾人もの敵を追いやるが、敵の援軍がかけつけ逆に追い込まれる。その姿を屠岸賈が離れた所で見ていた。生きていた趙氏の子…自ら手を下さずともここで戦死すればそれで終わりだ。だが程勃の救けを求める悲痛な叫びを聞いた屠岸賈はやはり彼を見捨てることができず助けに入る。敵を蹴散らし助けてくれた"父"に程勃は驚喜する。だがその時一本の矢が屠岸賈の肩に突き刺さる…それは韓ケツの放った毒矢だった。
程勃は急ぎ父の元へ向かい解毒剤を出してほしいと頼むが程嬰は動かない。程勃は父に剣を向け解毒剤を奪い屠岸賈の元へ戻る。
命を救われた屠岸賈は程勃に言う。実は程勃が趙氏の子ではないかと疑っていたと。程嬰は実子を殺されたことを恨んでいて自分が死ぬことを望んでいるのだろう、だが解毒剤を出してくれたということはやはりあの時殺したのは趙氏の子だったのだと・・・嘘だと思っていた父の話と同じことを告げられた程勃は、それが真実で屠岸賈が殺された父母の仇と悟る。
屠岸賈に呼び出された程嬰。彼は程勃の前で15年かけた陰謀の全てを告白する。
程勃は程嬰と、自分の身代わりになって殺された程嬰の息子のために剣を抜き屠岸賈に立ち向かうが、やはり歯が立たない。程嬰は屠岸賈の前に立ち、自分が程勃の代わりに殺されようと言う。屠岸賈の剣が程嬰の腹を刺したその時、程勃の剣が屠岸賈の心臓を貫いた。
意識が遠のいていく程嬰には、自分にそっと寄り添う程勃と、そして我が子を抱いた妻の姿が見えるのだった・・・。(終)
-------ここまで]
これはすごい。最初から最後までハラハラさせる物語!
父子の情を描いた人間ドラマなのかと思いきや(いやメインテーマはそうだけど)、一種のサスペンス的な、話の先の予測が二転三転してエンタメとしても楽しめる素晴らしい脚本!悲劇だから、おもしろいと言うと語弊があるけどおもしろかった!!
暗殺計画は成功するのかそれとも…緩むことのない緊張感が最初から最後まで続く。
これは物語上、程嬰と屠岸賈、この二人をどう演じるかによって訴えるテーマはいかようにでも変わる。下手するとせっかくの物語も安くクサくなってしまうし、どういう芝居をするかさせるかが大きなカギになる、監督の腕の見せ所な作品。
程嬰を演じるグォ・ヨウ(葛優)、屠岸賈を演じるワン・シュエチー(王学圻)はいずれも善悪に括られない、様々な矛盾する思いに葛藤するリアルな人間像を見せ、さすが映画らしい深みのある物語に。父子の情は血が勝るのか時が勝るのか、積年の恨みを晴らすため親と慕う子を犠牲にできるのか…二人の"父親"の本質的に同じ思いを別々の立場から描く。
最後クレジット見てやっと気づいたけど、グォ・ヨウは「ハッピー・フューネラル」の主人公ヨーヨーだ。現代劇と時代劇でイメージ違い過ぎて全く気付かなかったけど、でも言われてみれば納得のお芝居。あと晋王が「大秦帝国2」の楚王とキャラ同じだなぁって思ったら同じ俳優さんだった。
素晴らしい作品だったけど、でも、でも、この作品もまた、ラストシーンの1コマだけがちょっと納得いかない…。[ここからネタバレ含む------せっかく幻想的なシーンで締めくくろうとしてるんだから最後の最後倒れるシーンはいらないよッ!夢のまま終わらせてあげて!!-------ここまで]
TSUTAYA DISCAS
2枚ずつしか借りられない。そしてひと月に4枚借りねば損…。
11勝7敗3引分け。