昨日の続きでエピペンについて書きます。
 
昨日、エピペンやアナフィラキシーについて良く知らない医師がエピペンを処方すると問題が多いと書いてしまいました。エピペンを知らないからと言って、その医者は信用できないという意味ではありません。
 
アナフィラキシーという状態がとても判断が難しいため、この病態に知識の深い医師でないと、エピペンをめぐり、患者さんとのやりとりが難しいと言う意味です。
 
早期発見、早期治療は、アレルギーでは、あまりあてはまりません。ダニのアレルギーの予防とか、人々は、一生懸命にやってきて、そして失敗してきました。
 
食事の除去も大変な努力を要することですが、学校給食は、必死にがんばっています。子供のメンタルに与える影響は絶大です。
 
アレルギーを理解しない人は、今でも早期発見、早期治療を勧めています。
 
特に学童期の子どもへのエピペン処方については、学校での注射という問題がでてきますので、本人、親、学校、共にとても神経をつかうことになります。
 
アナフィラキシーを予想して準備すると言う作業は誰にでも難しいのです。ですから、学校はエピペン注射ができるよう準備すべきとの、マスコミ論調には抵抗があります。
 
こうした3者(本人、親、学校)のストレスを軽減するためには、子どもを取り巻く関係者すべてのレベルで、知識の習得が必要です。
 
つまり、親や子供にエピペン注射を教えられない医師は、処方すべきでないです。日本では忘れがちですが、親はエピペン注射を子どもにも教える義務を負うし、子どもは、しっかり打てるように覚悟を決めて準備に励むといったこころです。
 
すべてのレベルにおいて、関係者が努力し協力し合う必要があります。
 
エピペンは自己注射が建前ですので、本人の打つ気持ちはとても大事になります。
学年が上がれば上がるほど、本人の意識アップが必要です。そして、親は、除去療法の見直しを専門医の元で行い、減感作療法に努めるなどの義務を負います。親も子もエピペンを打つ時をイメージして、学校側も、そのイメージを共有します。
 
エピペンを処方されている学童がいる学校では、学校と主治医とのホットラインや、学校医との連携など、望ましい関係をつくっておかないと、実際の注射はうまくいかないでしょう。
 
以下は、大事なエピペン情報です。
 
エピペン(アドレナリン)は、アナフィラキシー治療の自己注射剤であり、米国製の輸入品であるため、新製品の時は20ヶ月の有効期限があるが、ユーザーの手にわたるまでに、若干の時間を要する。
製造後、3ヶ月位、輸入、安定検査などで時間がかかり、有効期間は最長17ヶ月、最短14ヶ月で市場に出回る(1年未満のものは市場に出ない)
 
以前、日本のエピペンは、林野庁の職員向けに個人輸入されていた。これにより、蜂アレルギーによる死亡は減った。ズボンの上から、蜂に刺された後、速やかに自分で打つ。
 
日本では、蜂刺傷による重篤なアレルギー症状(アナフィラキシー)への対応のため、2003年8月にはじめて認可され、2006年からは食物アレルギーによるアナフィラキシーにも使えるようになった。
 
基本は自己注射であり、学校でも、本人が打つということが基本になっている。子どもが自己注射できるようになるように、親と主治医は責任を持つ事になっている。その責任を果たせるために主治医のサポートが必要である。
 
諸外国では、すでに発売25年を経過しているため、注射の事故報告も多い。外国の論文ではそのような事故の内容が論文発表されている。 米国では、ピーナッツアナフィラキシーによる死亡があるため、学校関係者はエピペン関心が高い。
しかし、実際の注射は、本人がだめな時は、学校ナースなどが、注射をしたりしているらしく、医療環境の違いがある。
 
アナフィラキシーを起こす原因には、食物だけではなく、他に薬品などがある。
薬品の場合は、典型的な発症を除くと、過去に既往がないと、判断が難しいことがある。
 
アナフィラキシーの判断が容易なのが、蜂アレルギーであり、蜂に刺されてすぐ発症するので、診断がつきやすい。
 
アナフィラキシーで致死的となるのは、血圧が低下して、意識消失するケースである。全身に蕁麻疹が出ても、致死的にはならないが、喉頭浮腫といって、声帯のあるところが、ポンポンに腫れたりすると、窒息する。
つまり、アナフィラキシーの時は、危険な症状が体のどの部位いで進行しているのか、しっかり見届けることが必要となる。新聞記事では、ここをしっかり書いてる事故記事は少ない。
 
食物によるアナフィラキシーは、薬剤によるナフィラキシーなどと比べると、死亡までの時間が長い。食物アナフィラキシーの症状は、呼吸器のトラブルが多いと言われる。つまり、呼吸の苦しそうな状態が遷延してみられるらしい。こうした状態を経験した医師は少ない。
 
薬剤によるアナフィラキシーは、突然、心臓にくるらしい(死亡まで時間がない)。 バッタリ倒れて、心停止になってしまう。造影剤でアナフィラキシーが起きる事は、まれだが有名な事実。 
こうした薬剤は、診断が比較的容易だが、抗生剤、抗がん剤などでは、確定診断が難しい。実際に、こうした薬剤使用後に、アナフィラキシーが起きた時は、可能性があるまでしか、わからない。
 
この論文は、JACIという有名なアレルギー医学雑誌に載っています。
 
1994年から2007年まで15190回の、注射時のトラブルが起きた。本人および注射を介助する人などに、謝って本来打つべきところ以外の場所への注射をしてしまった。
 
間違って他の部位を注射してしまった年齢の中央値は、14歳(8-35歳が中心)

注射時のトラブルのうち、27%が誤注射の状況が判明している。このうち、53%は、特に治療を要さず、29%では治療を要した。
76%が指と親指、14%が手のひら、6%が足と大腿 。
虚血が進行し、2人が指を切断することになった。
 
食物アレルギーによるアナフィラキシーショックの時に、エピペンが有効です。
 
エピペンは、アレルギーの特効薬のように言われますが、効果に限界のある薬です。
 
そして、医師によるエピペン処方のされ方が、さまざまです。
 
先日、エピペンを処方された親御さんが、医師に、聞きました、「どのような時点で打つのが良いでしょうか?」と。
すると、医師は、「食物アレルギーによるアナフィラキシーの時なら、いつでも良いです」と答えたそうです。
 
これは一見、明快に答えたような気にさせられますが、実は全く答えになっていません。
 
これだけの断片的な事実から、いろいろ言ってしまうのは問題ありますが、エピペン処方について、少し、考えてみましょう。
 
親御さんにとっては、アナフィラキシーという状態が理解できません。親は、過去に子供に起きた状況を知るのみです。この時は、アナフィラキシーか?アナフィラキシー手前の状態か?アナフィラキシーではないか?など、いろいろの状況があります。
 
しかし、過去の時より重症な症状になったら、刻々変化する症状のどれが注射判断の決め手になるのかは、親は誰かから、教わらなければなりません。それはもちろん、処方医からです。
 
人は、過去に経験したことのない事態は、うまく立ち回れないのです。これは医師も専門家とて同じことです。福島原発も同じでした。
 
そもそも、食物アレルギーによるアナフィラキシーと決めることが、それほど、単純ではないですし、医師は、アナフィラキシーの症状の決め手を、詳しく説明しないと、一般の人は理解せず、注射の行動に移せません。
 
医師は、アナフィラキシーという言葉を使わずして、具体的に、その患者さん独自に予想される症状を複数あげ、それぞれについて説明をして、注射のタイミングを理解してもらわなければなりません。
 
