サマセット・モーム

『人間の絆』 より抜粋

 

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イザ肝腎の場になってみると、

本能、感情、その他なんだかわからないものの手の中に、

彼は、全然手も足もでなかった。
 

ただ環境と性格という、二つの力に動かされる機械のように、

動いていたのだった。
 

彼の理性は、いわば横からの傍観者であり、

事実の観察はしていたが、干渉する力は、皆無だった。

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頭では分かっているけど、身体が言うことをきかない。

理性が役に立たない。

 

そんな経験をたくさんしてきた。

してきてしまった。

 

でも、仕方がない。

モームも言っている。

 

 

その経験でさえも、血肉に変えて

宝にしてみせる。

 

 

 

---y.

 

 

サマセット・モーム

『人間の絆』 より抜粋

 

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大事な点は、愛されるということよりは、

愛するということなのだ。
 

ノラとともに幸福であるよりも、

むしろミルドレッドとともに、不幸であることの方を、選んだのだった。

 

彼女を憎み、かつ軽蔑した。

そのくせ、心の底から愛しているのだ。

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矛盾。

 

理性が感情に覆いかぶさって

コントロールが聞かなくなる。

 

 

それをそのまま、ありのまま、認める。

矛盾を矛盾のまま、受け取る。

 

陰も陽もなくなり、無極に至る。

 

 

 

--- y.

 

 

 

 

サマセット・モーム

『人間の絆』 より抜粋

 

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愛すべき小哲学が、かんじんミルドレッドに現を抜かしていた時には、

これといって、一向役に立たなかったではないか。

 

実人生の指針として、そう理性が役に立とうとは、どうも思えなかった。

 

彼の全心を領していた感情の狂暴さ、

そしてまた、まるで綱でもって、大地にでも縛りつけられたように、

抵抗するにもできない無力さ、

そうした経験を、彼は、まざまざと憶えていた。

 

賢い知恵は、いくらでも物の本で読んだ。

 

だが、結局判断の根拠となりうるものは、

自身直接の経験だけだった。

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読書は楽しみだ。

いろいろな経験をさせてくれる。

 

登場人物とともに、一緒に話したり、歩いたりする。

 

 

しかし、実際の現実においては、

登場人物と私の経験は違うので、

本で学んだことは役に立たない、という場合が多い、

というのが正直なところ。

 

ノウハウや知恵を授ける本は、もっとそう。

実際の私の現実には、役に立たない。

 

 

私を実際に助けれくれるのは、

私の経験しかない。

 

 

 

--- y.