




旧日本帝国陸軍の試作戦闘機
『 キー64 』
です。
「キ-64」というのは機体を表す「キ」に通し番号「64」の組合せで、日本陸軍が発注した開発機体に与えた試作ナンバーです。
その後陸軍に正式採用されると
キ-43 → 一式戦闘機「隼」
キ-84 → 四式戦闘機「疾風」
のように呼ばれますが「キ-64」にこのような名前はありません。開発中に終戦を迎えたためです。
もっとも、試作ナンバーを与えられて開発をしても競合で負けたり戦況の変化によっては開発自体が中止になるケースもありますけど。
一般的にも有名な零戦は海軍機なので陸軍機とはまた違った海軍独自の呼び方になります。

画像の「キ-64」は簡単組立式のカプセルトイ「 間に合わなかった傑作機 」シリーズの中のひとつでスケールは1/144、手のひらにスッポリ収まるサイズです。

この飛行機好きなんですよ。一番のお気に入りポイントは
『二重反転プロペラ』
機体先端のプロペラが二組付いてて実機ではそれぞれ逆回転するんです。
エンジンをコクピット前後に2基配置した串型エンジン、後ろのエンジンからは延長シャフトを介してプロペラを回します。

単胴・単葉・低翼のオーソドックスな機体構成でエンジン2基というのがいいですね。
単胴は胴体が1本、単葉は主翼が1枚、低翼は主翼が胴体下部に付いてるって意味です。
他には双胴、複葉/三葉、中翼などなど。
エンジン形式は「ハ-40」液冷式倒立V型12気筒×2基。
つまりV12を上下逆さま…ヘッドを下に向けた状態で2基搭載したツインエンジン。液冷ってのは今で言う水冷です。
「ハ」は発動機、エンジンを表す陸軍の記号です。

ツインエンジンにする目的、それはもちろん最高速度を上げること。
でもそれなら排気量デカい新エンジンやターボチャージャー付けりゃいいのでは? と考えますよね。
実際米軍機はそうでした。吸入空気を圧縮してエンジンに送り込むターボチャージャーは空気の薄い高々度を飛行するためにも必要で、B-29爆撃機が日本の上空に悠々と飛来しても迎撃する日本機の性能ではその高度まで満足に上昇することすらできませんでした。
戦後に連合軍から認められるくらいの優れた設計思想や技術は持ってましたが、ご存知のように当時は必要な物資も少なく精密加工ができる生産体制も満足に整っていなかったのです。
「キ-64」とは別に試作高々度戦闘機も開発していましたが、肝心のターボチャージャーに使う材料の不足や品質の悪さによって設計値に届かなかったりトラブルを抱えたりで性能試験以前の状況でした。
それでも尚、プロペラ機の限界速度に近いと当時は思われていた
「 時速700キロオーバー 」
を狙って開発された機体のうちの1機が「キ-64」です。
この当時の航空機エンジンの主流は「空冷星型」。
クランクシャフトを中心に放射状に奇数のシリンダーが配されたものでエンジン形状は円盤状になります。
空冷ですから当然シリンダーに空気を当てて冷やす必要があり、機体先端は円柱状に太くなってしまい空気抵抗になります。
分かり易いのが零戦のような形です。
対してV型エンジンは細長く空気抵抗が小さくできます。エンジンに直接空気を当てる必要も無いので「キ-64」のように機体先端が流線形にできます。

ただしエンジン本体を空気で冷やすことができないため液体で冷やさなくてはなりません。
その液体をエンジンより低い温度に維持するためにはラジエターが必要になります。
→しかもエンジン2基分
→空気抵抗増える
→最高速度落ちる。
そこで「キ-64」が採用したのが「表面冷却」という方法です。
空気抵抗になる従来型のラジエターではなく、主翼の翼面に沿って水路を巡らせ冷却できる表面積を稼ごうという画期的アイデア。
でもこの表面冷却システムがトラブル続きで大変だったようです。

結局「キ-64」は試作機が1機完成し実際に数回のテスト飛行をしましたが、そのまま終戦を迎え最終的に焼却処分されました。
ちなみに、液冷ツインエンジンで時速700キロを越えたプロペラ機は実際にありました。
そして現在のレシプロ・プロペラ機の最高速度記録は時速800キロを軽くオーバーしています。
ちなみに、私の知る限りキ―64の1/72のキットはチェコのMPM製簡易インジェクションキットとトライアングル製のレジンキットがありますね。
どちらも一筋縄ではいかないキットですw
MPM製はたまにヤフオクなどに出てきますので気長に張ってれば入手も不可能ではありません^^
相場はおおよそ3kくらいなので極端なプレ値ではないと思います。
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─────コメント(2)──────
まさやん
こんばんは
すばらしい
日本の技術は凄いです。真似事から始まりそれを追い抜く
ん~たいしたものです。そんな日本の技術を紹介して下さりありがとうございます
2012/10/17(水) 午後 7:54
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ソリッド
まさやんさん、毎度どうもです
「技術を紹介」っていう程の知識はありませんが、当時の技術者達が限られた厳しい状況の中でお上からの無理難題に対して知恵と工夫で必死に開発した機械には魂が宿っていると思えます。
それが戦争に使われるのは悲しいことですが、技術が戦争によって飛躍的進歩を遂げるのもまた事実ですよね。
ちなみにこの飛行機のV12エンジンはドイツ製エンジンのライセンス生産、つまりはコピーでした。
2012/10/18(木) 午前 2:28