医師によっては、ほとんど説明もなく、エピペン処方箋をして、エピペン説明書を渡して、「これを読んでいてください」と言うのもあるそうです。
 
他の病院で、アナフィラキシーかもしれないと言われたと、別の医師に告げたところ、その医師がエピペンを処方したという話も聞きます。
 
医師がエピペンを処方する時には、その医師が、エピペンの必要性を信じた時です。医師は、その患者さんの病状を十分に理解し、エピペンが必要であり、かつ有効性が期待できると判断したからこそ、エピペン処方に至るのです。
 
そして、エピペン処方に至った経緯、実際に使う時の時期や症状については、処方医が患者さんに説明する義務を負います。
 
患者が希望するから、医師が処方するということではないのです。
 
もし、過去に、他の医師がアナフィラキシーと診断した場合、あるいは、他の医師からアナフィラキシーの可能性ありと言われた経験を持つ患者さんを診た医師は、その状況を患者さんから良く聞いて、不明な点については、診断した元の医師に問い合わせても良いです。
 
問い合わせない場合は、実際にアナフィラキシーと診断した医師に、エピペン処方を依頼すべきでしょう。
 
アナフィラキシーに立ち会った医師の方が、次回の発作が起きそうであるかの判断もできますし、次回、どのような時期に、エピペンを使うべきかの指導を、患者さんに的確にできると思われるからです。
 
同じ病院内であれば、救急医は、アレルギー専門医に処方を依頼する事はあると思います。
 
エピペン処方する時の医師は、状況を把握し、症状を予測し、患者さん(親)に注射のタイミングと、救急車手配なども含めた指導してこそ、効果の期待できる治療薬です。
 
アナフィラキシーの原因も、経過、重症度は、人さまざまであり、つまり、出てくる症状は、人により、同じではないのです。一律に、この時点で、エピペンを使用すべきと決まらないです。
 
食物アレルギーの反復する重症型で、過去に死にそうなニアミスを経験した人であれば、早めにエピペンを打つということはあるでしょう。しかし、実際には、こうした人は少ないはずです。
 
実際の診療の場で、エピペン処方で、混乱がある理由は、処方する医師の経験や認識が、極めてさまざまであるからだと思います。
 
特に、問題になるのは、はっきりとアナフィラキシーと決まらない場合です。アナフィラキシー手前の状態、あるいはアナフィラキシーの可能性が少しある状態の時に、エピペン処方しておくべきか?しなくてよいか?の判断が難しいです。
 
医師は、エピペンを処方する時、注射判断の時期と、打ち方を指導する義務があるので、医師自身がアナフィラキシーに精通している必要があります。
  
アナフィラキシーという病気を、医師は知っていますが、実際の病気は、それほど、多くは起きていません。頻度が低く、突発的で、重症度に幅があるような病気については、医師の経験はさまざまで、重症のアナフィラキシーの経験を持つ医師は、それほど多くは無いのです。
 
本物の致死的なアナフィラキシーに関しては、普通の医師であれば、一生のうち、一度経験すれば良い位の病気です。
 
多くの医者が経験したことのない症状であれば、どのタイミングで打つべきとの指導は、簡単ではありません。
 
しかし、医師はニアミスを経験したり、文献をさがしたりして知識を蓄えます。こうした知識を持つ医師でないと、医師自身がアナフィラキシーのイメージをつかめないのです。
 
しかし、残念ながら、知識を持たない医師でも、エピペンを処方します。エピペンは30分くらいで効果が消えるので、どの時点で打つのかは真に大事ですが、そうした知識を持ちません。その説明は、雲がかかったようなものになるでしょう。
 
エピペンは、アレルギーを瞬時に抑える注射と、誤解する専門家も少なくありません。正しい時期に、正しく打てば、すべてアレルギーは消えていくと、でたらめな知識も広まっています。
 
アレルギー診療の知識が少ない医師であれば、アナフィラキシーの知識を患者さんさずけるのも難しいでしょうし、注射のタイミングの指導もできません。
 
患者さんが、エピペンを的確に使えるためには、医者は、時間をかけて過去の症状を確かめ、病気についての患者さんの知識向上に努め、患者さんの判断力を高めておかなければなりません。
 
こうした努力をしないで、簡単にエピペン処方をしてしまう医師では、過去の話も聞かず、適切な指導もないでしょう。
 
しかし、過去に重症のアナフィラキシーを実体験した患者さんであれば、むしろ、その方の経験は、期待できます。重症型なアレルギーを持つ患者さんであれば、過去の自らの経験と理解を生かして、エピペンののみこみも良く、医師は指導もしやすいです。
 
しかし、あいまいなアナフィラキシー、本当にアナフィラキシーなのか、わからない患者さんの場合には、医師のエピペン指導はとても難しい仕事になると思います。
 
外国では、注射しようとした時、誤って指をさしてしまうなどの事故が起きています。日本も、時間の問題で、こうした事故がおきることが懸念されます。
 
注射1本で人が救えるなら、こんな有望なものはありません。しかし、現実は、難しい課題が多くあります。
 
現時点で大事なのは、注射する人のミスを防ぐことですが、どんなミスが実際にあったのか、知識を増やすことです。
 
そして、病気の緊急の判断はいつも難しく、他人に依頼することに完璧を求めず、御互いに許容しあうということだと思います。
 
 
 
 
 
読売新聞(8月11日)に、お好み焼き粉に白いダニが大繁殖し、これで作ったお好み焼きを食べた後に、アレルギーが発症したという新聞記事がありました。
 
以前から、アレルギー学の領域では、話題になっていました。開封後しばらく経ってからのお好み焼き粉を使うと、ダニ蛋白が多量に入ったお好み焼きができてしまい、これを食べた時、ダニアレルギー症状が起きるのです。
 
卵アレルギーのある人が、卵を食べて、食物アレルギーの症状が起きるのと、同じような反応です。卵アレルギーの場合は、卵蛋白が原因ですが、ダニアレルギーの場合は、ダニ蛋白が原因です。
 
小麦アレルギーは、小麦蛋白が起こすアレルギー症状ですが、実は、小麦内で繁殖したダニがアレルギーによって起きる胃腸症状の可能性が指摘されています。一見、小麦アレルギーと間違えやすいですが、実はそうではないということです。
 
同じ様な病気として、魚アレルギーの時には、魚の蛋白でなく、魚についたアニサキスが原因で起きるアレルギーがあります。一見、魚に反応しているように見えますが、じっくり調べてみると、そうではないことが証明できます。いづれにしろ、ダニもアニサキスも、目で見えませんので、これを診断するには、注意深い専門的検査が必要になります。
 
目で見えない物質がアレルギーの原因になっている場合、目でみえるものに、原因をもとめてしまいがちです。ここに、最初に気づいた医師は偉いと思います。

新聞によると、繁殖したダニの蛋白に反応して、食物アレルギー類似のアレルギー反応をおこした症例は、国内外に135件報告があり、日本では報告例は、35例とのことでした。
 
実際には、食物中のダニによるアレルギー反応は、もっと、多いかもしれませんが、気づく医師や、裏付けの検査をきちんとやる技術がいなければそのままになってしまいます。
 
新聞の記事によると、1993年に米国で食品中のダニアレルギーの報告がありました。米国では、日本ほどお好み焼き粉が使われていそうもないですが、こうした医学的な観察眼は、さすが米国です。米国で多いピーナッツアレルギーも、実は食べたピーナッツではなく、塗り薬として皮膚から入ったピーナッツ成分によって、アレルギーが起きることが米国で報告されています。
 
アレルギーの発症原因を、さまざまに日常的な生活の中でさぐって、するどい目を持ち、実際にそれを検証する医師が、こうした重要な発想に気づくのだと思います。
 
小麦内では、ダニも増殖しやすいと思いますが、ダニ増殖のためには水分、温度が適切であり、栄養素が多く含まれることが必要です。お好み焼き粉の中には、味を良くするために、魚介エキスやアミノ酸などが、豊富に含まれているそうです。
 
