サマセット・モーム
『人間の絆』 より抜粋
-------------------------------
「じゃ、なぜ本など読むんだ?」
「一つには、楽しみのため、つまり習慣だからさ。
だが、もう一つは、自分を知るためでもある。
僕にとって、ある意味をもったような一節、
いや、おそらくは、ほんの一句だろうね、それにぶっつかる。
これは、いわば僕の血肉になるのだ。
僕は、書物の中から、僕の役に立つものだけを、抜き取る。
人間ってものは、閉じた蕾みたいなもんなんだねえ。
読んだり、したりすることで、それがどうなる、というようなことは、全然ない。
ただ時に、その人にとって、ある特別な意味をもっているようなものがある。
それが、花弁を開かせるのだ。
一つずつ、花弁が開いてゆく、
そして、ついに花が咲くのだ。」
-------------------------------
なぜ、本を読むのか?
確かに、楽しみのため、というのはある。
しかし、それ以上のものがある。
「あぁ、そうそう・・!」とヒザを打つ。
コチラがうまく言葉にできないことを
表現してくれている、言い表してくれているとき
本当に、心から、嬉しくなる。
そして、それらの言葉を収集して、
密かに閉まっておく。
そういう言葉のコレクションをするのが、楽しいのだ。
--- y.