~小さなコンサート2021~高石ともや@自由学園 明日館 | 新・迷って、悩んで、でも笑ったりもして…。

新・迷って、悩んで、でも笑ったりもして…。

不惑の40代などと言うものの、40代になってから「踏んだり蹴ったり」、「弱り目に祟り目」な日々…。
あれから幾年過ぎ、日々の一喜一憂を好き勝手にほざいてる次第です。

昨日、3年ぶりに「自由学園 明日館」を訪れた!

3年前にその事を当稚ブログでも紹介したが、それ以来となっていた。

今回は、明日館の講堂のほうに用があった。

それは―、

コンサート鑑賞のため。

この日は、高石ともやと言う超ベテランフォークシンガーのコンサート。

まさか、高石氏の公演を観るとは自分でも思ってもみなかった。

1960年代、フォークソング黎明期に日本でこのフォークソングを世に広めた重鎮たちの1人。

多分、この高石氏、岡林信康、小室等、西岡たかし、といった面子が日本の最初のフォークブームを作ったトリガーなる人物かと。

この後に、吉田拓郎、井上陽水、泉谷しげる、小椋佳らがフォークを日本の歌謡音楽産業に自作自演派が送り出す音楽ムーブメントを確固たるポジションとして根付かせたと思う。

自分もこの世代あたりからの自作自演派の音楽を聴くことになった世代。

(なので、高石氏世代は1つ前の時代と言う感があったのです。)

 

今回、なぜ行こうかと思ったのは幾つかの出来事が重なった。

まず、この明日館を見学した際に「この講堂で演奏会を聴いてみたいな」と思ったこと。

その帰り道にちょうどフォーク&カントリーの野外イベントに遭遇したこと。

ほかにクラシックの作曲家である武満徹氏の作品をYouTubeで拾い聴きしていた頃に「死んだ男の残したもの」と言う曲を聴き、これをこの高石氏や小室等氏らが取り上げて歌っていたというのを知ったこと、等々…。

 

この日は入替2公演。

まず1部では全くの弾き語りで1時間ほどのステージ。

最初はギターではなく打楽器(なんか寺などの宗教系で使いそうなデカい和風タンバリン?)を叩き歌い始めた。

歌ってる途中急に話し出す。

「今の〇〇って歌詞ですけどね…」と言う風に曲の解説や自身の感想などを放り込んでくる。(笑)

これは、ほかの曲でもちょくちょくやっていた。

なんなんでしょうね…やはり「フォーク」と言う言葉やメッセージに重きを置くタイプのミュージシャンならではなのでしょうか?

ちなみに御年79歳との事。

79歳で、今のこのコロナ禍の時代感や政府・マスコミの対応など、やはり感想=メッセージをステージで発するのはカッコよく映りました。

お声も出てました。

低音部になると、声がかすれる感じにはなっていましたが。

どっちかと言うとギターの方が音がやや出てない感じ。

今どきのピックアップ内臓ギターでなく、サウンドホールにスタンドマイクで拾う感じのセッティングだが、ほぼ生音を会場に響かせる感じだった。

幸い、前から数列にいたので聞こえたが、後ろの席や2階席だとどうだったんだろう?

また、ギターのみならず1曲バイオリンの弾き語りも披露された。

 

2部では、バンジョー奏者の坂本健氏を迎えた2マンのステージ。

途中で、予定に無かった?(或いは、予定したけどやっぱり止めた?)曲を急にやりたいと言い出し、坂本氏が困惑する場面も。(苦笑)

まあ、でも自由にやりたい事をやる79歳の舞台、それもいいじゃないですか!

自由にと言えば、演奏も一度やった曲を次の曲を挟んでもう一度やるみたいなスタンスだったり、思いついた曲をちょっと披露するような感じでそのまま最後までやり通しちゃうみたいなこともあり、かなり奔放でした。(笑)

 

1部でも2部でも「死んだ男の残したものは」は演りました。

この曲は、作曲は前述のクラシック作曲家の武満徹で、歌詞は谷川俊太郎のペンによるもの。

高石氏はこの曲をカバーするにあたって、まず作詞の谷川氏のもとを訪ねたという。

カバーしたい旨の許諾と本来の歌詞の一部を削除したいという相談だった。

すると、谷川氏はすぐに了承してくれたことで、高石氏は意外なほど軽い返答に対し「本当に大丈夫ですか?」と訊くと谷川氏は「うん、大丈夫。だって僕は天才だから!どこを読んでもらっても大丈夫なようにしてるから。」と言ってのけたそうな。(笑)

すると、今度は「ところで武満徹には話したの?」と訊かれ、高石氏は「いや、まだです。」と答えると、谷川氏は「じゃあ、彼に会いたい?」と言うので「それはもちろんです!」と答えると「ホントに?そう?じゃ、上にいるよ!」という答えが返ったきた!

実は、谷川氏のマンションの上の階に武満氏は住んでいたらしい。(笑)

今度、武満氏に話すと「合唱曲なのに1人でやるの?まあ、でもそれで曲の世界が広がるのならやって下さい。」とこちらでもすんなり了承を貰えたとの事。

せっかくなので、その「死んだ男の残したものは」を貼っておきます。

 

さすがに、自分も知っている「受験生ブルース」や「想い出の赤いヤッケ」はやらないな、と思ったら2部のアンコール1曲目は「想い出の赤いヤッケ」でした!

ある種、自由奔放な(?)ステージはジャズなどのセッション・ライブのようでもあり、ご高齢なので段取りや力の入り具合などが微妙に映ることもあったが、はじめに記したように79歳でまだもの申すハートを持ち続けるところはカッコいい。

また高石氏のお顔が常に笑顔で歌ってみえるタイプなので、厳しい歌や内容もいい塩梅でマイルドになり、そのバランスの絶妙感もこの方ならではとつくづく感じたのでした。