さて、ダニアレルギーの人は、日本でとても多く、検査をすると、病気は無くても、アレルギー反応が陽性に出る人が多いです。これは、日本人の多くはダニに対して、IgE抗体を作るということを意味しますが、作ること自体は病気ではありません。
 
しかし、ある程度、量が多くなってしまい、かつ、臓器体質も伴うとアレルギーは発症します。喘息の発症には、気管支が縮みやすいという臓器体質があって、起きてきます。
 
以前は、ダニアレルギーが最初にあっての喘息になると考えられていたのですが、今は、むしろ、気管支の壁が弱いため、そこから、容易にダニが体内に侵入してしまい、IgEを作りやすくなり、ダニアレルギーが出来上がると考えられています。つまり、バリアの異常です。但し、発症原因には、個人差と、個別性が高く、それぞれの人で、それぞれの感作成立の過程が考えれれます。
 
ダニの除去で、喘息を防げると考えられた時期には、人々は掃除をすれば喘息が治ると考えていた時期がありました。そして、いろいろな抗ダニグッズが開発されました。今は、掃除では、喘息は防げないのは当たり前になりました。むしろ、気管支のバリアが成熟することが、喘息軽快に向かうと思われています。
 
さて、ここで、お好み焼き粉の話題に戻りますが、自宅で開封したお好み焼き粉は、開封してあればもちろんのこと、密封したつもりになっても、小さなお好み焼き粉の袋の開け口からダニは容易に入ってしまうという事実に注目してみましょう。特に夏には湿気、温度ともに、ダニ繁殖に有利です。一方、冷蔵庫でもダニは増えないが、死なないみたいです。
 
つまり、抗原感作というのは、ありとあらゆる機会で起きていて、人がコントロールをすることが、難しいのです。
 
私たちの生活の中で、ダニは常に増殖の機会をねらっていて、チャンスさえあれば、増殖しようとします。子供の多い家庭では、ダニは増え易く、子どもたちの食べ残し、食べ落としなどの食べ物が、部屋に多量に存在します。ダニの除去は難しいです。掃除は、ダニを無くすといより、減らすことを目的とします。
 
夜、寝る前に、蒲団の上で暴れない、部屋で走り回らないなど、空気中にまき散らしたダニの成分を吸いこんで、夜間のアレルギー反応とならないようなしつけは、有効です。
 
人の生活から、ダニを除去するのは、極めて困難であるなら、むしろ、ある程度、ダニと触れる機会を許容していくという考え方が出てきます。
 
アレルギーの根本治療は、やはり、抗原と触れて、体(免疫)が、その物質と慣れること(減感作)です。ダニへの過剰反応を抑えることを、体が覚えることが、アレルギーからの解放です。
 
ダニの減感作用法を、経口でやる治療法がありました。ずいぶん、以前から検討されていました。実際に人体実験もなされ、一定の成果は上がっているのですが、今だ、一般治療には至っていません。
 
ダニ汚染のお好み焼き粉は、ダニの経口減感作に役にたつこともあるかもしれません。でも、慢性胃腸炎の発症など、未知の問題があります。
 

薬の広告がかかえる問題点について書いています。
 
医師による処方薬は、漢方薬を除き、効果が証明されているのですが、その効果は副作用という裏面も持っています。
 
薬の効果を期待する人は、同時に、効果の限界と、副作用を知ろうとしてください。そして過剰に副作用を騒ぐ情報にも批判の目を向けてください。
 
世の中には、売るために極論を書いた本、現実離れに恐怖をあおる本など、お金を使わせるためのニセ情報が溢れています。
 
広告はあくまで、広告です。人々の意識が高くなれば、問題点を明記した薬の方が売れるという時代がくると思います。
 
それでは、今回は肺炎球菌ワクチンについての広告に触れます。
http://www.wakutin.or.jp/data/vaccine/pneumococcus.html
以下は、西田敏之さんがモデルで登場し、彼のキャラクターを巧みに利用している広告です。
http://www.haien-yobou.jp/?utm_source=Google&utm_medium=cpc&utm_campaign=C021_B
広告では、薬が肺炎予防に夢のような効果があることを謳っています。

もちろん肺炎球菌予防には良いワクチンなのですが、しかし、肺炎そのものを防ぐ薬ではありません。

子宮がんワクチンの時も、同様でしたが、子宮がんを、全部、予防できるかのような錯覚を抱かせるようなワクチン広告でした。
 
9割の女性では、ワクチンが無くとも、自らの免疫力でパピローマウイルスを排除できますが、それができない女性にとっては、ワクチンは、大変有効なワクチンです。
しかし、どの女性が治せないのかわからないので、希望者全員にワクチンを打つ事になります。1割の人を救うためです。
 
ワクチンが有効なパピローマウイルスの型も限定されています。つまりワクチンに含まれないタイプのパピローマウイルスには、効果が期待できません。
 
この知識って、理解が難しいかもしれませんが、慣れてくると理解が進みますので、あきらめないで情報集中に務めてください。
 
公費負担が可能となり、あっというまに広まったパピローマウイルスワクチンでしたが、その後は激しいバッシングが起きました。このワクチンを打って失敗したと泣く女性に会いました.
極端に害を強調し、薬害とするニセ情報が、女性たちを苦しめてしまう現実を目の当たりにしました。
 
このバッシングは不当なものでしたね。やはり、大事なワクチンなのです。
 
外国の経験から、注射の時に、若い女性が倒れるのはすでにわかっていました。しかし、日本のような問題にはなっていません。中高生の年齢では、誰かが倒れると連鎖的に子どもたちが倒れます。それだけ、不安な心を抱えやすいと言えます。
 
パピローマウイルスワクチンの完全性を期待し、それが裏切られて、けしからんとする方向へ世論の誘導がされました。
 
ワクチンを打つ時にはリスクを念頭に置くことが、もっと日本に根付いてほしいです。
 
さて、肺炎球菌ワクチンに戻ります。このワクチンは、肺炎球菌の広がりを抑える薬でありますが、肺炎全般を抑える薬ではないです。

それでは、このワクチンは、どんな位置づけなのでしょうか?
 
そもそも、肺炎球菌ってどんな菌なのでしょうか?答えは、最も多く人類を悩ませ殺してきた細菌であると言っても過言ではないでしょう。
 
この菌は誰でも持ちうるし、人にもうつすし、人の間をぐるぐる廻ります。
 
抗生剤がない時代には、重症肺炎の筆頭の菌でした。肺で菌が増えてしまえば、全身に菌がばらまかれます。
 
赤ちゃんは、ある程度の肺炎球菌への抵抗力を持って生まれてきます。乳幼児は、咽頭や鼻汁にこの菌を持っています。人類は、この菌と常にかかわりあっていたからこそ、抵抗力を持っているのです。
 
この菌がいることで、子どもたちはつよくなっていっているとも言えます。その結果、多くの子どもは、菌を持っていても、病気にはなりません。
 
でも、菌に負けてしまう状況はいつでもあります。特に、一部の乳幼児では、髄膜炎や敗血症になります。そのためのワクチンとして、乳幼児のプレベナーがあります。
 
西田敏之のワクチンは、これとは若干性質の異なる高齢者向けの製品です。ここで気づいてください。人は生き長らえる過程で、肺炎球菌に抵抗力がつくのに、加齢と共に、その抵抗力が消えてしまう事!、これは注目すべき大事な現実なのです。
 
ワクチンする理由は、ここにあります。
 人が子どもの時から、大事に育て上げてきた免疫能力が、再び、加齢と共に消えて行ってしまうのです。だkら、人工的なワクチンで、抵抗力を増強させます。記憶をよみがえらせるのです。
 
