ドラマでお勉強-イン・ザ・ダーク #1 | あさひのブログ
「一本好書」第九期 舞台劇『暗算』後半(看風者)の全台詞解読です。
なんとなくの意訳なので大きな誤りがあるかもしれません。専門用語と人名の適当な日本語訳が分からないので漢字のままにしています。原文は番組字幕を参照してください。

※この脚本は麦家の「暗算」第二章を元にしていますが、多少の脚色・改変が含まれるため原作のあらすじと同じとは限りません。
※映画「サイレント・ウォー」の原作は「暗算」第一章です。したがって当脚本とは全く別の物語です。

(あらすじ)
1950~60年代、軍の諜報活動を行う国家安全部門701は一般人の知ることのない人里離れた山奥に作られた。生活に不便が無いよう各種施設が整えられひとつの村のようになっており、勤務者は秘密保守のため一生この地で暮らすのだ。この村のさらに奥に無線を盗聴する偵听局、敵の暗号文を解読する破訳局、工作活動を行う行動局などの部署が設置されている。これらの部署に勤務する者はそれぞれ"風を聞く者"、"風を見る者"、"風を捕える者"と呼ばれた。


「一本好書」第九期 38分頃から。
[第二幕]
ありがとうございます。"風を聞く者"阿炳の物語をお話しました。
ただこれは特殊部門701の仕事の一部分。敵の発する(無線の)周波数をすべて捉えても敵軍の動きを全て掌握したことにはならない。なぜならこれらの信号は全て精密に設計された暗号だから。これらの電文がもし直接聞いてわかるようならこの世界に秘密にしておけることなどない、そうでしょう?
一人の馬鹿が隠した物は一万人の賢い人でも探し出せないと俗に言うが、一人のとてつもなく賢い人間が設計した暗号は理論上は永遠に見破られることはないということだ。
だが701、ここでは長期にわたってその境地に追われている人々がいた。彼らの使命は、暗号解読。次に、ある"風を見る者"の物語をお話します。
この物語は実は、私にも非常に関係深いのです。
私は1960年に帰国した。私は烈士(国のために殉職した人)の子供で、帰国する前は私はモスクワ大学数学科暗号学センターへ送り出され半ば出家するようにして暗号解読を学んでいた。留学生と言うが実際は私には秘密の身分(任務)があった。それは当時ソ連(ソビエト連邦)が暗号解読して得たアメリカの軍事情報を収集すること。組織は私のために妻の小雨を中国大使館の事務秘書官として配置してくれた。当然彼女は私の秘密の身分を知らないため、私と連絡を取る同志(仲間)はコードネームで呼んだ、"飛行機"ってね。
(ある日)突然すぐ帰国するようにという通知を受け取った。だが不幸なことに、私の妻小雨は、帰国するその前日に交通事故に遭った。彼女が乗っていた車はダンプカーにぶつかって山道へ押し出され、崖から墜落し炎上した。遺体は見分けがつかないほどだった。私が故国へ連れて帰ってこれたのは彼女の骨壺だけだった。
帰国後、外交部が小雨のために追悼会を開いてくれた。すぐに我々の部門の首長(リーダー)が追悼会に現れてそこで私は初めて知った、私の妻も元々秘密の作戦を行う一人(=スパイ)だった、私よりもずっと機密性の高い任務を負う同志だったと。
1960年は中国の最も困難な時代だった。以前から蒋介石が日々"要光復大陸(大陸に光を取り戻せ)"と吼えていたが口だけだった。だがこの年、台湾はアメリカから17億アメリカドルの武器装備を一度に購入し、何度も軍事演習を行い、内地(大陸)に次々と特務(スパイ)を送り込み、さらに突然通信の暗号を変更した。
台湾が以前使っていた暗号は紫金号と呼ばれる、アメリカの専門家が設計したものだ。保密期限(敵に解読されて使えなくなるまでの見込みの期間)は20年で、当時まだ10年も経っていなかった。10年、我々はそのほんの一部分しか解読しておらず、すべてをつかむにはまだまだ程遠いというのに、彼らはさらに変える必要があったのだ。
この解読は非常に困難に見える。しかし今相手が突然新しい暗号に変えてきた、これは、本当に戦争するつもりだという事を意味していた。この新しい暗号を解読することは国家の最高機密となった。この事は新しい中国(共産党の中華人民共和国)の安全問題に緊迫した影を落としたのだ。
解読の任務は701に下された。帰国して間もない私は701の副院長に任命され、解読の直接の指揮を執ることとなった。
新しく変えられた暗号は、台湾では光復一号と呼ばれていた。設計者の斯金斯(スーチンス?)はソ連からアメリカへ亡命してきた天才数学者…私の恩師の元同僚だ。彼女はアメリカ軍のために"世紀の難"と呼ばれる世界トップクラスの数学暗号を設計した。アメリカの暗号学会も非常に高く評価したが、アメリカ軍は最終的に採用しなかった。それはやはり彼女がソ連人だったからだ。結果、アメリカはこの暗号を台湾に売ったのだ。
このような暗号を目の前にして、当時国内にある解読の専門家らはたちまち忙しくなった。我々は普通の仕事だと皆経験を重んじる、それは扱う物事にすべて共同性と共通性があるからだ。だが世界にある暗号はこれら(経験)が必ずと言っていいほど通用しない。張三は何重にも深く掘り下げ難しく考える、李四は必ず誰にもわからないようなこっそりとした観点から考える、その(やり方、アプローチの方法の)違いが大きければ大きいほど(解読は)成功するのだ。暗号解読は男女の恋愛のようでもある。ただ沢山喋れば相手の心をつかめるとは言えない、重要なのは感覚、相性、インスピレーション。一人の天才数学者が作った迷宮を解き明かすには、別の天才数学者が偶然に生み出すようなひらめきをもって成すしかない。
残念なことに、私は天才数学者ではない。なのでこの任務に就いて私が最初に思い到ったのは、中国科学院数学所へ行って(天才を)発掘することだった。

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