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ソリューションのおぼえがき

中小企業を応援するために、経営者と共に元気に戦っています!


正解なき、組織や事業の課題を発見し、
向き合って、ソリューションを提案しつづけるための「覚書」。

行動経済学と組織行動論の定義の違いはどうなっているのだろう・・・

 

組織行動論とは、組織における人間の行動を調べます。

行動を通して、結果だけでなく要因を明らかにしていきます。

そして人間を社会で正しく行動させる方法や、組織の動かし方などを議論していく研究領域です。

 

行動経済学は心理学研究を基盤に発展し、人間の心理や行動を分析し、経済的な意思決定にどのような影響を与えるのかを研究領域としています。

古典的な経済学の基本概念として「人間は合理的判断を行う」という大前提のもと議論がなされてきました。

ところが、人間は感情や心理の影響によって、合理的な判断をしない場合が多々あります。

こうした非合理的な行動を経済学的見地から分析するのが行動経済学です。

 

当初からマーケティングや消費者行動論と関連づけられて議論されてきました。

また、人間工学や安全工学、組織の安全管理といったリスク管理などの実務領域でも応用が利く学問だと感じています。

リクルート社創業の一人であり名著「心理学的経営」の著者でもある大沢先生が新入社員に贈った言葉だそうです。

当時の時代背景や表現を考慮したとしても、今もベンチャー気質の企業には必要な考え方がぎっしりと詰まった文章だと思います。

 

【新入社員に贈る7つの大罪】

1.分不相応の罪

「私は新人だから」「課長の分際でこれ以上は」など往々にして自分に枠をはめている人がいる。

「組織」の持つ力学でもある。

リクルートマンにはもとより無用。

勇み足で上司から叱られるくらいの人が我が社では伸びる。

 

2.不作為の罪

我が社は失敗に関して寛大である一方、なにもしない消極的な姿勢をとがめる社風であることは、先輩社員は先刻承知のはずである。

影の薄い人間はリクルートでは干されることを肝に銘じてほしい。

 

3.楽を選ぶ罪

易きに流れる、骨身を惜しむ、なるべく楽をしようとする。

このような習性をリクルートは嫌う。

自ら泥をかぶる。

苦労を厭わないという意味でなりふりかまわず、動き回る姿がリクルートマンの鑑である。 

 

4.出し惜しみの罪

持てる力は100パーセント、いや120.150パーセント出し切ろう。

力をだしきるまでもないやさしい仕事なら、新たな仕事に挑戦して欲しい。

我が社は全力投球主義を尊ぶ。

 

5.扶養家族の罪

他社ならいざ知らず、リクルートにあっては、新人といえども扶養家族であっては困る。

即戦力としての期待は、わが社始まって以来変わっていない。

配属されたチームの中で早く役にたつメンバーであってほしい。

 

6.アウトサイダーの罪

共通の目標に向かってチームが燃える中で、参加度の低いメンバーがいるとムードはしらけてしまう。

仕事でもイベントでも同じこと。当事者意識のない人は害になる。

 

7.不健康の罪

ビジネスマンにとっておそろしくもっともたいせつなことは健康であろう。

飲み過ぎ、食べ過ぎの不摂生、朝食を抜くなどの不規則な生活。

気力の上でピンチが訪れることもある。

自分の健康は自分で守ること。

 

出典:(1983 大沢)「株式会社リクルート当時のリクルート新人に贈るメッセージ」

 

 

社会人としての自分の役割意識、仕事を通じて自分も成長していきたいと考えていた当時を思い出しました。

二重過程理論における「システム2」とは、物事に対して知識や知恵を使い、論理的に判断し選択する考え方を意味します。

重要な選択や決断は、誰しも熟考し、慎重な選択をするといった行動をとりやすいものです。

 

ただし、システム2は体力や集中力などが必要不可欠なので、うまく保てない場合、適切に稼働しません。

さらに、物事における決断は「システム1」→「システム2」という順番で行われます。

 

そのために、システム1の段階で「答えが出た・納得できた」と脳が感じ錯覚した場合には、その認知が正しいと思い込んでしまうこともあります。

その結果、間違った選択や不合理な決断、バイアスが生じてしまうこともあります。

 

【システム2の特徴】

使うのに体力がいる

最終的な決定権を持つ

通常時は記憶や注意力を担っている

システム1で不可能な時に稼働する

論理的に道筋を立て、統計やデータで考える

 

普段、システム2(意識的・遅い思考)は、脳のエネルギー消費を避けるため待機しているものとされています。

二重過程理論におけるシステム1とは、物事に対して深い思考を行わず、直感的に判断し選択する考え方を意味します。

反射・反応して応答することなど日常ではよくあることです。

 

また、自らコントロールする感覚もないまま、物事を直感的に捉えることと連想、発想といったことも同時に行います。

そのために、意識的に思考を止めることも難しく、情報を無意識的に捉えて解釈してしまうために、心理的バイアスが生じることもあります。

 

【システム1の特徴】

体力を使わない

止めることが難しい

考えなくてもわかること

情報を瞬時に感じて、反応すること

直感、自動的に考える何気ない思考

人生の経験則を、高速で使用すること

バイアスが生じる(思考の偏り、偏見)

エフェクチュエーション思考を実践するための原則

 

1. 手中の鳥の原則(The Bird in Hand Principle)

手持ちの手段からスタートし、それを活かして何ができるかを考えていきます。

 

2. 許容可能な損失の原則(The Affordable Loss Principle)

リスクをとって最大の利益を追求するのではなく、失っても問題のない範囲でのリスクを取ります。

 

3. クレイジーキルトの原則(Crazy-Quilt Principle)

競合も含めたステークホルダーと積極的に交渉し、協力関係を築きます。

 

4. レモネードの原則(Lemonade Principle)

予期せぬ事態を避けるのではなく、むしろそれを機会と捉えます。

 

5. 飛行中のパイロットの原則(Pilot-in-the-Plane Principle)

未来予測に依存することなく、自分がコントロールできる活動に集中します。

 

エフェクチュエーション思考は、VUCAの時代と言われる不確実性の高い世の中で、創造的に問題解決を図るためのプロセスだと言えるのではないでしょうか。