強い免疫を持つ人には、必要無いかもしれません、でも、だれが強いのは、わかりません、恐らく、風邪をひかない人、体力のある高齢者は強いです。それから、子供を含め人とよく交わる人も強いと思います。常に菌をもらっているからです。こうした人には早めのワクチンなど、必要ないでしょう。
 
肺炎になる人が、どんな条件の人かによって、肺炎を治せるか、あるいは、だめかが決まります。ワクチンの効果は、パピローマウイルスより不安定と言えます。
 
ワクチンのおかげで、肺炎球菌が増えずにすんだとしても、他の菌が増えれば、肺炎球菌と入れ替わるかもしれません。結局、肺炎を最終的に治すことができません。一度、肺炎になった肺は弱いので、その後も肺炎のリスクは続きます。高齢者は、何度も、何度も、肺炎になります。

多くの肺炎は、結局は、人の免疫力がモノを言うのです。
 
肺炎球菌に限らず、条件の悪い肺では、菌は容易に増えます。実は、肺炎と診断する時、治療薬を決める時、原因となる菌の種類を決めるという作業は難しいのです。
 
肺の奥の方は、菌がいないのですが、口の下方にある気管などの部分には、いろいろな菌がいます。痰などは、この雑菌の付いている部分を通過してくるので、痰にも菌がからまってきます。つまり、痰に菌がいても、肺の奥で肺炎の原因となっている菌か、そうではなく上にいた菌か?を決めるのは難しいです。
 
正確には、肺に針をさして菌をみつけますが、簡単にはできず、この困難さに比べれば、痰の検査を参考にすることは必要とされています。西田敏之のワクチンのサイトでも、このあたりのことは、しっかり書いてありません。広告だから、しかたないのですが・・・。

慢性気管支炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)のある人の肺では、病原細菌が多くいるという論文を紹介します。
 
こうした研究は、本当に長い間、熱心な先生たちの努力で、その知識が今日に生きています。Sethi Sら, Am J Respir Crit Care Med.
 
この論文では、気管支鏡を用いて、肺の奥からBAL中(気管支洗浄液)検体をとり、菌の量を見ています。単位は100cfuという専門用語で表現されていますが、ある程度多くに菌がいる人という意味で理解してください。奥からとってきた肺の分泌液なので、無菌なはずです。しかし、肺が悪い1/3の人で、菌が増えているのです。
 
結果:病原菌100cfu/ ml以上陽性者の割合は、COPD 34.6%、COPDのない元喫煙者0%、非喫煙者6.7%に検出した。病原菌が多い人では、細菌由来毒素エンドトキシンやサイトカインも増加していた。
 
つまり、条件の悪い肺では、菌はいつも増えていて、さらなる増殖のチャンスをねらっているということなんです。
 
生体も必死にサイトカインを増やして、抵抗しています。菌と自らの免疫反応により、肺の傷は深くなります。しかし、免疫がつきると、人は死にます。つまり、肺炎球菌を抑え込めても、肺炎はどうにもならないのです。
 
このブログ読後に、再度、肺炎球菌ワクチンの広告に触れてみてください。より、薬の情報に深みが増すのではないでしょう?
 
法律が変わり、製薬会社が直接、薬のユーザーに広告を打つ事ができるようになりました。その方向は、今後、どのような落とし所へと向かうのでしょうか?
 
本来、こうした広告が解禁された理由として、一般人向けに、薬の知識を向上させるという大義名分があったと思います。しかし、本当にそうした方向で機能しているのでしょうか?
 
製薬メーカーの重要な収入源は、医師しか処方できない処方薬です。
製薬メーカーが薬を多く売るためには、まず、医者にかかるように誘導します。
残念ながら、一般人向けに健康不安をあおって、医者に行くことを誘うという形になりやすいのです。
 
最近、新聞やネットでも、製薬会社の宣伝が盛んです。解禁されたとはいえ、法律により、製薬メーカーは、使わせたい薬剤名を明記することができません。
そのため、とにかく、医師への受診行動を起こさせるための広告を打ってきます。
 
お医者さんと一緒に禁煙しようとの新聞一面広告もありました。
 
つまり、医者に行けば、夢のように病気を治す薬がありますよ!とユーザー(患者)に思わせるように広告します。
 
抗生剤など、あてはまらない薬はありますが、薬の多くは、健康にするものでなく、体を変調させるものです。
変調させている間に、体自体が持つ回復力が戻ってきます。
もし、そのしくみがスムーズに発揮されない人は、病気も治らないのです。
 
最近の薬が良く効くということは、薬が確実に体の中に取り入めるように作られているということです。
 
薬の作用で症状が抑えられれば、人は病気が治ったと錯覚します。
しかし、体は、薬がいつも必要な状態へと変化していきます。薬の効き方も変化します。
 
例えば、胃酸を抑える薬で考えてみましょう。
本来、潰瘍やがんの予防につながり、すばらしい効果のはずの薬です。
しかし、効きすぎてしまうのです。
 
胃酸を抑える有効な薬を飲めば、薬の影響で胸やけなどの症状がマスクされてしまいます。
薬が無ければ、人は具合が悪いため、無理なことができません。
ところが薬で胃酸を抑えてしまえば、酒を飲んだりできてしまいます。
 
痛み止めの場合なら、痛み止めを飲んで、肉体労働を続けてしまうなどしてしまいます。
体は治っているわけではなく、ただ、変調しているのです。
一時的に体が楽と感じても、その先の体は壊れる方向に向かいます。
 
ところが、製薬メーカーは、そうした方向では、薬の説明をしません。おいしい食べ物や素敵な衣料品と同じように、人々の心を誘惑するように、薬を使わせようとします。
 
日本は、皆保険の国であることを思うと、多くの人が医師による診療に殺到したら困ります。保険診療には、税金が投入されています。
 
社会人は、生活のため、収入を得るために、体を犠牲にして働きます。
どのような仕事と言えど、肉体や、メンタルを苦しく追いこみながら、収入を得ています。
働くことは、体を壊すことと言ってもいいかもしれません。
他の人が治めた税金を保険診療で使うためには、それなりの病気であることが必要です。
 
そうした、啓発活動を、製薬メーカーにして欲しいです。
しかし、今のところ、製薬メーカーが、保険制度維持の国民的世論の形成に貢献してくれようとはしていません。
 
病気の不安をあおるような情報を流して、症状があれば、医師にかかるべき、薬は病気を治せるものと思わせようとしています。
 
診療のみに限った話ではありません。
検査も同様に、過剰に宣伝します。検査はあくまで、結果の解説ができる専門家がいて、有用なはずです。しかし、検査だけをして、後は、Aとか、Bとかのあいまいな表記しかしない検査法がはびこっています。
 
検査会社は、検査の精度に触れず、一般人に、検査の良いとこ取りのみ伝えます。
 
本日、朝の情報番組で、IgG型食物アレルギーの説明をしていました。その解説は、とても偏ったものでした。解説ではなく、宣伝と言えるようなものでした。
 
実際のIgG型食物アレルギーとは、IgE型アレルギーと異なり、もっと複雑な免疫反応です。全貌はまだ、解明されていません。つまり、説明できるほどの知識がまだ、そろわないのです。
 
人はいろいろな物質にIgGを作りますが、その役割については多様すぎて、医学のレベルがまだ追いつきません。つまり、測定して結果がでても、IgGがその人で、そのような反応や症状を起こしているかがわかりません。たとえ、IgGを持っていても、その意味や働きを説明することができなのです。
 
この、ラジオ番組では、食物の遅延型アレルギー反応によって、腹痛、全身倦怠、頭痛が起きると説明していました。1-2日前に食べた検査が原因で、全身や胃腸の症状が起き、それが食物によって生じるとの説明していました。
 
司会者(パーソナリティ)は、解説者にいろいろ質問していました(台本にあったからかもしれませんが・・・)。
腹痛、全身倦怠、頭痛が、なぜ、以前の食べ物が原因であると関連できるのでしょうか?そうした素朴な質問を、私は司会者から出るのを期待しながらラジオを聞いていました。
 
腹痛、全身倦怠、頭痛が、以前に食べた食物が原因と決めつけるのは、実際には難しいと、誰でも気づいてほしいです。
 
IgG検査で病気がわかりますと、回答者が答えたら、司会者は、人はいろいろな物質に反応するのが普通でしょうと言って欲しかったです。
 
以前に、こうした検査試薬(米国製)の宣伝活動をしている人と、会話したことがありましたが、全く、知識は持っていなかったです。又、3万円でIgG検査を受けたことがある方(患者さん)と話をしたこともありましたが、医師の説明を理解できていなかったです。IgG測定に問題点が多くとも、検査会社も医師も儲かるのです。
 
この検査は保険がききません。その理由は、結果が有用であるとは判断されていないからです。でも、保険診療外での検査は可能です。
 
患者さんによっては、この結果によって、新たな病気をつくりあげてしまうかもしれません。患者さんは、心も弱っています。
 
体に入ってくるいろいろな物質に対し、どのような免疫反応を起こすのかは、個人差が大きく、神のみぞ知る領域です。顔や声が皆違うように、免疫反応が違うのです。
 
汗水流して働いた人のおさめた税金が、無駄な保険診療に使われてしまわないことを望むばかりです。国民啓発のための財力を持つ製薬会社の良識に期待したいです。
 
腸はいつも、ダイナミックに動いている。腸内に入った食べ物は消化され、ドロドロになった状態の消化物が、大腸を通過していく。その間に便中の水分が吸収され、便がほどよい固さになると、大腸の出口(肛門)に降りてくる。腸の働きが悪くなると、腸は便をスムーズに下へと送れず、十分な水分の吸収もできなくなる。ガスが過剰に産生され、腸がきりきりと痛くなっても、ガスや便を下に送れない。
 
特に、水分吸収ができないまま直腸に達した水様便は、腸をきりきりと刺激する。この痛みはなかなか強烈だが、便が出てしまえば痛みは消える。腸の重い病気になったと誤解する人がいるが、それは誤解である。元々、水様便は、腸を強く刺激するものであり、そこを理解できれば、痛みから来る不安は解消する。
 
腸の動きが悪いと、便がスムーズに送れず、便秘もくりかえす。昨今、こうした下痢と便秘をくりかえす過敏性大腸炎の症状を持つ人は多い。最近のネット記事では、過敏性腸徴候群と、炎を除いた病名が使われることが多い。炎というのは医学的に、具体的な病変が存在する時に使われる。炎を除いた病名の方が、幅広い症状を取り上げることができる。
 
痛み発作は、食後に起きることが多く、朝食後の朝の電車の中、昼食後の大事な会議中などで、腸のグルグル痛みがおきてしまうと、かなりつらい状態ではあるだろう。
 
しかし、この過敏性腸炎をうまく治す薬はない。なにしろ、脳が感じるストレスがそのまま、腸の機能を低下させているのだ。だから、腸を治すのではなく、脳のストレス軽減の工夫をしていくことが必要だ。
 
もちろん、現代の競争生活の中で、ストレスを減らすことはたやすいことではない。解決策と言えるものでもないが、お腹が痛くても大丈夫と考えるだけでも、ストレスの軽減につながるはずである。あまり心配しないでほしい。
 
病気はいつまでも同じところにいない。さらなる腹痛、血便、潰瘍などと、腸の病気が進むことがある。クローン病、潰瘍性大腸炎などの病名がつく状態がある。こうなってくると、自宅で様子をみているような状況でない。しかし、過敏性腸炎と明確な区別があるわけではなく、その関連すら不明だ。慢性腸炎の発症の経過も人それぞれである。
 
以前にこのブログでも、他人の便をつかって腸炎を修復するという外国で試みられた治療法を紹介している。この治療が有効である事を考えると、人の腸の健康を保つためには、腸の免疫状態と、腸内細菌のかかわり合いが大事であることがわかる。
 
菌と腸の両者が、究極の妥協状態にあることが必要なのである。菌に触れていながら、体(腸粘膜)は反応せず、むしろ菌が腸面膜を保護してくれている。慢性腸炎は、腸内細菌と腸粘膜のバランスがくずれてしまっているのは確かだろう。
 
先日の新聞の医療関連記事で、某大学付属病院のドクターが、慢性炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)について語っていた。新聞記事の文章を書いたのは記者であろうが、内容には、ところどころに不透明な点がある。つまり、内容に矛盾があるのである。
 
医療記事を読む時は、こうした矛盾を見つけて欲しい。記者は病気を十分に理解して書いているわけではない。前文を否定するような内容が、その後の文章に平気で出てくる。
そのまま、スラーと読むのではなく、あれっと、考えながら読むと、病気の理解につながると思う。
 
新聞の医療記事を読む時、内容の矛盾に気づくことが、病気を理解しているということだろう。
実際の病気を抱え込んだ人であれば、理解が進み、新聞記事の問題点に気づくと思う。
 
一般的に、慢性腸炎(クローン病、潰瘍性大腸炎)は、病院で専門的な検査を受け、その所見から診断されている。
症状のどの時点で、痛い検査をするべきかを決めるのが大事だ。
 
慢性腸炎の典型的な所見を欠く場合には、やみくもに専門検査を続けるわけにもいかない。所詮、原因も治療もわからない病気であり、病気の経過も治療に対する反応も個人差がある。治療してみてどう反応するかで治療効果を判定をするわけだが、その方針が立ちにくい場合があり、どうすれば最善なのかは、誰にも見えない。
 
新聞記事には、ストレス性の腸炎との鑑別が必要であると書いている。慢性腸は、ストレス性腸炎と誤診されていると書いてある。
 
しかし、腹痛、下痢などは、日常的な症状だからであり、他の病気との鑑別は困難である。クローン病、潰瘍性大腸炎の原因に、ストレスも考えられている事を考えると、誤診という表現は適切ではない。原因不明な病気というのは、他の病気との関連も、又、不明という意味である。
 
実際には、症状が重くなってきたら、いろいろ痛い検査が行われ、病名がつくという経過をとることが多いのだと思う。つまり、重いという判断ができるかどうかが大事なポイントである。
 
クローン病、潰瘍性大腸炎と診断されるには、いくつかの診断基準をクリアしなければならないが、病気の経過も所見も、所詮、流動的である。原因がわからない限り、鑑別などは困難だ。
 
重症例は難病に指定されているので、認定されるには、検査で所見がないとだめで、軽くなってしまうと認定は受けられない。
 
新聞記事では、専門医のところにくれば、すぐ診断がついて適切な治療が開始できるような風に書いてあった。しかし、読者は、こうした書き方には疑問を持つべきである。その前の文章で、治療法は不明と書いてあるから・・・。
 
ここで私が記者に要望したいことは、慢性腸炎(クローン病、潰瘍性大腸炎)の進行性や重い症状をしっかり説明して、これなら専門医にかかる必要があるとの書き方をしてほしいのである。
 
新聞では、2週間の腹痛と下痢があれば、専門医にかかれと書いてある。専門医なら、健常人と同じような生活を送れるようにすることができると、微妙な表現になっている。
 
つまり、新聞記事には、慢性腸炎は、治療法が無いと書きながら、専門医による的確な治療によって健常者と同じ生活を送れると書いてある。記者は、専門医だけが治せると書きたいのか?
 
専門医とは、どんな状態でも治せる人ではなく、軽症例はむしろ不得意で、重症例を多く診ている医師たちである。
専門医は、いろいろ強い薬や新薬を使う経験を多く持つ医師たちであるとも言える。重症であれば、薬に副作用があっても、専門医なら使うという意味である。
 
実際は、重症例で強い薬(免疫抑制剤など)を使うと、経過の良い人がいる。重症なら、薬の効果判定ができるのである。しかし、強い薬は副作用で不利益を被る人もいるので、軽症例に使えない。
 
自然に軽くなる軽症例では、自然経過にまかせた方が良い場合があるが、必ずしも、最初から予想できるものでもない。治療薬の効果の判定も難しくなる。
 
慢性腸炎に限らず、世間では、専門医という言葉が独り歩きをしている。専門医はオールマイティの技術があるような風潮がある。
 
皮膚の発疹、繰り返す頭痛、めまい、耳鳴りなど、日常的な症状を治せる専門医であるとの看板をかかげる医師もいる。
 
症状をかかえる本人が重大事と思えば、専門医紹介を希望することがある。しかし、こうした日常的な多くの病気は、むしろ、重大な病気が隠れていないかを見つけるのが、医師の技術だ。
 
専門医、専門外来などと大げさなことを言わずに、多様な病気の経験が豊富な医師の方が、隠れた病気を見つける才能を持つものである。
 
早期発見、早期治療は、理論的には可能だが、実際にはそうでない病気が多いのである。
 
医者は使いたいが、患者さんは使いたくない薬の代表薬に、アトピー性皮膚炎のステロイドがあります。そして、その逆として、医師は使いたくないが、人々は欲しがる薬があります。もちろん、麻薬の話ではありません。今日はこれについて書きます。
 
ステロイドの話から始めます。

アレルギー相談では、ステロイドに関する相談が多くあります。アトピー性皮膚炎の治療薬として、専門学会は推奨するものの、ステロイドでひどい目にあったとの、患者さんによるネット書きこみも多く見られます。
 
ステロイドは、効果がよく見え、薬の実態がわかりやすいです。
赤い皮膚にステロイドをぬれば、その部分の皮膚は白くなります。アトピー性皮膚炎のある人では、この薬の効果を目のあたりにできます。効果に喜ぶもつかの間、ステロイドを止めればすぐ、皮膚は元の状態に戻り、塗れば、又効果がでます。
 
そうこうしているうちに、塗らないといられない皮膚になっていきます。赤味が止まるのは、血管が収縮するためで、皮膚が赤味を出そうとしても、ステロイドで抑えられてしまうのです。根本を治すものではありません。
 
そして、「大丈夫なんだろうか?」と疑問を思う患者さんが、ステロイドを止めてしまうと、ひどい皮膚の状態になります。そのまま、医師には行かず、以後、悪化時も保湿剤を使いながら頑張る人もいます。
こうした人が、ネットに書きこむ場合は、ステロイドの恐ろしさを強調することになります。
 
40台のアトピー性皮膚炎の男性の事例を考えてみます。
彼はアトピー性皮膚炎が小児期からあります。今も顔や首は皮膚が厚く赤味が強いです。でも、彼はステロイドを使わないことを望み、自ら、保湿剤の塗り方を工夫して頑張っています。時にプロトッピクの処方は受けています。
 
彼の皮膚の赤黒く、厚い状態になっているのは、皮膚がトラブルを繰り返した結果です。そこが病気というのではなく、トラブルをくりかえすと、皮膚は元の状態には、戻らなくなるのです。
 
人の皮膚は、トラブルをくりかえすと、皮膚の構造に異常をきたしてきます。皮膚は厚くなった、皮膚が固くなった、赤黒くなったと、人の目には映るのです。
 
彼は、熱く今までの治療の経過を語ってくれました。
 
彼は主治医の処方するステロイドを塗りたくないと、過去にかなりやりあいました。
医師は、「心配ないから、塗りなさい!」と強く言っても、医師の「心配ないから」というその言葉に不信感を感じました。
 
彼は、「心配ないとなぜ言えるのか!」と思いました。
この時の彼の内心は、“医者は治せなくても、悪くなっても責任を取らされないが、患者の方は、病気をかかえて苦しまなくてはならないんだぞ!”だったでしょう。
彼は、医者も又、治そうとしていてくれることがわかっていたからこそ、何も言わずに、通院を止めたのでしょう。
 
医師も、ステロイド薬が本当に心配ないと思っているわけではありません。しかし、目の前で症状をつらがる患者さんを前に、とにかく一旦ステロイド塗って良くしてから、その後のステロイドを調整したいと思うのです。一時的にステロイドを多く使うのは、「心配ないから」という意味でした。
 
アトピー性皮膚炎は、周期的に悪くなったり良くなったりするので、医者は、悪い時にはステロイドを使うという判断です。完治させられなくてもステロイドで変調させて、皮膚の回復を待つという姿勢です。
 
但し、アトピー性皮膚炎が重い方では、ステロイドをぬるのをやめれば、元に戻ります。もともと、皮膚をしっとりとした状態に保つ能力が欠けています。医師は、そうした状態を観察しながら、薬を調整します。
 
医師がその人の皮膚の状態を把握するには、年単位の治療経験が大事です。医者は、その人の皮膚炎が重い人(ステロイドを止めるとすぐだめになる、ステロイド依存性が高い人)なのか、ステロイド恐怖の強い人なのかを、治療をしていく経験で判断します。治療過程で、信頼関係ができあがっていきます。
 
慢性化する場合には、患者さんからの要望がより大事になります。医師を信頼する時の判断力も大事です。
医師がよく話を聞いてくれて、話もしてくれて、経験が多くて、将来展望をしめしてくれる医師かどうかを見分けるのは、患者側です。治療の間で、判断しなければなりません。
 
病気が長引けば、患者側の希望にそった治療をしてくれるでしょう。
 
特殊な治療を勧めたり、名医であると自慢するような医師は、危険です。
 
でも、彼の言い分は、それを今まで何度も試みて、だめだった!と言いたいのでしょう。彼がそこまで脱ステロイドにこだわるには、もうひとつ理由がありました。実は、彼は、数年前に突発性の難聴になり、その治療としてステロイドの内服した時、皮膚がすっかりきれいになった経験をしました。そして、薬の効果を恐ろしいと感じました。体を変えてしまう薬だと思いました。
 
彼は、ステロイドを使わずに、ここまで来ました。ステロイドを使えば、今の皮膚の赤黒味や、厚みは無かったかはわかりません。しかし、使わないでで良かったと思います。現代医療が完治させることのできない慢性の病気なら、本人の意向というのは大事な要素だからです。
 
彼は慎重で、よく考える人でした。ステロイドは有効であることがわかってこそ、その副作用の恐さを知り、薬を使わないと言う判断をしました。彼自身の皮膚であるからこそ、ご自身で選択したのでした。
 
一方、こうした人と対照的に、薬の副作用に無頓着な医師や患者がいます。
むしろ、こうした人の方が、問題が大きいと思います。
 
美容関連で使われる薬に問題が多いです。ヒアルロン酸、ボトックスなど、危険が一杯です。全身整形美人と自称する女流作家が、ギランバレーで入院しました。やたらと体に入れた物質がどう影響したのでしょうか?今は答えがありません。
 
しかし、私が理不尽に思うのは、重症で入院しても、注入した医師たちは、彼女の治療の場にはいないことです。
 
ここでは、プラセンタ製品について書きます。
 
美容目的で使われ、ほとんどあいまいな説明で使われていると思います。プラセンタは注射してくれない医者と、してくれる医者がいます。
 
では、注射をしてくれる医師は良い医師なのでしょうか?
 
日本でプラセンタ注射に使われているのは「ラエンネック」「メルスモン」という2つです。製品は、人の胎盤から作られます。つまり生物学的商品です。
エンネックは肝臓の病気の場合に保険適応となり、メルスモンは更年期障害が保険適応となります。
 
プラセンタにはもろもろの成分が混じり、いかなる物質がどの位入っているかは測定できないです。蛋白成分が中心ですが、成分と効能は調べられないのです。いろいろな蛋白性の増殖作用をもつ物質が入っているのですが、その量と作用機序は不明です。短期的影響、長期的影響も不明です。
 
昔からの薬なので、効能をはっきりさせなくても許可されている薬です。昔は、治療法がなく、効果がはっきり証明できなくても、薬として許可されました。
 
女性は、偽薬効果似弱いです。若返るという触れ込みだけで、薬を使ってしまいます。副作用を心配するより、若返ることが、最優先だからです。
 
女性の美容薬として使われています。これは、人間のプラセンタは使われていません。何かの動物のプラセンタですが、どの動物由来か、どの位、入っているかは明記されていません。薬ではないので、法律による規制がないのです。
 
動物のプラセンタは、蛋白成分なので、保湿効果が発揮され、何らか肌がしっとりするかもしれません。でも、それは、プラセンタ効果であるかは、証明されていません。
 
蛋白成分は、副反応も起こします。皮膚につけるプラセンタなら、皮膚がかぶれたりもあるでしょう。しかし、それがプラセンタによるものかを証明するには、ドクターとの協力が必要です。
ドクターは、手間のかかる検査しないで、「やめてください」と言う事が多いでしょう。
 
 
プラセンタは、若返りのイメージを作りやすいのです。若返りは、もし効果があるなら、がん化の作用を持ち合わせます。ホルモン作用もあるでしょう。
ヤフー知恵袋などを読んでいて、プラセンタ成分量の多いラエンネックで、顔がむくむような気がすると書いた人がいました。
 
プラセンタは、女性ホルモンの持つ副作用はそのまま引き継いでいると思います。そして、それと共に、成分がはっきりしない不純蛋白も入っています。他人のもろもろの蛋白質は、、それを体内に入れた人の中で、免疫反応を起こしたりする可能性もあります。
 
プラセンタで注射治療を拒否する医師は、プラセンタの危険性を案じています。医師は、薬を使うときは、リスクとベネフィット(益)を天秤にかけますが、天秤でかけて使わないという判断をしているのです。
 
人の体から抽出する生物製剤は、元々、多くの危険があります。血液、凝固因子も肝炎、エイズ、ヤコブ病など、危険が多くありましたが、医学の進歩でここまで安全になりました。しかし、今でも完全に安全なものではありません。しかし、輸血は死ぬか生きるかの時に使います。
 
一方、更年期障害は病気そのものがあいまいで診断基準もなく、何をもって効果があるかの判定もできません。そんな病気に、危険を冒してまでいれたくないと考える医師が多いのです。
 
プラセンタを注射したことのある女性は、献血ができません。これは、どういう意味なのでしょうか?ヤフー知恵袋には、こんな回答がありました。献血ができないことは、あなた自身が困ることはありません。輸血はしてもらえます
 
論点がずれていますね。献血ができないことは、プラセンタ注射をした後は、危険な体になるという意味です。その人自身も危険をかかえますし、その人から輸血を受けた人も危険と見なされるから、献血ができないのです。
 
実際にはそうした事例はめずらしいでしょうが、プラセンタを入れると危険な体になるというところを良く理解すべきです。
 
恐らく、厚労省もリスクがあって効果が不明な薬が出回るのは嫌なのだと思います。
しかし効果があると主張する医師や患者さんがいる以上、禁止できません。
 
今後、プラセンタ由来と想定できる病気や、因果関係が証明できる症例が出てきたら、販売中止薬となるのではないでしょうか?
 
他人を助けようと踏切事故で亡くなった女性に献花が続いているという。
本当に性格のやさしい人である。
 
少し前だが、ペットをかわいがる人は、心がやさしいとの心理学者がネット記事で語っていた。
心理学の世界では、ペットに対して全幅の愛情を注げる人は、人間に対しても同じく全面的に愛情を注げることを表すデータが存在すると言う。
 
本当に、そうだろうか?ネット情報の掘り下げ方に異論を唱えたい。

ペットは、人に食も住、生きるためのすべてを依存している。かわいくなければ、人に依存できない。
依存している姿が、かわいいと感じる所以であろう。一方的な関係であり、ペットに裏切られることは無い。
 
動物を飼うということは、動物愛護をするか、しないかではない。
野生動物の保護活動の方が、動物愛護と言える。
激しく威嚇する野生動物を見ると、その姿にひきつけられるのは、人が自らの生きざまを思うからではないか?
 
ペットをかわいがるかどうかなどで、女性の性格など予想できない気がする。
ペットが高価な血統書つきであったり、珍種だったりすれば、それは純粋な動物愛護ではない。
 
もし、女性の優しさを見抜きたいなら、むしろ、高齢者や病気の人に対して、どの位、やさしく接することができるかで、判断した方がよい。踏切に飛び込んで、人を助けたりするなど、その最たる行為である。
 
病気の高齢者が、激しくせき込み、その分泌物をはからずしも浴びてしまっても、咳を心配し、やさしく接することができるか、などでも判断できる。排泄物を浴びても、高齢の相手を気の毒と感じられるということだろう。
 
災害時、自分の飼っていたペットの安否を気遣う前に、逃げ遅れた人たちを思いやるのが先だ。
 
自分のペットを失った悲しい気持ちは、自分自身でよくわかる。
しかし、知らない人の死は、その人の周りの人々の苦しさを想像するからこそ、悲しいのであり、想定できる能力が高いことを示す。
 
想定する能力が高い人は、他人を思いやれる。日常生活で、予期しないことで相手が落ち込むことがあれば、その気持ちに配慮し、ケアできる能力とあい通じるのではないかと思う。
 
他人の苦しさを想像できる能力が高い人が理想であろう。そして、その苦しさを除く事が出来る人は、さらにすばらしい人である。

相手の気持ちを想定する能力は、必ずしも、目の前のペットをかわいがる志向とは一致しない。

心理学と医学はしばしば、対立してきた歴史的経緯がある。
 
精神分析も心理学も、答えがひとつということはなく、サイエンスであるとは言えない。より客観的な手法を用いて検証する心理学は興味深いが、学者の思い込みの紹介にすぎなり著書も多い。
 
心理学は、人の心を扱うのだから、真実などは無いのであろう。ここが脳科学のアプローチと違うこころだ。
 
食物アレルギーは治りやすいとは言うものの、治る割合は?となると、病院の規模により、成績が変わると言うお話をしました。より、重症な食物アレルギーの子どもを診療している専門病院では、治る確率が低下してしまう可能性があります。
 
食物アレルギーに限らず、どのような病気でも、病院におけるデータは、その病院の規模により、重症度や治癒率が変化します。良くある糖尿病や高血圧でも、大病院の患者さんでは、重大な合併症の起きる確率が高いです。
 
日本で発表される食物アレルギーの成績の多くは、病院受診の食物アレルギー患者をベースとした実態です。軽くて治りやすい子供と、そうでない子供が混在しています。

治癒率の偏りを避けるためには、一般集団から食物アレルギーのある人を選び出し、その人の病状を集計するやり方があります。言うのは簡単ですが、実際には難しく、調査費用もかかります。日本ではこうした成績は少ないです。
 
今回は、そんな研究論文を紹介します。これは、ピーナッツ、木の実に対するアレルギー有症率の年次的な調査です。J Allergy Clin Immunol. 2010 125(6):1322-6.  PMID:20462634

一般家庭に無作為に電話をかけて、食物アレルギーのある家族がいるかどうかを聞きだします。この電話調査結果に基づき、一般人口に占める食物アレルギーの頻度を算出したものです。
 
電話調査は、過去1997年、2002年、208年に、3回行われ、この調査の中で、米国人の成人と子どもの間で、ピーナッツ・木の実アレルギーが増えてきているかを調べました。
 
結果は、残念ながら、米国の小児でピーナッツ・木の実アレルギーの有病率が増加しているというものでした。成人ではそうした傾向はありませんでした。子どもたちが、ピーナッツ・木の実アレルギーになる環境が以前として続いていると考えられます。
 
子どもでのピーナッツ・木の実アレルギーの増加は、その重症度や子どもの将来性を考えると、原因解明が必要です。
今後も、人と食物蛋白の研究が続きます。
 
では、実際の論文です。
方法:ピーナッツ・ピーナッツアレルギーの有病率を調べるために、全国的に、無作為に選んだ電話番号にかけて、同一方法の調査用紙を用いて有症率調査を行った。
 
結果:5,300世帯の合計13534人を調査することができた。電話調査に協力してくれたのは電話をかけた人のうち、1997年67%が参加し、2002年では52%、今回の2008年の調査では42%であった。
 
全体的なピーナッツアレルギー、木の実アレルギーの有病率は、1997年1.4%、2002年の1.2%、2008年1.4%との数値が報告された。各年度の間には、有意差はなく、平均1.3%(95%CI、1.1%〜1.6%)であった。
 
しかし、18歳未満の子供に限定してみると、ピーナッツまたは木の実アレルギーの有病率は、1997年に0.6%、2002年1.2%、2008年は2.1%になっていた。この数値は、有意に増加していた。(P <。 001)。
 
子どものピーナッツアレルギーの有病率は1997年に0.4%、2002年で0.8%、2008年は1.4%になっていて、以前と比べ大幅に増加していた。(P <0.0001)
 
木の実アレルギーの有病率は、1997年に0.2%、2002年0.5%、2008年1.1%で、以前と比べ大幅に増加していた。
 
8月31日に、米国の病院で、卵アレルギーの子どもに卵負荷テストをしたところ、2/3の子どもは、卵が食べられたことを書きました。いつも間にか、子どもたちの食物アレルギーはおさまっていたようです。

食物負荷テストについて、少し書きます。
負荷テストは、原因食品を実際に食べてみて、何か、体に症状が出ないかどうかを確認する検査です。外来の診療の場や、入院して負荷する方法があります。

日本でも、かなり、負荷テストが行われるようになりました。そして、除去していた子どもが実際に食べてみると、何も症状は起きず、(良かったね!」と言うことで、それからは食べれるようになります。
 
本来の負荷テストは、除去食を開始する時に行うものです。しかし、血液検査だけとか、原因がはっきりしなくても心配だからと除去に踏み切ってしまう日本の子どもの割合は、外国の報告より多いようです。
 
現在、日本で多く行われている食物負荷テストは、年長児で行われています。
 
除去を開始する時の根拠として行う負荷テストですが、実際には年少時に症状が出て、除去食を開始するものの、除去を続けて年長児になってしまい、このままではまずいとのことで、負荷テストが行われることが多いのです。
 
乳児を持った母親から、負荷テストをしてくれる病院を聞かれることがありますが、乳児では負荷テストはあまりやられていません。
 
乳児や1歳代では、負荷テストをしても、病気が変化してしまうことが多いです。
 
負荷テストで症状がでなくても、しばらくしたら出るようになることがありますし、その逆もあります。
乳児期の症状はまだ、あまり決定的なものではなく、気づいたら治っていたということが多いのですが、それを確かめるためにはどこかで食べさせる必要があります。
 
自然にアレルギーがとれてしまう理由については、まだ、良くわかっていませんが、子どもたちの環境に多くある食品であれば、食べずとも、知らず知らずのうちに体に入り、減感作されてしまうことが考えられます。
 
しかし、乳児期の食物アレルギーの多くは軽くなるとはいえ、その時期は画一的なものでなく、食物アレルギー症状が続けば、親は悩みます。
 
日本は、特異IgEの検査(RAST)が簡単に行えるので、これが独り歩きをして、軽微な症状でも、除去食を開始してしまいます。そうすると、食べないので、治ったかどうかわからないまま学童期になり、食物アレルギーを持った小学生が、増えてしまいました。世界でも有数の卵・ミルクアレルギーの子どもが多くなっています。

今は、その反省期にありますが、今でも、母親、保母さんが、特異IgEの検査(RAST)の結果にこだわる場合があります。
 
実際に、病院で負荷テストをして、どの位の子どもが治っているかについては、専門病院から発表されるデータが多く、重症児に偏る傾向があります。
 
つまり、治っている子どもの割合は、その病院小児科の規模が関係します。全国的な有名病院であれば、重症児が集まるため、負荷テストでも、反応を起こす子どもが多いというわけです。
 
しかし、実際にはこうした専門病院ですら、負荷テスト後に現れる症状の頻度は、それほど高いものでなく、外国の報告より低率となっています。
 
日本の子どもは、治っているかどうか確かめず、食物アレルギーと思って除去を続ける子どもが多いと思われます。
 
日本では、食物アレルギーの年長児では、男児に多いのが特徴的です。5歳以後の食物アレルギーは、男児が7-8割を占めます。親が、病気がちな男児を心配するあまり、男児の方が食べさせる機会を失してしまい、判断が遅れてしまうからではないでしょうか?

Pediatr Allergy Immunol. 2013 ;24(5):450-5. PMID: 23773122
それでは、オーストラリアで行われている卵負荷テストについて、書きます。アナフィラキシーの定義は、WAO基準に従っています。
 
過去に重症の症状があっても、食べさせてみたら治っている子どもがいる一方で、以前より食物アレルギーが重症化していた子どもがいたことにご注目ください。食べないとわからないということが良く理解できると思います。

マフィンをつかって、十分に加熱した卵の負荷テストを行っています。
卵蛋白1gが含まれる(卵1/6個)を入れて、1個のマフィンを焼きます。それを、1/16 から開始し、問題がなければ倍量の1/8 とし、さらに1/4へ、1/2へと20分ごとに増やしていきます。
 
負荷テストの対象になったのは、近い時点で症状が出たことがあるか、極めて高い確率で症状がでると予想される子どもたちで、実際に、すべて厳密な卵除去食をしている子どもたちです。
 
負荷テストの結果をまとめます。負荷後、
① 症状の無かった人150人でした。平均年齢は3.2歳。過去にアナフィラキシーを越したことのある人22人の15% を含んでいます。
② 何らかの反応があったのが、86人の子供たち(36%)でした。
そのうち、軽症から中等症の症状の出た人74人(平均年齢4.7人)、
③ 残りは、重症で、アナフィラキシーが起きた人12人(平均年齢4.8歳、過去にアナフィラキシーを起こした4人を含む)でした。
 
以下に、もう少し詳しく、負荷テストの論文の内容を書きます。
 
背景:方法:前向きコホート研究。 2009-2012年、マフィン(加熱卵)を用いて卵負荷テストが行われました。1/6の卵(1gの卵タンパク質に相当)を含む1つの焼マフィンを、段階的に増量し、卵厳密除去をしていた卵アレルギーの子供たちに食べさせました。
 
結果:卵厳密除去をしていた236人の卵アレルギーの子供たちのうち、150人の子供たち(64%)は、加熱卵負荷テストにて、症状を認めませんでしたので、以後、卵解禁としました。
 
食後、12人(14%)にアナフィラキシーがおこりました。12人の子供たちのうち、 筋肉内アドレナリン投与は5人でした。一人は持続性の低血圧があり、2回目の投与を必要としました。
 
こうした重症化の予測は、皮膚反応の大きさ、喘息の有無、以前の卵アナフィラキシーの既往などからは、予測不可能でした。